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Trademark Appeal Case

結合商標の記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900130(T2013−900130/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5555057号商標の指定役務中の第37類「建設工事,建築工事に関する助言」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5555057号商標(以下「本件商標」という。)は,「靱性モルタル工法」の文字を標準文字により表してなり,平成24年7月4日に登録出願,第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備」を指定役務として,同年12月13日に登録査定,同25年2月8日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由の要点

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標の登録は取り消されるべきである旨申立て,その理由を次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第39号証(枝番号を含む。)を提出した。

本件商標は,「靱性を有するモルタル(靱性モルタル)を使用した施工方法」程の意味合いを認識させるものであり,これを本件指定役務中の上記意味合いに照応する役務に使用するときには,単に役務の質,用途,態様,提供の方法等を表示するにすぎず,また,上記役務以外の役務に使用するときには役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。

したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4第1項第16号に該当する。

第3 本件商標に対する取消理由

1 本件商標は,前記第1のとおり「靱性モルタル工法」の文字からなるところ,これは,「靱性」「モルタル」及び「工法」の語を結合したものと容易に認識し得るものであり,各語の建築用語としての語義は,次のとおりである(「建築大事典第2版〈普及版〉」株式会社彰国社発行)。

(1)「靱性」は,粘り強さのこと。靱性に富む材料は弾性限度を超えても,破壊するまでに大きく変形することが可能である。鋼材はこの代表的なもの。「粘り強さ」ともいう。

(2)「モルタル」は,広くは細粒の骨材と結合硬化材を練り混ぜたもの。一般にセメント,砂,水を練り混ぜたセメントモルタルをいう。このほか,石灰モルタル,アスファルトモルタルなどがある。

(3)「工法」は,建物の組立て方,造り方,施工の方法。

そうすると,本件商標は,前記各語の語義から,「靱性(粘り強さ)のあるモルタルによる施工の方法」ほどの意味合いを想起させるものである。

2 申立人の提出した証拠及び職権調査によれば,「靱性モルタル工法」の文字及びこれを構成する文字に関連し,以下の使用事実がある。

(1)「靱性モルタル」について

ア 平成12年頃に「高靱性モルタル」と称される「鋼繊維混入率の高い鋼繊維補強モルタル」が開発され(土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月);甲5の2),その「高靱性モルタル」の文字が,「高靱性セメント複合材」「繊維入りモルタル」などの説明とともに,高い靱性を有するモルタルを表すものとして,「コンクリート工学年次論文集第26巻第2号2004年/社団法人日本コンクリート工学協会」「日本建築学会大会学術講演概集(東北)2009年8月」などの論文や平成21年12月24日,同22年9月8日発行の特許公報において紹介されている(甲6の1,2,甲7の1〜3,甲8の1,2)。

イ 「コンクリート技術シリーズ/複数微細ひび割れ型繊維補強モルタルの評価と利用/土木学会/平成17年7月」及び「土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)/FRPグリッドと吹付け靱性モルタルによる下面増厚補強はりの耐力」には,「高靱性セメント複合材である靱性モルタル」「引張応用力下でひずみ硬化の性質を持ち,かつ,複数微細ひび割の特徴を有する靱性モルタル」などのように,「靱性モルタル」の文字が,靱性を有するモルタルを表すものとして使用されている(甲5の1,3)。

ウ 近畿農政局・大和紀伊平野農業水利事務所作成の「平成17年度/大和紀伊平野農業水利事業(二期)/紀伊平野藤崎井水路粉河工区その2改修工事/特別仕様書」(甲21の1)のほか複数の行政機関が発注する水路の補修工事に関する書類に,「靱性モルタル」の文字が,水路の表面被覆工事に用いる被覆材の名称として使用されている(甲20〜23,26(枝番号を含む。))。

また,株式会社興和(甲12)のほか複数の建設業者のホームページにおいて,「高靱性繊維補強セメント複合材」「多量の特殊繊維を混入」などの説明とともに,「靱性モルタル」の文字が,水路の表面被覆工事に用いる被覆材の名称として使用されている(甲11〜18)。

(2)「工法」について

「レジンモルタル工法」「ポリマーセメントモルタル工法」のように,モルタルの種類を表す語と工法を結合した文字が,そのモルタルを使用した工事の方法を表すものとして使用されている(甲9,34,37)。

さらに,同様の事例が,以下のインターネットのHPから確認できる。

ア 「樹脂モルタル工法」(株式会社愛知レジンHP;http://www.aichi-resin.com/article/14148528.html)

イ 「エアーモルタル工法」(株式会社大阪防水建設社のHP;http://www.obcc.co.jp/works/jiban/jiban_006.html)

ウ 「特殊配合モルタル工法」(株式会社エム・シー・シーのHP;http://mcc-kk.com/kouhou1.html)

(3)「靱性モルタル工法」について

平成21年度独立行政法人土木研究所寒地土木研究所作成の「寒冷地における用水路の劣化と保全−ストックマネジメントの取組み−」に,平成21年度に行ったコンクリート用水路補修に係る試験工法の一つとして,「靱性モルタル工法」が紹介されている。また,近畿農政局作成の「国営土地改良事業地区調査『東幡用水二期地区』環境配慮計画(案)平成23年2月22日」に,水路の補修工事の工法の一つとして「靱性モルタル工法」の記載がある(甲9,25)。

3 判断

以上のとおり,本件商標は,その構成文字から「靱性(粘り強さ)のあるモルタルによる施工の方法」ほどの意味合いを想起させるものである。

そして,「靱性モルタル」が靱性を有するモルタルとして,水路の表面被覆工事に用いる建築材料の一つである被覆材の名称として一般に使用されていること,モルタルの種類を表す語と工法を結合した文字が,そのモルタルを使用した施工XC方法を表すものとして一般に使用されていることが認められる。

加えて,行政機関や独立行政法人が「靱性モルタル工法」の文字を水路の補修工法を表すものとして使用していることなどを総合考慮すれば,本件商標は,「靱性を有するモルタルを使用した施工方法」の意味合いを認識させるものである。

そうすると,本件商標は,これをその指定役務中の「靱性を有するモルタルを使用する工事,当該工事に関する助言」に使用をするときには,役務の質,提供の方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり,また,これを前記以外の「建設工事,建築工事に関する助言」に使用するときは,その役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標と言わざるを得ない。

したがって,本件商標は,その指定役務中の「建設工事,建築工事に関する助言」について,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

4 むすび

以上のとおり,本件商標は,その指定役務中の「建設工事,建築工事に関する助言」について,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。

第4 商標権者の意見

商標権者は,前記第3の取消理由について,指定した期間内に意見を述べていない。

第5 当審の判断

前記第3のとおり,本件商標は,その指定役務中の「建設工事,建築工事に関する助言」について,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。

しかしながら,本件商標は,これをその指定役務中の「建築設備の運転・点検・整備」について使用しても,役務の質,提供の方法等を普通に用いられる方法で表示する商標とはいえず,かつ,役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標ともいえないから,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。

したがって,本件商標の指定役務中,第37類「建設工事,建築工事に関する助言」についての登録は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものである。

しかし,その余の指定役務についての登録は,取り消すべき理由はないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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