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Trademark Appeal Case

旧国名「信濃の国」の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2013−9242(T2013−9242/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「信濃の国」の文字を書してなり、第30類「おやき,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,即席菓子のもと,パスタソース,香辛料」を指定商品として、平成24年3月5日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、現長野県全域にあたる『信濃』を表示するものと認識される『信濃の国』の文字を普通に用いられる方法で書してなるから、これをその指定商品に使用しても、これに接する需要者・取引者は、単に商品の産地・販売地及び品質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成26年4月1日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べに対する請求人の意見の要旨

請求人は、前記3の証拠調べに対して、平成26年5月12日付け意見書において、要旨以下のように述べている。

(1)本願商標である「信濃の国」の文字は、辞書及び事典に記載はなく、インターネットでも地名としての使用はほとんど見当たらないから、本願商標は、商品の産地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものに該当しない。

(2)証拠調べの結果として示された別掲1(2)の用例は、いずれも地域を示す表示を販売促進等を考慮して使用しているにすぎず、商品の産地表示を目的とした直接使用ではない。また、証拠調べの結果として示された別掲1(3)の用例は、産地の表示として「長野」又は「信州」の語が表示されているもの、他の文字と組み合わせて商標として使用しているもの、「信濃」の文字が使用されているものであって、「信濃の国」を産地表示として使用しているものはイのみであるから、これをもって、商品の産地を表示するものとはいえない。さらに、現在は「国」の概念として行政区画の一つを認識する人はほとんどいないと思われるから、「信濃の国」が商品の産地を表示するものとはいえない。

(3)本願商標は、請求人の所有する第29類及び第35類における登録商標と同一の文字からなり、請求人は、該商標を付した「ビーフカレー」や「きのこカレー」を販売している。また、新商品として、「戸隠新そば」及び「五郎兵衛米のおかゆ」の販売を行っており、本願商標は、その指定商品についても使用をするものであり、その結果、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識できるものである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について

本願商標は、前記1のとおり、「信濃の国」の文字を書してなるものであり、その構成中の「信濃」は、「旧国名。いまの長野県。」を表したものと認められるものである。

そして、明治以前の我が国における行政区画には、「駿河の国」や「武蔵の国」のように「○○(の)国」との国名が定められていたところ、これらの旧国名は、例えば別掲2に示すとおり、現在においても、当該地域を表すものとして使用されていることがうかがえる。また、旧国名は、地名やその地域の伝統的な産品名の一部に使用されることも多く、旧国名をもって当該地域を表すことは広く行われているといえる。

そして、旧国名の一である「信濃」又は「信濃の国」の文字は、証拠調べの結果として示した別掲1(2)及び(3)のとおり、長野県を表すものとして広く使用されている事実が認められるものであるから、本願商標は、長野県を表す旧国名からなるものと容易に認識されるといい得るものである。

してみれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該商品が長野県で製造、販売されたものであることを看取、理解するというのが相当であるから、本願商標は、商品の産地、販売地を表示したものと認識されるものである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、「信濃の国」の一連の文字は、辞書等に記載がなく、また、インターネットにおいて地名としての使用もほとんど見当たらず、さらに、証拠調べの結果として示された用例には、「信濃の国」の文字が産地表示として使用されているものは1例であるから、本願商標は、商品の産地を表示するものとはいえない旨主張する。

しかしながら、商標法第3条第1項第3号の商品の品質に該当するというには、我が国の取引者、需要者が商品の品質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものであり、実際に商品の品質を表示するものとして使用されていることまでは必要としないと解されるところ、本願商標については、その構成文字の意味及びその使用状況を踏まえれば、これに接する取引者、需要者をして、商品の品質(産地、販売地)を表示するものとして認識されること、上記(1)のとおりである。

イ 請求人は、前記3の証拠調べの結果として示された用例には、「信濃の国」の文字が、他の文字と結合して商標として使用されているものが含まれるから、本願商標は、商品の産地を表示するものとはいえない旨主張する。

しかしながら、それらの用例において他の文字と組み合わせた標章が商品名として使用されているとしても、これに接する取引者、需要者は、「信濃の国」の文字のみをもって、商品の出所識別標識として認識するとはいい難いものであり、むしろ、長野県を産地、販売地とする商品であると認識するとみるのが自然であるから、本願商標は、商品の品質を表示する標章であるというのが相当である。

ウ 請求人は、第29類の指定商品及び第35類の指定役務について本願商標と同一文字からなる登録商標を有し、これを、請求人の製造、販売する商品に使用している。そして、本願商標は、その指定商品についても使用をするものであり、その結果、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識できるものである、すなわち、本願商標は、使用による特別顕著性(商標法第3条第2項の要件)を有している旨主張する。

しかしながら、本願商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標の指定商品には長野県において広く製造、販売されているといえる「おやき」及び「そばの麺」を含む「穀物の加工品」が含まれるなど、請求人の有する登録商標に係る商品及び役務とは異なるものであり、本願商標をこれと同列に論ずることはできない。また、我が国における販売数量、販売額、市場占有率、広告宣伝の回数等に関する証拠の提出はなく、本願商標が出願人の業務に係る商品に使用された結果、その指定商品について、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識するに至っていると認めるに足る事実を見いだすことはできない。

エ したがって、上記アないしウのとおり、請求人の主張はいずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録できない。

よって、結論のとおり審決する。

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