結論テキスト
審判費用は,請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2014−300131(T2014−300131/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
登録第5170953号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成からなり,平成20年2月29日に登録出願,第25類「靴のインソール,その他の履物,運動用特殊靴」を指定商品として,平成20年10月3日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録は,平成26年3月12日にされている。
請求人は,「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証を提出した。
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
各乙号証は,商標や日付等の位置を示すための赤丸印以外にも画像処理が施され,根本的に信頼性を欠いている。また,写真の画像は何れも不鮮明であり,本件商標であるかどうかを確認することはできない。さらに,使用時期,使用者も証明されていない。
(1)乙第1号証について
乙第1号証の写真は,撮影日,使用時期が不明であり,いずれの写真も全く不鮮明である上に,画像加工も施されており,これらの写真からは,インソールに本件商標が付されているとは認められない。
(2)乙第2号証について
ア 「オーダーインソールの販売実績例1」について
「2013年2月16日サロン来店」の記載に関し,カルテとされる写真に「13年2月16日」とあるが,13年が2013年であるか不明であり,カルテは不鮮明である上に,加工した形跡が随所に見られることから,平成13年や異なる年月日である可能性等も否定することはできない。
「2013年3月1日商品仕上がり・撮影」の記載に関しては,被請求人が資料を作成した際に記載したものであり,日付に全く客観性がない。
「2013年3月2日商品お渡し」の記載に関し,領収書(控)にかろうじて認められる「3/2」は,予定日と思われる上に,これが「2013年3月2日」かも不明であり,「2013年3月2日商品お渡し」されたかどうか確認することはできない。また,領収書(控)には,入金日であろう「13年2月16日」の日付がかろうじて認められるが,領収書(控)全体が非常に不鮮明である上に,画像加工されていることから,これが,本当に「13年2月16日」なのか,さらに「13年」が平成13年である可能性等も否定することができず,2013年なのか不明である。
このように,カルテ,領収書(控),仕上がり写真の何れに関しても作成日,発行日,撮影日が不明であり,「2013年2月16日サロン来店,2013年3月1日商品仕上がり・撮影,2013年3月2日商品お渡し」には裏付けがない。
「仕上がり商品撮影」とされた写真のインソールには何の標章も確認することができず,本件商標の使用は確認できない。カルテに本件商標が表示されているとしても,商標法第2条第3項各号に掲げる使用には該当しない。
カルテには,個人情報の「(株)日元倶楽部」による利用について記載があるものの,カルテの作成者は不明であり,領収書(控)の発行者も不明であるから,商標の使用者は不明である。
イ 「オーダーインソールの販売実績例2」について
これには,「2013年2月13日サロン来店,2013年3月1日商品仕上がり・撮影,2013年3月1日商品お渡し」とあるが,販売実績例1と同様の理由で,これらの日付には裏付けがない。
「仕上がり商品撮影」とされた写真のインソールにはぼんやりとした何かが表示されているがそれが本件商標とは到底認めることはできず,本件商標の使用は確認できない。カルテに本件商標が表示されているとしても,商標法第2条第3項各号に掲げる使用に該当しない。
販売実績例1と同様,カルテの作成者は不明であり,領収書(控)の発行者も不明であるから,商標の使用者は不明である。
ウ 「美脚シューズの販売実績例」について
これには,「2013年5月22日サロン来店・ご入金・商品お渡し」とあるが,カルテは不鮮明である上に加工した形跡が随所に見られることから,カルテに表示された「13年5月22日」の日付が「平成13年5月22日」である可能性や,その他異なる年月日である可能性も否定することはできない。また,領収書(控)には,「13年5月22日」の日付が認められるが,領収書(控)全体が非常に不鮮明である上に,画像加工されていることから,これが,本当に「13年5月22日」なのか,また,「平成13年5月22日」である可能性も否定できず,「お渡し日」が2013年5月22日かどうかも不明である。
また,靴の写真には「仕上がり商品(お渡し品と同仕様品)」とあり,販売した商品そのものの写真ではなく,写真の撮影日も本件審判請求の登録後である。さらに,これは,オーダーインソールの販売実績例1,2と同様,カルテの作成者は不明であり,領収書(控)の発行者も不明であるから,商標の使用者は不明である。
(3)乙第3号証について
ア 「直営店舗(クイスクイスサロンのオープン取材記事)」は,2008年6月21日付けであり,要証期間外のものである。
イ 「直営店舗の本件登録商標使用写真」は,撮影日が不明で,使用時期が証明されていない。また,店舗の看板やガラス装飾に商標を表示していることは,商標法第2条第3項各号に掲げる使用のいずれにも該当しない。
(4)乙第4号証について
ア 「オーダーインソールの放映写真1」について
これには,放映日が2013年8月9日と記載されているが,放送機関による証明がなく客観性を欠き,番組放映日が要証期間内であったとしても,画面に表示されたインソールの標章が要証期間内に付されたものであるかは不明である。
また,画像が不鮮明でインソールに付された標章が登録商標かどうか判別できず,商標の使用者も不明である。
イ 「オーダーインソールの掲載写真1」について
この記事中の写真の靴のインソール及び中央のサロン写真は,いずれも不明瞭であって登録商標かどうか判別することができない。
「家庭画報の記事」は,2種類あり,2枚目は商標の位置を明示するため赤丸印が付されており,4枚目は印のないものである。両者を比較すると,4枚目は,中央段の左下に「クイスクイスサロン」とその住所,電話番号,営業時間等の情報が記載されているが,2枚目は,当該部分が画像処理され判読することができない。これは,商標の使用者が商標権者ではないことを隠すため,意図的に画像処理によって消したものと思われる。
このように,乙各号証は,商標等の位置を明示するため赤丸印を加えた画像処理にとどまらず,一部記載を消したり読みにくくしたりする処理も行われていることが確認される。このような画像処理は前記箇所に限らず,商標自体や,日付等にも及ぶ可能性が否定できず,全ての乙号証は根本的に信頼性に欠ける。
さらに,記事の掲載日,取材日が要証期間内であって,靴のインソールの標章が登録商標であったとしても,その標章が要証期間内に付されたかどうかは不明である。
ウ 「オーダーインソールの掲載写真2」について
この記事に掲載されたインソールの標章は不鮮明で登録商標か確認することが難しく,また,記事の掲載日,取材日が要証期間内であって,靴のインソールの標章が登録商標であったとしても,その標章が要証期間内に付されたかどうかは不明である。
(5)乙第5号証について
広島三越店でのオーダーインソール販売会のイベントチラシは,イベント開催日は記載されているが何年か不明であり,商標の使用者が不明であって,このチラシが要証期間内に展示又は頒布されたのか全く不明である。
以上のことから,被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第5号証には,本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者により指定商品について使用されていることは証明されていない。
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
(1)乙第1号証に示すように,オーダーインソール,美脚シューズを販売するなかで,その全てのインソールの表面に本件商標を使用している。
オーダーインソールは,靴の特性に応じて一人一人の足型にあわせてクッションなどで足裏をサポートして表面と裏面とを生地で覆うタイプと,表面を生地で覆って裏面は靴底に貼り付けるタイプの2種類がある。表面に使われる素材はメッシュ生地,スウェード生地とスムーズ生地の3素材,色目はメッシュ生地では4色,スウェード生地では5色,スムーズ生地では4色から靴の特性や好みにあわせて選択することができ,その全ての表面に本件商標を印刷している。
美脚シューズは,6.5cmヒールに高機能なクッションのインソールを入れて完成させる。シューズのデザインは2種とストラップ形状が2種,色は3色から選べる。そのインソールの表面に本件商標を印刷している。
(2)商品の販売時には,乙第2号証に示すように,顧客に本件商標を使用したカルテに名前・住所などの情報を記載してもらい,その後,カウンセリングを実施しながら足の状態などをカルテに記載し,顧客に商品の説明を行った後,商品を購入してもらえる場合には商品の仕様をカルテに記載する。その際,顧客にインソールの表面素材の生地や色目を選らんでもらい,カルテに記載する。領収書発行に際しては,顧客の氏名・日付・領収金額・但し書きを記載して渡し,カルテにも販売商品名:商品金額(税抜き)を記載して,照らし合わせができるように管理をしている。
また,必要があれば販売商品の写真撮影を実施し,記録する。
オーダーインソールの販売実績例では,顧客の持ち込んだ靴の種類にあわせてインソールの仕様を決定し,顧客に表面素材を選んでもらい,カルテの備考欄に,その他の販売商品や販売金額を記載し,管理している。
美脚シューズの販売実績例では,予め仕入れた靴に本件商標を印字したインソールをつけて当日に販売している。カルテにはインソールの仕様は記載しないが,備考欄に販売した靴の仕様・金額を記載し,管理している。
以上の各商品の販売実績例から,各カルテ内での顧客の氏名,日付,購入商品と金額の記載と,領収書内の顧客の氏名,日付,但し書きと金額は一致しており,本件商標が入った商品が平成26年2月21日以前の3年間の間に販売されていることは明らかである。
(3)乙第3号証に示すように,2008年6月より東京都台東区に直営店舗(『クイスクイスサロン』)をオープンし,本件商標をガラス面装飾や営業時間案内看板などに現在まで継続して使用している。ガラス面装飾にはオーダーメイドインソール制作と表記もあることから,本件商標が使用されていることは明らかである。
(4)乙第4号証に示すように,平成26年2月21日以前の過去3年間の間に,本件商標を使用したオーダーインソールが,テレビ放送や雑誌などの媒体にも取り上げられていることから,本件商標が使用されていることは明らかである。
(5)乙第5号証に示すように,平成26年2月21日以前の3年間の間に,不定期で各百貨店においてオーダーインソールの販売の実績もあり,イベント開催時に百貨店に配布してもらっているチラシにも本件商標を用いている。
(6)乙第1号証から乙第5号証までの資料に関しては,原本を提出する用意もある。
そして,被請求人が前記の業務を行っていることが,その代表者や靴のインソールなどの画像とともに,雑誌(「百日草のはなよめ2011年8月号」,「家庭画報2012年6月号」)やテレビの情報番組(フジテレビ「アゲるテレビ」2013年8月9日放映)において紹介されている。
(乙2,3,4)。
(2)被請求人が顧客からのオーダーにより製造した靴のインソール及び被請求人の販売に係る美脚シューズと称する婦人靴のインソールには,いずれも,足をモチーフにした図形(図形の下に「ORDER MADE」と「INSOLE」の二段書き文字が表示されている)と「QUIS QUIS」の文字からなる標章(以下「使用商標1」という(別掲2)。)が表示されている(乙1,2,4)。
(3)被請求人は,顧客からオーダーされた靴のインソールを製作・販売するに際し,顧客ごとのカルテを作成し顧客情報を管理しているところ,そのカルテの記載事項によれば,使用商標1を表示した靴のインソールが,2013年3月1日と同年3月2日に,2名の顧客に譲渡(販売)された。そして,そのカルテには,使用商標1とほぼ同じ態様の標章であって,「QUIS QUIS」の文字を挟み,上に「クイス クイス」の小さな文字,下に長楕円形の枠を有する「オーダーメード母指弓インソール」の小さな文字が表示されている標章(以下「使用商標2」という(別掲3)。)が表示されている(乙2)。
(4)被請求人は,2013年11月23日・24日に,広島三越店において「オーダーインソール販売会」を行い,その販売会に際し,使用商標2が表示された「足から健康に!足から健康になるオリジナルインソール」と題するチラシを作成した(乙5)。
そして,被請求人の主張によれば,そのチラシは,広島三越店により顧客に配布された。
(1)前記1で認定した事実によれば,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内である2013年(平成25年)3月1日及び2日に,使用商標1を表示したインソールを顧客に譲渡(販売)したこと,また,同じく,本件審判の請求の登録前3年以内である2013年11月23日・24日に,広島三越店において,使用商標2を表示したチラシを顧客に配布したことを推認し得る。
そこで,使用商標1及び2が,本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当するか否かについて検討する。
本件商標は,別掲1のとおり,足をモチーフにした図形と「クイス クイス」と「QUIS QUIS」の二段書きの文字からなるものであるところ,その構成文字中の上段に小さな文字で表示された「クイス クイス」は,下段の「QUIS QUIS」の欧文字の自然な読みを表したものであって,本件商標から生じる称呼を表したものといえる。
これに対し,使用商標1は,足をモチーフにした図形と「QUIS QUIS」の文字を本件商標と同じ形状,同じ配置で表し,両者の異なるところは,図形の下に小さく「ORDER MADE」と「INSOLE」の二段書き文字が表示されていること、欧文字の上の「クイス クイス」の小さい文字の表示がないことにある。
そして,使用商標1の構成中の「ORDER MADE INSOLE」は,その商品が「オーダーメードによる靴のインソール」であること,すなわち,商品の品質を表示するものであり,本件商標の構成中の「クイス クイス」は,欧文字「QUIS QUIS」の読みを表すものであること,また,これらの文字が他の構成部分に比して小さく表されていることから,これらの文字は,本件商標又は使用商標1の構成において,これらに接する需要者に付記的部分と認識されるものとみるのが相当である。
そうすると,使用商標1と本件商標とは,その全体構成において外観上同視し得る商標であって,かつ,両商標から生じる「クイスクイス」の称呼を同じくし、観念も異なるところのないものであるから,使用商標1は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
次に,使用商標2と本件商標を比較すると,前記のとおり,使用商標2は,足をモチーフにした図形と「クイス クイス」「QUIS QUIS」の二段書き文字を本件商標と同じ形状,同じ配置で表し,両者の異なるところは,当該図形と文字の下に,「ORDER MADE INSOLE(二段書き)」と「オーダーメード母指弓インソール(外枠を有する)」の各文字を小さな文字で表示してなることにあるが,これらは,使用商標1と同様に,それぞれが商品の品質を表示するものであり,かつ,小さな文字で表示されていることから,これらの文字は,使用商標2の構成において,これらに接する需要者に付記的部分と認識されるとみるのが相当である。
そうすると,使用商標2と本件商標とは,その全体構成において外観上同視し得る商標であって,かつ,両商標から生じる「クイスクイス」の称呼を同じくし、観念も異なるところのないものであるから,使用商標2は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
(2)以上によれば,商標権者は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件請求に係る指定商品に含まれる商品「靴のインソール」について,その商品に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して,譲渡(販売)し,また,その商品の広告に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したことが推認し得る。
そして,商標権者の上記行為は,「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡・・・する行為」(商標法第2条第3項第2号)及び「商品に関する広告に標章を付して・・・頒布する行為」(同第8号)に該当する。
請求人は,「被請求人の提出した各乙号証は,商標や日付等の位置を示すための赤丸印以外にも画像処理が施され,根本的に信頼性を欠いている。写真の画像は何れも不鮮明であり,本件商標であるかどうかを確認することはできない。使用時期,使用者も証明されていない。」旨主張する。
しかしながら,請求人が画像処理が施されたと主張する乙各号証に表示された赤字のマークや表題等は,本件商標の使用の事実を説明するために付されたものと解され,これらの処理は社会通念に照らし妥当性を欠くものとはいえず,乙各号証の記載内容に疑義は認められない。
また,請求人が不鮮明であると主張する乙各号証の写真は,いずれも不鮮明ではなく,これらに表示された使用商標1及び2を十分に確認することができる。
さらに,「13年」が「2013年」か「平成13年」か不明であるなどといった主張も,「2013年」を「13年」又は「’13年」と表示することに,社会通念に照らし不自然なところはない。
そして,前記1(1)のとおり,新聞,雑誌及びテレビ報道などによれば,特定人との取引は確認できないものの,被請求人が平成20年6月の店舗の開業以来,継続して使用商標1を表示した靴のインソールの製造・販売を行っていることは明らかであることから,被請求人が不正の意図をもって各乙各号を改ざんしたなどとみる余地はないものと判断するのが相当である。
したがって,請求人の前記主張は,いずれも採用することはできない。
以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者が本件請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
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