Trademark Appeal Case
BOOSTERの品質表示性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2014−900256(T2014−900256/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5677734号商標(以下、「本件商標」という。)は、「BOOSTER」の欧文字を標準文字で表してなり、平成25年7月2日に登録出願、第3類「つや出し剤,香料,薫料,芳香剤,自動車用芳香剤,家庭用芳香剤,消臭成分を有する芳香剤,消臭芳香剤,自動車用消臭芳香剤,家庭用消臭芳香剤」を指定商品として、同26年4月18日に登録査定、同年6月13日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件商標が、その指定商品中、第3類「香料」について、商標法第3条第1項第3号及び同第6号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同第6号の該当性について
ア 本件商標は、これをその指定商品中「香料」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質を表示した語と認識するにとまり、また、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないから、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
イ 甲第1号証及び甲第2号証では、「booster」の語及び「ブースター」の語が、本件商標の指定商品「香料」と直接関係する記載は見受けられないが、「後押しする」との意味が示されている。
そして、甲第3号証ないし甲第9号証では、「BOOSTER」の語及び「ブースター」の語が、香料の分野において使用されていることがわかり、その使用時の意味合いも香りを強める効果を有するという点で共通している。このことは甲第10号証で顕著であり、本件商標「BOOSTER」の語頭に食塩を意味する「ソルト」を加えた「ソルトブースター」との構成によって、「香料で食塩の代替図る」という見出しでその効果が説明されており、その内容から、香料によって塩味を増強するものであることは容易に看取できる。
ウ これらの記載より、「BOOSTER」の語及び「ブースター」の語は、本件商標の指定商品に含まれる「香料」を取り扱う分野・業界において、香料の発現を「後押しする」、即ちブースター効果を発揮する成分や製剤を表すものとして、一般的に使用されているものであることが容易に理解できる。
エ 「香料」の取引者・需要者は、商品を購入し、その購入者の範囲で消費する一般の需要者(例えば、消費者)と、購入後次の製品製造のため当該商品を使用する取引者(例えば、製造メーカー)に大別できる。
具体的には、一般の需要者(消費者)が購入する「香料」としては、アロマテラピーで利用する精油や、家庭での調理に利用するバニラエッセンス等、その種類は多いとは言えないが、製造メーカーが取引者となる場合、当該メーカーは香粧品、医薬品、飲食品等、その範囲は多岐に及び、その種類も膨大なものとなる。販売に関する統計を見ると、一般の需要者(消費者)向けの香料としてアロマテラピーの精油について例示すると、2011年のアロマテラピー市場のうち精油が5割強(131億円)を占めているとされている((公社)日本アロマ環境協会「アロマ市場に関する調査レポート」より)。
一方、香粧品や医薬品向けの香料の市場規模は、日本香料工業会のホームページにある統計資料より、2011(平成23)年に国内生産された香料(天然香料、合成香料、食品香料、香粧品香料)の合計金額は、1,854億円とされている。一般の需要者が対象の市場と比べ約14倍もの取引が、各製造メーカーによって行われていることになる。甲第3号証ないし甲第10号証の証拠は、いずれも香料製品に関わりのある者によって開示されたものであり、その中で「booster」は十分に認知されて使用されていることが明らかである。
してみれば、上記1,854億円の市場において「booster」は、十分に知られている語であると判断できる状況である。
オ 「booster」の語は、甲第4号証及び甲第6号証に記載されているとおり、香料の香気の持続性を高めるために使用されるものであるから、一般の需要者にとってそれほど必要となる効果ではなく、結果、甲第1号証のような一般の辞典には香料と直接関係する記述を伴って収載されていないとの推測が可能である。本件商標である「BOOSTER」が一般の需要者が触れることができる辞典等に香料と直接関係する記述を伴って収載されることがなく、インターネット等による検索でも発見されないのはある意味当然であり、需要者層が「香料」を取り扱う飲食品、香粧品及び医薬品等の製造メーカーにより形成される業界内において、「ブースター」が主に使用されている状況が伺える。
本件商標は、以上のような「香料」という商品の特異性、すなわち当該商品の市場において圧倒的な取引額を占める特定の取引者の間にあっては「booster」及び「ブースター」の語が十分に認知されたものであるという点を考慮し、商標法第3条第1項第3号等に該当するというべきものである。
(3)むすび
したがって、本件商標は、その指定商品中「香料」について、商標法第3条第1項第3号及び同第6号に該当し商標登録を受けることができないから、その登録は、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「BOOSTER」の文字を標準文字で表してなるものであり、「香料」を含む第3類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成25年7月2日に登録出願されたものである。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同第6号の該当性について
ア 申立人の主張及び提出した甲各号証によれば、香料を取り扱う業界における「BOOSTER」の文字の使用状況について、以下のような事実が認められる。
(ア)甲第1号証は、平成10年(1998年)1月10日株式会社小学館発行の「小学館ランダムハウス英和大辞典」であり、同辞典の「boost・er」の項には、「後押しをする人(もの)、後援者」などの意味を有することが記載されている。
(イ)甲第2号証は、平成10年(1998年)11月11日株式会社岩波書店発行の「広辞苑第五版」であり、同辞典の「ブースター(booster)」の項には、「(「後ろから押すもの」の意)ロケットなどの推進補助装置」などの意味を有することが記載されている。
(ウ)甲第3号証は、平成24年6月7日に特開2012−105655として公開された、発明の名称を「化合物同定用の代謝法」とする公開特許公報であり、同公報第21頁には「『増強』効果(ブースター)」、「好ましい態様においては、ブースターを同定する代謝反応の後に、受容体スクリーンを実施する。」、「記載の特徴を有する化合物用のブースターは、代謝反応を増加させる化合物である。」などとして「ブースター」の語が使用されている。
(エ)甲第4号証は、平成20年9月18日に特開2008−214407として公開された、発明の名称を「香料組成物」とする公開特許公報であり、同公報には「香料ブースター」、「香料ブースター組成物」、「香料の香気の持続性を高めるために使用される香料ブースター組成物」などとして「ブースター」の語が使用されている。
(オ)甲第5号証は、平成20年12月19日に特許第4235385号として設定登録された、発明の名称を「付香成分又は風味付け成分としての2,4,7−デカトリエナールの使用」とする特許公報であり、同公報第4頁には「フレーバーのためのブースター又は強化剤として使用される」として「ブースター」の語が使用されている。
(カ)甲第6号証は、平成17年6月23日に特開2005−160402の番号で公開された、発明の名称を「甲殻類フレーバーの製造方法」とする公開特許公報であり、同公報第24頁には「本発明に使用されるエンハンサーとは、フレーバー全体をマイルドにし、こくを与え、より天然らしさとブースター効果を付与するものをいい、・・・」として「ブースター」の語が使用されている。
(キ)甲第10号証は、「たばこ塩産業 塩事業版 2012.6.25/塩・話・解・題 87/橋本壽夫」「減塩食品用調味料について」と題し、新しい考え方で開発された商品紹介を内容とするウェブサイト記事であり、同サイトには「香料で食塩の代替図る/長岡香料(株)はソルトブースター(塩味強化剤)とソルトリプレイサー(食塩代替物)を出展していた。」として「ブースター」の語が使用されている。
イ 上記アによれば、「BOOSTER」の文字は、「後押しをする人(もの)」などの意味を有する英語であり、我が国においては、該語を「ブースター」の片仮名表記により使用されていることが認められるが、「BOOSTER」及び「ブースター」の語が一般の需要者により日常頻繁に使用され、広く認識されているとまでは認められないものである。
また、「香料」に関する公開特許公報、特許公報及びウェブサイト等において、「ブースター」の語が使用されているとしても、これらの語が、香料について、どのような内容の品質を表示するものとして使用されているかは明確でない。
なお、申立人の提出した甲第7号証ないし甲第9号証はいずれも外国語によるものであって日本語の訳文等がないものであるから、その内容は不明である。
そうとすると、甲各号証によっては、本件商標が香料との関係において具体的な品質などを表示するものとして広く使用され、認識されているという実情が立証されているということはできないのであって、そのほかに、本件商標が、これに接する香料の取引者、需要者によって、「香料」との関係において、特定の品質などを表示するものとして認識されるとすべき事実も認められないものである。
してみれば、本件商標は、本件商標の登録査定時、香料の取引者、需要者が「BOOSTER」の語を特定の品質などを表示するものとして認識するとすべき実情は認められず、また、自他商品の識別力を有しないとすることもできないから、商標法第3条第1項第3号及び同第6号に該当するということはできないものである
。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中の「香料」について、商標法第3条第1項第3号及び同第6号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。