Trademark Appeal Case
結合商標の要部抽出と著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900208(T2013−900208/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5568147号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成24年10月16日に登録出願、第28類「おもちゃ」を指定商品として、同25年2月22日に登録査定、同年3月22日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4972035号商標(以下「引用商標」という。)は、「FANTA」の欧文字及び「ファンタ」の片仮名を2段に書してなり、「おもちゃ」を含む第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年7月21日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証を提出している。
1 引用商標の周知・著名性について
引用商標は、申立人のドイツ法人が第二次世界大戦中に開発した清涼飲料に起源し、該飲料は、それ以来1950年代には、世界36か国に販売網が拡大し、日本でも1958年から販売が開始され、現在では「ファンタオレンジ」を始めとして5種類のフレーバーが販売されている。該飲料に名付けられた商標「Fanta」は、1941年にドイツで商標登録されて以来、各国で商標登録されている(甲11ないし甲14)。
申立人は、商標「Coca−Cola」、「Sprite」、「Georgia」などの世界的な人気ブランドを擁し、これらの著名性を活用して、衣類、スポーツ用品、生活雑貨など、広範囲の商品についてライセンス事業を展開しているが、商標「FANTA」及び「ファンタ」についても同様のライセンス商品が多品目にわたって、アマゾン・ドットコムなどにおいて販売され、商標「ファンタ」に係る「ヨーヨー」がその1例である(甲15)。
2 本件商標について
(1)本件商標の外観
本件商標は、前記第1のとおり、「ファンタ」、「スティック」、「FANTASTICK」の文字列を3段に分けて書き表したもので、3段目の欧文字「FANTASTICK」は、片仮名の部分より小さく、かつ、1行に表されているが、「A」と「S」との間にスペースが設けられている。また、各文字には、虹を想起させる着色がなされている。
このような外観構成を片仮名部分についてみると、必ずしも「ファンタスティック」と1語からなるものと認識されるとは限らない。
また、欧文字部分についても、「幻想的な」などを意味する「ファンタスティック」の欧文字表記ならば「FANTASTIC」であるはずのところ、あえて「FANTA」の後ろにスペースを設け、かつ、語尾に「K」を加えて、「棒状のもの」を意味する「STICK」としているから、「FANTASTICK」の1語と見るべき理由はない。
したがって、「ファンタ」及び「FANTA」の部分がそれぞれ独立した1語として看者の注意をひくおそれがある。
(2)「スティック」及び「STICK」について
本件商標の構成中「スティック」及び「STICK」の部分は、指定商品「おもちゃ」については、一般消費者向けに販売されている多種多様なおもちゃにおいて、商品の形状、機能を示す用語として広く用いられている(甲2ないし甲10)から、自他商品識別力がないか、弱いものといわざるを得ない。
なお、本件商標を構成する文字の着色は、これらのスティック形のおもちゃが各色に着色され、又は発光することを想起させる。
3 本件商標と引用商標の類否について
以上を総合すると、本件商標において、「スティック」及び「STICK」の部分は、指定商品「おもちゃ」について、その形状等の品質を表示するものであって、自他商品識別力がないか希薄であるのに対して、「ファンタ」及び「FANTA」の部分は、申立人の周知、著名な引用商標と称呼、外観を共通にするもので、それ自体看者の注意をひき相紛らわしいのみならず、申立人のライセンス事業に関係する商品であるかのように出所の混同を生じるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当する。
4 したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2の規定により取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 引用商標の著名性について
申立人の提出に係る甲第11号証ないし甲第15号証によれば、引用商標は、申立人のドイツ法人が1940年に開発した清涼飲料であって、該清涼飲料は、日本でも1958年から販売が開始され、1969年には「ファンタオレンジ」が世界で最も売れているフレーバー飲料となっており、現在は、世界180か国で販売されている。
また、申立人は、他社とのコラボ商品として、2011年3月15日、「ハイチュウ×ファンタグレープ」と「ハイチュウ×ファンタオレンジ」が期間限定で発売され(甲14)、商標「ファンタ」に係る「ヨーヨー」がアマゾン・ドットコムにおいて販売された例がある(甲15)。
そうとすると、申立人は、遅くとも1958年から現在に至るまで、引用商標を同人の製造、販売する清涼飲料について使用しており、その結果、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る清涼飲料を表示するものとして相当程度知られていたものと認められる。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、厚みを持たせた「ファンタ」の片仮名の下に、前記文字と同様に厚みを持たせた「スティック」の片仮名を配し、その下に「FANTA STICK」の欧文字を小さく手書きのゴシック体風に配した3段の構成からなり、上記各文字は、虹色に着色されているものである。
そして、本件商標は、その構成中、1段目と2段目の片仮名が同一の書体、大きさであって、色彩も上下にあたる片仮名が同色で表され、まとまりよく表現されているといえる。また、該片仮名部分は、下段の「FANTASTICK」の読みを特定する部分と無理なく理解されるから、本件商標は、「ファンタスティック」の一連の称呼のみを生じるものである。さらに、「FANTASTICK」の欧文字は、辞書等に成語として掲載されていないものであるから、全体として、特定の意味を有することのない造語として看取、把握されるとみるのが自然である。
なお、申立人は、本件商標の構成中、「スティック」及び「STICK」の文字が「スティック形のおもちゃ」について、商品の形状、機能を示す用語として広く用いられている(甲2ないし甲10)から、自他商品識別力がないか、弱いものといわざるを得ない旨主張しているところ、確かに本件商標の指定商品においては、スティック形状のものがあり、引用商標が清涼飲料について相当程度知られているとしても、本件商標のまとまりよく表現されている構成においては、その構成全体をもって、一体不可分のものとして認識されるものというのが相当であるから、「ファンタ」及び「FANTA」の称呼をもって取引されるとはいい難い。
(2)引用商標について
引用商標は、前記第2のとおり、「FANTA」の欧文字及び「ファンタ」の片仮名を2段に書してなるから、下段の「ファンタ」は、上段の読みを特定する部分と無理なく理解されるから、引用商標は、「ファンタ」の称呼を生じるものであり、また、上段の「FANTA」の欧文字は、辞書等に成語として掲載されていないものであるものの、申立人の業務に係る「清涼飲料のファンタ」の観念を生じ得る。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較するに、両商標は、それぞれ前記(1)及び(2)のとおりの構成からなるものであって、外観において明らかに区別し得るものであるから、相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生ずる「ファンタスティック」の称呼と引用商標から生ずる「ファンタ」の称呼とは、その音構成及び構成音数に明らかな差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、称呼上相紛れるおそれはないものというべきである。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じないのに対し、引用商標は、申立人の業務に係る「清涼飲料のファンタ」の観念を生じるから、本件商標と引用商標とは、観念上類似するとはいえない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、前記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る清涼飲料を表示する商標として、我が国において相当程度知られていたものと認められる。
しかしながら、本件商標は、前記2において認定、判断したとおり、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標と認められるものであるから、十分に区別し得るものということができる。
そうとすれば、申立人の引用商標の著名性を考慮しても、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者が該引用商標を想起、連想することはないというのが相当であるから、本件商標は、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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