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Trademark Appeal Case

商標法50条と技術名使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2014−300443(T2014−300443/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1450939号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和49年7月24日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同56年1月30日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものであり、さらに、平成13年9月19日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」とする指定商品の書換登録がされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中の第9類「電気通信機械器具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品中の第9類「電気通信機械器具」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

以下のとおり、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第4号証からは、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標が本件審判の請求に係る指定商品である「電気通信機械器具」について使用された事実を認めることができない。

(1)商標は、自他商品を識別することをその本質的機能とするから、商標法第50条第1項における登録商標の「使用」というためには、形式的に同法第2条第3項各号の「使用」に該当するのみでは足りず、自他商品の識別標識としての機能が発揮される態様で使用されることを要するというべきであり、商品の取引者又は需要者が、商品に搭載されている技術を単に表示するにすぎないものとして認識するような場合には、商標を当該商品に使用しているとはいえないと解される。

(2)乙各号証について

ア 乙第1号証における「Supreme」(以下「使用標章1」という。)について

(ア)乙第1号証は、携帯用デジタルオーディオプレーヤーの製品説明において、登録商標と社会通念上同一と認められる使用標章1が表記されており、「Supreme」は、「原音に限りなく近い音質を再現する独自の音質補間技術」、「音楽データを圧縮する際に失われてしまう高音域を、デジタル技術によって再現する独自の帯域補間技術です。」と記載されている。使用標章1は、製品の説明に記載されているという記載の態様及びその前後の文脈の意味から判断すると、単に上記技術を示すものとして製品情報に付されたもの、すなわち、デジタルメモリーオーディオプレーヤー“Media Keg”の通信機械器具において行われる付随的なサービスそのものを示すものであって、単体で製品(携帯用デジタルオーディオプレーヤー)について付された商標ではないことは明らかである。

したがって、使用標章1は、携帯用デジタルオーディオプレーヤーの取引者及び需要者に対し、乙第1号証に掲載された携帯用デジタルオーディオプレーヤーが「Supreme」なる技術を搭載したものであることを認識させるためのものであって、携帯用デジタルオーディオプレーヤーについての自他商品の識別標識としての機能を発揮する態様で使用されているものではない。

よって、使用標章1は、その態様から携帯用デジタルオーディオプレーヤーについての商標的使用とはいえず、当該商品についての商標法第50条第1項の「使用」には該当しない。そして、使用標章1は、上述のように、帯域補間技術の名称として表示されているものである。

(イ)使用標章1が、本件審判の請求に係る指定商品である「電気通信機械器具」についての商標法第50条第1項の「使用」といえるか否かについて、ここでいう「使用」とは、商品又は役務について標章を用いる行為(同法第2条第3項各号)であるところ、使用標章1が用いられている帯域補間技術が、そもそも「商品」に該当するかが問題となる。この点、「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説(第19版)」における同法第2条の字句の解釈(1266頁)によれば、「商品」とは、「商取引の目的たり得るべき物、特に動産をいう。」と説明されており、独立して商取引の対象となることを要するものとされている。これを本件についてみると、「Supreme」なる帯域補間技術は、商取引の対象とはなっておらず、別の商品(携帯用デジタルオーディオプレーヤー)に搭載されている技術であるから、同法上の「商品」には該当せず、よって、使用標章1は、同法上の「使用」には該当しない。

また、「Supreme」なる帯域補間技術は、上述のとおり、そもそも商標法上の「商品」には該当しないことからすれば、本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」に相当するものではないことも明らかである。

そうすると、使用標章1は、商標法上の「使用」には該当しない上、本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」について使用されたものであるとは到底認められない。

したがって、乙第1号証は、使用標章1が本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」について商標として使用されたことを何ら証明するものではない。

(ウ)被請求人は、「本件商標を『MG−G708』に搭載された当社独自の帯域補間技術の名称、つまりは機能名として使用している」と主張するが、乙第1号証に掲載の製品“Media Keg”としては、「Supreme」なる技術が搭載されていないものも存在すると考えられるため、標章「Supreme」が機能名として使用されていることは認められない。そして、仮に“Media Keg”の全製品に「Supreme」なる帯域補間技術が搭載されているとしても、使用標章1は、上記(イ)のとおり、本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」についての商標の使用には該当しないものである。

したがって、乙第1号証は、使用標章1が本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」について商標として使用された証拠とはならない。

イ 乙第2号証について

乙第2号証は、「Supreme」なる技術を搭載した携帯用デジタルオーディオプレーヤー(MG−G708)のカタログであり、乙第2号証に記載された標章「サプリーム\Supreme」(以下「使用標章2」という。)は、当該製品に「Supreme」なる技術が搭載されていることを示す態様で表示されているにすぎない。そして、「Supreme」なる帯域補間技術自体は、上記ア(イ)のとおり、単体として販売されている「商品」ではない。

したがって、乙第2号証は、乙第1号証についてと同様の理由から、使用標章2が本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」について商標として使用された証拠と認められない。

ウ 乙第3号証について

乙第3号証は、MG−G708の出荷データであるものの、これをもって、「Supreme」なる帯域補間技術が単体で商品として流通したわけではなく、当該技術が搭載された商品が出荷されたことを示しているにすぎない。

エ 乙第4号証について

乙第4号証によりMG−G708がオンラインで購入できる事実を証明したとしても、乙第1号証についてと同様の理由から、これをもって、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標が本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」について使用された証拠とはならない。

オ なお、付言すれば、「Supreme」なる帯域補間技術は、商標法上の商品として強いていうならば、制御を伴う「電子計算機用プログラム」(類似群コード:11C01)に相当するものであり、少なくとも「電気通信機械器具」(類似群コード:11B01)ではない(甲第1号証)。甲第1号証におけるケンウッド社のSupreme開発担当者の対談の内容には、Supremeについて、ソフトウェアを実行したりプログラム内で関数を呼び出したりする際の動作を指定するために外部から与える設定値であるパラメータ(音の最適化)を社内の専門家(ケンウッドの音を作る人)を基準として高音を補完する技術であるとの説明がある。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。

1 被請求人である本件商標権者は、以下のとおり、音楽データを圧縮する際に失われてしまう高音域をデジタル技術によって再現する自社で独自に開発した帯域補間技術の名称として、本件商標を採択し、当該帯域補間技術「Supreme\サプリーム」を搭載した各種デジタルオーディオプレーヤーを今日まで数多く販売している。

(1)乙第1号証は、帯域補間技術を搭載したデジタルメモリーオーディオプレーヤー“Media Keg”「MG−G708」に関する2011年10月18日付けプレスリリースである。

また、乙第2号証は、2011年10月作成のデジタルメモリーオーディオプレーヤー“Media Keg”「MG−G708」のカタログである。

上記乙第1号証及び乙第2号証から明らかなとおり、本件商標権者は、本件審判の請求に係る「電気通信機械器具」に属する携帯用デジタルオーディオプレーヤーについて、本件商標と社会通念上同一と認められる使用標章1及び使用標章2(これらをまとめていうときは、以下「使用標章」という。)を使用している。

(2)乙第3号証は、「MG−G708」に関する「店舗別出荷データ(一部抜粋)」であり、本件商標権者が「Supreme\サプリーム」を搭載した「MG−G708」を2011年10月中旬から販売開始し、それ以降継続して、家電量販店等で販売していた事実を示すものである。これにより、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において継続して使用されていた事実が立証される。

なお、インターネット等での通信販売も販売当初から行っており、例えば、オンライン通販サイトの「Amazon.co.jp」では、2014年8月5日時点において、「MG−G708」を購入することができる(乙第4号証)。

2 本件商標権者は、本件商標を「MG−G708」に搭載された独自の帯域補間技術の名称、すなわち、機能名として使用しているが、この点、ある表示が機能名であることは当該表示が商標として機能することを何ら否定するものでない(知財高裁平成23年11月30日判決(平成23年(行ケ)第10096号)参照)。

また、商標の使用態様についても、使用標章をそれぞれ括弧(「 」)でくくって強調する態様で使用することにより、自他商品識別標識として機能していることから、商標的使用に該当することに何ら疑いがない。

3 以上のとおり、本件商標権者が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」に属する携帯用デジタルオーディオプレーヤーについて、その請求の登録前3年以内に使用していたことは明白である。

第4 当審の判断

1 使用の事実

(1)乙第1号証ないし乙第4号証によれば、以下の事実を認めることができる。

ア 乙第1号証は、本件商標権者の2011年(平成23年)10月18日付けニュースリリースであるところ、ここには、「原音に限りなく近い音質を再現する独自の音質補間技術『Supreme』を搭載 デジタルメモリーオーディオプレーヤー“Media Keg”『MG−G708』を新発売」、「株式会社JVCケンウッドは、ケンウッドブランドより、8GBの内蔵メモリーとmicroSD/SDHCカードスロットの搭載など“Media Keg(メディアケグ)”シリーズの基本機能を継承しながら、圧縮音楽をより原音に近い音質で再現する当社独自の音質補間技術『Supreme(サプリーム)』を搭載することで音質を向上させたデジタルメモリーオーディオプレーヤー“Media Keg”『MG−G708』を10月下旬より発売いたします。」などと記載されている。

イ 乙第2号証は、2011年(平成23年)10月に作成された「デジタルメモリーオーディオプレーヤー“Media Keg”」の「MG−G708」、「MG−G608」及び「MG−G508」に関するカタログであるところ、ここには、「MG−G708」について、「Supreme搭載で限りない高音質を実現したMG−G708。」、「圧縮音楽も高音質に奏でる『サプリーム\Supreme』搭載」、「Supremeは、音楽データを圧縮する際に失われてしまう高音域を、デジタル技術によって再現する独自の帯域補間技術です。」などと記載されている。

また、上記「MG−G708」には、製品の色彩として、「(S)シルバー」、「(R)レッド」及び「(B)ブラック」があるとされている。

そして、上記カタログには、「MG−G708」のほか、「MG−G608」及び「MG−G508」という機種が掲載されているが、「サプリーム\Supreme」を搭載した機種は、「MG−G708」のみであると認められる。

ウ 乙第3号証は、2011年(平成23年)10月14日から2013年(平成25年)6月10日までの期間の「『MG−G708』店舗別出荷データ(一部抜粋)」であるところ、ここには、上記期間における個別の日付のほか、「納品先」として家電量販店等の名称が記載され、「型番/商品」として、「MG−G708−B」(「B」の文字は、「ブラック」を意味するものと推認される。)及び「MG−G708−S」(「S」の文字は、「シルバー」を意味するものと推認される。)などが記載されている。

エ 乙第4号証は、オンライン通販サイトの「Amazon.co.jp」に係る画面を紙出力したものであるところ、ここには、「JVCケンウッド デジタルオーディオプレーヤー Media Keg 8GBレッド MG−G708−R」の文字が、商品写真とともに掲載されている。そして、同画面においては、「商品の情報」の見出しの下、「メーカー型番」として「MG−G708(R)」、「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日」として「2011/10/19」などと記載され、同じく、「商品の説明」の見出しの下、「圧縮音楽も高音質に奏でる『Supreme』搭載」などと記載されている。

(2)上記(1)で認定した事実によれば、「Supreme」(使用標章1)又は「サプリーム\Supreme」(使用標章2)は、本件商標権者の製造、販売に係る携帯用デジタルオーディオプレーヤー“Media Keg”「MG−G708」に搭載される機能の一つである音質補間技術の名称であって、当該技術(機能)を携帯用デジタルオーディオプレーヤーに搭載することにより、圧縮音楽をより原音に近い音質で再現することができる本件商標権者が独自に開発した機能であることを認めることができる。

そして、本件商標権者は、本件審判の請求の登録(平成26年7月2日)前3年以内である平成23年10月18日に、「圧縮音楽をより原音に近い音質で再現する当社独自の音質補間技術『Supreme(サプリーム)』を搭載することで音質を向上させたデジタルメモリーオーディオプレーヤー“Media Keg”『MG−G708』を10月下旬より発売いたします。」として、音質補間技術「Supreme(サプリーム)」を搭載した携帯用デジタルオーディオプレーヤー「MG−G708」の発売に関するニュースリリースを発表し、また、同月に、「Supreme搭載で限りない高音質を実現したMG−G708。」、「圧縮音楽も高音質に奏でる『サプリーム\Supreme』搭載」などの文字を表示した上記「MG−G708」等の携帯用デジタルオーディオプレーヤーのカタログを作成し、これを頒布したと推認することができ、このように、使用標章は、ニュースリリースやカタログにおいて携帯用デジタルオーディオプレーヤーとの関連性が明確に示され、かつ、看者の注意を引く態様のものであることが認められる。

さらに、本件商標権者は、平成23年10月14日以降、少なくとも同25年6月10日までの間に、音質補間技術「Supreme(サプリーム)」を搭載した携帯用デジタルオーディオプレーヤー「MG−G708」を家電量販店等に販売したと推認することができる。

加えて、本件商標権者の製造、販売に係る携帯用デジタルオーディオプレーヤー「MG−G708」は、平成23年10月19日以降、オンライン通販サイトの「Amazon.co.jp」を介して、「圧縮音楽も高音質に奏でる『Supreme』搭載」として広告がされたことも認めることができる。

なお、携帯用デジタルオーディオプレーヤーが、本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する商品であることについては、当事者間に争いがない。

(3)以上を踏まえ、使用標章が本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する「携帯用デジタルオーディオプレーヤー」についての商標の使用に該当するか否かについて、以下検討する。

ア 上記(2)において認定したとおり、使用標章は、携帯用デジタルオーディオプレーヤー「MG−G708」に搭載される機能の一つとして、本件商標権者が独自に開発した音質補間技術の名称である。

イ 使用標章に関する請求人の主張について

(ア)請求人は、使用標章について、携帯用デジタルオーディオプレーヤーが「Supreme」なる技術を搭載したものであることを認識させるためのものであって、携帯用デジタルオーディオプレーヤーについての自他商品の識別標識としての機能を発揮する態様で使用されているものではないから、使用標章は、携帯用デジタルオーディオプレーヤーについての商標的使用とはいえず、当該商品についての商標法第50条第1項の「使用」には該当しない旨主張する。

しかし、電気通信機械器具等の取引分野においては、当該機械器具に内蔵されるコンピュータや半導体素子等に係る技術の開発・進歩により、新機能を搭載した商品が次々に出現しているところ、当該機械器具を製造、販売する各社は、その新機能について独自の名称を付し、その名称の下に商品の特徴を取引者、需要者に印象付けるといった販売戦略をとっていること、そのような販売戦略は、テレビコマーシャルなどの広告等を通じて、需要者等の間に広く浸透している実情にあること、そして、上記新機能についての独自の名称は、各社において商標として登録することが一般に広く行われているといえること、また、「Supreme」(使用標章1)又は「サプリーム\Supreme」(使用標章2)の語が、携帯用デジタルオーディオプレーヤー等の分野において、音質補間技術なる機能等を表示するものとして普通に使用されている事実を見いだせないこと、ニュースリリース(乙1)やカタログ(乙2)において、使用標章は、独立して把握、認識される態様で表示されていることなどを総合すると、使用標章は、その取引者、需要者をして、本件商標権者の製造、販売に係る携帯用デジタルオーディオプレーヤー「MG−G708」に搭載された機能名称であって、当該商品が独自に有する特徴として捉えられ、その結果、本件商標権者の製造、販売に係る携帯用デジタルオーディオプレーヤー「MG−G708」と競合他社の同種商品とを識別する機能をも備えた商標であるというべきである。

したがって、使用標章は、商標権者の製造、販売に係る携帯用デジタルオーディオプレーヤー「MG−G708」について、自他商品の識別機能を果たすべく、商標としての使用がされたものと認めることができるから、この点に関する上記請求人の主張は理由がない。

(イ)請求人は、「Supreme」なる帯域補間技術は、商取引の対象とはなっておらず、携帯用デジタルオーディオプレーヤーに搭載されている技術であるから、商標法上の商品には該当せず、よって、使用標章は、商標法上の使用には該当しないものであって、本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」について使用されたものとは認められない旨主張する。

しかし、使用標章の使用に係る帯域補間技術が、それ自体独立して商取引の対象となっていることを示す証拠の提出はないとしても、当該帯域補間技術は、本件商標権者の製造、販売に係る携帯用デジタルオーディオプレーヤー「MG−G708」に搭載された機能の一つであり、当該「MG−G708」を特徴付けるものであって、使用標章の使用に係る帯域補間技術が搭載されている商品であるか否かは、携帯用デジタルオーディオプレーヤーの業界のみならず、携帯用デジタルオーディオプレーヤーを選択し、購入する一般の需要者にとっても重大な関心事であり、使用標章の表示によって、本件商標権者の業務に係る商品と競合他社の同種商品とを識別することになるといえるから、使用標章が、携帯用デジタルオーディオプレーヤー「MG−G708」に搭載された機能の名称であると同時に、携帯用デジタルオーディオプレーヤー「MG−G708」の商標として自他商品の識別機能を発揮していることは、上記(ア)のとおりである。そして、携帯用デジタルオーディオプレーヤーが商標法上の商品であることは明らかである。

したがって、使用標章は、本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する携帯用デジタルオーディオプレーヤーについて使用されたものというべきであるから、この点に関する上記請求人の主張は理由がない。

(ウ)請求人は、本件商標権者の製品“Media Keg”としては、「Supreme」なる技術が搭載されていないものも存在すると考えられるため、標章「Supreme」が機能名として使用されていることは認められない旨主張する。

しかし、上記(1)イにおいて認定したとおり、使用標章が付された帯域補間技術なる機能が搭載されている携帯用デジタルオーディオプレーヤーの機種は、“Media Keg”の中の「MG−G708」のみであり、“Media Keg”の他機種(MG−G608、MG−G508)については搭載されていない。

したがって、使用標章は、携帯用デジタルオーディオプレーヤー「MG−G708」に搭載された機能の名称であると同時に、当該商品の商標として自他商品の識別機能を発揮しているということができるから、この点に関する上記請求人の主張は理由がない。

(4)上記したことによれば、本件商標権者は、本件審判の請求の登録(平成26年7月2日)前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」に含まれる「携帯用デジタルオーディオプレーヤー(“Media Keg”「MG−G708」)」について、そのニュースリリース、カタログ及びオンライン通販サイトにおいて使用標章を表示していたこと及び使用標章を付した「携帯用デジタルオーディオプレーヤー(“Media Keg”「MG−G708」)」を市場に流通させたことをそれぞれ認めることができるから、本件商標権者によるこれらの行為は、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、・・する行為」、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第2号及び同項第8号)に該当するものである。

そして、使用標章1は、本件商標の構成中の欧文字部分と同一の綴りからなるものであって、本件商標と同一の称呼を生ずるものであり、また、使用標章2は、本件商標と比較すると、欧文字と片仮名の配置が上下反対のものであるとしても、いずれの文字も同一の綴りからなるものであって、同一の称呼を生ずるものであるから、使用標章は、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。

そして、この点については、請求人は、争うことを明らかにしていない。

2 むすび

以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件審判の請求に係る指定商品中の「携帯用デジタルオーディオプレーヤー」について、本件商標の使用をした事実を証明したものと認めることができる。

したがって、本件商標は、本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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