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Trademark Appeal Case

氏名商標の要部認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900216(T2014−900216/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5668865号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5668865号商標(以下「本件商標」という。)は、「ラピダス」の片仮名と「Lapidas」の欧文字と上下二段に横書きしてなり、平成25年9月25日に登録出願され、第14類「貴金属,キーホルダー,身飾品(「カフスボタン」を除く。),宝玉の原石」を指定商品として、同26年3月27日に登録査定、同年5月9日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第723578号商標(以下「11号引用商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、昭和39年10月12日に登録出願され、旧第21類(昭和35年3月8日に昭和35年政令第19号をもって改正、同年4月1日から施行された商標法施行令第1条に基づく商品の区分)「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同41年10月25日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成20年1月23日に、別掲(2)のとおり、商標権の指定商品の書換の登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして、次の16件の登録商標を引用している。

登録第2258209号商標、登録第1358446号商標、登録第948244号商標、登録第1155693号商標、登録第1228829号商標、登録第1345525号商標、登録第1345526号商標、登録第1347508号商標、登録第1389121号商標、登録第2212105号商標、登録第2212106号商標、登録第2470492号商標、登録第2724234号商標、登録第4138779号商標、登録第4279043号商標、登録第4536113号商標(以下、これらの各登録商標をまとめていうときは「15号引用商標」という。)。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証を提出した(「甲第○号証」の表示は、単に「甲○」と簡略表記する場合がある。)。

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標は11号引用商標に類似する。

ア 11号引用商標において「Lapidus」は、要部である。

(ア)11号引用商標は、「Ted Lapidus」よりなるが「Ted Lapidus」が、欧米人の氏名であり、「Ted」が名前、「Lapidus」が氏(姓)であることは、我が国において周知の事実である。

(イ)我が国においては、氏名について、氏(姓)をもって代表させるのが通例である。例えば、「Pierre Cardin」「ピエール・カルダン」→「Cardin」「カルダン」、「Pierre Balmain」「ピエール・バルマン」→「Balmain」「バルマン」、「Christian Dior」「クリスチャン・ディオール」→「Dior」「ディオール」。同様に、「Ted Lapidus」「デッド・ラピドス」も、「Lapidus」「ラピドス」をもって代表される(甲19及び甲20)。また、申立人自体、「LAPIDUS」からなる商標を登録している(甲3、甲12、甲13及び甲15)。

(ウ)よって、11号引用商標において、「Lapidus」は、要部である。

(エ)なお、「Ted Lapidus」は、フランスのファッションデザイナーであり、ファッション性と快適性とを同時に追求した姿勢は、ファッション業界の中でも高く評価されている。ミリタリースタイルを打ち出したり、世界で始めてショールカラーのニットカーディガン・ジャケットを発表したりした。また、オートクチュールにジーンズを取り入れた初期のデザイナーの1人でもある。テッドラピドスの名前を最も有名にしたのは、サファリ・スーツであり、60年代、70年代のファッションシーンのアイコンとなった。

ユニセックスなコレクションをキャットクォークに持ち込んだことでも有名で、「フレンチクチュール詩人」と表現された。顧客にはビートルズ、シーン・セバーグ、ブリジット・バルドーなどの大物が名を連ねた。

1951年に「Ted Lapidus」ブランドを創設した(以上、甲21)。

「Ted Lapidus」ブランドは、女性用被服、男性用被服、ネクタイ、時計、眼鏡、バッグ、ベルト、靴、化粧品を対象に広く展開されており(甲22)、我が国においてもこれらの商品は広く販売されており(甲19及び甲20)、「Ted Lapidus」ブランドは、広く知られている。

「Ted Lapidus」が世界的なブランドであることは、多くの国に「TED LAPIDUS」商標が第14類、第26類を初め様々な類に登録されていることからも明らかである(甲24ないし甲32)。

イ 本件商標は、欧文字「Lapidas」とその片仮名の音表記「ラピダス」とからなり、本件商標からは、「ラピダス」の称呼が生ずる。

他方、「Lapidus」からは、「ラピドス」の称呼を生ずる。

「ラピダス」と「ラピドス」とは、第1音「ラ」、第2音「ピ」及び第4音「ス」において称呼共通であり、僅かに第3音「ダ」と「ド」との違いに過ぎない上、「ダ」と「ド」とは、同じダ行の音であり、極めて近似している。

よって、本件商標は、11号引用商標の要部「Lapidus」と称呼において類似する。

また、本件商標の要部「Lapidas」は、11号引用商標の要部「Lapidus」と、活字体、筆記体の違いにすぎず、外観においても類似する。少なくとも、相紛らわしい。

そして、「ラピダス」、「Lapidas」からは、格別の観念は生じない。むしろ、「Lapidas」は、「Lapidus」と混同される。このことは、「Lapidas」でYahoo!Japanで日本語の頁のみで検索すると、「Lapidus」によって検索する(甲23)ことからも明白である。

よって、本件商標は、11号引用商標と類似する。

(2)本件商標の指定商品「身飾品(「カフスボタン」を除く。)」は、11号引用商標の指定商品、第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。)」、第26類「衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章」と類似する。

(3)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)本件商標の商標権者は、日本メナード化粧品株式会社であり、化粧品の製造販売を業とする者であり、申立人が、化粧品を初め女性用被服、男性用被服、ネクタイ、時計、眼鏡、バッグ、ベルト、靴を対象とする「Ted Lapidus」ブランドを展開し、同ブランドが、日本においても広く知られていることは、上述のとおりであるが、このことは、商標権者が化粧品の製造を業として行う者として知悉するところである。また、「Ted Lapidus」が「Lapidus」と称されることも、知悉するところである。事実、申立人は、日本において、「LAPIDUS」からなる商標を、(眼鏡、時計、記念カップ、宝玉及びその模造品、かばん類、化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)、造花(「造花の花輪」を除く。)、ボタン類、織物(「畳べり地」を除く。)、畳べり地、メリヤス生地、フェルト、不織布、オイルクロス、ゴム引防水布、ビニルクロス、ラバークロス、レザークロス、ろ過布)に登録しているのである(甲3、甲12、甲13及び甲15)。

(2)本件商標の指定商品中「身飾品」は、「着飾るために身に付ける物」であり、ファッションの世界では、「アクセサリー」と称され、「身飾品」並びにバッグ、時計、バンド及びネクタイ等は、広い意味で着飾るために身につける物であり、「アクセサリー」として把握される。

即ち、本件商標の指定商品中「身飾品」は、ネクタイ、時計、眼鏡、バッグ,ベルト等と密接に関連する商品である。

(3)上述のとおり、本件商標は、「Ted Lapidus」と類似する商標であり、もとより、「LAPIDUS」と類似する商標である。このことは、商標権者の本件商標の出願に対して申立人の登録商標「LAPIDUS」(甲3、甲12、甲13及び甲15)を引用して拒絶理由通知が出されたときに、商標権者において類似性を争うことなく、指定商品を減縮することにより、拒絶理由を回避したことからも明かである(甲1)。即ち、商標権者自身、本件商標が「LAPIDUS」と類似し、「Ted Lapidus」と類似することは、承知していたのである。

(4)したがって、本件商標を指定商品中「身飾品」に使用するときは、かかる商品は、申立人の製造販売する商品であるとの誤認を需要者に生じさせるおそれがある。

(5)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 結論

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するから、登録を取消すべきものである。

第4 当審の判断

申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであると主張しているので、以下、検討する。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標について

本件商標は、上記第1のとおり「ラピダス」の片仮名と「Lapidas」の欧文字と上下二段に横書きしてなるものである。

そして、本件商標の構成中、片仮名部分は、欧文字部分の読みを特定したものと認められることから、本件商標からは「ラピダス」の称呼が生じる。

また、本件商標は、親しまれた特定の語義が生ずる既成語とはいえないことから、本件商標からは特定の観念は生じないものである。

(2)11号引用商標について

11号引用商標は、別掲(1)のとおり、「Ted Lapidus」の欧文字を筆記体風の書体をもって表してなるものであり、これは、同書体、同じ大きさで軽重の差なく一連に表されており、視覚上も無理なく一体的に把握できるものである。

したがって、11号引用商標からは「テッドラピドス」の一連の称呼が生ずるものである。

申立人は、11号引用商標の要部が「Lapidus」の文字部分にあるとして、「我が国において、氏名からなる商標については、氏(姓)をもって代表させるのが通例である。」旨主張している。

しかしながら、「Ted Lapidus」が、フランスのファッションデザイナーである(2008年12月29日死去(甲第21号証))としても、我が国において親しまれたものとはいえないことから、11号引用商標は、これに接する需要者、取引者が直ちに欧米人の氏名よりなる商標であることを認識するとはいえないものである。

そして、上記の申立人の主張を採用すれば、同一の氏(姓)を有する氏名よりなる商標は、すべて氏(姓)において同一又は類似となるといえるから、後発の他人の商標登録出願は、先出願の登録商標の存在により登録を受けることができなくなる。

我が国の商標法は、他人の氏名を含む商標について、その他人の承諾を得ているものを除いて登録できないとされているのであり(同法第4条第1項第8号)、単に氏(姓)が同一であることは登録を阻却する理由とはしていない。

加えて、申立人が挙げる各デザイナーの氏(姓)の略称事例は、その略称自体が自他商品の識別標識として機能していると推認できるデザイナーの事例である。

そうすると、申立人の提出する証拠によっては、我が国において、氏名からなる商標については、氏(姓)をもって代表させるのが通例であるとは認めることができない。

さらに、申立人は、11号引用商標が、単に「Lapidus」あるいは「ラピドス」と略称されて広く知られている旨主張して、甲第19号証及び甲第20号証を挙げているが、これらはインターネットの価格検索のサイトにおいて、キーワードとして「Lapidus」あるいは「ラピドス」を入力した結果、検索結果の一部に「Lapidus」あるいは「ラピドス」を含むものを表示したものと認められ、これらより11号引用商標が、単に「Lapidus」あるいは「ラピドス」と略称されて広く知られていると認めることはできない。

また、申立人の提出した全証拠からも、11号引用商標が、単に「Lapidus」あるいは「ラピドス」と略称されて広く知られていると認めることはできない。

以上よりすると、11号引用商標は、「テッドラピドス」の一連の称呼が生じ、親しまれた特定の語義が生ずる既成語とはいえないことから、特定の観念は生じないものである。

(3)本件商標と11号引用商標の類否について

本件商標と11号引用商標とは上記のとおりの構成のものであるから、外観上は明確に区別し得るものである。

本件商標から生ずる「ラピダス」の称呼と、11号引用商標から生ずる「テッドラピドス」の称呼とは、その音数、語韻、語調を異にするから互いに類似するということはできないものである。

上記のとおり、本件商標と11号引用商標からは、特定の観念が生じないから、両商標は、観念上類似するということはできないものである。

以上のとおり、本件商標と11号引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似する商標ということはできないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第15号について

15号引用商標は、甲第4号証ないし甲第11号証、甲第14号証、甲第16号証ないし甲第18号証のとおりの「TED LAPIDUS」の文字からなる商標、「TED LAPIDUS」の文字を有する商標又は「テッド ラビドス」の文字からなる商標(以下「TED LAPIDUS」商標という。)及び甲第3号証、甲第12号証、甲第13号証及び甲第15号証のとおりの「LAPIDUS」の文字からなる商標(以下「LAPIDUS」商標という。)からなるものである。

(1)15号引用商標中、「TED LAPIDUS」商標について

申立人は、「TED LAPIDUS」商標が、単に「Lapidus」あるいは「ラピドス」と略称されて広く知られている旨主張して、甲第19号証及び甲第20号証を挙げている。

しかしながら、「TED LAPIDUS」商標は、上記1(2)と同様に、単に「Lapidus」あるいは「ラピドス」と略称されて広く知られていると認めることはできない。また、申立人の提出した全証拠からも、「TED LAPIDUS」商標が、単に「Lapidus」あるいは「ラピドス」と略称されて広く知られていると認めることはできない。

さらに、本件商標と「TED LAPIDUS」商標とは、上記1(3)と同様に、外観、称呼及び観念のいずれからみても、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標である。

したがって、本件商標を請求に係る指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「TED LAPIDUS」商標を連想又は想起することはなく、当該商品を申立人の業務に係る商品、あるいは、同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤信するとは認められず、商品の出所を混同するおそれはないものというべきである。

(2)15号引用商標中、「LAPIDUS」商標について

申立人は、同人が所有する「LAPIDUS」商標は、本件商標と類似し、本件商標の指定商品中「身飾品」は、「ネクタイ,時計,眼鏡,バッグ,ベルト」等と密接に関連する商品であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張して証拠を挙げている。

しかしながら、「ラピドス」又は「Lapidus」の単独での使用は、甲第20号証に「★★ ラピドス Lapidus ウーマン 50ml EDT ★★」の記載が1件のみ認められるものの当該商品の我が国における販売数量等は明らかでなく、その他、申立人が提出する全証拠によっても、「LAPIDUS」商標が取引者、需要者の間に広く認識されていると認めるに足りる証拠はない。

してみれば、「LAPIDUS」商標は、申立人の業務を表すものとして、本件商標の登録出願時及び査定時において、取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認められない。

したがって、本件商標を請求に係る指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「LAPIDUS」商標を連想又は想起することはなく、当該商品を申立人の業務に係る商品、あるいは、同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤信するとは認められず、商品の出所を混同するおそれはないものというべきである。

(3)小括

以上のとおり、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、15号引用商標を連想又は想起することはないから、商品の出所を混同するおそれはないものというべきであって、申立人が提出する全証拠によっても、取引者、需要者が、本件商標と15号引用商標とで具体的に出所の混同が生じるおそれがあると認めるに足りる証拠はない。

してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者が15号引用商標を想起、連想して、当該商品を申立人の業務に係る商品、あるいは、同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤信するとは認められず、本件商標の出願時及び査定時において、商品の出所について混同するおそれがあるとすることはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとは認められないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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