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Trademark Appeal Case

不使用取消と商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2004−31532(T2004−31532/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4519236号商標(以下「本件商標」という。)は、「メゾン カシュカシュ」の文字を標準文字で書してなり、平成12年12月12日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,砂糖,はちみつ,食塩,化学調味料,香辛料,米,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,氷,酒かす」を指定商品として、同13年11月2日に設定登録されたものである。

そして、本件審判の請求の登録は、同16年12月16日にされたものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、「本件商標の『菓子及びパン』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中「菓子及びパン」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がない。

よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由

(ア)「答弁書」及び乙第1号証ないし乙第3号証によると、通常使用権者が商品「チョコレートプリン」にローマ字の二段書きで「MAISON/Cache−Cache」の商標(以下「使用商標」という。)を使用していることが理解できる。

また、乙第4号証及び乙第5号証からは、本件審判の請求前3年以内の使用商標の使用が推察できる。

(イ)しかしながら、本件商標と使用商標の態様が次の2点で異なっている。

本件商標は、片仮名で「メゾン カシュカシュ」であるのに対して、使用商標は、ローマ字で「MAISON/Cache−Cache」であるのが1点。

本件商標は、横一連であるのに対して、使用商標は、「MAISON/Cache−Cache」の二段表記、かつ「MAISON」の文字が小さいことが2点目の違いである。

(ウ)そこで、使用商標の使用が本件商標の使用かどうかについて、すなわち本件商標と使用商標が社会通念上同一かどうかについて述べる。

フランス語が多用される本件指定商品「菓子及びパン」の分野においては、本件商標中の「メゾン」の語は、しばしば店舗名の一部として使用されており、また、その分野以外でもマンション等の建物の名称に使用されていることから、本件商標中の「メゾン」の語は、フランス語で「家・自家製・当店製・すばらしい出来の」の意味の「MAISON」(甲第4号証)の表音であることを認識することは、容易ではないが可能といえるものであり、また、その逆に使用商標中の「MAISON」の称呼が「メゾン」であることについても、そのように認識することは、同じく可能であると推察する。

しかしながら、本件商標中の「カシュカシュ」の語が、フランス語で「隠れんぼ」を意味する「Cache−Cache」(甲第4号証)の表音であることを認識することは、「Cache−Cache」の語自体はフランス語ではあっても「菓子及びパン」の商品分野とは全く関連性のない語であるし、また、一般的に認知されていない語であることから不可能であると考える。

というのも、使用商標中の「Cache−Cache」は、普通の日本人であればローマ字読み風に「カチェカチェ」と称呼するのが自然であり、若しくは、あえて欧文字読み風で称呼するとしても、近年普及しているパソコン用語の「cache(キャッシュ)」や「cache memory(キャッシュ メモリー)」の読みに倣って「キャッシュキャッシュ」と称呼するのが限界であるからである(甲第5号証及び甲第6号証)。

また逆に、本件商標中の「カシュカシュ」から想像されるローマ字風の綴りは「Cashu−Cashu」や「Kashu−Kashu」とするのが自然である。

よって、本件商標中の「カシュカシュ」の語は、フランス語で「隠れんぼう」の意味の「Cache−Cache」の表音であることを認識することは不可能であるし、また、その逆に使用商標中の「Cache−Cache」の称呼が「カシュカシュ」であることについても、そのように認識することは、同じく不可能であると考える。

使用商標は、「MAISON/Cache−Cache」であり、フランス語であることが認識可能な「MAISON」の部分の下段に表示されている「Cache−Cache」の部分までもがフランス語として注意をもって認識されるかどうかは、日本における「メゾン・・・・」の使用例にしばしば見受けられるように「メゾン」に続く語が必ずしもフランス語でないことから疑問であるし、認識されるとしても通常の日本人の語学力では「カシュカシュ」と「Cache−Cache」の双方の置き換えは無理である。

以上述べたことからすると、本件商標と使用商標とは、同一の称呼が生じるものではないので、使用商標と本件商標とは、社会通念上同一ではない。

(エ)また、本件のケースと似通った事例において、登録商標と使用商標とが社会通念上同一ではないとして、不使用取消審判が成立した審決を甲第7号証ないし甲第10号証として示す。

(オ)また、本件商標は、横一連であるのに対して、使用商標は、「MAISON/Cache−Cache」の二段表記であり、かつ、使用商標中の「MAISON」部分は「Cache−Cache」部分よりも小さく表示されており、その意味合いは本件使用商品の性質からすると「自家製」であって、本件使用商品の品質を示す部分である。

そうとすると、仮に「Cache−Cache」の語がフランス語であると認識されたとしても、使用商標から生じる意味合いは、それぞれ「MAISON」は「自家製」、「Cache−Cache」は「隠れんぼう」であり、その二段書きの態様から、互いの意味合いは看者をして独立して認識される。

一方、本件商標は、横一連に「メゾン カシュカシュ」であり、仮に本件商標がフランス語であると認識できたとしたら、その横一連の態様から、「メゾン」の意味合いと「カシュカシュ」の意味合いが複合し「隠れ家」といった意味合いが生じる場合がある。

そうとすると、本件商標と使用商標とは同一の観念が生じるものではないので、使用商標と本件商標とは社会通念上同一ではない。

(カ)上述のごとく、答弁書によっては、本件商標が、その指定商品中「菓子及びパン」について、継続して3年以上日本国内において使用された事実が示されていない。

よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。

(1)被請求人は、株式会社ニチロ東京支社(以下「ニチロ東京支社」という。)と、「メゾン カシュカシュ」ブランド常温ギフトの販売に関する「覚書」を交わしている(乙第1号証)。

この覚書によれば、「『メゾン カシュカシュ』常温ギフト」は、株式会社伊勢丹(以下「伊勢丹」という。)及びメゾンカシュカシュ、アラジン店内で販売するとされており、期間については、「2000年10月1日〜2001年9月31日」とあるが、さらに「期間満了1ヶ月前迄に甲乙双方から何らかの申し出がない場合には、更に1ヵ年延長するものとし、以後も同様とする。」旨の取決めがなされている。

本覚書に関し、現在まで双方から何らの申入れもされていないので、本覚書の内容は現在も有効である。

したがって、ニチロ東京支社は、2000年10月以降現在に至るまで、実質的に本件商標についての通常使用権を有する者に該当している。

(2)ニチロ東京支店は、本件商標を付した「チョコレートプリン」及び「「『メゾン カシュカシュ』常温ギフト」、すなわち本件審判請求に係る指定商品「菓子及びパン」を伊勢丹で販売していた。

このことは、「2002 伊勢丹の贈り物 ISETAN winter gift」(乙第2号証)中の「有名レストランデザート味くらべ」の写真左端の「チョコレートプリン」のパッケージに商標「Maison Cache−Cache」の文字が表示されていること、このチョコレートプリン」のパッケージの見本にも商標「Maison Cache−Cache」が記載されていること(乙第3号証)から明らかである。

なお、商標法第50条第1項における登録商標には、平仮名、片仮名及びローマ字の文字表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標を含む旨規定されているので、チョコレートプリンのパッケージに記載の商標「Maison Cache−Cache」の使用は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の使用に該当する。

また、「02’中元期ギフトアイテム展開図(伊勢丹)」(乙第4号証)には、「カシュカシュチョコレート」の文字があり、2002年の中元期、すなわち2002年の夏頃には、伊勢丹において、中元用ギフトセットの一部として「メゾン カシュカシュ」ブランドのお菓子が販売されていたことがわかる。

さらに、2003年1月から2003年3月までの『「メゾン カシュカシュ」ブランド常温ギフト』のニチロ東京支店から伊勢丹への販売実績(乙第5号証)には、「チョコレートプリン」を含む「『メゾン カシュカシュ』常温ギフト」の販売状況が記載されている。

したがって、少なくとも2003年3月までは、ニチロ東京支社から伊勢丹へ、商標「メゾン カシュカシュ」を付した「チョコレートプリン」を含む「『メゾン カシュカシュ』常温ギフト」が販売されていたことになる。

(3)このように、本件商標は、実質的な通常使用権者であるニチロ東京支社により、審判請求の登録前3年以内において、その請求に係る指定商品「菓子及びパン」について使用されている。

(4)以上の次第であるので、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当しない。

4 当審の判断

(1)本件商標は、前記のとおり「メゾン カシュカシュ」の文字よりなり、該文字に相応して「メゾンカシュカシュ」の称呼を生じるものである。

また、これを観念の点よりみると、構成中の「メゾン」の文字部分が「家(建物)」を意味するフランス語の「maison」を仮名文字で表したものと解することができる。そうすると、「カシュカシュ」の文字に相当するフランス語は「かくれんぼ」を意味する「cache−cache」である。しかしながら、「メゾン カシュカシュ」の文字あるいは「maison cache−cache」の文字全体からは格別の一連の熟語的な意味合いを生ずるものとは認められないから、本件商標は、特定の観念を生じない一種の造語よりなるものと認められる。

(2)被請求人は、ニチロ東京支社と、対象商品を「『メゾン カシュカシュ』ブランド常温ギフト」、期間を「2000年10月1日〜2001年9月31日」、販売先を「伊勢丹及びメゾンカシュカシュ、アラジン店内のみとする」とする「覚書」を交わしていることが認められる(乙第1号証)。

この覚書によれば、期間については、「期間満了1ヶ月前迄に甲乙双方から何らかの申し出がない場合には、更に1ヶ年延長するものとし、以後も同様とする。」旨の取決めがされており、被請求人は、本覚書に関し、現在まで双方から何らの申入れもされていないので、本覚書の内容は現在も有効である旨主張し、ニチロ東京支社は、後述のように、上記期間以降も伊勢丹に上記対象商品を現に販売している事実が認められる(乙第5号証)。

以上によれば、ニチロ東京支社は、2000年10月以降、少なくとも乙各号証に示された期間まで、本件商標の通常使用権者であったといわなければならない。

(3)被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。

(ア)「2002伊勢丹の贈り物 ISETAN winter gift」(乙第2号証)及びチョコレートプリンの包装紙の写真(乙第3号証)によれば、伊勢丹は、2000年の冬期の贈物としてチョコレートプリンと他の商品とを組み合わせたギフトセットを販売しており、該チョコレートプリンには、二段に表された「MAISON」と「Cache−Cache」の両文字からなる商標が表示されている。

(イ)東京支社加工食品部加工食品三課の作成に係る2002年の伊勢丹に販売した中元用ギフトセットの商品構成を示すものと認められる「’02中元期ギフトアイテム展開図(伊勢丹)」(乙第4号証)に「カシュカシュチョコレート」と表記されている。

(ウ)ニチロ東京支社市販用食品一部加工食品三課作成に係る「メゾン カシュカシュ」ブランド常温ギフトに関する伊勢丹への販売状況を示すものと記載された書類(乙第5号証)には、2002年から2003年にかけての伊勢丹への販売状況と、乙第4号証に記載されたギフトセットの記号と符合する「ISD−30」及び「ISD−50」の文字が記載され、「カシュカシュ・イセ」の文字も見受けられる。

(4)以上の事実によれば、本件商標の通常使用権者であるニチロ東京支社は、2002年(平成14年)から2003年(平成15年)にかけて、伊勢丹に「MAISON Cache−Cache」商標が付されたチョコレートプリンを含むギフトセットを販売したことが認められる。

(5)該チョコレートプリンに表示されている上記使用商標である「MAISON」及び「Cache−Cache」の両文字は、フランス語に存在し、他の外国語には見出せない。そして、構成中の「MAISON」の文字は、「家(建物)」を意味する「メゾン」と発音される語であり、また、「Cache−Cache」の文字は、「かくれんぼ」を意味する「カシュカシュ」と発音される語であるから、使用商標の全体をフランス語と捉え、「メゾンカシュカシュ」の称呼を生ずるものということができる。

また、観念の点については、「MAISON Cache−Cache」の文字をフランス語とみても、その全体からは格別の意味合いを生ずるものとは認められないから、使用商標は、特定の観念を生じない一種の造語よりなるものと認められる。

そして、使用商標が表示されているチョコレートプリンのパッケージ(乙第3号証)の表面(前面)にあたる部分に表された欧文字をみると、使用商標のほか、上部に「チョコレートプリン」を意味するフランス語の「Creme renversee au chocolat」の欧文字(「e」の文字の一部に付されているアクサン符号は省略した。)、下部に「フランス料理」を意味するフランス語の「Cuisine Francaise」の欧文字が表されている。

上記のように、チョコレートプリンのパッケージの表面(前面)の欧文字は、使用商標を除き、すべてフランス語で表されているのに加え、請求人も述べるように、菓子・パンの分野においてはフランス語が多用されている取引の実情があり、さらに、「MAISON」、「Cache−Cache」に対応する外国語はフランス語以外に見出せないことを併せ考えれば、該チョコレートプリンに接した取引者、需要者が使用商標をフランス語で表されたものと理解することは、さほど困難であるとは認められず、むしろそのように理解するのが自然であるというべきである。

しかも、上記(3)の(イ)及び(ウ)で認定したように、ニチロ東京支社の作成した書類(乙第4号証及び乙第5号証)には、「カシュカシュ チョコレート」又は「カシュカシュ・イセ」の文字が記載されており、これらの文字中の「カシュカシュ」は、使用商標中の「Cache−Cache」の文字部分を「カシュカシュ」と表記ないしは発音するものと認識して自社の商品を特定するために表示したものと認めるのが相当であって、ニチロ東京支社が伊勢丹との取引の際に、例えば乙第4号証の「’02中元期ギフトアイテム展開図(伊勢丹)」をギフトセットの商品構成などの説明のために提示したであろうことは容易に推認可能というべきであるから、ニチロ東京支社及び伊勢丹の両社とも、「Cache−Cache」の文字は「カシュカシュ」と表記ないし称呼するものと認識していたということができる。

そうとすれば、使用商標に接した取引者、需要者は、これをフランス語で表されているものと認識するというべきであるから、本件商標の通常使用権者であるニチロ東京支社がチョコレートプリンに使用する使用商標「MAISON Cache−Cache」は、「メゾンカシュカシュ」の称呼を生ずるものと認められる。

また、観念については、上記のとおり、使用商標は、特定の観念を生じない一種の造語よりなるものと認められる。

したがって、使用商標は、本件商標と同一の称呼を生ずるものであり、観念については、特定の観念を生じない一種の造語よりなるものであって、異なる観念を生ずるものではないから、両商標は、社会通念上同一のものといわなければならない。

請求人は、使用商標は「MAISON/Cache−Cache」の二段表記であり、かつ、使用商標中の「MAISON」部分は「Cache−Cache」部分よりも小さく表示されており、その意味合いは本件使用商品の性質からすると「自家製」であって、本件使用商品の品質を示す部分であり、仮に「Cache−Cache」の語がフランス語であると認識されたとしても、使用商標から生じる意味合いは、それぞれ「MAISON」は「自家製」、「Cache−Cache」は「隠れんぼう」であり、その二段書きの態様から、互いの意味合いは看者をして独立して認識される旨主張する。

確かに、使用商標は、「MAISON」と「Cache−Cache」の両文字が二段に表され、前者の文字が小さく表示されている。しかしながら、「MAISON」の文字が「Cache−Cache」の文字の左右等距離の上部中央の位置にバランスのよいまとまりをもって配されており、また、文字の大きさにしても、両文字を一体不可分のものと認識することを妨げるほど異なるとも認め難いものであり、全体の構成文字に相応して「メゾンカシュカシュ」の称呼のみを生ずるものというべきである。

観念については、本件商標及び使用商標のいずれも、特定の観念を生じない造語と認められること上記のとおりである。請求人のこの点に関する主張は理由がない。

(6)したがって、本件商標は、審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において通常使用権者により、請求に係る指定商品「菓子及びパン」に含まれる「チョコレートプリン」について使用されていたものであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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