Trademark Appeal Case
自分年金の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−18699(T2014−18699/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「自分年金」の文字を標準文字で表してなり、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,信用購入あっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,商品代金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引,外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券先渡取引・有価証券店頭指数等先渡取引・有価証券店頭オプション取引若しくは有価証券店頭指数等スワップ取引又はこれらの取引の媒介・取次ぎ若しくは代理,有価証券等清算取次ぎ,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」を指定役務として、平成25年2月28日に登録出願された商願2013−14109に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同25年7月10日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『自分年金』の文字を標準文字で表記してなるところ、これよりは『自分のための年金』程の意味合いを容易に理解させるものであり、また、指定役務との関係においては、『老後の生活資金のために、貯蓄や投資信託等の金融資産を活用して自分自身で作る年金』を『自分年金(じぶんねんきん)』と称している実情が窺える。そうとすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に『自分のための年金に関する役務』であることを理解するにとどまり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「自分年金」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「自分」の文字は、「自身。自己」の意味の語であり、また「年金」の文字は、「毎年一定金額を定期的に給付する制度のもとで支払われる金銭。制度の性格により公的年金・私的年金に分かれる。」等(いずれも、株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)の意味を有する語であるから、全体として「自分の年金」程の意味合いを理解させるものである。
ところで、本願の指定役務を取り扱う業界においては、「自分年金」の文字は、「老後に備えて、公的年金のほかに、自分でつくる年金」程の意味合いを表すものとして普通に使用されているものである。
そして、上記の事実については、原審で示した事実のほか、以下に示す新聞記事情報及びインターネット情報からも裏付けられるところである。
「自分年金」の使用例について(下線は、合議体による。)
<新聞記事情報>
ア 2001年(平成13年)1月23日付け「中国新聞」(朝刊)に、「図書室『“自分年金”のつくり方』(萩原博子著)」の見出しの下、「■『“
自分年金
”のつくり方』(萩原博子著)夫が六十歳、妻が五十七歳だと平均余命で計算すれば、夫婦で過ごすのは、あと二十一年間。その後八年は妻の一人暮らしとなる。老後に必要な生活費の総額は約九千万円に上るという。年金制度の改定などで暮らしに不安がある時代に、ゆとりある将来を向かえるためには、公的年金に加え、自分たちでお金をためなければならない。・・・」との記載がある。
イ 2001年(平成13年)11月12日付け「産経新聞」(大阪夕刊、10頁)に、「【ライフ&マネー】新しい年金の考え方(2)井戸美枝事務所代表 井戸美枝」の見出しの下、「『光陰矢の如し』といいます。二十、三十歳代の方は、老後はまだまだとお考えでしょう。むしろ、ご両親が老後を迎えようとしているので、自分たちも同じようになると思っているのかもしれません。しかし、残念ながら親と同じように公的年金から手厚い給付を受けるのは難しいでしょう。逆に自分たちの努力で老後の年金を用意しなければならない時代です。
自分年金
つくりには時間がかかります。・・・」の記載がある。
ウ 2002年(平成14年)2月18日付け「静岡新聞」(朝刊、24頁)に、「ペイオフ対策を学ぶ 沼津で資産活用セミナー」の見出しの下、「・・・セミナーでは、公的年金以外に自分たちで資産を運用して老後を支える『
自分年金
』の考え方や、賃貸住宅経営など不動産の有効活用法も説明された。・・・」の記載がある。
エ 2003年(平成15年)10月15日付け「産経新聞」(大阪夕刊、5頁)に、「【みんなの未来 わたしの老後 1.企業年金(10)】老後の資金」の見出しの下、「・・・最近では個人年金をいう代わりに、公的年金に対する『私的年金』や『
自分年金
』という呼び方も雑誌などで使われ始めています。これらは、広い意味で『老後の準備金』のことを指しています。前払いされた退職金を、住宅ローンの繰上げ返済に充てて借金を早めに返したり、定期預金や外貨預金、投資信託などで貯めたり、増やしたりすることも、老後への準備の方法といえるでしょう。・・・」の記載がある。
オ 2007年(平成19年)6月1日付け「金融専門紙ニッキン」(11頁)に、「預かり資産営業・戦略と現場(8)」の見出しの下、「フォローの一環として6月12日と14日に初の支店主催の『資産運用セミナー』を開催する。・・・14日は『団塊世代の生活設計〜公的年を補完する
自分年金
の魅力』がテーマだ。」の記載がある。
カ 2010年(平成22年)3月9日付け「スポーツ報知」(14頁)に、「[BOOKセレクト]鈴木正浩さん著『25年間アパート利回りが下がらない」の見出しの下、「・・・『国民年金や厚生年金の財政は悪化の一途をたどっています。将来的に受給年齢が上がるだけでなく、本当に受け取れるのかという不安もある。海外ファンドは一般の方でも老後の資産形成に役立ちます』借金王国でありながら、政治とカネで揺れている日本。将来の不安は募る一方だけに『
自分年金
の一環としてやってみようか』という気にさせられる。・・・」の記載がある。
キ 2010年(平成22年)12月22日付け「毎日新聞」(東京朝刊、7頁)に、「ファイル:自分年金本出版」の見出しの下、「クローバー・アセットマネジメント浪花おふくろファンド責任者の石津史子さんと、同社の石津朱美さんが、老後資金のあり方についてまとめた『浪花のおふくろ直伝!超
自分年金
つくろう!うちらのハッピーライフ』(エル出版)を22日、出版する。石津さんは昨年度の経済観測執筆者。公的年金だけでは不安な人のために、ゆとりある老後のための“
自分年金
”作りを提案。・・・」の記載がある。
ク 2014年(平成26年)3月14日付け「北海道新聞」(朝刊全道、18頁)に、「<私の周りは 超高齢社会>第6部大丈夫?マネープラン*2*資産運用*余裕を持ち分散投資」の見出しの下、「・・・例えばゆうちょ銀行の今の定期預金の金利は1年で0・035%。100万円を預けても、税抜き後の利子は280円しか付かない。総務省の家計調査では、高齢で無職の夫婦は公的年金だけでは生活が厳しいことも分かっている。資産運用しながら『
自分年金
』を作り出したいと思うのも無理はない。・・・」の記載がある。
<インターネット情報>
ケ 「日本経済新聞」のウェブサイトにおいて、「おひとりさま女性、『
自分年金
』2600万円への道」の見出しの下、「女性が生涯独身でいることを決めたら、早めに老後資金の見通しを確認しよう。一般に女性は男性より長生きなうえ、公的年金の支給額が少ない。そのため年金の不足分を補う『
自分年金
』づくりを強く意識する必要がある。」の記載がある。
(http://www.nikkei.com/money/features/37.aspx?g=DGXZZO6742377026022014000000)
コ 「happy retirement project」のウェブサイトにおいて、「『
自分年金
』とは?」の見出しの下、「『
自分年金
』とは、預金、株式、債券、投資信託、保険などの金融商品を利用して自分自身で準備する老後(セカンドライフ)の生活費のことです。今まで日本のセカンドライフの経済的自由を支えてきたのは、主に『公的年金』『企業年金』でした。でも、少子高齢化で働く世代が減っていく一方で年金受給者は増え続けており、従来の年金制度では退職後の資金をまかなえるか心もとない状況です。充実したセカンドライフを送るために、今の現役世代には『公的年金』『企業年金』に加え、自分自身で準備する『
自分年金
』が必要な時代となってきています。」の記載がある。
(http://happy-r-project.jp/jibun-nenkin)
サ 「All About」のウェブサイトにおいて、「老後不安を吹き飛ばせ!『
自分年金
』をつくる3つの方法」の見出しの下、「『自分は将来、年金をもらえる?』『老後資金は3000万円必要だなんて聞くけれど、自分には無理』......でも、不安になっているだけでは何にもなりません。公的年金に頼りきりでなく、自分自身で準備する『
自分年金
』づくりを考えてみませんか?無理なく始めて続けられる3つの方法をお伝えします。」の記載がある。
(http://allabout.co.jp/matome/cl000000002291/)
シ 「一般社団法人
自分年金
協会」のウェブサイトにおいて、「
自分年金
の必要性」の見出しの下、「年金を正しく理解すれば、無責任な情報に振り回されず、冷静な目で老後対策を立てられるようになります。一方で、公的年金を理解すればするほど、自助努力(
自分年金
)が必要なことも客観的な事実として見えてきます。裏付けのない過度の不安ではなく、現実的な対策の必要性が見えてくるのです。」の記載がある。
(http://www.jbnk.jp/?page_id=7)
ス 「ライフサロン本店」のウェブサイトにおいて、「
自分年金
セミナー開催!」の見出しの下、「『将来、年金は本当にもらえるの?』『自分はいったい年金をいくらもらえるの?』このような不安や疑問を感じたことはありませんか?公的年金に頼らずに『
自分年金
』で将来に向けて準備する若い女性が増えています。『
自分年金
セミナー』は、年金の仕組みに始まり、保険を使って自分だけのオリジナル年金プランを作るノウハウを学べます。」の記載がある。
(http://hoken.lifesalon.jp/%EF%BC%96%E6%9C%88%EF%BC%92%EF%BC%91%E6%97%A5%E9%87%91%E3%80%90%E6%B0%B4%E9%81%93%E6%A9%8B%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%80%91%E8%87%AA%E5%88%86%E5%B9%B4%E9%87%91/)
セ 「株式会社エフピーウーマン」のウェブサイトにおいて、「
自分年金
の作り方」の見出しの下、「
自分年金
をつくって老後に備えよう!/公的年金だけでは老後が不安なことはなんとなくわかるけど、まだまだ先のことだし、いまいちピンとこない......という人も多いはず。でも、年金をもらうのは老後でも、老後資金を準備するのは老後を迎える前、つまり、『老後未満』にしかできません。今後は、少子高齢化が進み、ますます公的年金に期待がもてなくなりそうです。まだ先のことだからとのんびり構えていると、老後を迎えたときに、悲惨な現実がまっているかもしれません。老後は、楽しく、明るく豊かにすごしたいもの。素敵な老後を迎えるためにも、早い時期から
自分年金
つくりをスタートさせましょう!」の記載がある。
(http://www.woman-money.com/second03.html)
上記のとおり、「自分年金」の文字は、「老後に備えて、公的年金のほかに、自分でつくる年金」程の意味合いを表すものとして、使用されているというのが相当であり、本願商標を、その指定役務中、例えば、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,有価証券の売買,生命保険契約の締結の媒介」等に使用しても、取引者、需要者は、「老後に備えて、公的年金のほかに、自分でつくる年金のための役務」程の意味合いを表すものと理解し、認識するにすぎないものといえる。
そうとすると、本願商標は、需要者の老後のための年金づくりという目的に係る語句として理解させるにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
請求人は、「『自分年金』の文字全体からは、どのような意味合いが生じるのかが不明確であり、また、辞書等に載録のない語であるから、特定の意味を容易に理解させるとはいえない。」旨主張する。
しかしながら、「自分年金」の文字が、「老後に備えて、公的年金のほかに、自分でつくる年金」程の意味を表す語として使用されていることは、原審で示された事実及び前記(1)で示した新聞記事情報及びインターネット情報からも認められるものであり、上記したとおり、本願商標は、需要者の老後のための年金づくりという目的に係る語句として理解されるものというべきであるから、何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標である。
よって、請求人の主張を採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号該当するものであって、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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