Trademark Appeal Case
原材料結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−1568(T2014−1568/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「pearl placenta」の欧文字と「パール プラセンタ」の片仮名を上下2段に横書きしてなり,第1類及び第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成25年4月4日に登録出願され,その後,指定商品については,同年8月19日受付の手続補正書により,第1類「プラセンタ成分入りの化学品」及び第3類「プラセンタ成分入りの化粧品,プラセンタ成分入りのせっけん類,プラセンタ成分入りの香料」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『pearl placenta』の文字と,『パール プラセンタ』の文字とを上下二段に普通に用いられる方法で書してなるところ,その構成中,『pearl』及び『パール』の文字は,『真珠』を意味する語として,『placenta』及び『プラセンタ』の文字は,『胎盤。また,その抽出物』を意味する語として,いずれも広く使用されていることからすれば,本願商標は,全体として『真珠とプラセンタ』の意味合いを容易に理解させるものというのが相当である。そして,本願指定商品を取り扱う業界においては,真珠やプラセンタから抽出した成分が,美容に効果があるとされ,真珠及びプラセンタの成分を配合した化粧品やせっけん類が製造販売されている実情が確認できる。そうすると,本願商標をその指定商品中,真珠とプラセンタの成分を配合した商品に使用するときは,これに接する需要者,取引者は,単に商品の品質,原材料を表したものと認識するにとどまり,自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当し,前記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法4条1項16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標が商標法3条1項3号に該当することについて
本願商標は,前記1のとおり,「pearl placenta」の欧文字と「パール プラセンタ」の片仮名を,普通に用いられる方法で上下2段に横書きしてなるところ,「pearl」と「placenta」との間及び「パール」と「プラセンタ」との間には,それぞれ半角程度のスペースが配されていることから,本願商標は,その上段が「pearl」の文字部分と「placenta」文字部分から,その下段が「パール」の文字部分と「プラセンタ」の文字部分から構成されていると一見して直ちに看取されるものである。
そして,「pearl」及び「パール」の文字は,「真珠」の意味(コンサイスカタカナ語辞典第4版)を有する親しまれたものであり,「placenta」及び「プラセンタ」の文字は,「胎盤.また,その抽出物.肝機能障害の治療に用いられるほか,美容にも効果があるとされている.」とされる(コンサイスカタカナ語辞典第4版)もので,それぞれ,化粧品やせっけん類の分野において,別掲1のとおり,原材料を表示するものとして使用されている。
さらに,別掲2のとおり,同分野において,真珠及びプラセンタを共に原材料として配合した商品が製造,販売されており,これらの商品の原材料を表示するものとして,「pearl」及び「パール」並びに「placenta」及び「プラセンタ」の語が共に使用されていることが認められる。
そうすると,「pearl」及び「パール」並びに「placenta」及び「プラセンタ」の語は,化粧品やせっけん類の分野において,商品の原材料を表示するものとして親しまれているものであり,また,真珠及びプラセンタを原材料として配合した商品についても,これらの語が原材料を表示するものとして共に使用されることも多いことからすると,前記1のとおりの構成からなる本願商標を,その指定商品中,「プラセンタ成分入りの化粧品,プラセンタ成分入りのせっけん類」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に原材料名を並べたものと認識するものであって,真珠及びプラセンタを原材料として配合する商品であることを容易に認識するにとどまるというべきである。
してみれば,本願商標は,その指定商品中「プラセンタ成分入りの化粧品,プラセンタ成分入りのせっけん類」との関係において,商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというのが相当であるから,商標法3条1項3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,「プラセンタ」の意味には植物の胎座も含まれ,化粧品原料としても利用されており,「プラセンタ」という文字は,胎盤だけでなく,植物の胎座,さらには「プラセンタ」の本来持つ意味を越えて,「プラセンタ」に近い効果を有するものにも「プラセンタ」という文字が利用されているから,「真珠プラセンタ」であれば,「真珠とプラセンタの成分を配合した商品」...との概念を生ずる可能性が高くなるが,「pearl」あるいは「パール」には,「真珠」や「真珠由来の」の意味のほかに,「貴重な」「すばらしい」「美しい」「精粋」「精華」「典型」「真珠貝色」などの概念を生じる上,「pearl placenta」あるいは「パール プラセンタ」の文字が普通に使用されている事実はないから,本願商標は,商品の品質,原材料を直接的かつ具体的に表示するものとはいえない旨主張する。
しかしながら,「pearl」の語が,請求人が記述するとおり,複数の意味を有するものとして,「小学館ランダムハウス英和大辞典」に載録されていることは認められるとしても(平成26年1月29日受付の審判請求書に係る参考3),それをもって,「pearl」の文字が「真珠」と認識されないとはいえない上,本願商標は,「pearl」の下段に「パール」の片仮名が書されているところ,「パール」については,「【pearl】真珠」(広辞苑 第六版),「【pearl】真珠,また,真珠色」(大辞泉 増補・新装版),「【pearl】真珠」(大辞林 第三版)及び「(pearl)真珠」(新明解国語辞典 第七版)と記載されていることからすると,「pearl」や「パール」の文字の一義的な意味は「真珠」といえるものであって,「貴重な」「すばらしい」「美しい」「精粋」「精華」「典型」などの意味が一般に認識されているとはいい難い。
さらに,登録出願に係る商標が商標法3条1項3号に該当するか否かは,当該商標が指定商品に使用された場合に,当該商標に接した取引者,需要者がどのような認識をするかによって判断されるべきものであるところ,上記(1)のとおり,化粧品及びせっけん類の分野において,「pearl」「パール」の文字は商品の原材料を表示するものとして普通に使用されているものであるから,前記1のとおりの構成からなる本願商標を,その指定商品中の「プラセンタ成分入りの化粧品,プラセンタ成分入りのせっけん類」に使用するときは,これに接する取引者,需要者は,本願商標の構成中の「pearl」「パール」の文字部分を商品の原材料を表示したものと認識するというべきである。
また,別掲2に示すとおり,真珠とプラセンタが配合された化粧品,せっけん類が実際に製造,販売され,さらに,(1)及び(4)のように「プラセンタパール...クリーム」あるいは「パールプラセンタクリーム」と称している化粧品も見受けられるところ,そもそも商標法3条1項3号は,取引者,需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき,登録を受けることができないとしたものであって,該表示態様が,商品の品質を表すものとして,現実に使用されている事実は,同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第76号)。
したがって,上記請求人の主張は採用できない。
(3)むすび
以上のとおり,本願商標は,商標法3条1項3号に該当するものであって,登録することができない。
したがって,本願商標が同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
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