Trademark Appeal Case
周知商標と要部類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2014−900104(T2014−900104/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5640577号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年1月22日に登録出願、別掲2のとおり、第3類、第5類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年12月2日に登録査定、同年12月27日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、次のとおりであり、その商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。(1)登録第2704127号商標(以下「引用商標1」という。)は、「COCO」の欧文字を書してなり、昭和61年11月27日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成7年2月28日に設定登録されたものであり、その後、同17年6月8日に、指定商品を第3類「化粧品,香料類」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第520006号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Co Co」の欧文字を上段に「コ コ」の片仮名を下段に書してなり、昭和31年3月21日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同33年5月13日に設定登録されたものであり、その後、平成20年11月26日に、指定商品を第3類「化粧品(化粧用染料及び化粧用顔料を除く。),香料類(薫料,香精,天然じゃ香,芳香油を除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第4492799号商標(以下「引用商標3」という。)は、「COCO MADEMOISELLE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成12年7月21日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,香料類,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同13年7月19日に設定登録されたものである。
(4)国際登録第1108062号商標(以下「引用商標4」という。)は、「COCO NOIR」の欧文字を書してなり、2011年7月13日にSwitzerlandにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2012年(平成24年)1月13日に国際商標登録出願、第3類「Preparations the care of the skin, scalp, hair or nails; preparations for application on the skin, scalp, hair or nails; soap, perfumery, essential oils, cosmetics; non-medicated preparations for toiletry use.」を指定商品として、平成24年12月21日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし4をまとめて「引用商標」という場合がある。
3 登録異議申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その指定商品及び指定役務中、第3類「全指定商品」についての登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第166号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲1のとおり、デザイン化された欧文字「Coco Beaute」を横書きしてなる商標であって、申立人の引用商標と類似する商標であり、また、本件商標は引用商標に係る指定商品と同一又は類似する商品について使用する商標である。
したがって、本件商標は、その出願の日前の出願に係る申立人の登録商標に類似する商標であって、その指定商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は申立人が指定商品「香水」等について永年使用してきた結果、周知著名となっている引用商標を構成する「COCO」の文字と同一の綴り字である「Coco」をその構成中に要部として含み、また、その指定商品も同一又は類似する化粧品等であり、関連性が非常に高いものであるから、本件商標がその指定商品に使用された場合には、これに接した取引者、需要者が恰も申立人又はその関連会社の業務において取り扱っている商品であるかのごとく誤って認識する可能性が極めて高い。
したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 本件商標に対する取消理由
当審において、本件商標の登録が商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるとして、商標権者に対して平成26年10月14日付けで通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1) 申立人商標の著名性について
ア 申立人は、香水等の化粧品をはじめ、高級婦人服、ハンドバッグ、靴、アクセサリー、時計等の製品の製造販売等を業とするトータルファッションメーカーであり、申立人がその業務に係る商品について使用する「CHANEL」及び「シャネル」の表示が、世界的に知られていることは周知の事実といえるところ、申立人の提出した甲第6号証ないし甲第132号証及び甲第151号証ないし甲第164号証を総合すると、申立人の業務に係る商品のうち「香水」について使用される「COCO」又は「COCO/ココ」(これらを以下「申立人商標」という場合もある。)は、申立人の創業者である「ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)」の愛称に由来すること(甲23〜甲25等)、申立人商標を付した香水(以下「申立人商品」という。)は、1984年(昭和59年)7月にパリで発売され、同年9月には、ヨーロッパで発売され(甲17、甲18、甲32等)、その報道は、我が国の新聞や様々なファッション雑誌等で紹介されたこと(甲33、甲35、甲37〜甲40等)、申立人商品は、我が国では、翌年の1985年(昭和60年)9月に発売が開始されたところ、その発売開始の前後を通して、申立人商品の発売に関する記事が、多数の新聞やファッション雑誌等で掲載されたこと(甲41〜甲94)、また、申立人は、「COCO」の文字を表示して、申立人商品の広告をファッション雑誌等に掲載したこと(甲95〜甲112、甲118、甲119、甲122〜甲131)、1997年(平成9年)12月の時点において、大阪と東京における10歳代から40歳代800人を対象とした香水のブランド知名度に関するアンケート結果では、申立人の取扱いに係る商品が上位3位を占め、申立人商品は、そのうち第3位であったこと(甲132)、その後、申立人は、申立人商品のシリーズ商品として、2001年(平成13年)に、「COCO MADEMOISELLE」の文字よりなる商標を付した香水を、2012年(平成24年)には、「COCO NOIR」の文字よりなる商標を付した香水を、それぞれ発売したこと(甲16〜甲18、甲151、甲152、甲154〜甲164)、などを認めることができる。
イ 前記アで認定した事実によれば、申立人商標は、申立人の業務に係る商品「香水」(申立人商品)を表示するものとして、本件商標の登録出願日(平成25年1月22日)には既に、我が国における香水の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認め得るところであって、その著名性は、本件商標の登録査定日(平成25年12月2日)の時点においても継続していたものということができる。
(2)出所の混同について
ア 本件商標と申立人商標との類似性
(ア)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、筆記体で「Coco Beaute」の文字(大文字部分は、いずれも花文字風に表わされている。)を横書きしてなるものであるところ、構成する文字全体をもって、親しまれた熟語的意味合いが生ずるものではない。
また、本件商標の構成中の「Beaute」の文字部分は、「美、美しい」等を意味するフランス語であって、化粧品等の分野においては、フランス語も比較的多く使用されるものであるから、これに接する取引者、需要者は、上記意味を理解するとみるのが相当であって、本件商標をその指定商品中の第3類に属する指定商品について使用するときは、「Beaute」の文字部分は、自他商品の識別機能を有しないか、あるいは、有するとしても極めて弱いものといわなければならない。
これに対して、本件商標の構成中の「Coco」の文字部分は、上記(1)の認定のとおり、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国における化粧品及び香料等の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認め得る「COCO」の表示(申立人商標)と同一の綴り文字よりなるものである。
そうすると、本件商標に接する化粧品や香料等の取引者、需要者が、その構成中の「Coco」の文字部分に着目し、強く印象付けられることは、疑いの余地がないものである。
してみると、本件商標は、構成文字全体から生じる「ココボーテ」の称呼のほか、「Coco」の文字部分より、単に「ココ」の称呼をも生ずるものといえる。
そして、本件商標に接する取引者、需要者は、上記のとおり、その構成中の「Coco」の文字部分に強く印象付けられるといえるから、申立人の業務に係る香水を直ちに想起するものとみるのが相当である。
(イ)申立人商標は、上記(1)のとおり、「COCO」又は「COCO/ココ」の文字よりなるものであるから、これより「ココ」の称呼を生ずるものであって、申立人の業務に係る香水を直ちに想起するものとみるのが相当である。
(ウ)以上によれば、本件商標と申立人商標とは、称呼及び観念を同じくする類似の商標というべきである。
イ 両商標の使用される商品との関連性、需要者等
本件商標の指定商品中の第3類に属する指定商品は、別掲2のとおり、香水を含む化粧品、香料及びこれを主原料とする商品であって、いずれも香りを商品の特徴とするものであるから、申立人商標が使用される香水とは、商品の品質、効能、目的等において密接な関係を有するばかりか、その需要者も共通にする場合が多いといえる。
また、申立人は、申立人商品のシリーズ商品として、「COCO MADEMOISELLE」や「COCO NOIR」の文字からなる商標を付した香水を販売している実情にあり、「COCO」の文字からなる商標が、申立人の創業者の愛称に由来するものであって、その独創性が相当程度高いといえることから、本件商標に接する取引者、需要者は、申立人商品のシリーズ商品の一つと誤認する可能性も高いといえる。
ウ 以上ア及びイを総合し、上記(1)において認定した申立人商標の著名性を合わせ考慮すると、本件商標をその指定商品中、第3類に属する指定商品について使用するときは、本件商標に接する取引者、需要者は、香水について使用され著名な申立人商標を直ちに想起又は連想し、該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第3類に属する指定商品について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認める。
5 商標権者の意見
商標権者は、本件商標についてした前記4の取消理由に対し、指定した期間内に何ら意見を述べるところがない。
6 当審の判断
本件商標についてした前記4の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第3類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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