sokuhyo

Trademark Appeal Case

不使用取消と題号使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2014−300217(T2014−300217/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3125422号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3125422号商標(以下「本件商標」という。)は、「大学への数学」の文字を横書きしてなり、平成4年12月28日に登録出願、第16類「新聞,雑誌,定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」を指定商品として、同8年2月29日に設定登録されたものである。

なお、本件審判の請求の登録日は、平成26年4月11日である。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。

2 請求の理由

本件商標は、継続して3年以上日本国内おいて商標権者、使用権者によって使用された事実が認められないので、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

3 答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標をその指定商品中「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」について使用していると主張しているが、同人提出の答弁書によっては、本件商標が該商品に使用されていることは証明されていない。

(1)乙第1号証によれば、株式会社研文書院(以下「研文書院」という。)は、平成25年8月31日に株主総会の決議により解散し、同年9月9日の時点で、商標権者は清算人であったことが明らかになっている。

(2)被請求人の主張及び提出された証拠から、平成25年9月9日時点において被請求人が清算人を務めていた研文書院が、「大学への数学I」、「大学への数学A」、「大学への数学II&B」、「大学への数学III&C」という題号の高校生向け参考書を販売していたことは窺えるものの、商品「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」を販売していた証拠は存在していない。

なお、被請求人は、乙第5号証ないし乙第8号証のホームページ上で「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」を掲載していたと主張する。

しかしながら、該各号証は、いずれも「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」の名称として「大学への数学」という文字を使用することは皆無であって、これらの内容からは、単に参考書である「大学への数学」を宣伝する内容にすぎない。

さらに、商標法上の商品については、原則有償で取引される場合のみ商品に該当するものであるが、該各号証はいずれも誰でもアクセス可能なホームページにすぎず、独立して商取引の目的とされるべきものではない。

よって、これらの証拠からでは、商品「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」について、「大学への数学」を使用していたとは認められない。

(3)まとめ

被請求人が提出した答弁書から、本件商標は、被請求人が関与していた研文書院が発行する参考書の題号であることは理解できる。

しかしながら、本件商標は、被請求人提出の証拠によっては、本件商標の指定商品については、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人が使用していた事実を認めることはできない。

なお、被請求人は、本件商標を「参考書の題号」としてのみ使用しているため、該使用態様は、単に商品の品質を表すにすぎず、もともと商標として保護されないにもかかわらず、「雑誌,新聞,定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」に関する登録商標として以後も継続して保護しなければならない利益は皆無である。

4 請求人は、下記第3 3のとおり被請求人から上申書が提出されたため、書面審理を希望する旨の上申書を提出している。

第3 被請求人の主張

1 答弁の趣旨

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証を提出している。

2 答弁の理由

本件商標は、本件審判の請求の登録日前3年以内に、指定商品である「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」について、研文書院が使用していたものである。以下、本件商標が使用されていたことについて、詳細に説明する。

(1)商標の使用者

本件商標の使用者である研文書院は、商標権者が代表取締役を務め、東京都杉並区に住所を有する法人であり、図書出版及び販売、図書出版の代表業務、それに附帯する一切の業務を目的としている(乙1)。

研文書院は、主として高校数学の参考書・問題集を発行しており(乙2)、これら「大学への数学I」、「大学への数学A」、「大学への数学II&B」などの「大学への数学シリーズ」は、課程変更時に改訂版が発行されるとともに、とりわけ東大・京大・東工大など難関国立理系受験生の間では、大学で学ぶ数学につながる硬派な参考書として好評を得て来たものである。

また、例えば、参考書「大学への数学II&B」のカバー表紙に、発行所が研文書院であり、発行者が商標権者であることが表示され(乙3)、研文書院のホームページのURLも表示されている(乙4)。

そして、商標権者は、研文書院に対して、本件商標について指定商品への使用を許可する通常使用権を設定していた。

(2)使用商標及び使用に係る商品

ア 通常使用権者である研文書院は、自社のホームページ上で、本件商標を表示して、各種の情報を発信する画面(ニュースレター)を定期的に更新しながら告知していた(乙5)。これは、「大学への数学」などの参考書の購入者及び購入予定者に対して、学習に関する有益な情報、改訂版の発行や目次内容など書籍に関する各種情報、その他の情報を告知するものである。

すなわち、当該ホームページの画面(乙5)には、「大学への数学」の文字とともに、最新情報(この画面例の場合、最後に告知した廃業のお知らせ)が定期的に告知されるようになっていた。

イ また、その画面に続く下方側には、「研文書院紹介」「研文かわらばん」「大学への数学ガイド」等のクリック可能な窓があり、各窓をクリックすることで、それらに関する各種情報が表示されるものである(乙6〜乙8)。さらに「大学への数学ガイド」の画面(乙8)では、「大学への数学II&B」や「大学への数学スペシャル東大・東工大」をクリックすることで、各参考書の詳細目次(乙9、乙10)が表示されるようになっている。

ウ 近年のインターネット環境の発展に伴い、定期的に刊行されていた小冊子やニュースレターの内容について、省エネ及びペーパーレスの観点からホームページ上の画面への掲載で代用することが主流となっている。

例えば、各自治体においてもホームページ上にニュースレターとして情報を掲載することが一般的に行われており(乙11)、ホームページ閲覧者はホームページ上画面における更新を伴う情報告知をニュースレターの発行と同様なものと認識している。

そして、ホームページに掲載されたニュースレターによる各種情報は、ホームページ閲覧者に確実に告知されていたものである。例えば、平成24年9月ないし平成25年5月半ばまでは、平均すると月に1冊にも満たない販売量であったものが、5月半ばのホームページ画面で廃業を告知(乙5)すると同時に、販売量が急に増えた(乙12)ことからも、廃業情報の告知が確実に行われていたことを窺い知ることができる。

エ したがって、研文書院が自社のホームページ上で行っていた各種の情報告知は、画面自体の表示が情報の告知を行うニュースレターの発行に該当するものであり、ホームページ上の情報告知画面において、「大学への数学」の文字を使用すること(乙5)は、本件商標をその指定商品である「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」に使用することに該当するものである。

(3)商標の使用時期

研文書院は、平成25年8月末日で廃業したが、それまでの間、「大学への数学」のホームページ(乙5)で情報告知を行っていた。したがって、本件審判の請求の登録日前3年以内に、本件商標が指定商品「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」に使用されていたものである。

また、平成25年2月ないし5月時において、各販売会社へ参考書を納付した受領書(乙13、乙14)、雑誌「サンデー毎日(平成24年3月25日号)」への広告依頼に関する請求書(乙15)からも、平成24年ないし同25年において、研文書院が営業活動を行っていたことは明らかである。

なお、参考書「大学への数学」の発行元である研文書院は、平成25年8月末日をもって廃業したが、同参考書に関しては、著者のうちの一人が引き継いで発行することが商標権者との間で合意されており、今後は同人が立ち上げるホームページ上で「大学への数学」の名前で以前と同様の情報告知を行う予定であることを付け加える。

(4)むすび

上述したように、本件商標は、本件審判の請求の登録日前3年以内の平成24年ないし同25年にかけて、指定商品である「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」について、通常使用権者である研文書院が使用していたものである。

3 被請求人は、平成26年11月27日に行われる予定の口頭審理に関し、口頭審理陳述要領書を提出せず、期日に出頭しない旨の上申書を提出した。

第4 当審の判断

1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。

(1)本件商標の商標権者が代表取締役であり、東京都杉並区所在の研文書院は、図書出版及び販売などを業務としていたが、平成25年8月31日に解散(同年9月2日登記)した(乙1)。

(2)商標権者及び研文書院は、「大学への数学I」「大学への数学A」「大学への数学II&B」などの参考書(以下、これらをまとめて「本件参考書」という。)を発行し、少なくとも平成25年2月ないし同年5月に株式会社博文社などに譲渡(引渡)した(乙3、乙4、乙13、乙14)。

また、「大学への数学II&B」は、2012年(平成24年)3月20日に13刷が発行されている(乙3)。

しかしながら、提出された証拠からは、号数の記載などそれらが一定の期間をおいて発行されている事実を窺い得る記載は見いだせない。

(3)研文書院は、少なくとも2014年(平成26年)6月6日にインターネット(Amazon.co.jp)を通じて、本件参考書の広告、展示をしていた(乙2)。

(4)被請求人が研文書院のホームページで告知、掲載していた画面(ニュースレター)と主張する乙第5号証ないし乙第10号証には、研文書院の廃業のお知らせなどの記載があるものの、本件参考書の価格、品切れである旨、特色や利用法など、その多くは本件参考書に係る記載である。

しかしながら、それらにはURLの記載や、掲載日又はプリントアウトの日付の記載などがなく、それらがホームページに掲載された時期はもとより、掲載された事実も確認できない。

(5)被請求人が、研文書院が参考書を販売した直販リストであると主張する乙第12号証によれば、書籍の記載された商品が平成24年9月から平成25年8月までの間に、顧客に販売されたことが推認し得る。

しかし、上記の書籍が、本件参考書であることは確認できない。

また、乙第15号証によれば、研文書院が雑誌「サンデー毎日(2012年(平成24年)3月25日号)」に何らかの広告を掲載したことを窺い知ることはできるが、その広告の内容は全く確認できない。

2 判断

(1)被請求人が本件商標を使用していると主張する商品「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」は、その商品名から、いわゆる「定期刊行物」の一種といえる。

そして、「定期刊行物」とは「新聞・雑誌など、一定の期間をおいて刊行される印刷物。」をいい(広辞苑 第6版)、このことから、本件審判の請求に係る指定商品「新聞,雑誌,定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」は、いずれも「定期刊行物」の範ちゅうに含まれるものといえる。

また、「ニュースレター」とは「企業・団体・官公庁などで、情報伝達のために関係者や会員向けに発行する定期刊行物。」であり、「参考書」とは「調査・研究・学習などの参考にする書。」である(広辞苑 第6版)。

(2)そこで、被請求人が研文書院のホームページ上で掲載したとする画面(ニュースレター)(乙5〜乙10)についてみると、ニュースレターがホームページ上で掲載されることはあるとしても、当該画面の内容は、本件参考書の価格、紹介などが主であって、本件参考書の販売のための広告とみるのが自然であるから、それ自体が独立して商取引の対象とされている商標法上の商品とはいえないと判断するのが相当である。また、他に、それらが独立して商取引の対象とされていると認め得る証拠も見いだせない。

そして、当該画面がホームページに掲載された事実が確認できないこと(上記1(4))から、それが一定の期間をおいて掲載されていることを確認すべくもない。

そうとすれば、これらは商品「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」の範ちゅうに含まれるものということはできない。

さらに、当該画面は、その掲載時期も確認できない(上記1(4))から、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に使用していたと認めることもできない。

(3)次に、本件参考書についてみると、それらは印刷物といえるものであって、それが増刷されたことは認め得るとしても、号数の記載などそれらが一定の期間をおいて発行されている事実はもとより、その事実を窺い得る証拠も見いだせない(上記1(2))から、本件参考書は、定期的に刊行されているものということはできず、「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」の範ちゅうに含まれる商品と認めることはできない。

(4)上記(2)及び(3)のとおり、被請求人が研文書院のホームページ上で掲載したとする画面(ニュースレター)及び本件参考書は、いずれも「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」とはいえないし、かつ、それらが一定の期間をおいて刊行されている事実が確認できず、本件審判の請求に係る指定商品中の「新聞,雑誌」の範ちゅうに含まれるものともいえないから、被請求人が商標法第50条第2項に規定する証明をしたものと認めることができない。

3 そこで、審判長は、本件商標の使用の事実を確認するため、平成26年11月27日に口頭審理を行うべく、平成26年10月2日付けで別掲の審理事項通知書を送付したが、被請求人は、口頭審理陳述要領書を提出せず、期日に出頭しない旨の上申書を提出した。

4 そうとすれば、研文書院は本件商標を「定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」について使用していたと認めることはできず、他に、本件審判の請求に係る指定商品「新聞,雑誌,定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」について本件商標の使用をしていることを認め得る証拠も見いだせない。

してみれば、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品「新聞,雑誌,定期的に刊行される小冊子・ニュースレター」についての使用を証明していないといわざるをえない。

5 まとめ

以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。