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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と造語の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2014−5314(T2014−5314/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「PIENO」の欧文字を標準文字で表してなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成24年11月27日に登録出願されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の2件の登録商標(以下、2件をまとめていうときは「引用商標」という。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第4825684号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成16年4月30日に登録出願、第43類「イタリア料理の提供」を指定役務として、同年12月17日に設定登録されたものである。

(2)登録第5171688号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成19年7月19日に登録出願、第43類「イタリア料理の提供」を指定役務として、同20年10月10日に設定登録されたものである。

3 当審の判断

(1)本願商標

本願商標は、「PIENO」の欧文字を標準文字で表してなるところ、「PIENO」の文字は、辞書上は「いっぱいの、満腹の」を意味するイタリア語であるとしても、我が国において一般に馴染まれた語とはいえないものであり、該文字に接する取引者、需要者が、これより直ちに上記意味合いを理解するとはいい得ないものであるから、本願商標は、特定の意味合いを看取させない一種の造語と認識されるというのが相当である。

そして、このような造語と認識される欧文字については、その表音が表示されているような場合を除くならば、我が国で親しまれたローマ字の発音に倣って称呼するのが自然といえるから、本願商標は、「ピエノ」の称呼を生じるものである。

(2)引用商標

ア 引用商標1は、別掲1のとおり、ほぼ正方形の輪郭線の中に、上部左側に太陽と思しき図形、中央部左側に白抜きの赤い字で「trattoria」の欧文字、右側に「トラットリア」の片仮名と木と思しき図形、その下方左側に「ピエーノ」の片仮名、その右側に緑字で「Pieno」の欧文字、下部に白抜き状の模様を有する赤色の帯状の図形を配した構成よりなるものである。

そして、その構成中の「trattoria」及び「トラットリア」の文字は、「気楽に入れる大衆向きのレストラン」(コンサイスカタカナ語辞典)を意味するものであり、本願の指定役務との関係においては、店の種類、すなわち、役務の質を表すものといえるから、その文字部分のみでは、自他役務の識別標識としては機能し得ないものといえる。

さらに、その構成中の「トラットリア」の片仮名は、「trattoria」の欧文字の表音と、また、「ピエーノ」の片仮名は、「Pieno」の欧文字の表音と認められるものであるから、引用商標1は、その構成文字の全体に相応して「トラットリアピエーノ」の称呼、「Pieno」の文字部分に相応して「ピエーノ」の称呼が生じるものである。

また、引用商標1は、その構成中の「ピエーノ」及び「Pieno」の文字は、上記(1)に記載のとおりであるから、特定の意味合いが生じないものと認識されるというのが相当である。

イ 引用商標2は、右上に「イタリアン」及び「ブッフェ」の片仮名の赤い文字を2段に書し、また、中央に大きく「Pieno」の欧文字と小さく「ピエーノ」の片仮名をともに青い文字で2段に書してなるところ、その構成中の「イタリアン」の文字は「イタリア風」を、「ブッフェ」の文字は「並んだ料理から好きなものを取って食べる形式」を意味する(広辞苑第六版)ものであり、本願の指定役務との関係において、指定役務の質を表すものといえるから、その文字部分のみでは、自他役務の識別標識としては機能し得ないものであるというのが相当である。

そして、その構成中の「ピエーノ」の片仮名は「Pieno」の欧文字の表音と認められるものであるから、引用商標2は、その構成文字の全体に相応して「イタリアンブッフェピエーノ」の称呼、「Pieno」の文字部分に相応して「ピエーノ」の称呼が生じるものである。

また、引用商標2は、「ピエーノ」及び「Pieno」の文字が、上記(1)に記載のとおりであるから、特定の意味合いが生じない一種の造語と認識されるというのが相当である。

(3)本願商標と引用商標の類否

ア 引用商標1との対比について

本願商標と引用商標1は、それぞれの外観が、上記(1)及び(2)のとおりの構成であって、全体としては、図形の有無、「trattoria」及び「トラットリア」の文字の有無、色彩の有無など明らかな差異を有するものであるから、外観においては、明らかに区別し得るものである。

また、称呼においては、本願商標から生じる「ピエノ」の称呼と引用商標1から生じる「ピエーノ」の称呼とは、第3音の長音の有無が相違するのみであるが、このような簡潔な称呼にあっては、長音の有無も無視できないものといえる。次に、本願商標から生じる「ピエノ」の称呼と、引用商標1から生じるもう一つの称呼である「トラットリアピエーノ」の称呼とは、語頭における「トラットリア」の音の有無、加えて、「エ」の長音の有無という相違があることから、両称呼は明らかに聴別し得るものである。

さらに、観念においては、本願商標と引用商標1は、ともに特定の観念を有しないものであるから、比較することができないものである。

イ 引用商標2との対比について

本願商標と引用商標2は、それぞれの外観が、上記(1)及び(2)のとおりの構成であって、「イタリアンブッフェ」の文字の有無、色彩の有無など明らかな差異を有するものであるから、外観においては、明らかに区別し得るものである。

また、称呼においては、本願商標から生じる「ピエノ」の称呼と引用商標2から生じる「ピエーノ」の称呼とは、第3音の長音の有無が相違するのみであるが、このような簡潔な称呼にあっては、長音の有無も無視できないものといえる。次に、本願商標から生じる「ピエノ」の称呼と、引用商標2から生じるもう一つの称呼である「イタリアンブッフェピエーノ」の称呼とは、語頭における「イタリアンブッフェ」の音の有無、加えて、「エ」の長音の有無という相違があることから、両称呼は明らかに聴別し得るものである。

さらに、観念においては、本願商標と引用商標2は、ともに特定の観念を有しないものであるから、比較することができないものである。

ウ 取引の実状

商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品又は役務の取引の実状を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とするものである。(昭和43年2月27日 最高裁昭和39年(行ツ)第110号)

そこで、引用商標に係る取引の実状をみるに、引用商標は、双方とも、その商標権者が株式会社エンコーポレーションであるところ、請求人が提出した証拠(商標権者の閉鎖事項全部証明書)によれば、同社は、平成12年8月1日に設立されたが、同22年4月14日午後5時東京地方裁判所の破産手続開始の登記が、同年4月16日にあり、同年9月30日東京地方裁判所の破産手続終結の登記が、同年10月4日にあったことが認められる。そして、同社の破産手続終結が確定した同年9月30日以降に、同社からの使用許諾を受けた第三者が存在するとか、引用商標を使用していたと認めるに足りる証拠を見いだすこともできない。

エ 小括

本願商標と引用商標とは、上記ア及びイのとおり、本願商標を構成する「PIENO」と同じ綴りの「Pieno」の欧文字が引用商標の構成中に含まれ、その文字部分に相応した称呼の「ピエノ」と「ピエーノ」が長音の有無を異にするだけのものであるとしても、その構成全体の外観や他の称呼、さらには、観念においては相紛れるおそれがないものといえる。

加えて、上記ウのとおり、引用商標の商標権者については、破産手続終結の事情があることを踏まえると、本願商標の登録出願時である平成24年11月27日、拒絶査定時である同25年12月24日、さらに、本件審決時において、引用商標がその正当な権利者(商標権者又はこれから使用許諾を受けた者)によって使用される可能性は極めて低いものといえる。

そうすると、引用商標の商標権者の取引実状を踏まえ、本願商標と引用商標の外観、称呼及び観念を総合的に考察するならば、引用商標と本願商標との間で役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである(平成22年7月21日 知的財産高等裁判所 平成21年(行ケ)第10396号 参照)。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標と引用商標とは、出所の混同を生ずるおそれのない非類似の商標といえるものであるから、たとえ、その指定役務が同一又は類似のものであるとしても、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。

したがって、本願商標が同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消を免れない。

その他、本願についての拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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