sokuhyo

Trademark Appeal Case

欧文字商標の称呼類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2013−890060(T2013−890060/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5510298号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、平成23年9月20日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,香料類」を指定商品として同24年6月29日に登録査定、同年7月27日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が請求の理由において引用する登録商標は、次に掲げるとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第3339926号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:(別掲(B)のとおり)

登録出願日:平成7年3月28日

設定登録日:平成9年8月15日

指定商品 :第3類「化粧品,せっけん類」

(2)登録第5273085号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:COO/クー(「COO」の欧文字及び「クー」の片仮名を二段に横書きしてなるもの)

登録出願日:平成20年9月25日

設定登録日:平成21年10月16日

指定商品 :第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,薫料」

(3)登録第5273086号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:クー

登録出願日:平成20年9月25日

設定登録日:平成21年10月16日

指定商品 :第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,薫料」

以下、これら引用商標1ないし3を一括して、単に「引用商標」ということがある。

第3 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし17号証(枝番号を含む。)を提出している。

1 請求人適格

請求人は、引用商標の商標権者であるから、利害関係人であり、本件審判について請求人適格を有する。

2 無効事由

本件商標は、引用商標と称呼を共通にする類似の商標であり、その指定商品も引用商標のそれと同一又は類似であるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。

3 無効の原因

(1)本件商標

本件商標の外観は、「koO」なるアルファベット文字を、左から右にやや上方に向かうようにして、左横書きに書したものである。文字字体は若干デフォルメされてはいるものの、はっきりと「koO」の文字を読み取ることが可能である。

本件商標から生じ得る称呼は、「クー」、「クウ」又は「ケイオーオー」であり、また、本件商標からは特定固有の観念は生じない。

本件商標の指定商品は、第3類「せっけん類,化粧品,香料類」である。

そして、本件商標は、引用商標のいずれの登録日よりも後に出願されている。

(2)引用商標1

引用商標1の外観は、「Coo」の文字を「C」を大きく、「oo」を二つ重なるような形で、「C」よりもやや小さく、「C」の右上に書したものを2重線の隅丸四角で囲ったものからなる。

引用商標1から生じ得る称呼は、「クー」、「クウ」又は「シイオーオー」であり、また、引用商標1からは特定固有の観念は生じない。

(3)引用商標2

引用商標2の外観は、「COO」なる欧文字を左横書きに書したものを上段に、「クー」なる片仮名文字を左横書きに書したものを下段に配したものである。

引用商標2から生じ得る称呼は「クー」又は「クウ」であり、また、引用商標2からは特定固有の観念は生じない。

(4)引用商標3

引用商標3の外観は、「クー」なる片仮名文字を左横書きに書したものである。

引用商標3から生じ得る称呼は「クー」であり、また、引用商標3からは特定固有の観念は生じない。

(5)商標の類否

本件商標と引用商標との類否については、外観については、非類似の関係にあることが明らかであり、また、観念については、比較すべき観念が存在しない。そこで、以下、称呼の類否について論ずることとする。

本件商標から生じ得る称呼としては、「クー」、「クウ」又は「ケイオーオー」の3つが挙げられる。そして、本件商標の称呼と引用商標の称呼とが同一又は類似である場合というのは、本件商標から「クー」又は「クウ」なる称呼が生じる場合である。

本件商標の称呼について考える場合、本件商標が欧文字表記されていることからすると、英語の読み方を基本として考えるのが通常である。

そこで、「oo」が含まれる英単語をみてみると、以下のようなものが存在していることがわかる(リーダーズ英和辞典より)。

「boo(擬音、野次を意味する。)」、「foo(ふん、くそっ)」、「goo(べたつくもの)」、「moo(牛の鳴き声)」、「roo(カンガルー/豪口)」、「too(また、その上)」、「cool(涼しい、少し寒い)」、「food(食物)」、「fool(愚人、ばか者)」、「gool(陰気なやつ)」、「moon(月)」、「moot(議論の余地のある)」、「noon(正午、真昼)」、「noodle(ヌードル)」、「soon(もうすぐ、間もなく)」、「stool(腰掛け、スツール)」。

これらの単語は、全てアルファベットの「o」が2つ続く箇所の音は長音「ー」で発音されており、この英語の法則を本件商標「koO」に当てはめると、「クー」又は「クウ」と読むことになるから、本件商標からは「クー」又は「クウ」の称呼が生じることになる。

一方、引用商標の称呼が「クー」又は「クウ」であることは明らかである。

これより、本件商標と引用商標とは、称呼同一であるから、全体として類似する商標となる。

(6)指定商品の同一・類否

本件商標の指定商品「せっけん類,化粧品」は、引用商標のいずれの指定商品にも含まれており、同一である。

また、本件商標の指定商品「香料類」には、引用商標2及び3の指定商品中の「薫料」が含まれる。

したがって、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似である。

(7)小括

以上のとおりであるから、本件商標と引用商標とは、類似の商標であり、両者の指定商品も同一又は類似である。また、本件商標は、引用商標の後願にあたる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであり、それにもかかわらず登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録は無効にすべきものである。

4 答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、本件商標の称呼を「ケイオオオオ」のみと判断して、引用商標と比較しており、そこに重大な誤認がある。

請求人は、本件商標からは「クー」、「クウ」及び「ケイオーオー」の称呼が生ずると判断しており、その妥当性は以下の証拠により明かである。

ア 被請求人が出願して拒絶査定と判断された出願商標(商願2012−90197)(甲第5号証の1)及び拒絶査定謄本写し(甲第5号証の2)

出願商標の外観は、「クウ」なる片仮名を左横書きに書したものを上段に、「koo」なる欧文字を左横書きに書したものを下段に配したものであるところ、その拒絶査定謄本に「本願商標は構成中の『クウ』の文字に着目して『クー』の称呼を生じるとみるのが自然です。」と記載されている。

イ 被請求人の商標登録一覧リスト(甲第6号証)

リストの1葉目の第2行目に、上段に「Ze−Koo」の欧文字、下段に「ゼ・クー」の片仮名を書した登録商標(登録第4685568号)が登録されている旨が記載されている。そして、その左側に、「Ze−Koo ゼ・クー」と記載されており、「Koo」=「クー」と読めるように記載されている。

さらに、2葉目の中段に、「クウ」なる片仮名を左横書きに書したものを上段に、「Koo」なる欧文字を左横書きに書したものを下段に配したものの右側に、「美肌断食」の漢字を配した登録商標(登録第5575772号)と「美容断食」の漢字を配した登録商標(登録第5575771号)が記載されている。そして、その左側には、「クウ Koo美肌断食」及び「クウ koo美容断食」と記載されている。

ウ ネット上の通販の登録商標「koO」(甲第7号証ないし甲第11号証)

(ア)甲第7号証に示した「koo(クウ)ミラクルクレンジングカタログ」は、「amazon」なるインターネット通販サイトに掲載されているところ、本件商標が、KOO(クウ)として表示されている。

そして、その表示人は、被請求人自身である。特に、「この商品は、株式会社イーズ・インターナショナルが販売し、amazon.co.jpが発送します。」と表示されていることからも、表示人は、被請求人自身であると特定できる。

(イ)ネット上では、本件商標が複数掲載されている。

auショッピングモールカタログ(甲第8号証)では、本件商標と同一の商標について、KOO(クー)として表示されている。

次に、ショップチャンネルカタログ(甲第9号証)では、本件商標と同一の商標について、KOO(クー)として表示されている。

次に、kooミラクルクレンジングエステから生まれた化粧品カタログ(甲第10号証)では、本件商標と同一の商標について、【koo(ku:)】として表示されている。

次に、koo(クウ)ファストシリーズミラクルクレンジングカタログ(甲第11号証)では、本件商標と同一の商標について、koo(クウ)として表示されている。

エ 「oo」が含まれる英単語の発音(甲第12号証ないし甲第17号証)

被請求人は、「book」、「cook」、「look」等の語を挙げ、末尾が「k」の場合は、「○ック」等と特別の発音となり、「○ー」又は「○ウ」となるような英単語は存在しないと主張しているが、大きな誤認であり、甲第12号証ないし甲第17号証に示すように「○ー」と発音する、化粧品を指定商品とした登録例が多く存在している。

(2)小括

以上のように、本件商標は、「クー」又は「クウ」と称呼されるものであり、本件商標と引用商標とは称呼において類似し、商標法第4条第1項第11号の規定に該当し、無効理由を有する。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び第2号証を提出している。

1 本件商標について

本件商標は、欧文字の「k(大)」、「o(小)」及び「O(大)」をそれぞれモチーフにした文字を組み合わせて、全体としてやや右上がりに傾斜させて横書きにしてなる一種の図案化した商標である。

そして、読みとしては「ケイオオオオ」の称呼が生じるものであり、特定の観念が生じるものではない。請求人は、「本件商標は『KoO』の欧文字を書してなるものであるから、『クー』又は『クウ』の称呼を生じる。」旨主張しているが、本件商標の構成上、直ちに「クー」又は「クウ」の称呼が生じるものではない。

本件商標の権利取得の経緯については、被請求人は、乙第1び第2号証のとおり、方形の枠の中に複数の略コの字状の模様を描いた図形の上に、欧文字の「k(大)」、「o(小)」及び「O(大)」をそれぞれモチーフにした文字を、全体としてやや右上がりに傾斜させて横書きにした構成からなる商標(登録第4736552号)(審決注:審判事件答弁書には登録第4836552号と記載されているが、乙第1及び第2号証によれば、登録第4736552号の誤記と考えられる。)を保有していたところ、この商標の「k(大)」、「o(小)」及び「O(大)」の部分のみを使用する事情が生じたことから、本件商標について登録出願をし権利を取得したものである。

2 引用商標について

(1)引用商標1について

引用商標1は、太線と細線で表された角を丸くした二重の枠の中に、「C」の文字と、その文字より小さくて上詰めで隣り合う一部を重ねた「O」及び「O」の文字とを並べて表記してなる欧文字と図形の結合商標であるから、「シイ」又は「シイオオオオ」の称呼が生じるものであり、特定の観念が生ずるものではない。

請求人は、「引用商標1は『Coo』の欧文字より『クー』又は『クウ』の称呼を生ずる。」旨主張しているが、引用商標1は、その構成上、直ちに「クー」又は「クウ」の称呼が生じるものではない。

(2)引用商標2について

引用商標2は、欧文字「Coo」の標準的な文字と片仮名「クー」の標準的な文字とを横書きで上下二段に併記してなるものであるから、「クー」の称呼を生じるものであり、特定の観念が生じるものではない。

(3)引用商標3について

引用商標3は、片仮名「ク」の標準的な文字と長音を表す「ー」との文字からなるものであるから、「クー」の称呼を生じるものであり、特定の観念が生じるものではない。

3 本件商標と引用商標との対比

本件商標と引用商標1とは、称呼上「ケイオオオオ」と「シイオオオオ」とで識別し得る差異が顕著であることから、商品の出所について誤認混同を生じるおそれはない。

本件商標と引用商標2及び3とは、称呼上「ケイオオオオ」と「クー」とで識別し得る差異が顕著であることから、商品の出所について誤認混同を生じるおそれはない。

また、本件商標と引用商標とは、外観上、識別し得る差異が顕著であることから、商品の出所について誤認混同を生じるおそれはない。

さらに、本件商標と引用商標とは、特定の観念を有していないので、観念上、商品の出所について誤認混同を生じるおそれはない。

商標の類否の判断は、商標の有する称呼、外観及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察すべきものであるところ、本件商標と引用商標とは、称呼及び外観においてそれぞれ著しく異なり、観念において共通性がないことから、商標全体から受ける印象が全く異なり、互いに相紛れることはないので、商品の出所について誤認混同を生じるおそれがないものである。

4 欧文字「oo」が含まれる英単語の発音について

請求人は、欧文字「oo」が含まれる英単語の発音について述べているが、英単語のスペルのなかで欧文字「o」が二つ続く英単語は、長音「ー」で発音されるものもあれば、短音で発音されるものもあり、区別の仕方は特に決まっていない。

短音で発音される英単語の例としては、「book」、「Cook」、「good」、「look」、「Shook」、「Stook」、「took」がある。また、長音で発音される英単語で、広く知られている「koo」からはじまる英単語はない。

このため、本件商標は、称呼上「クー」又は「クウ」と特定される特段の事情を有していないので、引用商標と類似する関係にはない。

5 小括

以上のとおり、本件商標は、引用商標とは称呼、外観及び観念のいずれの点からも相違するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

第5 当審の判断

1 本件商標と引用商標との類否について

(1)本件商標

本件商標は、別掲(A)のとおりであるところ、欧文字の「koO」を素材としたものと理解し得る範ちゅうであるとしても、「k」に相当する部分においては、傾けた縦の線をかぎ状の線が突き抜けており、これらの線の太さも異なるほか、「oO」に相当する部分も2つの円の大きさが異なり、全体として右側になるほどに上方に傾いているなど、大きく図案化した外観に特徴があるといえるものである。

また、称呼においては、素材となっている「koO」の欧文字に相応して「ケイオーオー」の称呼が生ずるほか、例えば、英単語の「koodoo」、「kook」及び「kooky」がそれぞれ「クードゥー」、「クーク」及び「クーキィ」と発音されるように、「クー」の称呼をも生じるものといえる。

そして、本件商標は、直ちに理解し得るほど親しまれた特定の意味合いを有するとはいえないものであるから、特定の観念は生じないものといえる。

(2)引用商標

ア 引用商標1は、別掲(B)のとおりであるところ、二重線の隅丸四角形内に図案化された欧文字の「C」を大きく表し、その右側上半分に縦長の楕円を二つ重なるように配した外観に特徴があるといえるものである。

また、称呼においては、欧文字「C」と二つの楕円が仮に「COO」の欧文字と理解される場合には、その文字に相応して「シィオーオー」又は「クー」の称呼を生じるものといえる。

そして観念については、特定の観念は生じないものである。

イ 引用商標2は、「COO」の欧文字と「クー」の片仮名を上下二段に書してなるものであるところ、「クー」の称呼を生じるものといえる。

そして、引用商標2は、直ちに理解し得るほど親しまれた特定の意味合いを有するとはいえないものであるから、特定の観念は生じないものといえる。

ウ 引用商標3は、「クー」の片仮名を書してなるところ、その構成文字に相応して「クー」の称呼を生じること明らかであり、また、特定の観念を生じないものといえる。

(3)本件商標と引用商標の対比

本件商標と引用商標の外観、観念及び称呼は、上記(1)及び(2)のとおりであるところ、両商標は、外観上は明らかな差異を有するものであり、区別し得るものである。

また、観念においては、両商標は、ともに特定の観念を生じないものであることから、観念において相紛れるおそれがあるということもできないものである。

次に、称呼においては、両商標は「クー」の称呼が共通する場合があるといえるものである。

ところで、商標の類否は、両商標の外観、観念及び称呼を総合的に考察して行わなければならないところ、本件商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおりであり、本件商標及び引用商標1が大きく図案化した外観に特徴があるものであること、両商標から「クー」の称呼を生じさせる構成文字が本件商標は「koO」、引用商標は「COO」又は「クー」であり、いずれも簡潔な構成であって、その構成文字の全体を看者が容易に把握し得ることを勘案するならば、これら商標の外観上の差異が全体に与える影響は少なくなく、本件商標の取引者、需要者が「クー」の称呼のみをもって取引に当たるとも考え難いといわざるを得ない。

そうすると、本件商標と引用商標の外観、観念及び称呼を総合的に考察した場合、これら商標を同一又は類似の商品に使用しても、看者に与える印象、記憶、連想等は全く別異のものとなり、その商品の出所について誤認混同するおそれはないというべきである。

したがって、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標ということができる。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似するものではなく、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項第1号に基づき、その登録を無効にすべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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