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Trademark Appeal Case

D字図形商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2012−900217(T2012−900217/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5489564号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5489564号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成23年11月10日に登録出願、第18類「かばん類並びにその部品及び付属品,袋物並びにその部品及び付属品,トランク及び旅行かばん並びにその部品及び付属品,携帯用化粧道具入れ並びにその部品及び付属品,ボストンバッグ並びにその部品及び付属品,バックパック並びにその部品及び付属品,ラックサック並びにその部品及び付属品,財布並びにその部品及び付属品,キーケース並びにその部品及び付属品,がま口及び袋物並びにそれらの部品及び付属品,カード入れ並びにその部品及び付属品,トートバッグ並びにその部品及び付属品,ボトルバッグ並びにその部品及び付属品,レコードバッグ並びにその部品及び付属品,ブックバッグ並びにその部品及び付属品,ハンドバッグ並びにその部品及び付属品,スポーツバッグ並びにその部品及び付属品,ショッピングバッグ並びにその部品及び付属品,大型スーツケース及びスーツケース並びにそれらの部品及び付属品,ウィークエンドバッグ並びにその部品及び付属品,ジュエリーロール並びにその部品及び付属品,アタッシュケース及びブリーフケース並びにその部品及び付属品,傘並びにその部品及び付属品,日傘並びにその部品及び付属品,ステッキ並びにその部品及び付属品」及び第25類「被服,履物,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,乗馬靴」を指定商品として、平成24年3月22日に登録査定され、同年4月27日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次の1ないし3のとおりである。

1 登録第5409013号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:別掲2のとおり

登録出願日:平成19年7月2日

設定登録日:平成23年4月28日

指定役務 :別掲5のとおり

2 登録第5409045号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

登録出願日:平成19年7月2日

設定登録日:平成23年4月28日

指定役務 :別掲5のとおり

3 甲第2号証に掲げられた商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:別掲4のとおり

以下、上記引用商標1ないし3を一括して単に「引用商標」ということがある。

第3 登録異議の申立ての理由

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

申立人は、米国メージャーリーグベースボールの商標権を管理する団体である。

引用商標1及び2は、いずれもデトロイト・タイガースの頭文字「D」をデザイン化したものである。

本件商標は、欧文字「D」を図案化したものである。引用商標1及び2も「D」を図案化したものである。

本件商標と引用商標1及び2とは以下の点で共通する。

・Dの上部(天井部)において左上向きに湾曲した“はね”がある。

・Dの下部(基底部)において左下向きに湾曲した“はね”がある。

・Dの左側の垂直線ほぼ中央部から左向きに湾曲した“はね”が外向きに突出している。

・Dの中央の部分に垂直方向の線及び水平方向の装飾線がある。

・特に、Dの中央右側の部分において二本の水平方向の装飾線がある。

・Dの右下部分か斜めに削られている。

上記共通点のため、本件商標と引用商標1及び2とは、看者に極めて近似した印象を与える。つまり、本件商標と引用商標1及び2とを時と所を変えて観察した場合、相紛れることは必至であり、これらを区別できるとはいえないものである。

しかして、本件商標と引用商標1及び2とは、外観において相互に類似するものである。また、本件商標の指定商品と引用商標1及び2の指定役務とが類似することは、類似商品・役務審査基準から明らかである。

ちなみに、甲第38号証は「D」を図案化した図形商標について商品「被服」に関して検索した結果である。これらの一覧の中でも、本件商標と引用商標1及び2とが非常に近似することがわかる。また、他にこれらと近似する商標は見当たらない。よって、本件商標と引用商標1及び2とは類似する商標ということができる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

2 商標法第4条第1項第10号該当性について

(1)メージャーリーグベースボール及びデトロイト・タイガースについて

メージャーリーグベースボールの歴史は、1876年にナショナル・リーグが発足したことから始まり、1900年に「クラシックエイト」といわれる8球団が確定した。

野球は、米国では最も人気のあるスポーツであるが、我が国においても、特に第二次世界大戦後、アメリカ文化の流入とともに人気が高まり、老若男女を問わず多くのファンが存在する。さらに、特別なファンではなくても、我が国では、メージャーリーグに関して、ベーブ・ルース、ハンク・アーロン等の有名選手の名前とともに多くの球団名、ニューヨーク・ヤンキース、サンフランシスコ・ジャイアンツ、シアトル・マリナーズ、デトロイト・タイガース、ボストン・レッドソックス等が一般的に知られている。

日本においても野球の人気は高く、愛好者が多いので、従来からメージャーリーグベースボールについての関心が高かった。

特に、2004年からは、電通がメージャーリーグベースボールの試合の日本向け放映権を獲得し、NHK、TBS、フジテレビジョン及びSKY PerfecTV!で放映するようになったので、メージャーリーグベースボール、大リーグの名称及びそこに所属するチーム名は、以前にも増して、日本の視聴者の間に浸透することとなった(甲10、甲25)。

昨今では、日本人選手が米国に渡って大リーグ、つまりメージャーリーグベースボールで活躍するようになっており、このことが日本における大リーグの人気を押し上げている(甲5、甲7、甲16、甲19)。1995年に野茂英雄が渡米し、投手としてメージャーリーグベースボールで活躍したのを皮切りに、2001年には、新庄剛志、イチローほか7人の日本人選手がメージャーリーグでプレーした。その後、石井一久、小宮山、田口等の選手がメージャーリーグに移籍し、2006年7月には、日本人のメジャーリーガーは13人となっていた。このような状況から、本件商標の出願時において、日本の一般的な需要者の間においても、大リーグ、つまりメージャーリーグベースボールに関する知識はかなり豊富になっていたといえる。

日本国内で大リーグの試合がテレビ放映され、新聞・雑誌等でもそのニュースが報道されている昨今では、大リーグの名称及び主要球団の名称は、日本の一般的な需要者の間でよく知られるものとなっている。

そのような大リーグの球団中、デトロイト・タイガースは、1901に発足し、1907年からリーグ3年連続優勝を果たした名門チームである(甲34)。1935年にはワールドシリーズ優勝を果たした。

現在の本拠地は、2000年に開場したコメリカ・パークであり(甲28)、デトロイト・タイガースに在籍した日本人選手として木田優夫、野茂英雄がいる(甲34)。また、1990年代前半には、セシル・フィルター、ビル・ガリクソン、トニー・バナザードといった日本から戻った選手が活躍している(甲34)。このようなことからも、デトロイト・タイガースは、日本でよく知られた球団の一つである。

よって、そのロゴマークである引用商標も日本でよく知られている。

(2)デトロイト・タイガース及びそのロゴマーク(引用商標)は、日本の需要者の間によく知られており、甲第21号証、甲第23号証、甲第33号証に示すとおり引用商標を付した商品「被服」等が日本で販売されている。

また、甲第20号証からわかるとおり、メージャーリーグベースボールは、日本の多くの企業にライセンスを付与しており、被服の分野では、たとえばユニクロに商標の使用許諾を与えている。

かかる状況において、引用商標は、米国メージャーリーグベースボールに所属する球団デトロイト・タイガースのマークとして日本の需要者の間に周知である。そして、引用商標をみる需要者、取引者は、そこからメージャーリーグベースボールという出所を認識することができる。

よって、本件商標がその指定商品「被服」等に使用された場合、申立人の業務にかかる商品との間で出所の混同を生じるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標は、メージャーリーグベースボールの球団デトロイト・タイガースを示すものとして日本の需要者の間でよく知られている。

かかる状況下において、引用商標と近似する本件商標を目にする需要者、取引者は、それがメージャーリーグベースボールに関連するものであると誤認する可能性がきわめて高い。

特に、本件商標の指定商品は、第18類「かばん類等」、第25類「被服等」であるが、それらの分野においてメージャーリーグベースボール関連商品は多数販売されていることから、本件商標が使用された場合に、その商品がメージャーリーグベースボール関連商品であるとして出所を誤って認識されることは想像に難くない。

してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、申立人の業務にかかる商品・役務との間で出所の混同を生じるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

4 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してなされたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなる図形であるところ、その構成中、左側には、3カ所に突起した部分があり、その上下の突起は、それぞれが長く斜め方向に湾曲して伸びており、真ん中の突起は、短く下方向に曲がっているものである。

そして、左上の突起部分から伸びる太い線は、右側を周回して下方向に伸びており、かつ、左下の突起から2方向に分かれて伸びる太い線が、その左上からの太い線に結合しているものである。特に、右側の下部の結合部は、斜めに切り取られた角のようになっている。

また、その内側には、縦線が1本あり、その縦線から2本の湾曲した横線が右側の太線に繋がっているものである。

以上によれば、本件商標は、左側の3カ所に特徴のある突起を有し、その上下の突起から太い線が延びてそれぞれ結合したとの印象を受ける構成からなる態様であって、右側上部が丸みを帯び、その下部において、斜めに切り取られた角を有する点などにより、構成全体として、特徴のある図形として、看者に強く印象付けられるものといえる。

してみれば、本件商標は、上記特徴を有する特異な構成の図形といえるものであるから、これより特定の称呼、観念は生じないというべきである。

(2)引用商標

引用商標1及び2は、別掲2及び3のとおり、ローマ字の「D」を図案化した構成よりなるものであるところ、これらは、イギリス系ブラック書体の「D」を基調としたものとして看取されるものというのが相当である。

そして、その構成中、Dの上部において左上向きに湾曲した“はね”があり、下部において左下向きに湾曲した“はね”がある。また、Dの左側の垂直線ほぼ中央部から左向きに湾曲した“はね”が下向きに2カ所突出している。さらに、Dの上部からS字もしくは垂直方向の線が2本又は3本あり、水平方向にも4本又は2本の装飾線がある。また、Dの右下部分が斜めに削られたように表されている。

以上によれば、引用商標1及び2は、上記の特徴を有しているとしても、イギリス系ブラック書体を基調としたローマ字の「D」を図案化した標章として理解されるものである。

してみれば、引用商標1及び2は、ローマ字の一字「D」を図案化した構成よりなるものであって、特異な構成よりなる図形的な商標といえるものであるから、これより特定の称呼、観念は生じないというべきである。

(3)本件商標と引用商標との類否

本件商標は、外観において、上記したとおり、左側の3カ所に特徴のある突起を有し、その上下の突起から太い線が延びてそれぞれ結合したとの印象を受ける構成からなる態様であって、右側上部が丸みを帯び、その下部において、斜めに切り取られた角を有する点などにより、構成全体として、特徴のある図形として、看者に強く印象付けられるものといえる。

他方、引用商標は、上記したとおりの特徴を有しているとしても、イギリス系ブラック書体を基調としたローマ字の「D」を図案化した標章として理解されるものである。

そうしてみると、本件商標は、別掲1のとおりの構成からなる特徴のある図形として、看者に強く印象付けられるものといえるのに対し、引用商標は、ローマ字の一字「D」を図案化した標章としての印象を与えるから、両商標は、看者に与える構成全体の印象においても大きく異なるものである。

そして、本件商標と引用商標は、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、互いに見誤るおそれはないというのが相当である。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観上類似する商標ということはできない。

また、称呼及び観念においては、両者は、ともに称呼及び観念を生じないものであるから、類似するところはないものである。

その他、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき特段の理由は存在しない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について

(1)引用商標の著名性について

申立人の提出に係る甲第4号証ないし甲第42号証を総合すれば、以下のとおり判断するのが相当である。

ア 近時、メジャーリーグで活躍する日本人選手が増えるに従い、我が国においても、メジャーリーグの試合の実況中継等が増え、また、スポーツ新聞以外の一般紙においても、その試合結果等が掲載されるようになり、一般の需要者の間にもメジャーリーグファンが増えたことは否定できない。

しかし、我が国で放送される有料チャンネル以外のメジャーリーグの試合の実況中継等は、日本人選手が比較的活躍する試合が中心といえるものである。さらに、新聞等に掲載されるメジャーリーグの記事についても、同様に、メジャーリーグで活躍する日本人選手が中心のものといえる。

そうすると、本件商標の登録出願時において、我が国で比較的多く放送等されるメジャーリーグの球団については、その球団名と共にロゴマークについても、一般の需要者がある程度知っているといえるが、それ以外のメジャーリーグの球団については、球団名は知っていたとしても、そのロゴマークについてまで、一般の需要者が広く認識していたものとは考えにくく、せいぜい一部のメジャーリーグファンやスポーツ用品等を取り扱う業者などに限られるというのが相当である。

したがって、我が国で放送されるメジャーリーグの試合や新聞等に掲載されるメジャーリーグの記事などを例にとってみたとしても、本件商標の登録出願時に、引用商標が「デトロイト・タイガース」のロゴマークを表すものとして、我が国の一般の需要者の間に広く浸透していたとみることはできない。

イ さらに、引用商標が付された帽子、Tシャツなどが、本件商標の登録出願前より、我が国において多数販売されていたと認めるに足りる的確な証拠は見出せない。特に、提出された証拠からは、これらの商品が、本件商標の登録出願前に、我が国でどの程度販売され、どの程度の売上があったのかなどについても明らかではない。その他、証拠のほとんどが英語で記載されており、これらが本件商標の登録出願前に、我が国の一般の需要者を対象として、発行又はインターネット上に掲載されたものであると認めることは困難であるといわざるを得ない。

ウ 以上を総合すると、引用商標が、「Detroit Tigers(デトロイト・タイガース)」の文字や「Tigers(タイガース)」などの文字と共に表示される場合には、「デトロイト・タイガース」のロゴマークとして、一般の需要者の間にも理解される場合があるとしても、ローマ字の一文字である「D」を図案化した引用商標が、それ自体単独で、メジャーリーグ所属の球団「デトロイト・タイガース」のロゴマークとして、本件商標の登録出願前より、我が国の需要者の間に広く認識されているとまで認めることはできない。

(2)そして、前記1のとおり、本件商標は、引用商標1及び2とは、商標それ自体類似するものではなく、別異の商標として認識されるものである。

また、引用商標3は、別掲4のとおり、ローマ字の「D」を図案化した構成よりなる標章が29個表示されているものである。

そして、これらの標章は、引用商標1及び2の特徴において近似しており、なかには細部において相違するものもあるが、イギリス系ブラック書体の「D」を基調としたものとして看取されるものであって、総じて引用商標1及び2と近似する商標といえるものである。

そうとすれば、本件商標と引用商標3とは、前記1と同一の理由により非類似と判断するものであって、別異の商標として認識されるものである。

加えて、引用商標は、上記(1)のとおり、我が国における需要者の間に広く認識されているとは認められないものである。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

また、引用商標は、我が国における需要者の間で広く認識されているとは認められないものであり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものであるから、本件商標に接する需要者は、直ちに引用商標を想起又は連想することはなく、本件商標をその指定商品について使用しても、該商品が申立人及びメジャーリーグベースボール若しくはデトロイト・タイガース又はこれらと経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してなされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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