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Trademark Appeal Case

地名と役務の質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2014−14533(T2014−14533/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第39類「駐車場の提供,駐車場の管理,機械式駐車装置の貸与,車両による輸送,自動車の運転の代行,道路情報の提供,自動車の貸与」を指定役務として、平成25年7月29日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『新千歳空港』及び『ロングターム駐車場』並びに『New Chitose Airport Long Term Parking』の文字を、普通に用いられる方法によって併記したにすぎないものであるから、全体として『新千歳空港利用のための長期間用駐車場』の意味合いを容易に認識させるものである。したがって、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、単に役務の質を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号について

本願商標は、別掲1のとおり、「新千歳空港」の文字と「ロングターム駐車場」の文字とを二段(両文字は、同じ書体及び大きさで、語頭を左にそろえて表されている。)に表し、さらに、該「ロングターム駐車場」の文字の下方に「New Chitose Airport Long Term Parking」の文字(両文字は、その幅がそろうように表されている。)を配してなるものであって、前記1のとおり、第39類に属する「駐車場の提供、駐車場の管理」等を指定役務とするものである。

ところで、「新千歳空港」とは、国土交通大臣が設置及び管理する国際航空輸送網又は国内空港輸送網の拠点となる空港の一であって、北海道千歳市に位置するもの(空港法第4条及び空港法施行令第1条)であり、平成25年における乗降客数が国内線では約1,740万人、国際線では約128万人に及ぶ我が国有数の大規模空港である(別掲2参照)。

また、「新千歳空港」を含む空港には、通常、空港利用者の利便を図るべく、その敷地内や近隣の地区に駐車場が設置されており、そのような駐車場では、乗降客の送迎などといった短期間(短時間)から旅行期間中などといった長期間(長時間)まで、様々な利用ができるとされている(別掲3参照)。

さらに、「新千歳空港」のように多数の国際線乗降客が利用する空港にあっては、その利用者は、我が国の国民のみならず、例えば、我が国に滞在又は居住する外国人も含まれるとみるのが相当であるところ、そのような外国人が上記空港を利用する際に有用な情報(例えば、出発便及び到着便に関する情報、ターミナルビル等の空港施設に関する情報、空港への交通手段及び駐車場利用に関する情報など)が、英語等の外国語により、インターネットを通じて一般に広く提供されており、そのうちの駐車場利用に関する情報においては、「長期用の駐車場」に相応する語として、「Long Term Parking(long−term parking)」が用いられている実情がある(別掲4参照)。

以上を踏まえて本願商標をみると、本願商標は、上記のとおり、二段に表してなる「新千歳空港」及び「ロングターム駐車場」の各文字の下方に「New Chitose Airport Long Term Parking」の文字を配してなるところ、その構成態様によれば、最下段の文字は、その上方に位置する「新千歳空港」及び「ロングターム駐車場」の各文字に相応する英語表記として看取され得るものである。また、該英語表記を構成する各語は、「New Chitose Airport」は「新千歳空港」を、「Long Term Parking」は「長期用の駐車場」を、それぞれ意味するものとして理解され得るものであるから、該英語表記は、その構成全体をもって、「新千歳空港(の敷地内又は近隣の地区)にある長期利用のための駐車場」ほどの意味合いを表したものとして認識されるとみるのが相当である。

そうすると、本願商標をその指定役務中の「駐車場の提供,駐車場の管理」について使用した場合、これに接する需要者は、これを「新千歳空港(の敷地内又は近隣の地区)にある長期利用のための駐車場」ほどの意味合いを表した英語とそれに相応する日本語とを組み合わせてなるものと看取、理解し、役務の質を表すものとして認識するにとどまるというべきである。

してみれば、本願商標は、その指定役務中の「駐車場の提供,駐車場の管理」との関係においては、役務の質を表示してなるにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、請求人以外の者が「長期間用」を示す表示として「ロングターム」及び「Long Term」の語を駐車場に使用していないことを鑑みると、これらの語は、識別標識として機能し得るものである旨主張する。

しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定役務の質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、役務の質を表示するものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきところ、本願商標は、上記(1)において認定、判断したとおり、本願商標の構成態様及びその指定役務中の「駐車場の提供,駐車場の管理」(特に、多数の国際線乗降客が利用する空港(の敷地内又は近隣の地区)において提供されるもの。)に係る実情を総合勘案すると、「駐車場の提供,駐車場の管理」の指定役務との関係においては、需要者をして、役務の質を表示するものと認識され得るものであり、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、この点についての請求人の主張を採用することはできない。

イ 請求人は、本願商標がその構成中に「新千歳空港」の文字を含むものであることから、その使用について想定される者は、新千歳空港付近の者と非常に限定され、将来一般的に使用される可能性もないと考えるのが妥当である上、10年以上前から現在まで継続して、請求人が、「新千歳空港ロングターム駐車場」の名称を使用していることから、本願商標又は該名称は、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、新千歳空港付近で相当程度知られていると考えられるものであって、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を有するものであり、保護を受ける必要性が高いというべきものである旨主張する。

しかしながら、請求人が原審における平成25年10月9日受付の上申書をもって提出した資料1ないし資料5によれば、請求人が、平成15年12月25日に、駐車場法の規定に基づき、駐車場の名称を「新千歳空港ロングターム駐車場」とする「路外駐車場管理規程届出書」を苫小牧市長にあてて届け出て受理されたこと(資料4及び資料5)、及び、所属を「新千歳空港ロングターム駐車場 室蘭230さ9508」とし、有効期間を「平成25年9月30日」とする、「入場許可証(送迎)」が新千歳空港長により発行されたこと(資料1)は認められるものの、本願商標が請求人の業務に係る役務を表示するものとして使用されている事実は見いだせないことから、これらをもって、別掲1のとおりの構成態様からなる本願商標が請求人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に相当程度知られているということはできない。また、上記各資料によっては、請求人が平成15年末に「新千歳空港ロングターム駐車場」なる名称の路外駐車場を苫小牧市に設けたこと及び平成25年9月末までの一定期間(具体的な期間は不明)、送迎のための新千歳空港への入場が許可されていたことをうかがい知ることができるにすぎないから、これらをもって、該名称が、請求人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に相当程度知られているともいい難い。

そして、上記(1)において認定、判断したとおり、本願商標は、その指定役務中の「駐車場の提供,駐車場の管理」との関係においては、需要者をして、役務の質を表示するものとして認識され得るものである。

してみれば、本願商標は、その指定役務中の「駐車場の提供,駐車場の管理」との関係においては、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、その登録を認めることのできないものであるから、この点についての請求人の主張を採用することはできない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、その指定役務中の「駐車場の提供,駐車場の管理」との関係においては、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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