Trademark Appeal Case
結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900069(T2013−900069/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5544516号商標(以下「本件商標」という。)は、「オタク婚活」の文字を標準文字で表してなり、平成24年1月24日に登録出願、第45類「結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,インターネット上でのウェブサイトを利用した異性の紹介及びこれに関する情報の提供,インターネットを利用した結婚に必要な情報の提供」を指定役務として、同年12月6日に登録査定、同月21日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第7号に該当し、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号について
本件商標は、「オタク」の文字と「婚活」の文字とを結合したものであるところ、「オタク」とは、アニメ・漫画・ゲーム・アイドルなどを愛好する人たちのことを表し、「婚活」とは、結婚活動により理想の相手を見つけ出すことを表すものであるから、「オタク婚活」の文字は、その構成全体として、広い意味でアニメ・漫画・ゲーム・アイドルなどを愛好する人たちの婚姻活動を表すものである。
また、「オタク婚活」の文字は、インターネット上で検索すると、上記意味合いを表す文字として、数え切れないほど検索されるので識別力はない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第7号について
少子高齢化が進む日本において、「婚活」は、少子化を防止する第一歩の対策の意味合いもあるところ、「オタク婚活」の文字は、婚活においては共有の語であることから、該文字からなる本件商標を一私企業に独占させることは、公益を害するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号該当する。
3 本件商標に対する取消理由
本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、平成25年8月19日付けで通知した本件商標の取消理由は、要旨別掲のとおりである。
4 商標権者の意見
(1)本件商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
ア インターネット情報及び新聞記事情報について
前記3の取消理由(別掲)におけるインターネット情報中、ア−(ア)及びア−(イ)には、「オタク婚活」の文字が用いられているが、これが「オタク向けの結婚活動」を示す文字であるのか、それとも、商標権者の商標を示すものであるのかを区別することができず、また、同取消理由における新聞記事情報には、「オタク婚活」の文字が用いられていないことからすれば、これらの情報をもって、「オタク婚活」の文字が「オタク向けの結婚活動(オタクの婚活)」を示す語として用いられていた実情の根拠とするには不十分である。
イ その他の証拠文献について
上記ア以外の証拠文献において、たとえ、「オタク婚活」の文字が、「オタク向けの結婚活動(オタクの婚活)」を示す語として用いられているとしても、該文字は、広辞苑や大辞林、現代用語の基礎知識等に掲載されておらず、一般的に普及されているものとはいえない。
ウ 「○○(対象者)」の文字と「婚活」の文字との結合の意味について
「婚活」の語の前にその対象者を表す語を結合すると、「○○(対象者)向けの結婚活動」を意味する語となるという慣行があると一般的に認められない。
エ 小括
以上より、本件商標が「オタク」と「婚活」を結合して一連に表したものであるとしても、一般需要者が本件商標を初めて見た場合、「オタク向けの結婚活動」という意味を有する文字と認識せず、「オタク婚活」を造語として認識することが一般的である。
したがって、本件商標は、識別力を有する商標であり、商標法第3条第1項第3号には該当しない。
(2)本件商標の商標法第3条第2項該当性について
商標権者は、2011年6月頃から本件商標を用いた事業を展開し、東京の日本橋、新宿、池袋及び秋葉原のほか、京都や大阪でもオタク婚活パーティーを開催しており、2013年9月現在、開催数は630回を数え、延べ25,200人もの者が利用している。該パーティーは大変人気があり、仙台、新潟、名古屋、福岡でも開催が予定されている。
そして、商標権者は、本件商標を用いてインターネットを利用した事業も展開しており、登録者数は、2013年9月現在、1,500人を超えている。
また、商標権者の上記各事業は、以下のア〜エのとおり、多数のメディアで大きく取り上げられたほか、インターネット上でも多数掲載されて、注目を集めていることに加え、商標権者は、本件商標の登録後、「オタク婚活」が、登録商標であることをウェブサイトにおいて明示して事業を展開していることから、本件商標は、商標権者の商標として全国的に周知なものとなっている。
したがって、本件商標は、商標法第3条第2項の要件を満たしているものである。
ア テレビ放送(乙1)
2012年5月31日、全国ネット放送のフジテレビの番組「とくダネ!」(平均視聴率は、10%程度)において、商標権者の事業が報道され、「オタク婚活」の文字が大きく紹介された。
イ 新聞報道(乙2)
2012年6月4日付けの日経流通新聞(発行部数は、25万部超)において、商標権者の事業が取り上げられた。
ウ 雑誌等(乙3〜乙10)
2012年6月15日号の週刊朝日(発行部数は、21万部超)において、商標権者の事業に係る記事が掲載された(乙3)ほか、多数の雑誌等で該事業が取り上げられた(乙4〜乙10)。
エ インターネット(乙11)
インターネット上の「J−CASTニュース(2011年6月19日)」、「Japan Internet.com(2011年6月10日)」、「婚活ナビ(2012年3月24日)」、「アニメイトTV(2012年11月30日)」、「ニコニコニュース(2012年5月31日)」、「メンジョイ!(2012年10月23日)」及び「Rocket Punch News(2011年9月26日)」(以上は、本件商標の登録査定日以前に掲載であることが分かる情報)ほかの各ウェブサイトにおいて、商標権者の事業が多数掲載された。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標について通知した前記3(別掲)の取消理由は、妥当なものと認められるから、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものといわなければならない。
(2)取消理由に対する商標権者の意見に対して
商標権者は、本件商標は、識別力を発揮し得る商標であると主張しているが、以下のア及びイに示すとおり、いずれも採用することができない。
ア 商標法第3条第1項第3号該当性について
商標権者は、「オタク婚活」の語が、新聞記事情報、広辞苑、大辞林及び現代用語の基礎知識等に不掲載であるから、該語が「オタク向けの結婚活動」を示す用語として一般的に普及しているとはいえない旨主張している。
併せて、商標権者は、「婚活」の語の前にその対象者を表す語を結合すると、「○○(対象者)向けの結婚活動」を意味する語となるという慣行があると一般的に認められないから、たとえ本件商標が「オタク」と「婚活」の各文字を結合して一連に表したものであるとしても、これに接した一般需要者が「オタク向けの結婚活動」という意味を有する文字と認識せず、造語として認識することが一般的である旨主張している。
しかしながら、本件商標の登録査定時において、「オタク」及び「婚活」の各語の有する意味は、前記3の取消理由(別掲)において示したとおりであって、該各語を結合して一連に表したにすぎない本件商標に接する取引者、需要者は、該両語の有する意味から、本件商標が、「オタク向けの結婚活動(オタクの婚活)」の意味合いを表したものであると認識、理解するとみてもなんら不自然ではないこと及び、本件商標の登録査定時において、実際にオタクと称される人達向けの「結婚するための活動(婚活)」の機会や場を提供する事業等が一般に行われており、該活動を示す用語として、「オタク婚活」の文字(語)が用いられていた実情を併せ考慮すると、「オタク」及び「婚活」の各語を一連に書してなる本願商標からは、「オタクの婚活(オタクの結婚するための活動)」の意味合いをもって取引者、需要者に認識されるにとどまっていたものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定役務に使用するときは、その役務の質(内容)・用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、ある商標が、「役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、該商標に接する取引者、需要者が、役務の質を表示したものと一般に認識することをもって足りるというのが相当であるから、たとえ「オタク婚活」の語そのものが、新聞記事情報、広辞苑、大辞林及び現代用語の基礎知識等に不掲載であるとしても、これをもって本件商標が識別力を有しているものということにはならない。
イ 本件商標の商標法第3条第2項該当性について
商標権者は、本件商標を用いた事業として、2011年6月から2013年9月までの間、東京の日本橋、新宿、池袋及び秋葉原のほか、京都や大阪でも630回の婚活パーティーを開催(延べ25,200人利用)したこと、また、インターネットを利用した事業も展開し、そこには、本件商標の登録後、これが登録商標である旨を明示していること、さらには、多数のメディアに商標権者の事業が大きく取り上げられたこと等から、本件商標は、商標権者の商標として全国的に周知なものとなっているとし、本件商標の登録査定日以降の状況を含めた乙各号証を提出し、本件商標は、商標法第3条第2項の要件を満たしており、自他役務の識別力を発揮し得る商標である旨主張している。
しかしながら、商標権者の提出に係る乙各号証によれば、商標権者が2011年6月から「オタクの婚活(オタクのための結婚するための活動)」に係る事業を開始し、2012年の5月及び6月には、1のテレビ番組及び新聞、並びに少数の雑誌において、該事業の紹介がされたほか、2011年6月以降、複数のウェブサイト上に該事業に関する記事が掲載されたことはうかがえるものの、その内容は、主に商標権者が「オタクの婚活(オタクのための結婚するための活動)」のためのパーティーを開催していること及びその開催に係る「アルエラ」と称するウェブサイトを運営していることの紹介にとどまるものであり、また、商標権者が主張するパーティーの開催数等の実績を具体的に裏付ける事実は見いだせない。
さらに、前記3の取消理由(別掲)において示した事実によれば、本件商標の登録査定時(平成24年12月6日)前において既に、オタク向けの婚活の機会や場を提供する事業等が一般に行われ、該婚活を示す用語として、「オタク婚活」の文字が用いられていた実情が認められる。
してみれば、本件商標が使用された結果、その登録査定時において、本件商標が商標権者の業務に係る役務を表示するものとして、需要者が認識するに至っていたと認めることができないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第2項に該当するものと認めることができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。
よって結論のとおり決定する。
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