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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900252(T2014−900252/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5678589号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5678589号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成25年12月10日に登録出願、第30類「広島県福山市に由来する製法により生産された保命酒を原材料とする菓子,広島県福山市に由来する製法により生産された保命酒を原材料とするあめ」及び第33類「広島県福山市に由来する製法により生産された保命酒」を指定商品として、同26年5月19日に登録査定、同年6月20日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てにおいて引用する登録商標は、以下の2件の登録商標(以下、2件の登録商標を総称するときは「引用商標」という。)である。

(1)登録第379504号商標(以下「引用商標1」という。)は、「巴」の文字を書してなり、昭和23年7月12日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同24年11月4日に設定登録、その後、平成13年5月16日に指定商品を第5類「薬用酒」及び第33類「日本酒,薬味酒(虎骨酒・にんじんきなてつぶどう酒を除く。)」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

(2)登録第392053号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、昭和24年4月22日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同25年9月26日に設定登録、その後、平成14年7月3日に第5類「薬用酒」及び第33類「日本酒,薬味酒(虎骨酒・にんじんきなてつぶどう酒を除く。)」を指定商品とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議申立ての理由

申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その具体的理由を要旨以下のとおり主張し、甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)本件商標と引用商標との類似性

本件商標は、その構成中、中央下部のアーチ型の赤色枠内に白抜きで表された「TOMOE−JIRUSHI」の文字部分における要部の「TOMOE」の文字、さらに、中央上部に表された図形部分より、「トモエ(巴)」の称呼及び観念を生ずるものである。

これに対し、引用商標1は、その構成文字である「巴」の文字より、「トモエ(巴)」の称呼及び観念を生ずるものである。また、引用商標2は、その構成中、中央部に表された「巴」の漢字及び「TOMOE」の欧文字の部分並びに図形部分から「トモエ(巴)」の称呼及び観念を生ずるものである。

してみれば、本件商標と引用商標1とは、「トモエ(巴)」の称呼及び観念を共通にする類似の商標である。また、本件商標と引用商標2とは、「トモエ(巴)」の称呼及び観念を共通にし、図形部分も相紛らわしい印象を与える類似の商標である。

そして、本件商標と引用商標とは、その指定商品も互いに抵触する。

(2)まとめ

以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似の商標であって、同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

したがって、本件商標の登録は、同号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

4 当審の判断

(1)本件商標について

ア 本件商標における文字部分(文字を囲む図形を含む。)について

本件商標は、別掲(1)のとおりの構成からなるものであって、赤色の地に薄茶色で描かれた模様のある太枠(以下、「太枠」という。)内には、様々な文字及び当該文字を囲む図形並びに人物及び風景等を表した図形が配されているところ、まず、本件商標における文字部分(文字を囲む図形を含む。)については、以下の(ア)ないし(エ)のとおりといえる。

(ア)人物及び風景図形を2分するように、太枠内の中央に大きく配された薄茶色の縁を有する赤塗りの縦長長方形状図形(以下「赤塗り縦長長方形状図形」という。)内には、上段に小さく横書きにした「薬味酒」の文字と該文字の下に、大きく縦書きにした「十六味保命酒」の文字が、いずれも薄茶色で表されているところ、赤塗り縦長長方形状図形及びその中に書された文字部分は、本件商標において最も看者の注意を強く引く部分であるといえるが、これらの文字部分は、商品の普通名称、品質等を表示するものであるから、これより、自他商品の識別標識としての称呼及び観念は生じないものといえる。

(イ)太枠内の中央下部に配された赤塗りのアーチ状図形(以下「アーチ状図形」という。)内には、やや小さく表された「TOMOE−JIRUSHI」の文字とやや大きく表された「HOUMEISHU」の文字が、いずれも白抜きで二段に横書きされているところ、そのうち、「HOUMEISHU」の文字部分は「保命酒」を表すものであるから、自他商品の識別機能を有しない部分であり、また、「TOMOE−JIRUSHI」の文字部分は、「巴印」の意味合いを表したと理解されるものであって、指定商品の品質等を表示するものではないから、一応、自他商品の識別機能を有するものといえる。

(ウ)アーチ状図形の左右には、それぞれ黒塗りのリボン状図形(以下「リボン状図形」という。)が配され、右のリボン状図形内には、「鞆元祖保命酒屋」の文字が、また、左のリボン状図形内には、「(有)入江豊三郎本店」の文字が、それぞれ白抜きで横書きにされているところ、そのうち、右の「鞆元祖保命酒屋」は、「鞆」の文字部分が、その下に書された「TOMO」、「FUKUYAMA」の文字より福山市に所在の地名を表したと理解されるから、全体として「鞆にある元祖保命酒専門店」なる意味合いを表すにすぎず、自他商品の識別機能を有しないものといえる。これに対し、左の「(有)入江豊三郎本店」の文字部分は、商品の製造元又は販売元を表したものと理解されるものであるから、小さく表されているとはいえ、高い自他商品の識別機能を有するといえる。

(エ)三つ巴の図形の左右に小さく縦書きにされた「相傳」及び「神秘」の各文字部分は、同一の書体で表されていることも相まって、全体として「代々受け継がれてきた神秘なもの」なる意味合いを表したものと理解され、自他商品の識別機能を有しないか又は極めて弱いものといえるから、これより、自他商品の識別標識として称呼、観念は生じないものといえる。

イ 本件商標における人物及び風景等の図形について

本件商標における人物及び風景等の図形については、以下の(ア)及び(イ)のとおりといえる。

(ア)本件商標における人物及び風景図形は、赤塗り縦長長方形状図形に2分されるように描かれているとはいえ、本件商標においてその面積の相当部分を占めているものである。そして、そのうちの人物図形は、古代における主従関係にある人物を描いたものと認められ、右側に描かれた松の木の根方に座っている身分の高い人物や左側のひざまずいている2人の家来と思しき人物などは、物語絵を想起させるばかりでなく、人物及び背景図形全体の色彩が鮮やかであることからも、看者に強い印象を与え、鮮明に記憶されるものといえる。

(イ)赤塗り縦長長方形状図形の上に配された三つ巴の図形は、巴部分が薄茶色で表され、赤塗り縦長長方形状図形の縁の色と同色であり、赤塗り縦長長方形状図形と一体的な図形として看取される場合も少なくなく、それ自体単独では、看者に強い印象を与えるものとはいえない。

ウ 小括

上記ア及びイによれば、本件商標は、その構成中において、その面積の相当部分を占める人物及び風景図形、特に、人物の図形部分は、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。また、商品の製造元又は販売元を表したと認識される「(有)入江豊三郎本店」の文字部分も、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。

一方、本件商標中の「TOMOE−JIRUSHI」部分は、漢字で表記された文字部分に比べ、直観的にその称呼及び観念が生じ難い上に、比較的小さく目立たないように表されていることもあって、さほど強い識別力を有するものとはいえないし、また、三つ巴の図形は、赤地の縦長長方形状図形と一体的な図形として看取される場合も少なくなく、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとまでは認めることができない。

してみると、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中の人物及び風景図形の特異性に印象付けられ、鮮明に記憶し、これをもって自他商品を識別する標識として捉えて商品の取引に当たるか、又は、商品の製造元ないし販売元を表したものと直ちに認識される「(有)入江豊三郎本店」の文字部分より生ずる「ユウゲンガイシャイリエトヨサブローホンテン」、あるいは、会社の組織名を省略した場合の「イリエトヨサブローホンテン」若しくは「イリエトヨサブロー」の称呼及び商品の製造ないし販売元としての「(有)入江豊三郎本店」なる社名の観念をもって、商品の取引に当たるとみるのが相当であって、その構成中、出所識別標識として強く支配的な印象を与える人物及び風景の図形や「(有)入江豊三郎本店」の文字部分を度外視して、全体の中に埋没して格別強い印象を与えるものとはいえない「TOMOE−JIRUSHI」の文字部分あるいは三つ巴の図形部分を殊更に抽出し、単独で「トモエ」の称呼及び「巴」の観念をもって商品の取引に当たるとみることはできない。

したがって、本件商標は、「(有)入江豊三郎本店」の文字部分より「ユウゲンガイシャイリエトヨサブローホンテン」、「イリエトヨサブローホンテン」若しくは「イリエトヨサブロー」の称呼及び商品の製造ないし販売元としての社名の観念を生ずるものというべきであって、単に「トモエ」の称呼及び「巴」の観念は生じないものといわなければならない。

(2)本件商標の商標法第4条第1項第11号の該当性について

本件商標は、上記(1)のとおり、単に「トモエ」の称呼及び「巴」の観念は生じないといわなければならないものであるから、その構成中の「TOMOE−JIRUSHI」の文字部分あるいは三つ巴の図形部分を殊更に分離、抽出し、それを前提として、本件商標と引用商標とが「トモエ」の称呼及び「巴」の観念を共通にする類似の商標であるとする申立人の主張は、前提において妥当でなく、採用することができない。

そして、本件商標と引用商標とは、外観において著しい差異を有するものであることからも、これらを同一又は類似の商品について使用しても、その取引者、需要者をして、商品の出所について誤認、混同を生じさせるおそれはないというべきである。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点においても、相紛れるおそれがない非類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標と認めることはできない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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