Trademark Appeal Case
周知商標と不正登録
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900324(T2012−900324/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5522587号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハイパーアミロン」の片仮名と「Hyper amiron」の欧文字を上下二段に表してなり、平成24年3月15日に登録出願、第3類「せっけん類」を指定商品として、同年7月24日に登録査定、同年9月21日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第36号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「ニューアミロン」(登録第4527720号商標)及び「スーパーアミロン」(登録第5094900号商標)と類似するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
2 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、「背信的悪意」を有するものがした出願であって、その商標登録を得ようとする行為は、申立人の引用する周知商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第19号でいう「不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)」をもってなされたものである。
3 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」である。
4 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、本件商標の指定商品である「せっけん類」をその事業内容とするものではなく、その事業内容について業として行うことができるものではなく、かつ「信義誠実の原則」に反してその登録出願がなされたものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第19号、同項第10号及び同項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録が取り消されるべきである。
第3 取消理由通知
当審において、平成25年11月27日付けで、商標権者に対し通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
1 「HYPER/AMIRON」、「ハイパーアミロン」の各文字よりなる商標の周知性について
(1)申立人は、平成7年に、「洗剤・ワックス」等のメーカーとして、リスロン株式会社の企画部門としてスタートし、平成9年7月10日に、株式会社リスロンジャパンとして設立され、その後、平成17年に、現在の社名である株式会社ピュアソンに変更をした(甲2)。
(2)申立人は、その業務に係る商品「多目的洗浄剤」について、平成7年に、「NEW AMIRON」、「ニューアミロン」の各文字からなる商標を付した商品を発売し、その後、平成19年7月に、「SUPER/AMIRON」、「スーパーアミロン」の各文字からなる商標を付した商品を発売した。さらに、平成23年7月22日に、「アミロン/AMIRON」シリーズ商品の第3弾として、「HYPER」の欧文字と「AMIRON」の欧文字を二段に表し、これらの文字の下に、「ハイパーアミロン」の片仮名を併記した構成よりなる商標(以下「申立人商標」という。)を付した商品の発売を開始した(甲2、甲5の1ないし3、ほか)。これらの商品は、OEM(相手先ブランドによる生産)による商品として、株式会社ディノス(旧株式会社フジサンケイリビングサービス、以下「ディノス」という。)に供給・販売されている(甲9ないし甲17、ほか)。
(3)ディノスは、その販売に係る申立人商標を付した商品「多目的洗浄剤」について、2011年(平成23年)9月頃から本件商標の登録査定時である平成24年7月24日頃にかけて、関連会社であるフジテレビやその他北海道から九州に至る主な地方テレビ局のテレビを介して、「買えるのはディノスだけ!/業務用洗剤 ハイパーいいとこ取り3点セット」、「年末の大掃除にオススメ」、「ハイパーアミロン/換気扇・ガスコンロなどの頑固な油汚れ!/キッチン以外にも!部屋の壁・カーテンなど」、「dinos 40周年キャンペン中/ハイパーいいとこ取り3点セット」、「お支払い/(i)お届け時の代金引換 (ii)ディノスカードをはじめ各種クレジットカード」、「企画制作 dinos 株式会社ディノス」などと表示して、業務用洗剤が一般家庭の台所用品等の汚れを落とすものとして有効である旨の宣伝広告をした(甲9ないし甲13)。なお、甲第11号証ないし甲第13号証におけるテレビ通販広告のそれぞれの112画面において、そのうちのわずか1画面に、「業務用洗剤・専門メーカー/(株)ピュアソン」との文字が掲載された。
また、ディノスは、申立人商標を付した商品「多目的洗浄剤」について、本件商標の登録出願前である平成23年7月頃から本件商標の登録査定時にかけて、「dinos」、「dinos with」、「ディノス」、「株式会社ディノス」などの文字を表示した通販カタログ、チラシ、はがきを発行し、さらに、インターネットで広告をした(甲14ないし甲29)。
(4)前記認定した事実によれば、申立人商標は、本件商標の登録出願時には、ディノスの業務(販売)に係る商品「多目的洗浄剤」を表示するものとして、我が国のせっけん類の分野の需要者の間に広く認識されていたと認め得るところであり、その周知性は、本件商標の登録査定時においても継続していたと推認することができる。
2 商標法第4条第1項第10号該当性
(1)申立人商標の周知性
前記1認定のとおり、申立人商標は、ディノスの業務(販売)に係る商品「多目的洗浄剤」を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国のせっけん類の分野の需要者の間に広く認識されていたと認めることができる。
(2)本件商標と申立人商標の類似性
本件商標は、「ハイパーアミロン」の片仮名と「Hyper amiron」の欧文字を上下二段に表してなるところ、その構成中、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを特定したと理解されるものであるから、本件商標は、構成する文字全体より、「ハイパーアミロン」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものということができる。
これに対し、申立人商標は、前記1(2)認定のとおり、「HYPER」の欧文字と「AMIRON」の欧文字を上下二段に表し、これらの文字の下に、「ハイパーアミロン」の片仮名を併記した構成からなるところ、本件商標と同様、その構成中の片仮名「ハイパーアミロン」は、その上に位置する欧文字「HYPER」及び「AMIRON」の読みを特定したと理解されるものであるから、申立人商標は、構成する文字全体より、「ハイパーアミロン」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものといえる。
そうとすると、本件商標と申立人商標とは、「ハイパーアミロン」の称呼を同じくするばかりでなく、それぞれの構成中の欧文字部分と片仮名部分とが上段に位置するか下段に位置するかの点、欧文字部分において、本件商標が語頭の「H」のみが大文字で表され、それに続く「yper amiron」の欧文字が小文字で表され、かつ、「Hyper」と「amiron」の各欧文字の間に1文字程度の間隔があるのに対し、申立人商標は、すべての欧文字が大文字で表され、かつ、「HYPER」と「AMIRON」の各欧文字が上下二段に表されている点、構成する文字の大きさの点などにおいて相違するものの、いずれの商標も、欧文字及び片仮名の綴りを同じくするものであるから、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合において、互いに紛らわしい程度に外観上も類似する商標ということができる。
してみれば、本件商標と申立人商標は、観念において比較することができないとしても、称呼及び外観において類似する商標というべきである。
(3)本件商標の指定商品と申立人商標が使用される商品の類似性
本件商標の指定商品は、第3類「せっけん類」である。これに対して、申立人商標が使用される商品「多目的洗浄剤」は、「せっけん類」の範ちゅうに属する商品と認めることができる。
したがって、本件商標の指定商品と申立人商標が使用される商品は、同一又は類似の商品ということができる。
(4)以上によれば、本件商標は、他人(ディノス)の業務に係る商品「多目的洗浄剤」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その商品と同一又は類似の商品について使用する商標というべきであるから、商標法第4条第1項第10号に該当するものといわなければならない。
第4 商標権者の意見
前記第3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。
第5 当審の判断
本件商標についてした前記第3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから、その他の登録異議の申立ての理由について判断するまでもなく、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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