Trademark Appeal Case
称呼の同一性と文字種変換
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−4256(T2014−4256/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第35類「職業のあっせん」及び第36類「生命保険契約の締結の媒介,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け」を指定役務として、平成24年8月24日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第3312749号商標(以下「引用商標」という。) は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年9月29日に登録出願、第36類「資金の貸付及び手形の割引,債務の保証,生命保険契約の締結の媒介,損害保険契約の締結の代理,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」を指定役務として、同9年5月23日に設定登録され、その後、同19年7月6日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標
本願商標は、前記1のとおり、水色と青色の濃淡を有する左下から右上方に次第に細く伸びる曲線及び緑色の右下から湾曲し左方に次第に細く伸びる曲線を配し、また、商標の中央部から橙色の濃淡を有する下線を伴った黒色の「N・I・C」の欧文字を配してなるところ、曲線を用いて表された2つの図形部分は、それ自体、特定の事物を表したものとして看取、把握されるとはいい難いものであり、また、「N・I・C」の欧文字は、本願の指定役務との関係において、特定の語義を有するものとして一般に親しまれているものとはいえないものである。さらに、「N・I・C」の欧文字の下線として描かれた橙色の濃淡を有する直線は、「N・I・C」の欧文字を強調するために施されている付記的な飾りと看取されるものである。
そうすると、本願商標は、曲線からなる2つの図形部分と欧文字部分との組合せからなるものであって、両者の間に密接な関連性が存するものとはいい難いものであるから、両者が常に一体不可分のものとしてのみ認識されるとはいえず、それぞれが分離、観察され、記憶しやすい欧文字部分をもって取引に資される場合も少なくないものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、その構成中の「N・I・C」の欧文字に相応して「エヌアイシー」の称呼が生ずるものであり、その構成中の図形部分を含め、特定の観念を生ずることのないものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「株式会社」の文字に半角程度のスペースを設けて「エヌ・アイ・シー」の文字をゴシック体で横書きしてなるところ、該「株式会社」の文字部分は、法人の組織形態を表すにすぎないものであるから、自他役務の識別標識としての機能を有するものではなく、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、一般に、該文字部分を省略して称呼されることも広く行われているものである。そして、引用商標の構成文字全体から生ずる「カブシキガイシャエヌアイシー」の称呼は冗長といえるものであり、また、これを常に一連一体のものとして称呼しなければならない特段の事情は見当たらないものである。
そうすると、引用商標は、その構成中の「エヌ・アイ・シー」の文字部分のみをもって取引に資されることも少なくないというのが相当であり、該文字は、本願の指定役務との関係において、特定の語義を有するものとして一般に親しまれているものとはいえないものである。
してみれば、引用商標は、その構成中の「エヌ・アイ・シー」の文字に相応して「エヌアイシー」の称呼が生ずるものであり、また、特定の観念を生ずることのないものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標は、いずれも「エヌアイシー」の称呼を生ずるものであるから、称呼を同一にするものである。そして、上記ア及びイのとおりの構成に照らせば、両商標は、全体の外観において差異を有するものといえ、また、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。
そして、本願商標及び引用商標において、独立して役務の出所識別標識として機能を果たし得る部分は、それぞれ、「N・I・C」の欧文字部分及び「エヌ・アイ・シー」の片仮名部分であるところ、前者の「N・I・C」の表音を片仮名で表したものは、後者の「エヌ・アイ・シー」の片仮名部分と一致するほか、いずれも2つの中黒を有し、その位置も符合しているものである。また、商標の使用について、片仮名、平仮名又はローマ字を相互に変更して使用することは一般的に行われているといえる。
以上を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標は、これを同一又は類似の役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、同一の「N・I・C(エヌ・アイ・シー)」による役務の提供であると看取、理解される場合も少なくないというのが相当であるから、役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標といわざるを得ないものである。
そして、本願の第36類の指定役務は、引用商標の指定役務中の「生命保険契約の締結の媒介,損害保険契約の締結の代理」と同一又は類似の役務である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、多色刷りの特殊なデザインを有する図形と文字とが結合された商標であるから、本願商標と引用商標は、その外観において大きく異なる印象を与えるものであり、これに接する取引者、需要者は、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれはない旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断は、同一又は類似の役務に使用された商標が、その外観、称呼、観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、全体的に考察すべきものであり、本願商標については、上記(1)のとおり、引用商標と類似の商標といえるものであって、本願商標と引用商標とが、全体の外観において差異を有することをもって、その判断が左右されるものではない。
イ 請求人は、本願商標の指定役務は「保険契約の締結の媒介」などであり、この役務における需要者・取引者は、主に個人が対象となり、取引の場にあっては、パンフレットなどによりその役務商標を目視して認識するものであるから、デザインされた図形に「N・I・C」の欧文字が取り込まれるように構成された本願商標は、引用商標と類似するものと認識されるおそれは小さい旨主張する。
しかしながら、本願商標と引用商標に接する取引者、需要者が、両商標を目視した場合、それぞれの要部と認められる「N・I・C」の欧文字部分と「エヌ・アイ・シー」の片仮名部分とは、欧文字と片仮名とを相互に変換したものと看取、認識される場合も少なくないといえるものであり、本願商標は、引用商標と類似する商標であるといわざるを得ないこと、上記(1)のとおりである。
ウ したがって、上記ア及びイのとおり、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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