Trademark Appeal Case
ソルトエンハンサーの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2014−900015(T2014−900015/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5623517号商標(以下「本件商標」という。)は,「ソルトエンハンサー」の片仮名を標準文字により表してなり,平成25年6月12日に登録出願,第1類「化学品」,第3類「調合香料,精油からなる食品香料」及び 第30類「食品香料(精油のものを除く),調味料,香辛料」を指定商品として,同年9月25日に登録査定,同年10月18日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由の要点
1 登録異議申立人「中田義直」は,申立ての理由を次のように述べ,証拠方法として,甲第1ないし第3号証(以下,これらを「甲1−A」などと表示する。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本件商標は,その構成中の「ソルト」が英語の「salt」に通じ「塩,食塩」等の意味を,また,「エンハンサー」が英語の「enhancer」に通じ「高めるもの,強めるもの」の意味を認識させるものであるから,全体として「塩味を強めるもの」と認識されるものである。
さらに,「ソルトエンハンサー」の名称の使用を勘案すると,本件商標は,その指定商品のうち塩味増強効果を有する商品との関係において,商品が有する一定の品質または効能を表示するものとして,一般需要者・取引者に認識されるものであり,その指定商品の品質又は効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
(2)商標法第4条第1項第16号の該当性について
本件商標は,上述したように,塩味を強めるものと認識されるものであり,取引者・需要者にその商品の品質を表すものと認識される可能性がある以上,これをその指定商品のうち塩味を強める商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
2 登録異議申立人「山田武史」は,その理由を次のように述べ,証拠方法として,甲第1ないし第6号証(以下,これらを「甲1−B」などと表示する。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本件商標は,「ソルト」と「エンハンサー」の2語よりなるものと理解され,そのうちの「ソルト」は,「塩,食塩」等を意味する英語「salt」が日本語化したものとして理解され,一般に使用されている語である。
そして,本件商標の指定商品に係る香料の分野において,「エンハンサー」とは,「香質を向上させ,全体をマイルドにし,こくと重量感を増加させ,更に天然感を付与することを目的とした配合素材」のことをいうから,該語は,本件商標の指定商品に係る香料の分野における需要者・取引者において,商品の品質・効能等を指称する内容表示である。
また,「エンハンサー」の語に自他商品識別力が無いことは,過去の審査例・登録例や審査経過からみても窺い知ることができる。
以上のとおり,本件商標の指定商品に係る香料の分野において,「エンハンサー」の語に自他商品識別力は無いため,これに「ソルト」の語を付加して「ソルトエンハンサー」としたところで,「塩の香質を向上させ,全体をマイルドにし,こくと重量感を増加させ,更に天然感を付与することを目的とした配合素材」,簡略化すれば「塩味増強剤」を意味するに過ぎず,商品の品質・効能等を指称する内容表示であることに変わりはない。
したがって,本件商標は,第3類及び第30類に属する各指定商品について,商標法第3条第1項第3号に該当する。
以下,登録異議申立人「中田義直」及び「山田武史」を,併せて「申立人ら」という。
第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は,前記第1のとおり,「ソルトエンハンサー」の片仮名を標準文字で表してなることから,それぞれの文字が同書体,同大,等間隔で,全体としてまとまりよく一連に表されているといえるものである。
そして,本件商標は,その構成中の「ソルト」が塩を意味する語として一般的によく知られていることから,これと「エンハンサー」の語との結合であることは認識し得るところである。
また,「エンハンサー」が「高めるもの,向上させるもの」などの意味を有する英語「enhancer」(「研究社新英和大辞典第6版」)の読みであって,これが,香料の分野において「香質を向上させ,全体をマイルドにし,こくと重量感を増加させ,更に天然感を付与することを目的とした配合素材」を意味するものとして使用されていること(甲1−B),さらに,「ソルトエンハンサー」及び「salt enhancer(s)」の文字が機能性素材などを表すものとして使用されていることが認められる(甲1ないし3−A及び甲5,6−B)。
しかしながら,「enhancer」の語自体,我が国において一般に知られている語とはいえず,また,「エンハンサー」の語の配合素材としての意味も,技術用語としての使用であることから,これが一般の需要者にまで広く知られているものとは言い難い。
加えて,申立人らの提出に係る証拠における「ソルトエンハンサー」の使用例(甲1−A及び甲5−B)は,いずれも,長岡香料株式会社における「香料技術を用いた機能性素材」の開発に関するものであって,同社が開発した3種の機能性素材の一つとして,「ソルトブースター」「ソルトリプレイサー」と共に紹介されているものであり,これらの記載をもって,「ソルトエンハンサー」が,当該機能性素材の一般的な名称として広く知られ,使用されているものということはできない。
また,甲2−A,3−A及び甲6−Bにおいて,「salt enhancer」又は「salt enhancers」の海外での使用が確認できるものの,これら3例の英文における使用例をもって,「ソルトエンハンサー」が,申立人らの主張する内容を表すものとして,日本において広く知られたものと認めることはできない。
そうすると,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,これに接する需要者が,「塩味を強めるもの」あるいは,「塩の香質を向上させ,全体をマイルドにし,こくと重量感を増加させ,更に天然感を付与することを目的とした配合素材(塩味増強剤)」などといった意味合いを認識するものとはいえず,その商品の品質または効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできない。
また,そうである以上,本件商標は,商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標ということもできない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号には該当しない。
2 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
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