Trademark Appeal Case
商標の要部抽出と類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900433(T2013−900433/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5620884号商標(以下「本件商標」という。)は、「BLUE WINDY」の文字を標準文字で表してなり、平成25年5月30日に登録出願、第14類「キーホルダー,身飾品,時計」、第16類「紙類,文房具類」、第18類「皮革製包装用容器,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘」、第24類「布製身の回り品」、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」、第34類「たばこ,喫煙用具,マッチ」、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、第41類「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同年9月5日に登録査定、同年10月4日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する登録第5060674号商標(以下「引用商標」という。)は、「WINDY」の文字を標準文字で表してなり、平成19年1月16日に登録出願、第14類「時計」及び第34類「ライター,その他の喫煙用具」を指定商品として、同年7月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第34類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標について
申立人は、米国法人であり、ライターなどを全世界に製造販売しており、当該ライターは、Zippo(ジッポー)として世界的に著名である。引用商標は、第14類「時計」及び第34類「ライター,その他の喫煙用具」を指定商品として、登録がなされたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「BLUE WINDY」の標準文字よりなるのに対し、引用商標は、「WINDY」の標準文字よりなるものであり、両商標は、「WINDY」の文字が共通する。
本件商標の構成中の「BLUE」の文字は、「青」の意味の英語であり、色の名称であることを需要者・取引者は容易に認識できる。加えて、「BLUE WINDY」の文字全体として特定の観念も無い。したがって、「BLUE」の文字部分は、商品の色彩、品質などを表示するものとして理解されるため、自他商品の識別力は無く、「WINDY」の文字部分をもって取引に資されることも多く、「WINDY」の文字部分が本件商標の要部である。さらに、後述の(3)アのとおり、「WINDY」の文字は、申立人の著名なライター「Zippo」のキャラクターの通称として世界的に著名なものであるため、本件商標の構成中の「WINDY」の文字部分は、独立して需要者・取引者に認識される。
したがって、両商標は、外観、称呼、観念において「WINDY」の文字を共通とし、相紛らわしい類似の商標である。
また、本件商標の指定商品中、第14類「時計」及び第34類「喫煙用具」は、引用商標の指定商品、第14類「時計」及び第34類「ライター,その他の喫煙用具」と類似することは明らかであり、これら商品について、互いに同一又は類似の商標を使用した場合、現実に出所の混同を生じるものである。
よって、本件商標と引用商標とは類似することは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標は、申立人の著名なライター「Zippo」のキャラクターの通称として世界的に著名なものである。
すなわち、申立人の著名なライター「Zippo」(以下「ジッポーライター」という。)は、1932年アメリカ合衆国ペンシルヴェニア州ブラッドフォードに設立されたZippo Manufacturing Companyの製造販売に始まる。このライターは防風機能を有し、どんな強風化でも着火するオイルライターとして、また、「どんな状況下、年数を経ていても、もし火がつかなかったら無料で直します」の宣言どおり、永久保証制を採用し、1932年の発売開始以来、延べ約4億個に及ぶ製品を世界中に提供している。また、第二次世界大戦中は、米軍の支給品に指定され、全製品が政府買上げにより、年間300万個を生産、現在も米軍兵士の個人装備品として支給されるライターFは同社製品である。さらに、1935年からは、このライターに発注会社の社名・マーク・メッセージなどを刻印して製品とする「名入れ」サービスを始め、ライターのボディに絵画のキャンバスの如く絵入りを行うシリーズを発売、今日では、これによる製品が全生産量の40%程を占め、これらのコレクションにはプレミアムがつき、雑誌、各地で催されるオークション、展示会、インターネット市場などを賑わしている。このように、これらジッポーライターは、1932年以後、70年以上に亘って世界中で販売され続けてきた。
ジッポーライターの発明者であり創業者の一人が、1935年当時、チャーミングな作風で米軍を中心に人気を集めていたアルベルト・バルガスのピンナップシリーズのキャラクターを使って、風に強いライターの性能を宣伝することを思いつき、エノック・ボールズが、髪もスカートも風にたなびく中でライターを手にするバルガ調の女性キャラクター(以下「女性キャラクター」という。)を完成させた。女性キャラクターは、「WINDY」と名付けられて、創業当時からジッポー社の広告に登場している(甲第3号証の1ないし4)。
その後、女性キャラクターは、ジッポーライターのボディに刻まれるなどの方法により描かれると共に、当該ライターは、「WINDY」「ウィンディ」モデルや1930年頃のレプリカ、あるいは関連キャラクター商品等として製造販売されてきた(甲第4号証の1ないし15)。ウィンディモデルの販売数は、我国だけでも12,000個以上にも及び、今も全世界で販売が続けられている(甲第5号証)。更に、世界中で「WINDY」キャラクターを使用した宣伝広告が行われている(甲第6号証の1ないし7)。
以上のとおり、引用商標は、申立人の宣伝広告媒体に使用され、また、ライターに描かれて、申立人の業務に係る商品の商標として、本件商標の登録出願前にすでに世界的に著名なものとなっていた(甲第7号証)。
なお、「WINDY」の文字及び女性キャラクターの商標は、外国ブランドの模倣商品の輸入、製造及び流通を阻止するため、政府関係機関等の模倣品に関する照会や相談の便に供するために刊行されている、財団法人対日貿易投資交流促進協会(ミプロ)発行「外国ブランド権利者名簿」に2008年から現在に至るまで掲載されている(甲第8号証の1ないし7)。
イ このように世界的に著名な申立人のWINDYキャラクターを意味する「WINDY」の文字を含む商標を、他者が商標として使用すれば、第34類の「喫煙用具」などの指定商品は勿論、身飾品や文房具、かばん類、布製身の回り品、被服などキャラクター商品として一般的な本件商標の指定商品や、キャラクターが用いられる映画などの興業の企画や飲食物の提供などの指定役務において、申立人の業務に係る商品、あるいは申立人と組織的・経済的に何等かの関係がある者の役務であると混同が生じるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知・著名性について
ア 申立人は、引用商標がジッポーライターのキャラクターの通称として世界的に著名なものである旨主張し、その証拠方法として甲第3号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出している。
申立人の提出した証拠によれば以下の事実が認められる。
(ア)甲第3号証の1は、岡本信義発行の「ZIPPO MAGAZINE ADVERTISING IN JAPAN 1976−1997」の印刷物の表紙及び週間文春1993年6月分広告掲載ページとされるものであるところ、説明文中に「1935年のある日・・・名付けて『ウィンディ』、永遠のジッポー・ガールの誕生の瞬間だった・・・」の記載がある。
(イ)甲第3号証の2ないし4、甲第4号証の1ないし15及び甲第6号証の1ないし6は、申立人のライターに関するインターネット記事、カタログ、パンフレット、雑誌などであるところ、それらに表示されたライターや宣伝広告において、女性キャラクターの図柄を採用していること、また、1930年頃のライターのレプリカが販売されたことが認められる。
しかしながら、女性キャラクターと「WINDY」の文字の双方の表示が確認できるものは、甲第4号証の1(2000年版のカタログ)、同号証の3(2007年版のカタログ)、同号証の4(2008/9年版のカタログ:米国で印刷)及び同号証の15(年不明:英語)並びに甲第6号証の1(ポルトガルで配布されたパンフレット)、同号証の2(スペインで配布されたパンフレット)、同号証の5(米国で発行された雑誌)及び同号証の6(米国で発行された雑誌)のみであり、また、「WINDY」以外の「WINDY GIRL」(甲第3号証の2及び甲第4号証の6)、「ガール柄」(甲第4号証の12)の文字も使用されている。そして、日本語によるものは、甲第4号証の1ないし3及び12ないし14のみであり、他は、全て外国語によるものである。
(ウ)甲第5号証は、「WINDY商品の2007年〜2013年までの全世界における販売実績データ」とされるものであるところ、日本、米国及びそのほかの複数の国において商品が販売されたことが記載されているが、この7年間における日本での販売数は、3281Unitsである。また、この一覧に記載されている表示は、「WINDY」のほかに、「WINDY GIRL」「MAZZI WINDY」などが多数存在しているから、「WINDY」として販売された商品の販売数や金額は不明である。
(エ)甲第6号証の7は、「ZIPPOカタログの2008年〜2013年までの全世界配布数データ」とされるものであるところ、これによれば、日本における2008年〜2014年の間の配布数は2516であるが、カタログの内容、配布場所等は不明である。
(オ)甲第7号証によれば、申立人により、1990年代に、女性キャラクターをデザインしたライターが販売されたことは認められるが、「WINDY」の表示を確認することができない。
イ 以上のことからすると、1935年頃に、ジッポーライターの販売において、女性キャラクターの使用を開始したこと、女性キャラクターを「ウィンディ」と名付けたこと、1930年頃のレプリカとして女性キャラクターを使用したライターを販売したこと、長年女性キャラクターを表示したライターを販売したことなどは認められるものの、女性キャラクターが必ず「WINDY」と称されているということはできない。しかも、「WINDY」の文字を使用したジッポーライターは、多くのライターに混じってカタログ等に表示されているにとどまるものであって、これらをもって、看者に「WINDY」の文字が強く印象付けられるということもできない。また、上記ア(イ)のとおり、申立人のライターに関するインターネット記事、カタログ、パンフレット、雑誌などの申立人提出の証拠の多くが外国語によるものであるから、これらの証拠をもって、引用商標がジッポーライターの女性キャラクターの通称又は申立人のライターを表示するものとして、我が国の需要者に知られるに至ったとは考え難い。その他、我が国における広告・宣伝の内容、回数、地域等が不明であるし、我が国における引用商標を使用した商品の販売数等も不明である。
したがって、申立人が提出した証拠によっては、我が国において、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、引用商標がジッポーライターの女性キャラクターの通称として取引者、需要者の間に広く認識されているとまでは認めることはできず、また、引用商標が申立人のライターを表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていると認めることもできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「BLUE WINDY」の欧文字を標準文字で表してなるところ、「BLUE」の文字と「WINDY」の文字との間に、一文字分程度の間隔を有するものの、両文字は、同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体に表してなるものであって、その全体より生ずる「ブルーウィンディ」の称呼も冗長とまではいうことができないものであり、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、上記(1)のとおり、引用商標が周知・著名であるとはいえないものであることをも勘案するならば、上述のとおりの構成及び態様からなる本件商標において、殊更にその構成中の「WINDY」の文字部分のみが看者に強い印象を与え、該文字部分をもって取引に資されるとすべき理由は見いだし得ない。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体をもって取引に資されるというのが相当であるから、その構成文字に相応して、「ブルーウィンディ」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないものといえる。
イ 引用商標
引用商標は、「WINDY」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「ウィンディ」の称呼を生じ、「風のある、風が強い」という観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の対比
本件商標と引用商標の類否について検討すると、本件商標より生じる「ブルーウィンディ」の称呼と引用商標より生じる「ウィンディ」の称呼は、その構成音数において明らかな差異を有し、全体の語調、語感も相違するものであるから、本件商標と引用商標は、称呼上、明らかに区別できるものである。
次に、外観においては、本件商標と引用商標は、それぞれ前記の構成からなるものであるから、明らかに区別し得る差異を有するものであり、外観において相紛れるおそれはないものである。
そして、観念においては、本件商標は、特定の観念が生じないものであるのに対して、引用商標は、「風のある、風が強い」という観念を生じるものであるから、両者は、観念においても相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれがない非類似の商標ということができる。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、その指定商品「たばこ,喫煙用具,マッチ」が引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていた商標ということはできないものであり、また、本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、その指定商品中、「たばこ,喫煙用具,マッチ」に使用しても、それに接する取引者、需要者が、引用商標を想起又は連想することはないというべきであるから、該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第34類「たばこ,喫煙用具,マッチ」について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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