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Trademark Appeal Case

結合商標の要部認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900191(T2014−900191/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5666009号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5666009号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成25年12月12日に登録出願、第30類「チョコレートを使用した洋菓子」を指定商品として、同26年4月8日に登録査定、同年4月25日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に該当するから、同法第43条の2の規定によりその登録は取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、欧文字「C3SACHER」(審決注:「3」の文字は、他の文字と上部をそろえ、他の文字の3分の1程度の大きさで表されている。以下同じ。)と片仮名「シーキューブザッハ」の2つの構成要素からなる。欧文字部分中の「C3」の文字部分は、商品の品番等を表す記号程度の意味合いしか有しないものであるから、本件商標の要部は、「SACHER」の文字部分である。

一方、申立人が引用する国際登録第1020121号商標(以下「引用商標」という。)は、「SACHER」の欧文字を横書きしてなり、2011年(平成23年)11月29日に国際商標登録出願(事後指定)、第14類、第21類、第25類、第28類、第29類、第30類、第33類、第34類及び第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成25年9月6日に設定登録されたものである。

その後、その指定商品及び指定役務については、2014年(平成26年)10月16日付けで国際登録簿に記録された限定の通報があった結果、第14類については、国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品に限定された。

してみると、本件商標の要部と引用商標とは、外観及び称呼が同一の類似の商標である。

また、本件商標と引用商標は、指定商品において抵触している。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について

申立人は、オーストリア・ウィーンに所在の著名なホテル「ホテル・ザッハ」を所有、運営する会社であり、当該「ホテル・ザッハ」は、チョコレート菓子「ザッハ・トルテ」の誕生の地として世界的に知られており、菓子について、「SACHER」又は「ザッハ」といえば、菓子業界及び菓子に興味を有する者の間においては、直ちに申立人の「ホテル・ザッハ」及び申立人が長年にわたり提供しているチョコレート菓子「ザッハ・トルテ」が想起される。

してみると、本件商標をその指定商品に使用した場合、その要部が「SACHER」の文字部分であることから、申立人の商標であるとか、又は、申立人と何らかの関係のある商標であるとの誤認混同が生じるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲のとおり、「C3SACHER」の欧文字と「シーキューブザッハ」の片仮名を二段に横書きしてなるものであるところ、該欧文字部分及び片仮名文字部分は、それぞれ同一の書体をもって、いずれも一連一体に外観上まとまりよく表されているばかりでなく、上段の小さく表された「3」の文字部分は、「三乗、立方」を意味し、「キューブ」と読まれるものとして一般によく知られているところから、下段に書された「シーキューブザッハ」の片仮名文字部分が欧文字部分全体の称呼を特定したものと無理なく理解、認識されるものであって、かつ、該「シーキューブザッハ」の称呼は、全体として称呼した場合においても冗長というほどのものではない。

そうとすれば、本件商標は、外観及び称呼上の一体性からみて、これを「C3」、「シーキューブ」の文字部分と「SACHER」、「ザッハ」の文字部分に分離し、「SACHER」、「ザッハ」の文字部分のみを抽出して把握、認識すべきものではなく、構成全体をもって、一体不可分の造語を表したと理解されるとみるのが相当である。その他、本件商標より、「SACHER」、「ザッハ」の文字部分のみを分離、抽出して把握、認識しなければならない特段の事情は見いだせない。

してみると、本件商標は、その構成文字に相応して、「シーキューブザッハ」の一連の称呼のみを生ずるものであって、単に「ザッハ」の称呼は生じないものといわなければならない。また、本件商標は、構成全体をもって特定の観念は生じないものである。

したがって、本件商標より「SACHER」、「ザッハ」の文字部分を分離、抽出し、これを前提として、本件商標と引用商標とが外観及び称呼を共通にする類似の商標であるとする申立人の主張は、前提において誤りがあるというべきであり、採用することができない。その他、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき特段の理由も見いだせない。

以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標と認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

甲第3号証の1ないし4及び申立ての理由によれば、申立人は、1876年に、当初は家具付き貸家として建てられたオーストリア国ウィーン市に所在のホテル「ホテル・ザッハー」(Hotel Sacher)を所有・運営する会社であること、該ホテル・ザッハーでは、1832年ころにフランツ・ザッハーにより考案されたとされるチョコレートケーキの一種である「ザッハトルテ」(Sachertorte)をそのレストランとカフェで提供し続け、「ザッハトルテ」は、ホテル・ザッハーの名物とされていること、「ザッハトルテ」は、我が国においても、本件商標の登録出願日(平成25年12月12日)前に、インターネット上で「世界一有名なチョコケーキ ザッハトルテ/オリジナルを名乗れるのはホテルザッハーだけ」などとして紹介されていたこと、などを認めることができ、我が国の国民の間では、ヨーロッパを含めた海外への渡航が普通に行われていること、インターネット等の普及により国内外の多種多様な情報が入手しやすい状況にあることなどを併せ考慮すれば、「ザッハトルテ」の表示は、ホテル・ザッハーの提供に係るチョコレートケーキの名称として、本件商標の登録出願日には既に、我が国の菓子関連の分野の取引者、需要者の間には知られていたものと認めることができる。

しかし、前記(1)認定のとおり、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の造語を表したものと認識される商標であって、その構成中の「SACHER」、「ザッハ」の文字部分のみが独立して把握、認識されるものではないことに加え、甲第3号証の1ないし4を総合しても、「ザッハトルテ」(Sachertorte)が、単に「ザッハ」(Sacher)と略称されている事実を認めることができないし、その他、「ザッハトルテ」(Sachertorte)が「ザッハ」(Sacher)と略称され、本件商標の登録出願前より我が国の菓子関連の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠の提出はない。

してみると、「シーキューブザッハ」の一連の称呼のみを生ずる本件商標と「ザッハトルテ」の称呼が生ずる「ホテル・ザッハー」の提供に係るチョコレートケーキの名称とは、称呼上明瞭に相違するのみならず、外観及び観念においても大きく異なるものであるから、本件商標をその指定商品について使用しても、その取引者、需要者をして、該商品が申立人又はホテル・ザッハー等申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認めることはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する商標ということはできない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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