Trademark Appeal Case
原料プラスチックと化学品の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2014−900208(T2014−900208/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5664741号商標(以下「本件商標」という。)は、「HYPOX」の欧文字を書してなり、2013年11月18日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成25年12月17日に登録出願、第1類「原料プラスチック」を指定商品として、同26年3月17日に登録査定され、同年4月18日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が引用する登録第4586968号商標(以下「引用商標」という。)は、「HYPROX」の欧文字を標準文字で表してなり、平成13年4月23日に登録出願、第1類「化学品(過酢酸及び過硫酸塩を除く。)」のほか、第3類、第9類、第37類、第39類及び第41類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同14年7月19日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(2)具体的な理由
ア 本件商標と引用商標が類似すること
(ア)両商標の外観
本件商標は「HYPOX」の5文字、引用商標は「HYPROX」の6文字からなり、両者は第1字から第3字まで及び末尾の2字を同じくし、その差異は中間の「R」の有無のみである。
そうすると、書体上も顕著な差異がなく、全体の文字数も少ないとはいえない両者における「R」一文字の差異は、看者が注意を払いにくく、看過しやすい中間におけるものであることに加え、両者が特定の観念を持たない造語であることも相まって、需要者が時と場所を異にして両者に接する場合は、外観において紛れるおそれのある類似の商標であるといわざるを得ない。
(イ)両商標の称呼
本件商標からは「ヒポックス」及び「ハイポックス」の称呼、引用商標からは「ヒプロックス」及び「ハイプロックス」の称呼が生じる。
「ヒポックス」と「ヒプロックス」、「ハイポックス」と「ハイプロックス」の称呼を対比すると、いずれも最も看者の印象に残りやすい語頭の「ヒ」又は「ハイ」と語尾の「ックス」が共通し、全体の語調・語感は相紛らわしいものといえる。
(ウ)まとめ
上記のように、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において類似する商標であり、観念においては対比できないものであるから、これらを同一又は類似の商品について使用した場合には出所の混同を生ずるおそれのある類似の商標というべきである。
イ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が類似すること
(ア)本件商標の指定商品「原料プラスチック」と引用商標の指定商品中「化学品(過酢酸及び過硫酸塩を除く。)」は、特許庁の「類似商品・役務審査基準」上は非類似の商品として取り扱われている。
しかしながら、商品の類否判断に係る商標審査基準に沿って両商品の類否について検討すると、「原料プラスチック」は石油から合成された高分子化合物であることから、化学分野との関連性が非常に密接である(甲3)。実際の取引においても、合成樹脂と化学品を同一事業者が扱う例が多いことからも明らかなように(甲4〜甲7)、両商品の生産・販売部門は共通している。また、日本貿易機構の見本市等の情報においても、「化学,ゴム,プラスチック,素材類」がひとくくりのものとして分類されており(甲8)、「化学」と「プラスチック」の業界が同じ分野のものとして認識されていることは明らかである。
(イ)上述のように、「原料プラスチック」と「化学品」は、密接な関係にあり、実際に同一の事業者が製造・販売していることから、同一又は類似の商標を使用した場合には出所の混同を生ずるおそれのある類似の商品である。
ウ 上記の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
3 当審の判断
(1)本件商標は、上記1のとおり「HYPOX」の文字からなり、その構成文字に相応して「ハイポックス」及び「ヒポックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、上記2(1)のとおり「HYPROX」の文字からなり、その構成文字に相応して「ハイプロックス」及び「ヒプロックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、外観においては、「R」の文字の有無に差異を有するものの、該差異は5文字と6文字からなる両者の中間に位置するものであることから、この差異が看者に強い印象を与えるとはいえず、全体としてやや紛らわしい印象を与えるものといえる。
次に称呼においては、本件商標と引用商標の称呼「ハイポックス」と「ハイプロックス」、及び「ヒポックス」と「ヒプロックス」をそれぞれ比較すると、両者は、いずれも中間音において「ポ」と「プロ」との差異を有し、該差異音は、1音と2音という相違がある上に、共に促音を伴っていることから、「ポ」と「ロ」の音が明瞭に発音、聴取され、この差異が称呼全体に及ぼす影響は大きく、いずれも明瞭に聴別し得るものであるから、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
また、「ハイポックス」と「ヒプロックス」、「ヒポックス」と「ハイプロックス」の比較においては、いずれも両者が相紛れるおそれのないことは明らかである。
さらに、観念においては、両商標はいずれも特定の観念を生じないものであるから、相紛れるおそれのないものである。
(3)そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観においてやや紛らわしいとしても、称呼及び観念において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
さらに、本件商標と引用商標とが類似するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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