結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2004−89036(T2004−89036/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4706349号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成14年12月2日登録出願、第41類「ダンスの上演,音楽の演奏,演劇の演出又は上演」及び第43類「アルコール飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同15年9月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3327112号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成5年10月14日に登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同9年6月27日に設定登録、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の指定役務中の第43類『アルコール飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供』についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、別掲(1)のとおりであって、その構成中の図形部分は、波を連想させる簡単なものであって、それ自体単独で自他役務の識別標識として機能することはない。また、文字部分中、下段の「COCKTAIL BAR」の文字は、ホテルあるいは空港のカクテルラウンジを意味するものであり、指定役務中、第43類の「アルコール飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」との関係では、当該役務の提供場所であることを示すにすぎず、識別力を発揮しない部分であることは明らかである。
そうとすれば、本件商標は、その要部とみられる「PACIFICA」の文字部分から「パシフィカ」の称呼を生ずるものと解される。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲(2)のとおり、極太とやや太い線からなる二重の四角形の内側に、上段より、「IMPORTED BEER」、「Cerveceria del Pacifico.S.A.deC.V.」、「CERVEZA」、「PACIFICO」、「CLARA」の各文字を配し、さらに、左3分の1程度の箇所に、救命用浮き輪、錨、植物を配した構成よりなる商標であるところ、構成全体で自他役務識別力を有するだけでなく、その構成中の「PACIFICO」の文字部分も独立して自他役務の識別標識として機能し得るというのが相当である。
してみれば、引用商標は、その要部とみられる「PACIFICO」の文字部分より「パシフィコ」の称呼をも生ずるものと解される。
(3)本件商標と引用商標との比較
本件商標より生ずる「パシフィカ」の称呼と引用商標より生ずる「パシフィコ」の称呼とを比較するに、両者は、共に5音節からなり、語尾音「カ」と「コ」の相違が認められるのみである。そして、「カ」と「コ」は、同じカ行であり、かつ、音節中最も類否判断に影響を与えないとされる最後尾に位置していることから、この相違点は称呼の類否判断を左右するものではないというべきものである。したがって、両商標は、称呼において類似するものである。
次に、「PACIFICA」と「PACIFICO」の外観について比較するに、両者は、8文字中7文字が同一であり、最後尾における「A」と「O」の文字の相違があるのみであるから、外観上も類似するものである。
さらに、本件商標の指定役務中の第43類に属する役務は、引用商標の指定役務である「飲食物の提供」の範疇に属すること明らかである。
(1)被請求人は、本件商標について、一体不可分のものとして認識される旨主張するが、本件商標中の「COCKTAIL BAR」の文字部分は、前記のとおり、自他役務の識別力を有しない部分であり(甲第7号証)、事実、被請求人の経営する施設のウェッブサイトには、カクテルバー「パシフィカ」の表示が使用されている(甲第8号証)。
(2)被請求人は、引用商標について、構成全体をもって自他役務の識別力を有する商標であるから、その一部を抽出して恣意的に要部と解釈すべきではない旨主張するが、その主張は、商標の類否判断の基準が一般取引者等であり、実際の商取引の場において出所の混同が起きるという商標の類否判断の基本的な考え方を看過したものであり、引用商標は、各文字要素の位置・大きさ・範囲・表現態様からみて、白抜きで表された「PACIFICO」の文字部分が最も看者の注意を惹く部分というべきである。しかも、「PACIFICO」の文字部分には、登録商標であることを示す「マルアール」の記号が付されていることからも、看者をして請求人の商標であることを認識させるものである。
(3)被請求人は、「カ」と「コ」の音は明瞭に聴取できる旨主張するが、これらの音が称呼上類似するとされた審決例を提出する(甲第9号証ないし甲第15号証)。
(4)「PACIFIC」が「太平洋」の意味で知られているところからすれば、「PACIFICA」と「PACIFICO」は、「太平洋」に関連する意味合いを有するものとして看取され、観念上も類似するものである。
以上のように、本件商標は、引用商標と称呼、外観及び観念において類似する商標であって、その指定役務中、第43類「アルコール飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」は、引用商標の指定役務と類似するものである。
したがって、本件商標は、その指定役務中、第43類「アルコール飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録を無効とすべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
請求人は、本件商標について、その構成中の「COCKTAIL BAR」の文字部分は、自他役務の識別力を有しないから、「PACIFICA」の文字部分が要部であると主張する。
しかしながら、本件商標は、明るい青色から濃い青色へ下方に向かって色が変化するように着色された独特の色彩で統一的に表されており、構成全体をもって一体不可分のものとして認識されるものであるから、その一部を抽出すべきではない。
請求人は、引用商標ついて、その構成中の「PACIFICO」の文字部分も独立して自他役務の識別標識として機能し得る旨主張するが、引用商標は、その全体をもって自他役務の識別力を有する商標であるから、その一部を抽出して恣意的に要部と解釈すべきではない。
すなわち、「PACIFICO」の文字部分が比較的大きく表されているとはいえ、左側に配された図形部分に重ねて段を異にして「CERVEZA PACIFICO CLARA」と表され、これらの文字が一体として構成されているものであるから、その一部を恣意的に抽出して要部とすべきではない。
(1)本件商標と引用商標は、前記のとおり、いずれも構成全体で特定されるべきものであるから、その相違は顕著であって、両者の間で混同のおそれはない。
(2)仮に両商標が、それぞれの構成中の「PACIFICA」と「PACIFICO」のみで特定されるとしても、これらより生ずる「パシフィカ」と「パシフィコ」の称呼における差異音「カ」と「コ」は、発声形態、調音法を著しく相違するものであるから、容易に聴別し得るものである。
また、「A」と「O」の文字の相違、書体等の相違を有するため、外観上類似するものではない。
さらに、「PACIFICA」は、アメリカ合衆国カリフォルニア州西部の都市名であり、「PACIFICO」は、「太平洋」を意味するスペイン語であるから、両者は観念上類似しないものである。
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは類似するものではないから、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、したがって、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とされるべきものではない。
本件商標は、別掲(1)のとおり、波状の横線を挟んで、上段に「PACIFICA」の文字(これらの文字は、上半分が青色、下半分が紺色で着色されている。)を大きく横書きし、下段に「COCKTAIL BAR」の文字(これらの文字は、群青色で着色されている。)を上段の「PACIFICA」の文字部分よりやや小さく横書きしてなるものである。
そうすると、本件商標は、その構成中の「PACIFICA」の文字部分と「COCKTAIL BAR」の文字部分とは、視覚上分離して看取されやすいばかりでなく、本件商標をその指定役務中、第43類「アルコール飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」について使用するときは、「COCKTAIL BAR」の文字部分は、役務の提供場所を表示するにとどまるものというのが相当であるから、顕著に表された「PACIFICA」の文字部分を捉えて、役務の取引に当たる場合が多いとみるべきである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「パシフィカカクテルバー」の称呼のほか、第43類「アルコール飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」との関係においては、「PACIFICA」の文字部分より、単に「パシフィカ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
また、「PACIFICA」の語は、我が国において親しまれて使用されている語とは認め難いところであるから、これより特定の観念は生じないとみるのが相当である。
引用商標は、別掲(2)のとおり、太い線と細い線の2本の線よりなる四角形内に、図形と文字とを配してなるものであるところ、その構成中の文字部分は、極めて多くの文字が様々な態様で漫然と書されており、どの部分が要部で、どの部分が付記的なものであるかは特定し難いところであって、構成全体もって、一つの商標を表したと認識されるとみるのが相当である。
そうとすれば、引用商標は、これより特定の称呼、観念は生じないものといわなければならない。
本件商標と引用商標とは、それぞれ別掲(1)及び(2)のとおりの構成からみて、外観上明らかに区別し得る差異を有するものである。
また、引用商標からは、特定の称呼、観念が生じないものであるから、これらの点については、本件商標と比較することはできない。
したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても非類似の商標というべきものである。
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定役務中、第43類「アルコール飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきでない。
Next Action
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