sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標不使用取消

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2010−301269(T2010−301269/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4049523号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成7年10月25日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,帽子,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として同9年8月29日に設定登録、その後、平成19年9月4日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 参加の申請及び参加許否の決定

1 本件審判に関し、平成23年5月23日付けで、株式会社ファッションウォーカー(以下「参加人A」という。)から請求人を補助するための参加申請書の提出があったところ、これについて、当審は、同23年7月27日付けで、本件参加の申請を許可する旨の決定を行った。その後、本参加申請は、同年10月31日付けで取り下げられた。

2 本件審判に関し、平成23年10月31日付けで、株式会社ファッション・コ・ラボ(以下「参加人B」という。)から請求人を補助するための参加申請書の提出があったところ、これについて、当審は、同24年1月10日付けで、本件参加の申請を許可する旨の決定を行った。

第3 請求人及び参加人Bの主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。(なお、甲2ないし甲16は参加人Aが、甲17〜甲20は参加人Bが提出した。)

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品について、今日に至るまで継続して3年以上にわたり、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても日本国内において使用されていない。

よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁(平成24年3月16日付け)

(1)乙第1号証ないし乙第13号証について

ア 被請求人のウェブサイトに係る乙第2号証及び乙第3号証並びに乙第11号証及び乙第12号証には日付の記載がなく、いつ作成されたか不明である。これらの証拠によっては、本件商標が審判請求前3年間に使用された事実は立証され得ない。

イ 判例及び通説によれば、商標法第50条第1項に規定する使用に該当するためには、特定の商品や役務との具体的関連性をもって登録商標が表示される必要がある。また、電磁的方法による商標の使用に該当するためには、商標を付して電磁的方法により提供する情報がちらし広告や契約書等と同様の機能を発揮することが必要である。

上記に照らし乙第2号証及び乙第11号証をみると、乙第11号証には「ファッション通信 WALKER 『ファッションウォーカー』fashionwalker・・・ 流行のファッション,アクセサリー,雑貨のファッション通販と店舗紹介。かわいい服がいっぱい!!ショッピングサイト www.walker-net.co.jp/」の記載がある。しかし、この表示のリンク先であるとする乙第2号証においては、過去3年間通販業務は行われておらず、この事実は、乙第11号証の記載と矛盾するのみならず、標章「ファッションウォーカー(fashionwalker)」(以下、場合に応じ「本件標章」という。)を「ネット通販(ファッション通販)の総合標識(タイトル標識)として使用」したという被請求人の主張とも矛盾する。また、「店舗紹介」との説明に関しても、本件サイトにおいて本件標章が過去3年間に特定の商品・役務との関係で具体的に使用されたことを示すものとはいえないことからすれば、乙第2号証及び乙第11号証に記載された情報は「ちらし広告や契約書等と同様の機能を期待される情報」に該当しない。

以上のことから、乙第2号証及び乙第11号証に示す本件標章の使用は、商標法第2条第3項第8号の使用には該当しない。

ウ 乙第3号証の「過去のトピックス」とのタイトルのウェブページの一部には、本件標章が被服等の写真と並んで表示されているが、その日付はいずれも2006年11月15日以前であり、審判請求前3年以内の本件標章の使用を立証する証拠にはなり得ない。

エ 「乙第4号証ないし乙第8号証の『fashionwalker』の標章をプリントしたTシャツは、イベント等においてショップ店員に着用させることを主目的に作られ、その一部が展示販売され又は販促品として提供されたものであり、また、乙第9号証は、当該Tシャツを製作するに当たりサンプル品を発注した際の納品書、乙第10号証は、当該Tシャツを展示販売する場合に備えネーム及びタグを発注した際の納品書である」とする、被請求人の主張によれば、乙第4号証ないし乙第8号証の写真は、乙第9号証に係るサンプル品Tシャツではなく、そして、このサンプル品Tシャツは実際には展示販売されていないことになる。

また、被請求人は、Tシャツに関し、乙第4号証ないし乙第8号証の写真の撮影日を明らかにせず、その販売時期、販売場所、販売数量等についても証拠を提出していないことから、本件Tシャツが本件商標の使用の証拠となり得ないことは明らかである。

(2)乙第14号証ないし乙第19号証について

ア 被請求人とグンゼ株式会社(以下「グンゼ」という。)との間で締結された使用許諾契約(乙15ないし乙18)は、本件商標とは社会通念上同一ではない登録商標「WALKER」(登録第853981号)及び「ウォーカー」(登録第765171号)についてのものである。被請求人は、本件商標の使用許諾契約に関しては、「口頭での合意」があったと主張するが、その証拠を何ら提出しておらず、本件商標についての使用許諾契約が存在したという事実は立証され得ない。

イ グンゼが過去のある時期に本件商標をパンティストッキング(以下「乙パンスト」という。)に使用していたとしても、その使用期間が「1995年から現在まで」という被請求人の主張を立証する証拠は提出されていない。

ウ グンゼが過去3年以内に乙パンストを販売した事実を立証する証拠を何ら提出しておらず、グンゼは過去3年以上前に乙パンストを在庫処分した後は、乙パンストを製造販売していないと考える。

(ア)被請求人が提出した通販サイト(乙19)は、「株式会社アイ・ティ・エム・ユー」(千葉県君津市)が提供する通販サイト「ITMU RUMINE」である。

(イ)各種ウェブサイトの過去の情報を記録する「INTERNET ARCHIVE」を検索すると、通販サイト「超激安.com」において、2006年10月12日時点で、既に乙パンストが安売りされている事実が確認でき(甲19)、当該ウェブページには、「パッケージ変更による値下げ品です。」及び「この商品は2005年02月4日にカタログに登録されました。」との記載がある。

被請求人が主張するとおり、グンゼが1995年から現在に至るまで乙パンストを製造販売しているとすれば、グンゼは定価の乙パンストを製造販売する一方で、乙パンストの転得者が激安でセット販売していたことになり、それが事実とは到底考えられない。乙第19号証に係るパンストは、グンゼが過去3年以上前に製造販売を中止して在庫処分した製品が安売業者により転売されていると考えるほかない。

以上のとおり、被請求人は、グンゼが審判請求前3年以内に乙パンストを販売している事実を立証する証拠を何ら提出していない。

(3)結語

以上のとおり、被請求人の答弁によっては、本件商標がその指定商品について、審判請求前3年以内に、被請求人又はその使用権者により使用された事実は立証されていない。

(4)調査嘱託の申立て

参加人Bは、被請求人が、本審判請求の登録前3年以内に日本国において、請求に係る商品について本件商標を使用していない事実を「証明すべき事実」として、グンゼ株式会社を嘱託先として、調査嘱託を申したてる。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第19号証(枝番を含む。)を提出した。

1 第1答弁

本件商標は、乙第1号証ないし乙第10号証に示すとおり、商標権者である被請求人及び通常使用権者である有限会社ウォーカーが本審判の請求登録前3年以上前である2006年10月頃よりより現在に至るまで、商標権者の本店所在地及び通常使用権者の本店所在地や店舗において、「Tシャツ」等のほか「洋服、コート、セーター、ワイシャツ類」等の商品について本件商標を付して使用するとともに、該商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、また、ネット通販(ファッション通販)の総合標識(タイトル標識)として継続的に使用してきたものである。

なお、通常使用権者である有限会社ウォーカーは、被請求人会社とは実質的に同一法人というべき関係にある。

したがって、本件商標の登録は、取消し得ないものである。

2 第2答弁

(1)乙第2号証について

ア 商品商標と役務商標について

乙第2号証は、店舗の紹介のみならず商品の紹介もしているのであるから、「ファッションウォーカー」及び「fashionwalker」は、役務商標としてだけではなく商品商標としても使用しているのであり、少なくとも、商品「被服等」に関する広告等を内容とする情報に標章「ファッションウォーカー」及び「fashionwalker」を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当する。

イ ヘッダー部分に表示されている標章について

指定商品に関するウェブサイトの表示は、それが視認可能な状態であれば、印刷時における表示であろうがタイトルバーでの表示であろうがその指定商品に関する広告等を内容とする情報に標章を付したことになるというべきである。特許庁の解説(平成14年改正産業財産法の解説)にあっても、「商品に標章を『付する』とは・・商標の電磁的な情報が当該プログラム起動時や作業時のインターフェースに顧客が商標として視認できるよう、商標の電磁的情報を組み込む行為をいう。」とし、また、コードデータ又はメタタグについてさえ、「コードデータ等に組み込まれた商標が視覚的に商標の出所表示機能を果たし得ない場合には、商標としての使用から排除されることが多い」とするが、これは逆に、視覚的に商標の出所表示機能を果たし得る場合には、商標としての使用であることを認めていることとなる。

さらに、大阪地裁判決(平成16年(ワ)第12032号)にあっても、「商標権に係る指定商品に関してインターネット上にウェブサイトを開設しそのウェブサイトにおいて表示されるページのためのhtmlファイルに記載したメタタグ中に、商標権に係る登録商標と類似する標章を記載し、その結果、インターネットの検索サイトにおいて、当該ページの説明として表示させる行為は、商標としての使用に該当する」旨判示されている。

このように、コードデータやメタタグ中の記載についてさえ、また、たとえそれが検索サイトにおいて表示される当該ページの説明であっても、視認可能であれば商標の使用と認めているのである。

乙第2号証におけるタイトル「ファッションウォーカー」及び「fashionwalker」の表示は、視認できない単なるコードデータやメタタグに組み込まれた文字とは異なり、閲覧者が該ウェブサイトを表示した際には、何の制約もなく、かつ、自動的にPC等画面の最上段(タイトルバー)に表示され、印刷時には出力もされる。

そうとすると、これらの表示が少なくとも「商品の広告等を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当することは明白である。

ウ ヘッダー部分の恣意的変更について

乙第2号証のウィンドウタイトルについては、乙第11号証「ウェブサイト検索結果一覧」からも明らかなように、被請求人は、ヘッダー部分についての変更は一切行っていない。

ヘッダー部分の表示については、検索サイト運営者が設定した変数等が予め入力されていて、閲覧者が敢えて削除しなければ、このウィンドウタイトルが自動的にPC等画面のタイトルバーに表示され、印刷時には出力もされる。したがって、一般の閲覧者が通常の操作で被請求人のウェブサイトを閲覧した場合、このウィンドウタイトル中に表示された「ファッションウォーカー」及び「fashionwalker」の標章は、容易に視認可能な状態になっている。

エ タイトル表示がスタートページのみであることについて

ウェブページ中の最初に表示されるページ(「スタートページ」又は「ホームページ」という。)のタイトルとその他のページタイトルとが異なることはよくあることで特に不自然なことではない。

スタートページは、ウェブサイトの入り口(最上階層)にあたるページのことで、ウェブブラウザを起動した時や関連するブラウザに存在する「HOMEボタンを押した時に表示されるウェブページであり、検索サイト(乙11)から被請求人のウェブサイトを閲覧する際には必ず最初に表示されるページである。したがって、それだけスタートページの露出度は高く最も印象に残るウェブページであり、そこでのタイトル名は、必然的に視認頻度も多くなるため極めて重要な名称といえる。また、他の関連するウェブサイトから当該スタートページを表示させる場合もあるので、総称的名称を採用することも多く、その結果、他の個別ウェブページとは異なるタイトルとなることはよくあることである。

(2)乙第3号証について

乙第3号証は、スタートページ(乙2)の最下段右にある「前のページ」の文字部分を押すと表示されるスタートページの一部を構成する記事(過去のトッピックス)と同じ内容(レイアウトは異なる)のキャッシュリンクページ(乙12の1〜3参照)を印刷したしたものである。

乙第3号証は、かつて(開設していた)被請求人のウェブサイトに「ファッションウォーカー」及び「fashionwalker」の標章が表示されていたという過去の事実を示すものではなく、現在も開設されている被請求人のウェブサイトのスタートページ中に、これらの標章が表示されているという現在の事実を示すものである。

すなわち、現在も被請求人が開設しているウェブサイト内にある情報は、たとえそれが過去のトッピックスに関する情報であろうと今現在提供されている情報であることに変わりはなく、まして、そこで表記されている「ファッションウォーカー」及び「fashionwalker」の標章それ自体は、過去にあった出来事の内容ではなく、検索キーワードとして及びトピックス情報のタイトルとして今も使用されているものである。

そうとすると、乙第3号証は、スタートページ(乙2)内にある情報の詳細を明らかにすることにより、「ファッションウォーカー」及び「fashionwalker」の標章の使用が2006年頃から開始され、現在もその使用が継続されている事実を示しているものである。

(3)乙第4号証ないし乙第10号証について

乙第4号証ないし乙第8号証は、「fashionwalker」の標章をプリントしたTシャツで、主に関連ショップにおいてイベント等が行われる際にショップ店員に着用させることを主目的として作られ、その一部が展示販売され、又は販促品として提供されたものである。乙第9号証は、本件Tシャツを製作するに当たり、サンプル品を発注した際の納品書であり、乙第10号証は、本件Tシャツを展示販売する場合に備えネーム及びタグを発注した際の納品書である。

(4)結語

本件商標は、乙第2号証及び乙第3号証によって、2006年頃から現在に至るまで継続して開設されていたであろうことが容易に推認できる有限会社ウォーカーのウェブサイトに、本件商標と同−性のある「ファッションウォーカー」及び「fashionwalker」の標章が視認可能な状態に表記されていることが証明されているのであるから、本件審判の請求登録前3年以内に、少なくとも、商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為があったことは明らかである。

したがって、仮に、乙第4号証ないし乙第10号証によっては法所定の使用事実の証明が認められないとしても、本件商標の指定商品についての使用事実の証明は必要かつ十分になされているというべきである。

3 第3答弁

被請求人は、乙第14号証ないし乙第19号証を提出して、使用事実を追加立証する。

グンゼ株式会社は、被請求人より本件商標の使用を許諾された通常使用権者である。被請求人と使用者であるグンゼ株式会社は、平成7年(1995年)9月6日付で、商標「WALKER(登録第853981号)」及び商標「ウォーカー(登録第765171号)」について、「商標使用許諾契約」を締結し(乙15)、以後、現在に至るまで同契約の更新を継続している(乙16ないし乙18)。

本件商標「Fashion Walker/ファッション ウォーカー」については、上記契約締結直後に、グンゼ株式会社の要請に基づき出願したもので、使用許諾を前提としての出願登録である。上記契約書中に本件商標が明記されていないのは、かかる出願時の事情に加え、本件商標と前記2商標との類似性が極めて強いことから、本件商標の使用許諾については口頭での合意で十分であって、上記契約書を改めて作成し締結し直さなければならない必要性はないと両者判断したことによるものである。

通常使用権者は、1995年以降現在まで、本件商標を商品「ストッキング(靴下)」について使用している(乙14、乙19)。乙第19号証の4頁の「この商品を購入された方のレビュー」欄からも明らかなように、少なくとも、このレビュー投稿日(2010年3月2日、2009年8月29日、2009年5月6日)頃に本件商品が販売され本件商標が使用されていたことは明白である。

以上のとおり、本件商標は、過去3年間以上継続的に使用されているものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消し得ないものである。

第5 当審の判断

被請求人は、本件商標を「洋服、コート、セーター、ワイシャツ類、ストッキング(靴下)」等の商品について、本審判の請求登録前3年以内に使用していたとして、乙第1号証ないし同第19号証を提出している。

そこで、被請求人の提出に係る証拠により、本件商標が取消請求に係る指定商品に含まれている「ストッキング(靴下)」について使用されていたといえるか否かについて判断する。

1 乙各号証について

被請求人の提出に係る乙第14号証ないし乙第19号証によれば、以下の事実を認めることができる。

乙第14号証は、「パンティストッキング」の包装パッケージであり、表側及び裏側には、別掲2のとおりの構成からなる商標が表示されていることが認められる。

乙第15号証は、1995年(平成7年)9月6日付で、福岡繊維工業株式会社(被請求人である株式会社タイムゾーンの表示変更前の名称)を甲とし、グンゼ株式会社(靴下事業部)を乙とし、両者の間で締結された「商標使用権許諾契約書」であり、甲の所有している「WALKER」商標(登録第853981号)及び「ウォーカー」商標(登録第765171号)を「パンティストッキング」等の商品について、乙に通常使用権を許諾するものであり、契約の有効期間を契約日より1998年12月31日までとするものであって、その更新については、本契約期間満了以前に甲乙協議して定めるとされている。

乙第16号証は、2008年(平成20年)12月2日付で、株式会社タイムゾーンを甲とし、グンゼ株式会社を乙とし、両者の間で締結された「商標使用権許諾契約書」であり、甲の所有している「WALKER」商標(登録第853981号)及び「ウォーカー」商標(登録第765171号)を「パンティストッキング」等の商品について、乙に通常使用権を許諾するものであり、契約の有効期間を2009年1月1日より2009年12月31日までとするものであって、その更新については、甲乙いずれか一方が、本契約期間満了3ケ月前までに書面による契約破棄の意思表示のないときは、本契約はさらに1年間自動的に延長され、以後も同様とすると定められている。

乙第17号証は、2009年(平成21年)12月18日付で、また、乙第18号証は、2010年(平成22年)12月6日付で、いずれも、株式会社タイムゾーンを甲とし、グンゼ株式会社を乙とし、両者の間で締結された「商標使用権許諾契約書」であり、その内容は、乙第16号証と同様のものである。

乙第19号証は、楽天市場に出店されているグンゼ株式会社の「ファッションウォーカー パンティストッキング/2種<日本製>」なる商品に係るウェブページと認められるものであり、ここには、別掲2のとおりの構成からなる商標及び「GUNZE」の文字が表示されている「パンティストッキング」の包装パッケージのおもて面がA、Bと表示されて2種類掲載されており、また、商品の紹介記事や価格、色彩、素材、注文方法等が記載されている。そして、最後の頁には、商品を購入した者のレビューが記載されており、投稿日を「2009年5月6日」、「2009年8月29日」及び「2010年3月2日」とする3件の投稿内容が記載されていることが認められる。

なお、甲第18号証の3によれば、前記通販サイト(乙19)は、「株式会社アイ・ティ・エム・ユー」が提供する通販サイト「ITMU RUMINE」であることが確認できる。

2 上記において認定した事実によれば、以下のとおり判断することができる。

(1)被請求人とグンゼ株式会社との関係について

上記において認定した証拠によれば、被請求人は、グンゼ株式会社に対して、本商標権についての使用権を許諾した事実を書証によっては証明していない。

しかしながら、乙第15号証ないし乙第18号証によれば、被請求人とグンゼ株式会社とは、平成7年(1995年)9月以降現在に至るまで、被請求人の所有している商標「WALKER(登録第853981号)」及び商標「ウォーカー(登録第765171号)」について、「商標使用許諾契約」を締結していた事実が認められる。そして、このことに加えて、被請求人は、「本件商標と上記2商標との類似性が極めて強いこともあり、グンゼ株式会社の要請に基づき、使用許諾を前提として、被請求人が本件商標の出願をし登録を受けたものであったため、本件商標の使用許諾については口頭での合意で十分であるとの両者の認識により、契約書を改めて作成することは行わなかった」旨述べており、この点についての被請求人の主張をも併せみれば、被請求人は、グンゼ株式会社に対して、口頭ないしは黙示による本件商標の使用許諾を与えていたものとみるのが相当である。

したがって、グンゼ株式会社は通常使用権者であると推認し得るものである。

(2)使用の事実について

楽天市場に出店している株式会社アイ・ティ・エム・ユーのネットショッピングのサイト(乙第19号証)において、グンゼ株式会社の製造に係るものと認められる、別掲2のとおりの構成からなる商標が表示された「パンティストッキング」が掲載されていたことが認められる。そして、該サイトの最後の頁に記載されている商品を購入した者のレビューによれば、2009年5月6日、2009年8月29日及び2010年3月2日に3件の投稿があったことが認められ、この事実に照らしてみれば、少なくとも、本件審判の請求の登録(平成22年12月20日)前3年以内である2009年5月6日ないし2010年3月2日にかけて、該ネットショッピングのサイトは閲覧可能な状態にあり、かつ、該サイトを通じて、上記パンティストッキングについての取引があったものと推認することができる。

ところで、商標法第2条第3項が同法上の標章の「使用」の定義を規定した趣旨は、商品に標章が表示される場合において、それが何人の使用と認められるものであるかについては社会通念にゆだねるとともに、同法の目的との関係を考慮し、特に商品の識別標識として機能すると認められる事実についてのみ、これを「使用」であると定義することにより、同法上の「使用」としての法的効果を認めるべき行為の範囲を限定したものと解される。そして、商標権者等が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商標に手が加えられない限り、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解されるから、その商品が実際に何人によって所有、占有されているとを問わず、同法第2条第3項に該当する行為が行われる限り、その行為は、当初、商品に商標を付した者による商標の「使用」行為であるというべきである。(東京高裁 平成15年6月2日判決言渡 平成14年(行ケ)第346号)

そうとすれば、本件においては、上記のとおり、本件商標の通常使用権者と推認し得る「グンゼ株式会社」が製造、販売した商品(パンティストッキング)が、株式会社アイ・ティ・エム・ユーのネットショッピングのサイトにおいて取引があったことが推認できるものであるから、その取引をもって、商標法第50条に規定する通常使用権者による別掲2のとおりの構成からなる商標の「使用」があったものと認めることができるというべきである。

(3)使用に係る商標及び商品について

本件商標は、別掲1に示したとおり、「Fashion Walker」の欧文字を大きく表し、その下に、小さく「ファッション ウォーカー」の片仮名文字を併記した構成からなるところ、通常使用権者の使用に係る商標は、別掲2に示したとおり、赤色をもって「Walker」の文字を大きく表し(その中でも「W」の文字は一際大きく表されおり、他の各文字はその右側に、該「W」の文字の縦の幅に収まるように表されている)、その上部に、黒色をもって「fashion」の文字を表し、更にその上に、赤色をもって「ファッション ウォーカー」の文字を小さく配した構成からなるものである。

上記したところからすれば、通常使用権者の使用に係る商標と本件商標とは同一の構成からなるものとはいえないが、商標の使用は、商標を付する対象に応じて、適宜に変更を加えて使用されるのがむしろ通常であり、本件の場合も、各文字の大きさや位置関係に差異があるとしても、本件商標も使用に係る商標も、いずれも、「Fashion Walker」あるいは「fashion Walker」の欧文字に「ファッション ウォーカー」の片仮名文字を配した構成からなるものであって、いずれからも「ファッションウォーカー」なる同一の称呼を生ずるものであるから、この程度の変更がなされているとしても、通常使用権者の使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めて差し支えないものということができる。

そして、通常使用権者の使用に係る商品「パンティストッキング」は、取消請求に係る本件商標の指定商品中の「靴下」の範疇に属するものである。

(4)してみれば、本商標権についての通常使用権者と推認し得るグンゼ株式会社は、本件審判についての要証期間内に、日本国内において、商標法第2条第3項第8号に規定されている商標についての使用行為をしたものということができる。

(5)調査嘱託の申立てについて

請求人(参加人B)は、被請求人の使用に疑義があるとして、調査嘱託を申し立てているが、前記(1)のとおり、グンゼ株式会社は本商標権の通常使用権者と推認し得るものであり、また、前記(2)のとおり、株式会社アイ・ティ・エム・ユーのネットショッピングのサイトにおいての使用は、グンゼ株式会社の使用と認め得るものであるから、調査の嘱託は必要のないものと判断した。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人の提出に係る乙第14号証ないし乙第19号証によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本商標権の通常使用権者と推認し得るグンゼ株式会社が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品中の「靴下(パンティストッキング)」について使用していたことを証明したものということができる。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。