Trademark Appeal Case
周知商標と同一商標の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900287(T2013−900287/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5591707号商標(以下「本件商標」という。)は、「ティーピーパック」の片仮名を表してなり、平成25年1月24日に登録出願され、第16類「紙製包装用容器,プラスチック製包装袋,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,紙類,文房具類,印刷物」を指定商品として、同年5月21日に登録査定、同年6月21日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人は、「本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。仮に同号に該当しない場合でも、同項第15号に該当する」旨を申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。
(1)具体的理由
ア 主な証拠について
申立人の商号は「株式会社ティーピーパック」であり、申立人の商品又は役務に係る商標は「ティーピーパック」である(甲2ないし甲10)。
申立人の主たる業務内容は、包装用品の卸売販売のほか、パンフレットやリーフレット、ポスター、シール、店頭の販促ツール等のデザインや制作を含めた総合開発などである(甲2及び甲3)。さらに、申立人は、平成24年には排水可能な発泡容器を開発して特許を取得し、農業ビジネスなどにも進出するなど、業務を多角化している(甲16ないし甲18)。
申立人は、北海道内の包装用品の卸売業界においてトップクラスのシェアを誇っており、平成24年度の売上高では北海道内の同業者126社中で第6位である(甲11)。また、平成12年と平成19年には札幌商工会議所から「北の起業家表彰」を、平成24年4月には北海道庁から「北海道チャレンジ企業表彰」をそれぞれ受賞しており、北海道の主要な地域経済誌に掲載されるなど、北海道内の経済界における周知性も高い(甲12ないし甲15)。
本件商標の出願人は、平成22年5月に申立人の代表取締役に就任し(甲2)、代表取締役の退任後は平成24年5月まで申立人の相談役を務めた後、申立人の競業会社である株式会社TP東京を設立した(甲23)。
イ 商標法第4条第1項第10号について
(ア)本件商標は「ティーピーパック」であるのに対して、申立人の商標は「ティーピーパック」であるから、本件商標の表示、称呼、外観は申立人の商標と全く同一である。
(イ)申立人の「株式会社ティーピーパック」という商号は、平成2年4月の創業以来続いているもので、「ティーピーパック」という商標も設立当初から継続して使用している。その上で、申立人は、北海道全域において
主に包装用品の卸売販売を手掛けてきたのであり、北海道内の包装用品の卸売業界においてトップクラスのシェアを誇っており、北海道庁や地域の主要な経済団体である札幌商工会議所からそれぞれ表彰され、同様に主要な地域経済誌でも紹介され、北海道の経済界内で周知されているものである。
このように、「ティーピーパック」は、申立人の商品又は役務に係る商標として、北海道の包装用品の卸売販売業界において、需要者の間で広く認識されているものである。
(ウ)本件商標に係る指定商品は、紙製包装用容器、プラスチック製包装用袋、家庭用食品包装フィルム、紙製ごみ収集用袋、プラスチック製ごみ収集用袋、紙類、文房具類、印刷物であるところ、これらはまさに、申立人が取り扱っている包装用品や、パンフレット、リーフレット、ポスター、シール、店頭の販促ツール等と重なるものである。
(エ)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第15号について
(ア)本件商標は「ティーピーパック」であるのに対して、申立人の商標は「ティーピーパック」であるから、本件商標の表示、称呼、外観は申立人の商標と全く同一である。
なお、本件商標は「ティーピーパック」であるのに対して、申立人の商号は「株式会社ティーピーパック」であり、本件商標は当該商号の主たる部分と表示、称呼、外観において合致している。
(イ)申立人の代表取締役を長年務めた本件商標の出願人が、申立人の商標と全く同一の商標を用いて商品又は役務を提供するようになれば、申立入の商品又は役務と誤認されるだけでなく、申立人との間に業務上、経済上または組織上の連携関係があると誤認されるおそれが極めて高いといわざるを得ない。
(ウ)申立人の商標は、北海道内の包装用品の卸売業界において極めて高い周知性を有している。
また、「ティーピーパック」は申立人の創造標章であり、かつ、ハウスマークである。
そして、申立人は、包装用品の卸売販売だけにとどまらず、企画の段階から関与して総合的な商品開発まで行っており、平成24年には新しい発泡容器の特許を取得して農業ビジネスにも進出しようとするなどしており、今後もますます経営の多角化を進める予定である。
(エ)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 当審の判断
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものであると主張しているので、以下、順次検討する。
(1)商標法第4条第1項第10号について
商標法第4条第1項第10号は、「需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって」とあるとおり、商標の同一又は類似がその要件とされるところ、申立人は、「『ティーピーパック』標章を『申立人の商品又は役務』に使用している」旨主張しているが、申立人は、自社の商号の略称として「ティーピーパック」が周知であると述べるばかりで、申立人の提出に係る証拠を総合してみても、申立人が、申立人の取り扱いに係る商品及び役務に「ティーピーパック」標章を使用している証拠は見あたらず、また、それらの商品等の売上高、販売期間、広告費などを裏付ける証拠の提出もないから、その使用の実績等を把握することができない。
したがって、申立人の「ティーピーパック」標章は、申立人の業務に係る商品又は役務を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものであって、周知・著名性を獲得した商標とは認めることができない。
したがって、商標の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
前記認定のとおり、申立人の「ティーピーパック」標章が、申立人の業務に係る商品又は役務を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものであって、周知・著名性を獲得した商標とは認めることができない。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、申立人又は申立人の業務に係る商品又は役務を表す商標を想起せず、該商品が申立人又は申立人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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