Trademark Appeal Case
地名・品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−7870(T2013−7870/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「江戸辛味大根」の文字を標準文字で表してなり、第31類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年9月6日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における同25年11月15日付け手続補正書により、第31類「辛味大根,果実,あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし,うるしの実,コプラ,麦芽,ホップ,未加工のコルク,やしの葉,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,飼料,釣り用餌,糖料作物,辛味大根の種子類,木,草,芝,ドライフラワー,辛味大根の苗,苗木,花,牧草,盆栽,生花の花輪,飼料用たんぱく」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『江戸辛味大根』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中『江戸』の文字は『東京の旧名』の意味であり、『辛味大根』の文字は『普通の大根より小さめで辛味が強い大根』を意味するので、全体として『東京産の辛味大根』程の意味合いを表すものであるから、これを本願の指定商品中『大根,大根の種子類,大根の苗』に使用しても、これに接する取引者、需要者は、上記の意味合いを有する商品であることを認識するにすぎず、単に商品の産地、品質を表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審において通知した拒絶の理由
当審において、平成25年10月18日付けで請求人に対して通知した拒絶の理由は、別記のとおりである。
4 拒絶の理由に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、前記3の拒絶の理由に対し、前記1のとおり本願の指定商品を補正するとともに、意見書において、要旨以下のように述べた。
(1)本願商標は、「江戸辛味大根」の漢字を書してなるところ、その上位概念である「江戸野菜」の語は「江戸時代から伝わる伝統野菜と明治から昭和30年代にかけて東京で盛んであった園芸の中で生まれた野菜の総称。」の意味合いを有するものである。
(2)請求人は、本願商標を「浅草道光庵の庵主(信州長野県出身)のそば打ちの名人が、『辛味大根』を下して、信者に蕎麦を振る舞った。」ことから、「江戸辛味大根」を「江戸時代に浅草道光庵の庵主が流行らした蕎麦の(香辛料としての)辛味大根」の意味合いで使用している。
(3)また、「江戸辛味大根」からは、「江戸時代に江戸で流行った(蕎麦と共に流行った)辛味大根」の意味合いも生じ、請求人は、「江戸時代に江戸で流行った辛味大根」を復活する意味合いで本願商標を使用しており、該意味合いで本願商標を使用しているという取引界の実情は尊重されるべきである。
(4)したがって、本願商標は、取引者・需要者をして、「江戸時代から江戸近郊で栽培されていた伝統野菜である辛味大根」の意味合いを、直ちには認識し得ないと考えられ、実際に該意味合いで「江戸辛味大根」の語が使用されている事実もなく、商品の品質を表すものとはいえないし、また、「江戸」の語の意味合いも不明確なものであり、商品の産地・販売地を表示したものとも理解し得ないものでもあることから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものではない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「江戸辛味大根」の文字を標準文字で表してなるところ、前記3のとおり、取引者、需要者をして、「江戸時代から江戸近郊で栽培されていた伝統野菜である辛味大根」程の意味合いを認識し得るものといえることから、補正後の指定商品中の「辛味大根,辛味大根の種、辛味大根の苗」に使用するときは、前記意味合いの商品であることを看取、理解させるにとどまり、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
また、補正後の指定商品「果実,あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし」が、「辛味大根」を含む「野菜」と、「苗木,花,牧草,盆栽」が、「辛味大根の苗」を含む「苗」と、生産部門・販売部門などを同じくする場合も少なくないといえることから、本願商標は、これらの商品に使用するときは、あたかも「辛味大根」または「辛味大根の苗」であるかのごとく、商品の品質に誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標について、「江戸辛味大根」の上位概念である「江戸野菜」の語は「江戸時代から伝わる伝統野菜と明治から昭和30年代にかけて東京で盛んであった園芸の中で生まれた野菜の総称。」の意味合いを有するものであることから、「江戸時代から江戸近郊で栽培されていた伝統野菜である辛味大根」の意味合いを、直ちに認識し得ない旨主張している。
しかしながら、本願商標の構成中「江戸」の語は、別記の(後掲)4及び5に示した「江戸東京野菜」及び「江戸野菜」の語の説明からすれば、野菜に使用された場合、「江戸時代から江戸近郊で栽培されていた伝統野菜」程の意味合いで認識されるものといえることから、「江戸」の文字と「辛味大根」の文字とを一連に「江戸辛味大根」と表してなる本願商標は、「江戸時代から江戸近郊で栽培されていた辛味大根」程の意味合いで看取、理解されるものとみるのが相当であり、請求人による上記主張は採用することはできない。
また、請求人は、浅草道光庵の庵主(信州長野県出身)のそば打ちの名人が、「辛味大根」を下して、信者に蕎麦を振る舞ったことから、本願商標を「江戸時代に浅草道光庵の庵主が流行らした蕎麦の(香辛料としての)辛味大根」の意味合いで使用しており、また、「江戸辛味大根」からは、「江戸時代に江戸で流行った(蕎麦と共に流行った)辛味大根」の意味合いも生じることから、「江戸時代に江戸で流行った辛味大根」を復活する意味合いでも本願商標を使用している旨主張し、その主張を裏付けるものとして、物件1ないし物件3を提出している。
しかしながら、請求人が提出する資料からは、江戸時代に出版された「本朝食鑑」という書籍に、江戸時代に辛い大根の汁でうどんや蕎麦などの麺類を食べることが流行していたこと、請求人のウェブサイトに、蕎麦打ち名人といわれた浅草道光庵の庵主が、鰹だしの代わりに”辛味大根”を下ろして蕎麦を振る舞い、道光庵が蕎麦処として知られるようになり、市中で辛味大根を自家で栽培するまでに流行ったことの記載は確認できるものの、これらの事実のみでは、本願商標が、取引者、需要者に上記請求人の主張する意味合いで把握されるとはいい得ないことから、本願商標についての上記(1)の認定を覆すことはできない。
したがって、請求人の上記主張も採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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