Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−4527(T2014−4527/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「しんのうくろにんにく」、「神農黒にんにく」及び「Sinnoukuroninniku」の各文字を3段に表してなり、第5類、第29類、第31類及び第32類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年11月21日に登録出願、その後、本願の指定商品は、同25年4月9日及び同26年3月8日受付けの手続補正書により、最終的に第5類「にんにくを主原料とし粒状・粉末状・顆粒状・錠剤状・丸剤状・液状又はカプセル状にした加工食品,にんにくを使用したサプリメント」に補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4300240号商標(以下「引用商標」という。)は、「神農霊芝」の文字を標準文字で表してなり、平成9年9月17日に登録出願、第30類「乾燥した霊芝草を原料とした粉状又はチップ状の加工食品」を指定商品として、同11年7月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、前記1のとおり、「しんのうくろにんにく」、「神農黒にんにく」及び「Sinnoukuroninniku」の各文字を3段に表してなるところ、上段の平仮名は、中段の「神農黒にんにく」の文字の振り仮名を表し、下段は、その欧文字を表したものと看取されるものである。
また、本願商標の指定商品は、「にんにくを主原料とし粒状・粉末状・顆粒状・錠剤状・丸剤状・液状又はカプセル状にした加工食品,にんにくを使用したサプリメント」である。
ところで、本願商標の指定商品を取り扱う業界においては、近年の高齢化社会や健康志向に伴い、サプリメントが数多く製造、販売されているところ、その原材料の有する様々な効能が注目され、各効能を有するサプリメントにあっては、その商品を宣伝・広告される時には原材料の効能なども併せて説明されている実情がうかがわれる。
そして、本願商標の構成中、「黒にんにく」の文字についてみると、別掲1のとおり、にんにくを加工して黒くしたにんにくを表示するものとして紹介され、ポリフェノールが豊富なため健康維持に良いとされ、黒にんにくを原材料とするサプリメントとして販売されているといえる。
してみれば、本願商標の構成中、平仮名及びローマ字表記した「くろにんにく」及び「kuroninniku」の文字は、「黒にんにく」に通じるものといえる。
以上からすると、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「黒にんにく」、「くろにんにく」及び「kuroninniku」の文字は、その指定商品の原材料を表したものと容易に認識するものである。
そうすると、本願商標は、全体の文字に相応した「シンノウクロニンニク」の称呼のほか、「神農」、「しんのう」及び「Sinnou」の文字に自他商品の識別機能を有するものと理解し、該文字に相応して「シンノウ」の称呼をも生じ得るとみるのが相当である。
また、「神農」の文字は、「中国古伝説上の帝王。三皇の一人。」(広辞苑第六版)の意味を有する語といえるから、「中国古伝説上の帝王。三皇の一人。」程の観念を生じる。
(2)引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「神農霊芝」の文字を標準文字により表してなるところ、引用商標の構成中、「霊芝」の文字についてみると、「マンネンタケ(万年茸)の漢名。瑞草とされる。」(広辞苑第六版)の意味を有し、別掲2のとおり、霊芝は、霊芝草とも呼ばれ、サプリメントの原材料とされ、その効能として、免疫力の調整作用や血糖値の調整作用、血圧降下、血栓を防ぐ、高脂血症やB形肝炎の改善などがあるものとして知られているといえる。
また、引用商標の指定商品は、「乾燥した霊芝草を原料とした粉状又はチップ状の加工食品」である。
そうとすると、引用商標の構成中、「霊芝」の文字は、その指定商品の原材料を表したものとして認識されるものといえるから、全体の文字に相応した「シンノウレイシ」の称呼のほか、「神農」の文字に自他商品の識別機能を有するものと理解し、該文字に相応して「シンノウ」の称呼を生じ得るとみるのが相当であり、「神農」の文字は、「中国古伝説上の帝王。三皇の一人。」(広辞苑第六版)の意味を有する語といえるから、「中国古伝説上の帝王。三皇の一人。」程の観念を生じる。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標とは、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであるから、その構成全体の比較においては相違するものの、「黒にんにく」、「くろにんにく」及び「kuroninniku」の文字又は「霊芝」の文字部分がそれぞれ原材料を表したものと認識されるものであるから、両商標は、「神農」の文字部分に自他商品の識別標識を有するとみるべきであって、これより、該文字部分に相応する「シンノウ」の称呼を生じ、かつ、「中国古伝説上の帝王。三皇の一人。」程の観念を生じるといえるから、両商標は、称呼及び観念を同一にするものである。
さらに、本願商標の構成中の「神農」の文字部分は、引用商標の「神農」の文字と同一であって、本願商標と引用商標とは、外観上、近似した印象を与えるものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観上、近似した印象を与えるものであり、称呼及び観念を同一にするものであるから、これらを総合勘案すれば、本願商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれがある類似の商標というべきである。
そして、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品は、上記のとおり、その原材料において、にんにくと霊芝(草)の違いがあるとしても、両指定商品は、健康維持のために摂取するサプリメントといえるものであり、互いに類似する商品といえる。
なお、請求人(出願人)は、過去の登録例を参考にすれば、サプリメントの分野における商取引の特殊性に鑑み、「前部の文字部分プラス原材料名の表示」からなる商標は一体不可分の商標として一連に称呼・観念されているから、本願商標と引用商標は、同一又は類似の商品に使用しても需要者・取引者をして彼此混同のおそれのない非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標の類否の判断は、過去の登録例、審決例等に拘束されることなく、該出願についての登録査定時又は審決時において、その判断の対象となる商標が使用される商品に係る取引の実情等をも併せ考慮して、個別具体的に判断されるべきものであるところ、サプリメントを取り扱う業界においては、各種の効能を有する原材料を用い各種のサプリメントが製造、販売され、例えば、別掲2(1)のとおり、各種原材料の「ネイチャーズ・ハーブ印」のサプリメントが販売されていることから、本願商標と引用商標とは、自他商品の識別機能を有する「神農」に着目し、「黒にんにく」及び「霊芝」を原材料とするその指定商品に使用する時には、取引者及び需要者は、「神農印の黒にんにく」又は「神農印の霊芝」と容易に理解するというべきであって、これを常に一体不可分でみなければならない特段の事情は見いだせない。
したがって、上記においてした認定、判断のとおりであるから、請求人の主張を採用することができない。
(4)まとめ
以上によれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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