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Trademark Appeal Case

要部「IG」の称呼・外観類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900229(T2014−900229/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5669644号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5669644号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年9月9日に登録出願され、別掲2に表示した第36類に属する指定役務のほか、第19類、第20類、第35類、第37類、第40類、第42類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同26年2月4日に登録査定、同年5月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の2件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。

1 国際登録第1142992号商標

申立人が引用する国際登録第1142992号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、2012年5月2日に英国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2012年(平成24年)10月24日に国際商標登録出願され、別掲4に表示した第36類に属する指定役務のほか、第9類に属する商品を指定商品として、平成26年10月7日に登録査定、同年12月5日に設定登録されたものである。

2 登録第5296531号商標

登録第5296531号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲5のとおりの構成よりなり、平成20年11月7日に登録出願され、別掲6に表示した第36類に属する指定役務のほか、第9類、第16類、第41類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同21年12月16日に登録査定、同22年1月22日に設定登録されたものである。

以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、その指定役務中、第36類の一部については、商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。

1 本件商標と引用商標の類似性について

(1)引用商標1

ア 本件商標と引用商標1の外観について

本件商標は、その左部の「IG」部分(以下「本件商標左部分」という。)と右部の「IGHD」及び「Iida Group Holdings」とが、外観上分離して認識されることは一見して明らかである。特に、「IG」の文字が六角形の図形に囲まれていることにより、「IG」部分が特に際立って認識される。

したがって、本件商標と引用商標1とは、同一の欧文字「IG」を要部とする商標であって、当該部分において外観上の印象が極めて近似するものである。

本件商標左部分と引用商標1とは、その構成文字が全く同一であって当然外観も共通しているから、曖昧な記憶とイメージに基づいて時と処を異にして両商標に接した場合には、両者を明確に区別することは困難である。特に、引用商標1は単純な「IG」の2文字のみからなり、全体として数字の「10」に近似しており、その視覚的な特徴は顕著であるところ、本件商標左部分の「IG」の文字も同様の「10」に近似した特徴を有するため、いずれも、この特徴的部分が看者によって抽象的に記憶される可能性が高い。そして、この特徴の共通性によって、両商標に混同を生じるおそれがあることは明らかである。

したがって、本件商標は、引用商標1と外観上極めて紛らわしい類似の商標である。

イ 本件商標と引用商標1の称呼について

本件商標は、称呼上、要部において引用商標と共通する。

本件商標左部分は、「IG」の文字を有するものであって、六角形の図形に囲まれており、一つの図形を構成しているが、他に称呼を生じる要素は含まれていないから、これより「アイジー」の称呼が生ずることは明らかである。

他方、引用商標1は、申立人の会社名「IG Group Limited」(アイジーグループリミテッド)の一部「IG」(アイジー)から構成される商号商標であって、当然に「アイジー」と称呼され、単に指定役務のみならず、この企業自体をも明確かつ強力に表示する商標である。したがって、ここから「アイジー」の称呼が生じ、これが強く記憶されることに疑いの余地はない。

例えば、需要者が、「日本たばこ産業株式会社」を表す商標を認識して記憶する場合、これを単なる図形と認識することはなく、欧文宇「JT」を認識し、「ジェーティー」と発音して記憶するのが自然である。

すなわち、欧文字をデザイン化した商標であっても、そこから容易に文字を認識することが出来る場合には、その商標から称呼が生ずることは明らかである。

また、実際の取引市場において、特に会社名は、需要者が認識し、記憶しやすいように、2文字で略称されることが多い。例えば、上述した「日本たばこ産業株式会社」を「JT」(ジェーティー)、「General Electric Company」を「GE」(ジーイー)、「Hewlett−Packard Development Company,L.P.」を「HP」(エッチピー)、「General Motors Company,LLC」を「GM」(ジーエム)、など、枚挙にいとまがない。

本件商標からは上記のとおり容易に「IG」の文字が認識できるから、「アイジー」の称呼が生じ、他方、引用商標1は、申立人の商号「IG Group Limited」の一部、しかも要部であって、その構成から欧文字「IG」が認識され、当然に「アイジー」と称呼される。

したがって、本件商標と引用商標1とは、称呼同一の類似商標である。

ウ 本件商標と引用商標1の観念について

引用商標1は、申立人の商号商標であるから、申立人自体を想起させる。これに対し、本件商標は、引用商標1と同一の欧文字を独立的に包含しているため、これに接する需要者は、申立人を連想し、それによって出所の混同を生じる結果となる。

エ 小括

よって、本件商標は、引用商標1と外観、称呼、観念のいずれについても類似し、かつ、本件商標の指定役務と引用商標1の指定役務は、第36類の一部について同一又は類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)引用商標2

ア 上記(1)アのとおり、本件商標は、左部の「IG」部分が独立して認識される。これに対し、引用商標2は、甲第4号証に示すとおり、欧文字「IG」で構成されている。

したがって、本件商標と引用商標2とは、同一の欧文字「IG」を要部とする商標であって、両商標は外観上の要部において一致するものである。

イ また、称呼についてみると、本件商標と引用商標2とは、「アイジー」の称呼を共通しており、称呼上同一の商標である。

ウ さらに、引用商標2は、引用商標1と同様、申立人の商号の一部で構成されるいわゆる商号商標であって、その指定役務のみならず、申立人自体を直接表示する、極めて出所表示力の強い商標である。

したがって、引用商標2に接する需要者がその後本件商標に接したとするならば、本件商標から申立人そのものを連想し、その結果、観念上の混同を惹起する結果となる。

エ よって、本件商標は、引用商標2と外観、称呼、観念のいずれについても類似し、かつ、本件商標の指定役務と引用商標2の指定役務は、第36類の一部について同一又は類似であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 当審の判断

1 本件商標について

本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、本件商標左部分と、右側上段の「I」の欧文字、「GHD」の欧文字を結合した部分及び下段の「Iida Group Holdings」の欧文字部分とは、それぞれが互いに関連を有するとは認められない構成といえることから、本件商標左部分も独立して自他商品・役務の識別機能を発揮するといえるものである。

しかるところ、本件商標左部分は、中心部は6個の正三角形をもって構成された正六角形図形上に欧文字の「IG」を重ねて表示し、その外側に個々に着色された6個の三角形により台形状に形成された各辺をもって、中心部を囲むように正六角形図形とした構成のものであり、まとまりよく構成されており、これが一体のものとして把握されるといえるものである。

そして、本件商標左部分の構成中の「IG」の欧文字2文字部分は、とりたてて特徴のない明朝体よりなるにすぎないから、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章というべきであり、この「IG」の欧文字部分は、自他商品・役務の識別機能を発揮するものとはいえず、左側の正六角形図形部分は、その構成全体をもって一体的に把握されるといえるから、本件商標左部分は、特定の称呼及び観念を生じることはないというのが相当である。

また、本件商標の右側上段の部分は、「I」の欧文字1文字と「GHD」の欧文字を結合した部分とからなるものであるところ、後者は、「GHD」の欧文字のモノグラムと認められるものであるから、右側上段の部分よりは特定の称呼及び観念を生じないものである。そして、本件商標の右側下段の「Iida Group Holdings」の欧文字部分は、「イイダグループホールディングス」の称呼が生じ、何らかの企業グループ又は持株会社の名称であることは理解できるとしても、第36類の役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものということはできないから、特定の観念を生じることはないというのが相当である。

したがって、本件商標は、「アイジー」の称呼及び特定の観念をもって取引に資されることはないというべきである。

2 引用商標について

(1)引用商標1について

引用商標1は、別掲3のとおりの構成よりなるところ、これは、欧文字の「I」と「G」とをモチーフにデザイン化した一体的に把握されるものというのが相当であって、引用商標1からは特定の称呼及び観念は生じないというべきである。

この点に関して、申立人は、引用商標1は、申立人の会社名の一部「IG」から構成される商号商標であって、当然に「アイジー」と称呼され、ここから「アイジー」の称呼が生じ、これが強く記憶されると主張している。

しかしながら、引用商標1は、欧文字の「I」と「G」とをモチーフにしたものではあるものの、欧文字2文字よりなる商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章というべきであり、それのみでは自他商品・役務の識別機能を発揮するものとはいえず、引用商標1は「アイジー」の称呼をもって取引に資されることはないというべきであって、引用商標1が登録されたのは、その構成全体をもって一体的に把握されることで自他商品・役務の識別機能を発揮するとされたというのが相当である。そして、申立人は、上記の主張以外に引用商標1が「アイジー」の称呼をもって取引に資されていることを示す証拠を提出してはいない。したがって、上記の申立人の主張は採用することはできない。

さらに、申立人は、欧文字をデザイン化した商標であっても、そこから容易に文字を認識することが出来る場合には、その商標から称呼が生ずることは明らかであると主張して、「JT」、「GE」、「HP」、「GM」等の商標の事例を挙げている。

しかしながら、これらは、その構成態様や使用の実績などにより、自他商品・役務の識別機能を獲得している個別の事情を有する事案というのが相当であり、欧文字2文字をデザイン化した商標一般から生ずる称呼が、自他商品・役務の識別機能を発揮するとの証左とはいえないから、その主張も採用することはできない。

また、引用商標1からは特定の観念が生じるとすべき事情、証拠は認められない。

(2)引用商標2について

引用商標2は、別掲5のとおりの構成よりなるところ、これも引用商標1と同様に、欧文字の「I」と「G」とをモチーフにデザイン化した一体的に把握される商標というべきであって、引用商標2からは特定の称呼及び観念は生じないというべきである。

したがって、この点に関する、申立人の主張についても上記(1)と同様に採用することはできない。

また、引用商標2からは特定の観念が生じるとすべき事情、証拠は認められない。

3 本件商標と引用商標との類否について

(1)本件商標と引用商標1との類否について

本件商標と引用商標1との類否についてみるに、両者は、外観上明確に区別し得る差異を有するものであり、仮に、本件商標左部分が分離して観察されるとしても、この部分と引用商標1とは外観上類似するとはいえないものである。

次に、称呼についてみるに、本件商標は、上記1のとおり、その構成上、「イイダグループホールディングス」の称呼が生じるものであり、自他商品・役務を識別するための「アイジー」との称呼を生ずることはないものである。

他方、引用商標1は、上記2(1)のとおり、特定の称呼は生じないというべきである。

さらに、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することができないものである。

したがって、本件商標と引用商標1は、類似するということはできない。

(2)本件商標と引用商標2との類否について

本件商標と引用商標2との類否についてみるに、両者は、外観上明確に区別し得る差異を有するものであり、仮に、本件商標左部分が分離して観察されるとしても、この部分と引用商標2とは外観上類似するとはいえないものである。

次に、称呼についてみるに、本件商標は、上記1のとおり、その構成上、「イイダグループホールディングス」の称呼が生じるものであり、自他商品・役務を識別するための「アイジー」の称呼を生ずることはないものである。

他方、引用商標2からも、上記2(2)のとおり特定の称呼は生じないというべきである。

さらに、本件商標と引用商標2とは観念において比較することができないものである。

したがって、本件商標と引用商標2は、類似するということはできない。

(3)小括

以上、本件商標と引用商標とは互いに非類似の商標というべきであり、本件商標と引用商標との商品又は役務の類否を判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。

4 まとめ

以上、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないから、商標法第43条の3第4項により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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