結論テキスト
本願商標は、登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 不服2013−6885(T2013−6885/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類及び第32類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年1月19日に登録出願され、その後、本願の指定商品については、原審における同年7月9日付け手続補正書及び当審における同26年4月3日付け手続補正書によって、第29類「乳酸菌を使用したヨーグルト(ヨーグルト飲料を含む。)」と補正されたものである。
原査定は、「本願商標は、乳酸菌の一種である『LG21』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、これを本願指定商品に使用しても、これに接する需要者は、『乳酸菌の一種のLG21を使用している商品』程の意味合いを理解させるにとどまり、商品の品質、原材料を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
当審において、請求人に対し、平成25年10月18日付けで、別掲2のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の審尋をし、期間を指定して、これに対する意見を求めた。
請求人は、前記3の審尋に対して、要旨次のように意見を述べている。
(1)「LG21」は、請求人が「ラクトバチルス ガッセリー OLL2716」菌を基に命名した造語である。当該菌に係る特許権は請求人が取得しており、特許が成立している間は、請求人の承諾又は許可なく当該乳酸菌を使用できないため、他人が「当該乳酸菌を使用した商品」を請求人の承諾又は許可なく販売することは想定されず、又、当該乳酸菌名から命名された造語である本願商標を、他人が自由に使用できるように解放する合理的な理由はない。
(2)欧文字と数字の組合せの乳酸菌の表示は、各社が乳酸菌の正式名称より、創意工夫をして命名した造語で、各社商品と密接に結びついており、その出所を適切に表示しているものであるから、例え「欧文字」と「数字」の組合せからなる語であっても、商品の出所識別標識として機能するというのが取引の実情であり、これらの表示が過去にも商品の原材料・品質に該当しないとして商標登録されている。
(3)請求人がリサーチ会社に依頼したヨーグルト購入者を対象としたリサーチ(甲28)では、ヨーグルト需要者にとって「LG21」の語が高い認知度を得ている結果が出ており、「LG21」の語は、請求人の商品の目印としての機能を十分発揮している。
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「LG21」の文字を影の付いた書体で横書きしてなるところ、本願の指定商品の業界においては、体の免疫力向上及び病気の予防に効果のある乳酸菌等を配合してなる、いわゆる、「機能性ヨーグルト」と呼ばれる商品が多種取引されており、これらの商品に用いられる乳酸菌は、その名称として欧文字と数字の結合からなる表示が一般に使用されているのが実情である。
ところで、請求人は、本願商標は、乳酸菌「ラクトバチルス ガッセリー OLL2716」菌を基に命名した造語であり、乳酸菌の名称(略称)ではない旨述べている。
そして、確かに、本願商標は、その命名の基となったとする菌名「ラクトバチルス ガッセリー OLL2716」と比べると、その略称等と直ちに認識されるものではないが、上記のとおり、乳酸菌は、その略称として、欧文字と数字の結合からなる表示が、普通一般に使用されている実情にあることからすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、あたかも当該商標が乳酸菌の名称であるかのごとく、看取される可能性が高いものといえる。
そうとすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、乳酸菌の名称(略称)を表示してなるにすぎないものと看取、理解されるとみるのが相当であるから、商品の原材料、品質を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎない商標といわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人(出願人)は、本願商標を商品「ヨーグルト」に使用し、2000年3月に販売を開始して以来売り上げを拡大し、取引者、需要者の間で高い評価を得ており、請求人(出願人)の販売する商品に付された商標として、自他商品の識別標識としての機能を果たしている旨主張し、原審ないし当審において甲第1号証ないし甲第28号証を提出しているので、以下検討する。
ア 本願商標の使用について
(ア)「日経バイオビジネス」(2001年6月創刊号)において、「日本人の胃に/プロバイオティクス定着」の見出しの下、「プロビオヨーグルトLG21(以下LG21)を明治乳業が発売したのは2000年3月。発売から約1年経過し、初年度売り上げが70億円に達することが確実となった。単価が小さい食品分野で1商品70億円は大ヒットといえる。」との記載とともに、容器の側面に本願商標が表示された商品の写真が掲載されている(甲16)。
(イ)雑誌「co−opステーション(2009年11月号)」において、LG21の広告が1ページにわたり掲載され、本願商標が容器の側面に使用されたヨーグルトが、「明治乳業株式会社」の文字とともに掲載されている(甲11)。
(ウ)請求人(出願人)のウェブサイトにおける「明治プロビオヨーグルトLG21」の紹介ページ(2012年7月6日紙出力)には、商品開発の簡単な説明等の記載とともに、本願商標が容器の側面等に使用されたヨーグルトが掲載されている(甲5及び甲6)。
イ 商品の生産、販売について
(ア)「週刊ダイヤモンド(2001年7月21日発行)」において、「仕掛け2/顧客像を絞り込む/顧客生活シーンを想定し心をつかんで新市場を創造」の見出しの下、「プロビオヨーグルトLG21明治乳業」が紹介され、「そんな中高年の需要を新たに掘り起こしたのが、二〇〇〇年三月に発売開始された『明治プロビオヨーグルトLG21』(以下LG21)だ。・・・二〇〇〇年売上高は当初予定の二倍以上、八〇億円規模に達している。・・・LG21は口コミを通じてヒット商品に育った。」との記載がある(甲17)。
(イ)「日経バイオビジネス(2002年7月)」において、「第2章/機能性ヨーグルトの行方/機能性乳酸菌型と素材添加型に」の見出しの下、「日本での草分けである明治乳業の『LG21』の売上高は2001年度130億円に上るなど、発売以来の好調を持続している・・・」との記載がある(甲18)。
(ウ)「国際商業(2012年8月)」において、「データが語る消費の実態/食品スーパーの機能性ヨーグルト市場/メディア効果で認知が進み使い分け消費が定着」の見出しの下、「ヨーグルト全体の購入金額に占める『機能性』の割合も、09年の39.48%から11年には47.17%まで拡大しており、機能性ヨーグルトの存在感は年々高まっている。機能性ヨーグルトのうち、11年に販売個数が最も多かったのは、『プロビオヨーグルトLG21 112グラム』(明治)。」との記載及び図表中に当該ヨーグルトの購入率が19.29%との記載がある(甲20)。
(エ)当審において職権をもって調査したところ、明治乳業株式会社の「アニュアルレポート2008」において、「明治プロビオヨーグルトLG21」の2007年度売上高実績として「288億円」と記載されており、また、2010年5月21日付け「日本食糧新聞」においては、「乳業大手4社決算 09年度は各社大幅増益 経営統合の2社、順調な船出」の見出しの下、「乳業大手4社の10年3月期連結決算が出揃った。・・・◆明治乳業・・・ヨーグルトは『LG21』が15%増の351億円、・・・」との記載がある。
(オ)請求人(出願人)のウェブサイトには、「事業所紹介」の項目において、「市乳」(市販の飲用牛乳(酪農用語解説)。請求人の区分けとして、牛乳類以外に明治プロビオヨーグルトLG21等のヨーグルトを含む(前出、「アニュアルレポート2008」))を製造している工場として、札幌工場(北海道)、旭川工場(北海道)、東北工場(宮城県)、守谷工場(茨城県)、戸田工場(埼玉県)、神奈川工場(神奈川県)、北陸工場(石川県)、静岡工場(静岡県)、愛知工場(愛知県)、京都工場(京都府)、関西工場(大阪府)、岡山工場(岡山県)、広島工場(広島県)及び九州工場(福岡県)が記載されている(http://www.meiji.co.jp/corporate/about_meiji/establishment/#tab-3)。
ウ 宣伝広告
(ア)雑誌「co−opステーション(2009年11月号)」、2003年11月29日付け「日経流通新聞」及び2010年3月27日付け「読売新聞」に、広告が掲載されており、本願商標が容器の側面に使用されたヨーグルトが掲載されている(甲11ないし甲13)。
(イ)当審において職権をもって調査したところ、2009年9月14日付け「日本食糧新聞」において、「ヨーグルト・乳酸菌飲料特集:各社動向=明治乳業」の見出しの下、「TVCMは、『LG21』が10年に発売10周年を迎え新しいステージにステップアップするため今回、小田和正を起用した。」及び2013年7月25日付け「日刊スポーツ」において、「大沢たかお『冒険家』いきた乳酸菌食べる」の見出しの下、「俳優大沢たかおが出演する『明治プロビオヨーグルトLG21』の新CMが25日から放送される。」との記載がある。
エ 各賞の獲得等について
(ア)毎年1回、特に優れた新製品・サービスを表彰するものとする「2000年日経優秀製品・サービス賞」の表彰事業のご案内において、日経流通新聞賞として、「◇ピロリ菌抑制の乳酸菌入りヨーグルト『プロビオヨーグルトLG21』(明治乳業)」との記載がある(甲9)。
(イ)「日本食糧新聞(2001年2月6日)」において、「食品ヒット大賞特集:優秀ヒット賞=明治プロビオヨーグルトLG21(明治乳業)」の見出しの下、「消費者の健康志向がますます高まる昨今、・・・話題となっている細菌の一つに・・・ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)がある。ピロリ菌は、最近では世界保健機構(WHO)が胃がんの原因の第一位にあげており、・・・。この抗ピロリ菌への新しい可能性を秘めた商品として開発、消費者からもその期待を込めて注目されているのが『明治プロビオヨーグルトLG・・・」との記載がある(甲7)。
(ウ)日本食糧新聞社「食の情報源」において、「食品ヒット大賞/新技術・食品開発賞」の見出しの下、平成18年度 第20回 新技術・食品開発賞の一つとして「明治プロビオヨーグルトLG21低脂肪 明治乳業(株)」との記載がある(甲8)。
(エ)JMR生活総合研究所によるJ−marketing.netの2012年9月版のヨーグルトのランキング情報において、「2011年度のヨーグルト市場は、東日本大震災の影響による資材や電力不足にもかかわらず、前年度比105.3%(日本食糧新聞調べ)と拡大しています。・・・ヨーグルト市場の3年連続拡大の牽引役となったのは、主にフルーツヨーグルトといわれているが、昨年来、機能性ヨーグルトの効用がマスコミで大きく取り上げられていることなどもあって、今後さらに機能性ヨーグルト市場の拡大が予想されている。」との記載があり、当該研究所が任意に選んだヨーグルト26ブランドに対して行った調査結果として、「明治プロビオヨーグルトLG21」は、例えば、「知っているヨーグルト」の6位、「最近3ヶ月以内に広告を見たことがあるヨーグルト」の3位、「最近3ヶ月以内に店頭で見たことがあるヨーグルト」の6位、「最近3ヶ月以内に買ったことがあるヨーグルト」の6位にランキングしている(甲22)。
(オ)livedoor・NEWS(2012年11月19日)において、「健康効果で品薄続く『機能性ヨーグルト』が相次いで増産体制」の見出しの下、「ヨーグルトといえば、主に整腸作用の効果が一般的に知られていたが、・・・特に機能性をうたった商品がズラリと店頭を埋め尽くしている。この『機能性ヨーグルト』が牽引する乳酸菌市場は、2011年4月〜2012年3月で3000億円を突破。今後も1〜2%増の拡大は必至とみられている。」との記載があり、また、市販されているヨーグルトに含まれる菌にはどんな種類や効果があるのか、関連商品とともにまとめてみたとして、その一つに「■LG21乳酸菌/『明治プロビオヨーグルト』(明治乳業)」が挙げられ、「胃炎や胃潰瘍、胃がんなどを引き起こすとされるピロリ菌を減少させ、胃粘膜の炎症を改善する作用が確認されている」との記載がある(甲21)。
オ その他
請求人(出願人)のウェブサイトにおける、2011年2月10日のプレスリリースにおいて、請求人(出願人)の商号を「明治乳業株式会社」から「株式会社明治」に変更していることが認められる。
カ 小括
上記アないしオにおいて認定した事実によれば、請求人(出願人)は、2000年3月から、本願商標を本願の指定商品に継続的に使用しており、その販売額は初年度で80億円に達し、その後も売り上げを着実に延ばし、2010年の時点では年間351億円を超える売り上げに達したこと、2011年にはヨーグルト全体の売り上げのうち47.17%のシェアを有する「機能性ヨーグルト」の中で、本願商標を使用した商品が販売個数で第1位(19.29%)となっている。
そして、請求人(出願人)が有する「市乳」を製造している工場は、全国に及んでいることが認められ、本願商標を使用した商品も全国に流通しているものと推認することができ、この商品の宣伝広告も継続的に行われているといえる。
また、本願商標を使用した商品は、日経流通新聞賞(2000年)、優秀ヒット賞(2001年)新技術・食品開発賞(2006年)の各賞を獲得するなど、「機能性ヨーグルト」の草分けとして、2000年の販売当時から注目を浴びており、そして、登録出願後の2012年においても依然として人気の商品であることが認められる。
以上のことからすると、本願商標は、その指定商品について、請求人(出願人)により、長年にわたり継続的に使用された結果、需要者が何人か(請求人)の業務にかかる商品であることを認識することができるに至ったものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項により商標登録を受けることができるものであるから、本願商標が商標登録を受けることができないとした原査定は、取消を免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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