Trademark Appeal Case
「パンツ用ぴったりパッド」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−8994(T2013−8994/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲(A)のとおりの構成からなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年4月11日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同年9月27日付け手続補正書により、第5類「パンツ用失禁用パッド,パンツ用尿吸収用パッド」に補正されたものである。
2 原査定における拒絶の理由の要旨
原審においては、本願を拒絶すべき旨の理由として、以下の(1)及び(2)を通知した後、本願商標が、その(2)に係る登録第5023113号商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、「パンツ用」の文字と「ぴったり」の文字を大きくした「ぴったりパッド」の文字とを併記して表したものであるから、指定商品中「紙おむつや普通のパンツにピッタリした失禁用パッド・尿吸収用パッド」に使用する場合には、紙おむつや普通のパンツにピッタリした失禁用パッド・尿吸収用パッドというような意味を理解させるにとどまり、商品の用途、品質を表示したものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の「失禁用パッド,尿吸収用パッド」に使用するときは、紙おむつや普通のパンツにピッタリした商品であるかのように、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)本願商標は、登録第5023113号と同一又は類似の商標であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 当審においてした審尋
当審においては、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるとして、平成25年10月24日付けをもって審尋を行ったところ、その内容は、別掲(B)のとおりである。
4 審尋に対する請求人の回答の要点
請求人は、前記3の審尋に対して、第1号証ないし第55号証及び参考資料1ないし3を提出して要旨次のように回答している。
(1)本願商標の外観
本願商標は、同一のフォントを用いて、上段に「パンツ用」の文字、その下段に「ぴったりパッド」の文字を二段に配して構成されている。また、「ぴったり」の文字部分は他の文字部分に比べ、一回り大きく表され、上段の「パンツ用」は、下段の「ぴったりパッド」の中央に配されており、安定した台形状を呈することによってまとまりよい外観となっている。
(2)本願商標の称呼
本願商標からは、「パンツヨウピッタリパッド」の称呼が生じる。そして、本願商標は「『パ』ンツヨウ」「『ピ』ッタリ」「『パ』ッド」と、各構成要素には「パ行」の音からはじまるものであって、かつ5音−4音−3音と一音ずつ短くなる語を採用している。こうすることによって、全体音数が12音であっても韻を踏みながら一連によどみなくリズミカルに発音できるように工夫されている。
(3)本願商標の観念
本願商標は、請求人が創意工夫を凝らし創作した造語であって、商標全体としては、特定の観念を直ちに生じないものである。
また、その構成中に「パンツ用」の商品用途を示す語が含まれたとしても、「ぴったりパッド」部分は品質表示としての具体性を欠くものであるため、本願商標全体としては極めて曖昧な意味合いとなり、審尋において指摘される観念は生じない。
(4)請求人の使用実績
本願商標は、第4号証ないし第43号証のちらし及び商品カタログに掲載されているように、2001年から現在に至るまで、同じ態様にて請求人が継続的に使用してきたものであり、販売開始から現在に至るまで1,000万枚以上売上げており、現在、全国350店舗以上で常備され、品切れ防止のための補充管理体制を備えたロングライフ商品となっている。
そのため、本願商標は、請求人「株式会社リブドゥーコーポレーション」の商品名として、取引者、需要者に十分に浸透しているものである。
(5)取引の実情
ア 審尋における例示の(1)ないし(9)の新聞情報やインターネット記事情報について
審尋における例示の(1)ないし(9)には、「ぴったり」を「パンツ用」および「パッド」の両語とともに表した使用例が一つも見当たらないばかりか、「パンツ用ぴったりパッド」自体を「失禁又は尿の吸収を目的とし、パンツ型紙おむつ又は女性用ショーツなどの下着と、隙間やずれが無くぴったりと密着するパッド」の意味で使用されている事実も見当たらない。
よって、本願商標は、自他商品の識別標識の機能を有するものであると考える。
イ 他社の使用状況について
第44号証ないし第54号証の同業他社の失禁又は尿パッドに関する商品紹介のウェブページが示すとおり、いずれの会社も、「パンツ用ぴったりパッド」の文字を、商品名や「失禁又は尿の吸収を目的とし、パンツ型紙おむつ又は女性用ショーツなどの下着と、隙間やずれが無くぴったりと密着するパッド」の意味合いの品質表示として使用していない。
よって、本願商標は、請求人の固有の商標であって自他商品の識別標識の機能を有するものである。
ウ Googleによる検索結果
Googleによる「パンツ用ぴったりパッド」の検索結果(第55号証)をみても、請求人が本願商標を自身の商品に使用したものがほとんどであって、「パンツ用ぴったりパッド」が「失禁又は尿の吸収を目的とし、パンツ型紙おむつ又は女性用ショーツなどの下着と、隙間やずれが無くぴったりと密着するパッド」の意味合いで使用されている例や、他社が商品名として使用している例は見受けられない。
(6)むすび
以上のとおり、本願商標は、商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ではなく、本願商標の長年にわたる使用実績や、取引実情を総合的に鑑みれば、本願商標は、請求人の商品に使用されている商標であるという認識以外生まれ得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当しないものである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、その構成中の上段に「パンツ用」の文字、その下段に「ぴったりパッド」の文字を上下二段に表してなるところ、その態様も、該「ぴったり」の文字部分が、他の「パンツ用」又は「パッド」の文字に比して、一回り太く、大きく表されているものであるとしても、格別に特異な態様というべきものではなく、本願商標は、普通に用いられる方法で表示するものである。
そして、本願商標は、その指定商品である「パンツ用失禁用パッド」及び「パンツ用尿吸収用パッド」との関係において、その構成中の「パッド」の文字は、商品の普通名称を表したものであり、また、上記パッドが、尿の吸収を目的として、例えば、パンツ型紙おむつや女性用ショーツなどの下着に装着して利用されていることから、上段の「パンツ用」の文字は、商品の用途を表示したものと容易に理解されるものである。
しかも、本願商標の構成中の「ぴったり」の文字は、「接合部に隙間やずれがなく密着しているさま。」(広辞苑第六版)の意味を有し、商品「パッド」との関係においては、平成25年10月24日付け審尋(別掲(B))に示したとおり、パッドが接合するパンツ型紙おむつや女性用ショーツなどの下着との間に隙間やずれがなく密着することを表す語として普通に使用されているものである。
そうとすれば、本願商標は、その指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者に「尿の吸収を目的とし、パンツ型紙おむつ又は女性用ショーツなどの下着と、隙間やずれがなく密着するパッド」である旨を理解、認識させるものであるから、その商品の品質、用途を表示するものと認識されるにとどまるものというべきである。
したがって、本願商標は、その商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものと認められる。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「ぴったり」の文字はその前後に配される具体的な内容を示す語によって、「意味1.接合部に隙間やずれがなく密着しているさま。」もしくは「意味2.二つの物事が完全に合致しているさま。」のどちらかの意味を示すものであって、必ずしも意味1に限定されないから、「パンツ用」の商品用途を示す語が含まれたとしても、「ぴったりパッド」部分自体は品質表示としての具体性を欠くものであるため、本願商標は、商品の品質、用途を表示したものと認識させるものではなく、自他商品の識別標識としての機能を有するものである旨主張する。
しかしながら、「ぴったり」の文字に複数の意味合いがあるとしても、それをもって、取引者、需要者が上記(1)のとおり「尿の吸収を目的とし、パンツ型紙おむつ又は女性用ショーツなどの下着と、隙間やずれがなく密着するパッド」と認識される場合があることが否定されるものではない。
しかも、請求人主張の意味2の場合でも、「パンツ型紙おむつ又は女性用ショーツなどの下着とサイズなどが合致する」との意味合いが認識され得ることをも考慮すれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当することを否定することはできない。
よって、この点についての請求人の主張は、採用することができない。
イ 請求人は、本願商標が、請求人が創造した造語であって、請求人による永年の使用によって自他商品の識別標識として機能する旨主張する。
しかしながら、本願商標の指定商品を取り扱う業界では、平成25年10月24日付け審尋(別掲(B))に示したとおりに、「パンツ(用)」、「ぴったり」及び「パッド」の文字が、新聞記事やインターネットのウェブサイト上で商品の品質、用途を表示するものとして使用されている実情をも踏まえれば、これらの文字に接する取引者、需要者が、本願商標を商品の品質を表示するものとして認識することは否定できない。
よって、この点の請求人の主張も採用できない。
ウ 請求人は、長年の使用実績や取引の実情によって、本願商標からは請求人の商品を表す商標という認識しか生じない旨主張し、第4号証ないし第55号証を提出している。
しかしながら、請求人に係る商品等をみるに、そこには本願商標以外の文字等も表示されており、むしろ、この部分が商品の識別標識として機能しているとも考えられること、前述のとおり、「ぴったり」等の語が請求人以外の者によっても使用されていることをも勘案するならば、本願商標が使用による識別力を有するに至っているとまでいうことはできない。
よって、この点の請求人の主張も採用できない。
(3)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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