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Trademark Appeal Case

TAPPERの識別力と辞書

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2013−13592(T2013−13592/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲第1のとおりの構成からなり、第7類「金属加工機械器具」を指定商品として、平成24年2月6日に登録出願されたものである。

そして、指定商品については、当審における平成26年5月7日付け手続補正書により、第7類「タップホルダー(切削工具)」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は、『TAPPER』の欧文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、該文字は、本願指定商品との関係においては、『ねじ立て盤』を意味する語として用いられている。そうすると、出願人が本願商標をその指定商品中の『ねじ立て盤』について使用しても、これに接する需要者等は、単に商品の品質を表示したにすぎないものとして認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。また、本願商標は、これを出願人がその指定商品に使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないから、商標法第3条第2項の要件を満たさない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審においてした証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲第2に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。

第4 証拠調べに対する意見

請求人は、前記第3の証拠調べ通知に対して、要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第42号証ないし甲第48号証を提出した。

1 本願の指定商品について

請求人は、前記第1のとおり、本願の指定商品を請求人の使用により識別力を獲得した商品のみに補正したから、商標法第3条第2項に係る主張は、取引の実情に合致したものとなった。

2 「TAPPER」の語の辞書等への記載例について

請求人は、「ジーニアス英和大辞典」を発行している株式会社大修館書店、「新英和大辞典 第6版」を発行している株式会社研究社、「機械・工学17万語英和辞典」を発行している日外アソシエーツ株式会社に対し、「『tapper』との標章は、請求人が創作した造語であって、請求人による長年の使用の結果、需要者の間に広く認識されるに至り、その結果として各社の発行に係る辞書等に録取されたものである。したがって、当該項目には、『「TAPPER」は,カトウ工機株式会社により創作された造語であり,同社の商標です。』との注記が入れられて然るべきものである。」旨を通知した(甲42ないし甲44)。

3 各種ウェブサイトにおける「TAPPER」及び「タッパ(ー)」の語の使用例について

前記第3の証拠調べ通知で使用例として挙げられている各種ウェブサイトの運営主体に対しても、前記2と同様の依頼をしている。

4 周知性の証明について

請求人は、本願商標「TAPPER」が請求人により創作された造語であり、請求人の商標として、本件指定商品を取り扱う業界において周知されている事実について、前記2の発行者及び前記3の運営主体に証明書の作成を求めており、これらの証明書類が入手出来次第、追加して提出する予定である。

5 辞書等の発行者からの回答について

前記2の通知の結果、日外アソシエーツ株式会社からは、独立行政法人科学技術振興機構(以下「JST」という。)の辞典類に「tapper:ねじ立て盤」との記載があることを根拠に、用語に係る正誤・訂正ではないと考えるとの回答があったため、JSTに対し、その発行に係る辞書の「tapper」の項目に関して同様の申入れ(甲46)を行ったところ、JSTの辞書「JST科学技術用語日英対訳辞書」から「tapper」の項目を削除する旨の回答が得られた(甲47)。今後、JSTの回答を日外アソシエーツ株式会社に通知し、「機械・工学17万語英和辞典」における「tapper」の項目への注記・訂正を求める予定である。

また、株式会社大修館書店の代理人からは、前記2の通知に対し、本件に関する代理人を受任する旨の通知が届いたため(甲48)、今後、同代理人と交渉を進める予定であり、進捗があり次第、上申する。

6 まとめ

以上のとおり、請求人による本願商標の使用の結果として本願商標が周知性を獲得し、その結果として辞書等に掲載されるに至ったものであり、前記JST等は、請求人からの申入れに対し、請求人の知的財産保護活動の妨げとなるような事態は望まないとして真摯な対応をしているから、請求の趣旨記載の審決を求める。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、別掲第1のとおり、「TAPPER」の欧文字をゴシック体調で横書きしてなるものである。

また、原審及び前記第3の証拠調べ通知で示したとおり、「TAPPER」の欧文字は、「雌ねじ(雄ねじにはまり合うように孔のなかに溝を切ったねじ)を切るための器具」を表す語として辞書等に載録され、かつ、その表音である「タッパー」又は「タッパ」の片仮名は、雑誌やインターネット情報等によれば、「雌ねじを切るための器具」の意味合いで、金属加工機械器具の分野において、取引上普通に使用されているものである。

さらに、本願の指定商品「タップホルダー(切削工具)」は、別掲第3のとおり、「タップ(雌ねじ切り)を保持して使用するねじ切りのための器具」であり、金属加工機械器具に属するものである。

そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「雌ねじを切るための器具」程の意味合いを容易に看取するというのが相当であり、単に商品の品質を表示するものというのが相当である。

そして、本願商標は、「TAPPER」の欧文字をゴシック体調で横書きしてなるものであるから、その指定商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものといわざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 商標法第3条第2項該当性について

請求人は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、同法第3条第2項の規定により登録を受け得ることができると主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第48号証を提出した。

(1)請求人の主張及び提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。

ア 請求人の前身である合資会社加藤鉄工所は、昭和31年以前のダイレクトカードに「SAFETY KATO TAPPER」及び「カトウ・タツパー」の標章を使用し(甲1及び甲2)、昭和34年前後には、同標章を使用した葉書を複数印刷していた(甲3及び甲4)。

イ 昭和48年及び同49年に請求人が頒布した広報誌の名称は「KATO TAPPER NEWS」である(甲5ないし甲7)。当該広報誌は継続発行され、例えば、昭和51年7月発行の「カトウタッパーニュース」に掲載された本願の指定商品の広告(甲8)や、昭和57年の「タッパーニュース」の表紙には「KATO」と「TAPPER」の文字を一連に書した標章が使用されている(甲9)。

ウ 請求人は、本願の指定商品の需要者・取引者が多数参加する「日本国際工作機械見本市」に、昭和53年以来継続的に出展しており、請求人がブース出展した際には、「KATO」と「TAPPER」の文字を上下2段又は横一連に大きく表示した看板を掲出し、同標章を使用したパンフレットを作成している(甲11ないし甲15及び甲23)。

エ 請求人は、請求人の業務に係るカタログに、「KATO」と「TAPPER」の文字を上下2段若しくは横一連に書した標章又は「カトウタッパー」の標章を継続して使用している(甲16ないし甲22)。

オ 本願商標が請求人による使用の結果、本願の指定商品の需要者・取引者の間において周知・著名であることについて、請求人が作成した証明願に対する証明が取引先14社からあり(甲24ないし甲37)、同じく「タッパー/TAPPER」及び「カトウタッパー/KATO TAPPER」の標章が周知・著名であることについて、当業者4社からの陳述書がある(甲37ないし甲40)。

カ 請求人は、「tapper」の語が載録された辞書等の発行者(4法人)に対して、平成26年5月2日付け又は同月23日付けで、『「TAPPER」は,カトウ工機株式会社により創作された造語であり,同社の商標です。』との注記が入れられて然るべきものである。」旨の申し入れを行い(甲42ないし甲44並びに甲46)、うち1法人から「tapper」の項目を削除する旨の回答を得た(甲47)。

(2)使用による識別性について

ア 本願商標と使用商標との同一性について

「商標法第3条第2項の要件を具備するためには、使用商標は、出願商標と同一であることを要し、出願商標と類似のもの(例えば、文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである。なぜなら、同条項は、本来的には自他商品識別力がなく、特定人の独占にもなじまない商標について、特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり、実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないからである。そして、登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることをも考慮すると、同条項は、厳格に解釈し適用されるべきものである。」(知財高等裁判所 平成18年6月12日言渡 平成18年(行ケ)第10054号)と判示されているところである。

そこで、請求人から提出された使用の証拠をみるに、前記(1)のとおり、請求人又は本願の指定商品について、その広報誌、カタログ、パンフレット、看板等に「KATO TAPPER」、「KATO\TAPPER」(2段併記)又は「カトウタッパー」(以下、これらを「使用商標」というときがある。)の語が多数使用されていることが確認できるものの、本願商標「TAPPER」の語が単独で使用されている例を見つけることはできない。

よって、本願商標は、提出に係る各証拠によっては、本願商標と使用商標の同一性を有しているということはできない。

イ 使用による識別力の獲得について

(ア)前記アのとおり、「TAPPER」の文字のみの使用は見当たらず、「KATO」又は「カトウ」の文字が付された使用商標は、本願商標と同一とは認められないものであるから、請求人提出の証拠は、本願商標がその指定商品について使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものになっていることを証明するものではない。

(イ)また、本願商標の著名性に関する証明は、あらかじめ請求人が作成した証明願に対する証明として14社、「タッパー/TAPPER」と同時に「カトウタッパー/KATO TAPPER」に関する4社からの陳述書であるから、これのみをもって、本願商標が著名性を有していることが客観的に証明されたと認めることはできない。

(ウ)そして、当審において職権により調査しても、本願の指定商品を取り扱う業界において、「TAPPER」の文字が、請求人又は請求人の取扱いに係る商品を表わすものとして、取引者、需要者において一般に広く知られている事実を発見することができない。

(エ)なお、前記第3の証拠調べ通知のとおり、「TAPPER」の欧文字が頻繁に改訂されるとはいい難い複数の辞書等に載録され、また、その表音である「タッパー」又は「タッパ」の片仮名も本願の指定商品の分野における雑誌やウェブサイト等において多数載録されている実情があるところ、それらはいずれも「雌ねじを切るための器具」ほどの意味合いを表す語として採択、使用されているといえるものであり、かつ、請求人の業務に係る商品を表す語である旨の記載はないものであることからすれば、本願商標は、本件審判の審決時において、本願の指定商品の分野における取引者、需要者に商品の品質を表すものとして理解、認識されるものであるというのが相当であり、仮に、前記第3の証拠調べ通知に係る辞書等の発行者及びウェブサイトの運営主体の一部が、本願商標に係る表示を削除又は変更する旨に同意する場合があるとしても、そのことのみをもって、直ちに、本願商標が商品の品質を表すものとして理解、認識されなくなるということはできない。

さらに、請求人は、株式会社大修館書店の代理人と交渉を進める予定である旨上申しているが、本願商標については前記のとおりであるから、該交渉を待つことなく審理を進めた。

(3)小活

以上よりすれば、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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