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Trademark Appeal Case

結合商標の要部と称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900417(T2013−900417/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5615235号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5615235号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年5月28日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同年9月2日に登録査定、同月13日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第2292884号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和62年6月4日に登録出願、第11類「電気機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年12月26日に設定登録され、その後、2回にわたる商標権の存続期間の更新登録のほか、同13年5月2日に指定商品を第9類「電池,配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」及び第11類「電球類及び照明用器具」とする指定商品の書換登録がされたものである。

(2)登録第4863228号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成16年3月8日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を含む第1類、第4類、第6類、第7類、第9類ないし第12類、第16類、第17類、第21類、第24類及び第35類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同17年5月13日に設定登録されたものである。

以下、引用商標1及び2をまとめていうときは「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第8号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「Smart」と「GS」とを組み合わせた結合商標であり、その構成中の「Smart」の文字は、「利口な、洗練された、からだつきや物の形が細くすらりとして恰好がよいさま」等の意味を有する多義的な語であり、本件商品に使用される場合には、「高性能の、コンピュータを用いた、コンピュータ化された」等の意味を生じさせるものであり、相対的に識別力が弱い言葉といえる。また、本件商標の構成中の「GS」は大文字を用いて強調されており、本件商品分野においては「GS」が申立人を指称する商標・名称の略称として周知著名であるから、本件商標は、「スマートジイエス」の称呼のほか、「GS」の文字部分が要部となり、当該部分から「ジイエス」の称呼も生ずると考えられる。

引用商標1は、欧文字「GS」より「ジイエス」の称呼が生じ、引用商標2は、欧文字「GS YUASA」から「ジイエスユアサ」及び「ジイエス」の称呼が生ずるものである。

そこで、本件商標と引用商標1又は同2とを比較した場合、要部となる「ジイエス」の称呼が共通していることから、総合的に判断した場合において類似している。

以上により、本件商標と引用商標1又は同2とは、「ジイエス」の称呼において相紛らわしく、それぞれを同一の商品「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に使用したときに、出所の混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア 申立人の歴史と事業

申立人は、旧日本電池株式会社(以下「旧日本電池」という)と旧株式会社ユアサコーポレーションが平成16年に経営統合し、設立された。申立人は、その前身の2社の時代を含めると創業110年以上の長い歴史を持ち、前身の2社によって築かれた、電池分野における高い信頼と実績を発展的に受け継いで現在に至っている(甲15号証ないし甲第17号証)。申立人は、旧日本電池の創業期から現在に至るまで、事業を拡大させ(甲第15号証、甲第19号証、甲第22号証ないし甲第24号証)、世界各国で蓄電池関係製品を製造・販売している。平成24年の各市場におけるシェアは、二輪自動車用蓄電池について、アジア及び世界で27%(1位)、四輪自動車用蓄電池について、アジア18%(1位)、世界8%(3位)となっている(甲第20号証)。

イ 申立人の商標「GS」の使用について

申立人の商標「GS」は、旧日本電池の創業者である島津源蔵の氏名のイニシャルからなる。島津源蔵は、1908年に自ら製造した蓄電池の表示に「GS」の使用を開始し、1913年に「G.S.」及び「ジー、エス」を商標登録している。その後、昭和36年に商標登録された「GS」が広く知られるようになり、1970年及び1998年の「日本著名商標集」にも掲載された。このように、旧日本電池の蓄電池事業は「GS」とともに発展してきたといっても過言ではなく、その後の旧日本電池の事業の拡大に伴い、蓄電池以外の製品にも使用するようになった。

旧日本電池の製品、カタログ及び会社案内等には「GS」の商標が使用されている(甲第30号証)。「電池ハンドブック(電気書院発行 昭和50年)」にも、「GS」の商標を用いた商品の広告が掲載されている(甲第31号証)。そして、申立人の商標「GS YUASA」には、その語頭に、旧日本電池の象徴ともいえる「GS」を商標の一部として使用して現在に至っている(甲第32号証)。なお、本件商標と同一の商品の電気通信機械器具である「遠隔測定制御機械器具」について、申立人の製品に引用商標2が使用されている(甲第33号証)。

ウ 申立人の商標「GS」の著名性

旧日本電池は、商標「GS」を使用し、電池事業における高いシェアを獲得してきた。さらに、経営統合後も同様である。そして、旧日本電池及び申立人は、その事業内容等について各種一般紙、専門紙、業界誌等のメディアで多数取り上げられている(甲第34号証)。

エ 小括

申立人の商標に係る欧文字「GS」は、その著名性から、電池及び電池を用いた事業における需要者に強く印象付けられており、需要者は、本件商標の指定商品が直接的に電池を指定していなくても、本件商標を「GS」に関係するものであると直感的に誤認するおそれ、あるいは、本件商標の使用者と申立人との間に、親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係があると誤認するおそれがある。

したがって、本件商標が本件指定商品について使用された場合、需要者が申立人との間で出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第8号について

欧文字「GS」は、申立人を出所とする商標として著名である。申立人は、その設立が平成16年であり、少なくとも本件商標の出願時である同25年5月28日時点には既に存在し、著名な略称「GS」として称されていたことは明らかである。

本件商標は、申立人の名称の著名な略称である「GS」の文字を含む商標であり、申立人の承諾を得ていないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、別掲1のとおり、「SmartGS」の欧文字をやや斜体にて横書きしてなるものであるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさ及び等間隔で外観上まとまりよく表されており、その構成文字全体から生ずる「スマートジーエス」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

そして、本件商標の構成文字中の「Smart」の欧文字が「利口な」、「賢い」などの意味から転じて、「コンピュータ化された」、「高度な情報処理機能が加わった」の意味を有するものとして、本件の指定商品を取り扱う業界において広く使用されているものであり、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強い印象を与えるものとは認められないものであるとしても、「Smart」の文字に続く「GS」の文字も、商品の型式、型番等に記号、符号として使用され、本来的に自他商品の出所識別標識としての機能を有しないか、又は極めて弱いものといい得るものであるから、上記のとおりの構成からなる本件商標においては、これに接する取引者、需要者をして、殊更に、「Smart」の文字部分が省略され、「GS」の欧文字のみをもって取引に資されるものとはいい難い。

そうすると、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分の造語を表したものとして認識されるものというのが相当であるから、その構成文字に相応して「スマートジーエス」の称呼のみが生ずるものであり、特定の観念は生じないものである。

してみれば、本件商標の要部を「GS」の文字部分にあるとし、該部分から生ずる称呼と引用商標から生ずる称呼が共通していることを前提とする申立人の主張は、採用することができない。その他、本件商標と引用商標とが類似すると判断すべき事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

申立人は、GSの欧文字からなる標章(以下「GS標章」という。)は、電池及び電池を用いた事業において著名性を有するものであり、本件商標の指定商品が直接的に電池を指定していなくても、申立人の商標である「GS」に関係するものであると直感的に誤認するおそれ、あるいは、本件商標の使用者と申立人との間に、親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係があると誤認するおそれがある旨主張する。

しかしながら、GS標章は、欧文字2字からなるものであって、商品の型式、型番等に記号、符号として使用され、本来的に識別力が弱いことを考慮すれば、たとえ、蓄電池を取り扱う業界においては相当程度知られているといい得るものであるとしても、それら商品を超えて、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、本件の指定商品について使用する商標に影響を与える程に、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っていたと認めるに足る事実は見いだせない。

さらに、本件商標は、上記(1)のとおり、その構成全体をもって一体不可分のものとして認識されるものといえるから、GS標章とは、外観及び称呼において差異を有するものであり、また、本件商標の指定商品との関係において、両者は特定の観念を生ずるとはいえないものであるから、相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。

そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者がGS標章を連想、想起することはないというのが相当であり、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。

(3)商標法第4条第1項第8号該当性について

商標法4条1項8号の趣旨は、人の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護することにあるところ、「商標に他人の略称等が存在すると客観的に把握できず、当該他人を想起、連想できないのであれば、他人の人格的利益が毀損されるおそれはない。そうすると、他人の略称等を『含む』商標に該当するかどうかを判断するに当たっては、単に物理的に『含む』状態をもって足りるとするのではなく、その部分が他人の略称等として客観的に把握され、当該他人を想起・連想させるものであることを要する。」(知的財産高等裁判所平成23年(行ケ)第10190号 同24年1月30日判決参照)とされている。

本件商標は、上記(1)のとおり、その構成全体をもって一体不可分のものとして認識されるものといえるから、殊更、その構成中の「GS」の欧文字部分が独立して看取、把握されるとはいい難いものであり、該部分が申立人を想起、連想させるものということはできない。

したがって、商標法第4条第1項第8号に該当するものとはいえない。

(4)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号、同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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