Trademark Appeal Case
役務の質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−3163(T2014−3163/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「看護のお仕事」の文字を標準文字で表してなり、第35類「求人情報の提供,職業のあっせん」を指定役務とし、平成24年9月27日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同25年4月24日付けの手続補正書により、第35類「看護に関する求人情報の提供,看護に関する職業のあっせん」と補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『看護のお仕事』の文字を標準文字で表記してなるところ、指定役務を取り扱う業界においては、当該文字が『看護師の仕事』の意味合いで一般に使用されている実情があるから、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者、取引者は、『看護師の仕事に関する役務の提供』であることを理解するにとどまり、単に役務の質を表示し、自他役務を識別する標識として機能し得ないものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、看護師の仕事に関する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するとした上で、本願商標が同法第3条第2項の要件を具備しない旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記第1のとおり、「看護のお仕事」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、「傷病者に手当てをしたり、その世話をしたりすること。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]を意味する「看護」の文字と、仕事を丁寧に表したものといえる「お仕事」の文字を、助詞の「の」を介して結合させたものであり、その構成全体として「看護に関する仕事」を容易に理解、認識させるものである。
そして、別掲1に示すとおり、求人情報の提供及び職業のあっせんの分野においては、例えば「保育のお仕事」「受付のお仕事」のように、職種や業務内容を丁寧な表し方で「○○のお仕事」(○○には職種等が入る。)と表示することが、広く行われている実情が認められる。さらに、「看護のお仕事」の文字は、原審で示した証拠の外にも、別掲2のように、看護に関する仕事や職種であることを表す語として使用されていることから、本願商標を、その指定役務について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その役務の内容が「看護に関する仕事」であることを表示するものとして認識するにとどまるといえる。
そうすると、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものといえる。
2 商標法第3条第2項該当性について
請求人は、たとえ本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当したとしても、本願商標は、同法第3条第2項の要件を満たしているから登録されるべきである旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証を提出している。
そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備しているか否かについて以下、検討する。
(1)商標法第3条第2項の趣旨について
登録出願に係る商標が、商標法第3条第2項の要件を具備し、登録が認められるか否かは、実際に使用している商標及び商品若しくは役務、使用開始時期、使用期間、使用地域、当該商品又は役務の供給量、並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用された結果、判断時である査定時又は審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものと認められるか否かによって決すべきものであると解される。そして、同項は、本来的に自他商品又は自他役務の識別力がなく、特定人の独占にも馴染まない商標について、特定の商品又は役務に使用された結果として自他商品又は自他役務の識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外規定であり、実際に商品又は役務に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないとされ、登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることを考慮すると、厳格に解釈し、適用されなければならないとされている(知財高裁平成18年(行ケ)第10054号 平成18年6月12日)。同項を適用するには出願商標と使用商標とは同一でなければならず、また、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識できない地域や地方がある場合も同項に該当するということはできないとされている(東京高裁平成10年(行ケ)第74号 平成10年11月26日、東京高裁平成11年(行ケ)第101号 平成12年4月13日)。
(2)本願商標の商標法第3条第2項該当性について
ア バス、自動車、電車の交通機関を利用した広告(甲1及び甲2)は、福岡市、福岡都心100円バス、多々良・八田線、御堂筋線、都営大江戸線、都営新宿線及び都営浅草線とされているところ、これに接する者は、その利用者や周辺地域に限られると考えられることを考慮すると、これをもって、それ以外の地域の取引者、需要者に周知となっているということはできない。また、請求人は、広告の範囲、期間等について主張するのみであり、その事実を裏付ける具体的な証拠は何ら提出していない。
イ 請求人は、携帯電話の公式サイトランキングで請求人のサイトが上位を獲得していること(甲3)、インターネットの検索エンジンであるGoogleの検索窓に「看護の」の文字まで入力すると「看護のお仕事」が一番に表示されること(甲4)、「看護のお仕事」の語をキーワードとするインターネットの複数の検索ではいずれも1位であり、「看護 仕事」の語をキーワードとして、Googleの検索を行うと3位に表示されること(甲5)、著名なメディアを含め多数のメディアで紹介されていること(甲6)、Google検索において「看護のお仕事」の語をキーワードとする検索件数が2014年1月には約3000件近くになっており、2013年3月時点約1300件の倍くらいになっていること(甲9)、同じ業界のトップである「ナース人材バンク」のサイトとのアクセス解析比較(甲10)によれば、請求人のサイトは、該サイトとグローバルランク、カントリーランクではほぼ同等であり、訪問数は請求人サイトが上まわっていることなどを述べ、請求人の運営する本願商標を使用したサイトの知名度が高い旨主張している。
しかしながら、これらの証拠によっては、請求人が本願商標を如何なる役務に使用しているのか明らかにされておらず、かつ、提出された証拠はいずれも不鮮明であって、請求人が本願商標を使用していることを把握することができない。
また、インターネットによる検索とは、検索する本人が、その必要性、あるいは関心があって行われる行為であり、その文字にそもそも必要性、関心がない人にとっては全く目にすることがない場合が多いことを踏まえるならば、テレビや新聞の宣伝、広告等とは異なり、単に検索結果が上位に表示されること等をもって、取引者、需要者の間に広く認識されているとはいい難いものである。
ウ 請求人は、日本の著名女優・ファッションモデルにより、動画サイト(YouTube)で広告を行い(甲7)、また、該女優を請求人のサイトのトップページやFacebookでも起用し(甲8)、本願商標の知名度を上げている旨主張しているが、インターネットによる広告等は、テレビや新聞とは異なり、これに接する者は、該サイトにアクセスした者に限られることからすれば、本願商標が取引者、需要者において周知となっているとはいえないものであり、加えて、請求人は、上述の広告等の開始時期、期間等その詳細について何ら明らかにしていない。
エ 請求人は、請求人の本社及び支社(9カ所)の所在地を示し(甲12)、該本社及び支社は、北海道から九州まで広く各地に点在して活動しており、特定地域のみならず日本全国に認知されていると主張するが、提出された証拠によっては、本願商標の使用を把握することができず、また、その営業実績等も明らかにされていないことから、単に営業所が国内に複数存在することのみをもって、本願商標が、日本全国に広く認識されているとはいえないものである。
オ 外部調査会社を利用したアンケート調査結果(甲13)については、看護師転職サイトを利用した者に対して、主要サイトの中から、実際に利用した(登録のみを含む)サイトを聞いたものとされているが、その内容は利用したサイトを提示された選択肢の中から選ぶにすぎないものであって、需要者の本願商標の認識度を調査したとはいえないものであり、かつ、その有効回答数もわずか369件と多いものではない。
カ 以上アないしオを踏まえるとともに、上記(1)のとおり、「看護のお仕事」の文字が看護に関する仕事や職種を表す語として種々使用されている実情があることをも勘案するならば、本願商標が請求人の運営するインターネットのサイトにおいて使用されているとしても、その指定役務に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至ったものとは認めることができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものであるとする請求人の主張は、採用することができない。
3 商標法第4条第1項第16号該当性について
本願商標の指定役務は、上記第1のとおり補正された結果、本願商標は、役務の質の誤認を生じないものとなったから、本願商標が、商標法第4条第1項第16号に該当するとした拒絶の理由は解消した。
4 まとめ
以上のとおりであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するとはいえないものであるから、登録をすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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