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Trademark Appeal Case

不使用取消と技術用語

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2013−300996(T2013−300996/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1185543号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1185543号商標(以下「本件商標」という。)は、「ICE」の欧文字を横書きしてなり、昭和46年6月24日に登録出願、第11類「回転電気機械、配電用または制御用機械器具、電気磁気測定器、遠隔測定制御用機械器具」を指定商品として、同51年2月19日に設定登録され、その後、平成18年3月22日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,遠隔測定制御機械器具」とする指定商品の書換登録がされたものである。

そして、本件審判請求の登録は、平成25年12月3日にされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証を提出し、平成26年6月17日付けで、上申書を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しない。さらに、本件商標の商標権者等が本件商標をその指定商品について使用しないことについて正当な理由があるとも認められない。したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、使用証拠として、横河技報Vol.45No.2(2001)に掲載されている「ハード/ソフト強調検証ツール仮想ICE」(審決注:「ハード/ソフト協調検証ツール仮想ICE」の誤記と考える。)の論文写し(乙1)の説明をしているが、当該資料は、技術文献であり、技術用語「ICE」の説明としての資料であるから、本件商標をその指定商品に使用していることを証する書面ではない。

(2)横河ディジタルコンピュータ株式会社(以下「横河ディジタル社」という。)のホームぺージの抜粋(乙2)は、その資料中の「JTAG ICE概要」の部分に「adviceLUNA IIは、adviceLUNAの解析/分析機能を充実させ、さらに進化したJTAGのエミュレータです。」と記載されているように、商品「JTAGエミュレータ」について、商標的態様として使用されている標章は、「adviceLUNA II」であり、該ホームページ抜粋に散見される欧文字「ICE」は、「JTAG ICE」或いは「ICE」なる技術用語として記載されているものであり、乙第1号証、及び次の(3)に記載のとおり、技術内容の説明としての記述的な文字にすぎない。さらに、該ホームページの管理主体である横河ディジタル社は、被請求人の子会社としているが、本件商標の使用主体が商標権者の子会社というだけでは、本件商標の取消しを免れる事由とはなり得ない。

(3)「ICE」なる用語は、乙第1号証に記載されているとおり、IT関連分野では、「In−Circuit Emulator」を示す略語として定着している。例えば、ウィキペディア(Wikipedia)(甲2)には、用語「ICE」は、「デジタル機器の開発装置の一つとして「in−circuit emulator」の略語であり、逆に「in−circuit emulator」は「ICE」と呼ばれる旨が記載されており、さらに「JTAG ICE」についても、その説明がある。超図解パソコン用語辞典(甲3)には、同じく「Incircuit emulator」の略語として紹介されている。YAHOO知恵袋における質問(甲4)では、質問者が「ICE」に関して、「JTAG ICE」等との違いを質問しており、一方、それに対するアンサーが紹介されている。IT用語辞典「e−Words」(甲5)では、「In−Circuit Emulator」の略語として「ICE」の内容が説明されている。CQ出版社の用語検索(甲6)において「ICE」の用語の説明が記載されている。雑誌「Interface」(甲7)には、「いろいろなICEの方式とその特徴」と題する文献に「ICE」の説明が記載されている。「Insider’s Computer dictionary」の用語検索(甲8)に「ICE」が「In−Circuit Emulator」の略語としてその技術的説明がなされている。

(4)上述のとおり、被請求人の提出した証拠方法は、いずれも、本件商標が、本件審判請求登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に日本国内において、商標権者等が本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについて使用していることの証明がなされていないから、本件商標の登録は、商標法第50条第2項により取り消されるべきである。

3 上申書の内容

請求人は、上申書において、「審判請求書及び審判事件弁駁書において主張・立証を尽くした。」旨述べている。

第3 被請求人の主張

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出し、平成26年5月28日付けで、上申書を提出した。

1 答弁の理由

被請求人の企業活動は広範囲であり、その活動の中で本件商標が、現在も多様に使用中であることを次のとおり証明する。

(1)最近の企業活動は、IT化・電子化等を具備していない状態での広告宣伝活動は成立しない。従来の書面・印刷物等で維持してきたカタログ類、仕様書、見積書等各種の資料は、電子化されてデータで保管され、需要者が必要時にデータベースにアクセスして資料等を利用するものであるから、印刷物を手元に保管していることは殆どない。すなわち、企業においてWebでホームページを構成し、上述資料等を電子化して広告宣伝することは一般的であり、被請求人においても、業務に関連のある人々がアクセス自由なホームページを開設し、営業活動、技術動向の資料や、参考技術の提供など、産業界、特に計測の世界において社会貢献に努めている。

(2)被請求人のホームページの検索事項の空欄に本件商標を入力すると、本件商標に関連したサイトサーチの結果が表示され、その検索表示の中に、本件商標の誕生の背景を解説した「ハード/ソフト協調検証ツール仮想ICE」の論文が、横河技報Vol.45No.2(2001)に掲載されている。被請求人が、1993年に通信制御用ICの開発に係わり、期間短縮や設計品質の諸問題の解決に着目し、開発したツールが「ICE」である。被請求人は、その当時多数の半導体メーカ、システムメーカに約200のライセンスの実績がある。試作品を作成する前にいかにして動作の検証/解決をするかが重要であり、不具合個所、現象発生状況の仮定、仮想を繰り返して「仮想ICE」の製品化に到達したのであり、被請求人は、業界の先駆者の自負もあり、和・英論文の表記の中でも、・・with In−Circuit Emulator(ICE)や、・・provided by a real ICEの表現が表記されている。

(3)被請求人のホームページには、関連会社、系列会社の記載があり、本件商標に関連した製品の開発に当たって論理的、技術的な面では被請求人が主に担当し、製造・運用・補修は、子会社である横河ディジタル社が担当しており、両社間にあっては、人事面・技術面でも交流は密である。また、横河ディジタル社のホームページにおいても、現在も営業活動の一環として製品・サービス情報の記載欄に、開発環境ツール、ICE/JTAGとして表示され、業界において広く愛用されており、JTAG ICE Adviceシリーズは、国内販売実績No.1の広報のとおり、現在も業界において愛用されている製品である。RealView ICEなど、標準JTAG TAPボードを使用しての利用もあり、更に、マイコンソフトウエア開発支援ツールICE(In−Circuit Emulator)は、ソフトウエアの不具合個所の解析まで行うことのできる機能を有し、開発当初から継続的に発展し続けるツールである。

(4)以上のように、横河ディジタル社のホームページで認識可能なとおり、本件商標は、現在もソフト、ハードの有効なツールとして、営業活動の識別記号として活用されている。

また、被請求人と横河ディジタル社は、同一のハウスマークを使用していることから、会社間の関連性は、容易に推定できるものである。

2 上申書の内容

被請求人は、上申書において「答弁書をもって、主張・立証を尽くした。」旨述べている。

第4 当審の判断

1 商標法第50条第2項の趣旨について

商標法第50条に規定する商標登録の取消しの審判にあっては、その第2項において、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての使用をしていることを被請求人が証明しない限り、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。

そして、当該指定商品についての商標の使用は、同法第2条第3項第1号において、商品又は商品の包装に標章を付する行為、同項第2号において、商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為、同項第8号において、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為、と定められている。

上記を踏まえ、以下、本件について判断する。

2 被請求人の提出に係る乙各号証によれば、次の事実が認められる。

(1)乙第1号証は、「ハード/ソフト協調検証ツール 仮想ICE(Hardware/Software Co−Verification Tool VirtualICE」を表題とした文書であるが、被請求人が「『ハード/ソフト協調検証ツール仮想ICE』の論文が、横河技報Vol.45No.2(2001)に掲載されている。」と述べ、表題の右下に、「小林 文彦、島田 克之、山本 剛士、小笠原 敦」の氏名、各頁の下部に、「横河技報 Vol.45 No.2(2001)」の文字が記載されていることから、2001年に発行された「横河技報」(Vol.45 No.2(2001))において、小林文彦らが発表した技術論文の一種と認められる。

しかし、「横河技報」がいかなる文献であるのかは明らかになっていない。

(2)乙第2号証は、「JTAG ICE adviceLUNA2|横河ディジタルコンピュータ株式会社」と表示されたホームページであるところ、その左上部に「ICE/JTAG」の文字が表示され、また、「JTAG ICE概要」として、「adviceLUNA IIは、adviceLUNAの解析/分析機能を充実させ、さらに進化したJTAGエミュレータです。」の記載があることから、これは、商品「エミュレータ」の広告のひとつと認められる。

しかし、本件商標の使用に関する横河ディジタル社と被請求人の関係を証する証拠の提出はない。

そして、該証拠の右下に「2014/01/06」の文字が記載されており、これは、該ホームページをプリントアウトした時期の表示と認められるが、そのほかに該ホームページの掲載時期を証する証拠の提出はない。

3 本件商標の使用について、被請求人の提出に係る乙各号証は、以下のとおりである。

(1)上記1に徴すれば、商標法上、商品について商標の「使用」というためには、商品、商品の包装、又は商品に関する広告、価格表若しくは取引書類のいずれかに商標が付されていなければならないといえる。

乙第1号証は、「横河技報」に掲載された、「ハード/ソフト協調検証ツール 仮想ICE(Hardware/Software Co−Verification Tool VirtualICE」について説明する技術論文と認められるものであるが、このような個人名で掲載された技術論文が、本件審判の請求に係る商品や、その包装、該商品に関する広告、定価表や取引書類に当たらないこと明らかである。

しかも、該「横河技報」の発行年の2001年は要証期間には該当しない時期である。

したがって、乙第1号証をもって商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を要証期間内に請求に係る商品に使用していたということはできない。

(2)乙第2号証は、横河ディジタル社が、商品「JTAGエミュレータ」について行った広告を掲載したホームページの写しと認められるところ、横河ディジタル社が本件商標の使用権者であることを証する証拠は提出されていない。しかも、同号証にいう「エミュレータ」とは、「エミュレーター(emulator)」すなわち、「あるコンピューターが他のコンピューターの機能を模倣するための装置やプログラム。」(「大辞林 第三版」(株)三省堂)であって、本件審判請求に係る商品である「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,遠隔測定制御機械器具」の範ちゅうに含まれる商品とは認めることができないものである。加えて、同号証に係るホームページをプリントアウトした日と認められる2014年1月6日は要証期間内に該当しない時期である。

したがって、乙第2号証をもって、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間内に請求に係る商品について本件商標の使用をしていたということもできない。

(3)小活

以上とおりであるから、被請求人の提出した乙各号証によっては、要証期間内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明したということはできないものである。

4 まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成25年12月3日)前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明したということはできず、また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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