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Trademark Appeal Case

予算会計の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2014−7785(T2014−7785/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「予算会計」の文字を標準文字で表してなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成25年4月22日に登録出願、その後、指定役務については、原審における同年10月1日付けの手続補正書により、第41類「予算に対して財務諸表を作成する理論に関する知識の教授,予算に対して財務諸表を作成する理論に関するセミナーの企画・運営又は開催,予算に対して財務諸表を作成する理論に関する電子出版物の提供,予算に対して財務諸表を作成する理論に関する図書及び記録の供覧,予算に対して財務諸表を作成する理論に関する図書の貸与,予算に対して財務諸表を作成する理論に関する書籍の制作,予算に対して財務諸表を作成する理論に関する放送番組の制作,予算に対して財務諸表を作成する理論に関する教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),予算に対して財務諸表を作成する理論に関する興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『予算会計』の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の『予算』の文字部分は、『収入・支出の計画』程の意味合いを表し、『会計』の文字部分は、『金銭・物品の出納の記録・計算・管理』等の意味合いを表すものであるから、全体として『収入・支出計画に関する金銭出納の記録・計算・管理』程の意味合いが容易に認識されるものである。そして、国や地方自治体等において『予算会計』が作成されている実情があり、『予算の管理に関するセミナー』や『予算の策定に関するセミナー』等の会計に関する各種セミナーが開催されている実情がある。そうすると、たとえ、出願人が、『将来の予想である予算を、過去の記録である会計のように纏めるための理論を新たに確立し、この理論を、“予算会計”という言葉を用いて新たに定義し、書籍を、“予算会計”というタイトルで発刊している』としても、本願商標を、本願の指定役務『予算に対して財務諸表を作成する理論に関する知識の教授』等に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、自他役務の識別標識としては認識しないとみるのが相当である。したがって、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権による証拠調べをした結果、別掲に示す事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨

(1)証拠調べ通知書では、インターネット情報として「予算」又は「会計」に関するセミナーの開催例を挙げて、「予算」及び「会計」の文字と本願指定役務との関係を指摘している。しかしながら、セミナー等に関する本願指定役務は、いずれも「予算に対して財務諸表を作成する理論に関する」ものとなっており、この指定役務との関係でのセミナーの開催例は一切挙がっていない。つまり、証拠調べ通知書で挙げられているセミナー等の開催例は、原査定で示している「予算の管理に関するセミナー」や「予算の策定に関するセミナー」等の会計に関する各種セミナーの開催例と何ら変わるところのない事実を挙げているに過ぎない。加えて、これらの実情等は、本願商標を構成する「予算会計」の文字が「収入・支出計画に関する金銭出納の記録・計算・管理に関するもの」という意味合いを認識させることを示すものでもなく、原査定を維持するための事実として、その根拠になり得ないことも明らかである。

(2)証拠調べ通知書では、「予算会計」の文字についても、「予算」や「会計」に関して、一般的に広く使用されている実情があるとし、それを示すものとして、新聞記事情報を挙げている。しかしながら、これらの新聞記事情報も、原査定で示すところの国や地方自治体等において「予算会計」が作成されているという実情等を示す事実と何ら変わるところのない事実を挙げているに過ぎない。そして、これらの新聞記事情報は、いずれも「官公庁会計」を示すものである。そして、会計については、「官公庁会計」と「企業会計」の2つに分かれ、証拠調べ通知書で例示している新聞記事は、いずれも「官公庁会計の中での予算制度」を指しているに過ぎないものである。これに対して、本願指定役務は「予算に対して財務諸表を作成する理論に関する」ものであり、財務諸表の文字の有する意味からも「企業会計」を対象としていることは明らかである。そして、企業会計に次期予算を作成する理論はない。

(3)本願商標「予算会計」という言葉は、「将来の予想である予算を、過去の記録である会計のように纏めるための理論」を新たに確立した請求人において、この理論を端的に示す言葉として新たに定義した造語なのである。さらに、請求人は、この新たな理論を広げるために、2012年3月30日に「予算会計」というタイトルの書籍を発刊しており、また、それ以前の2011年より、「予算会計を学ぶ」というタイトルのブログをインターネット上に掲載するとともに、同タイトルのメールマガジンを配信している。したがって、「予算会計」の文字に接する需要者、取引者をして、この名称が請求人が新たに構築した理論の名称として認識され、その理論に沿った意味合いが看取されることはあっても、原査定で示すような意味合いが看取されることはないと言うべきものである。

以上のとおり、職権証拠調べで発見されたというインターネット情報や新聞記事情報は、原査定で適示する実情等と何ら変わるところのない実情を示すに過ぎず、また、当該職権証拠調べは、本願指定役務が「予算に対して財務諸表を作成する理論に関する」ものであるということを十分に認識した上で、それとの関係でなされているものでもない。さらに、本願商標からは原査定で示すような意味合いが看取されることはなく、本願商標は、請求人が採択した造語としてのみ機能し、自他役務識別機能を十分に発揮する商標といい得るものである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第6号該当性について

本願商標は、「予算会計」の文字からなるところ、その構成中、「予算」の文字と、「会計」の文字は、ともに一般に親しまれ、よく知られている語であるから、「予算」と「会計」の2語からなるものと容易に看取されるものである。

そして、「予算」と「会計」の文字は、本願指定役務との関係において、例えば、各種セミナーの内容に使用されている実情があり、さらに、「予算会計」の文字についても、一般的に広く使用されていることを窺い知ることができる。

そうすると、各種セミナーの開催において、該「予算会計」の文字は、「予算と会計」という程の意味合いとして理解されるものというのが相当である。

そうとすれば、「予算会計」の文字からなる本願商標を、その指定役務中、例えば、「予算に対して財務諸表を作成する理論に関する知識の教授,予算に対して財務諸表を作成する理論に関するセミナーの企画・運営又は開催,予算に対して財務諸表を作成する理論に関する電子出版物の提供」等に使用しても、「予算と会計」という程の意味合いを理解させるにすぎないものであって、これに接する取引者、需要者は、これをもって役務の識別標識とは認識し得ないものというべきである。

してみれば、本願商標は、上記した予算に関連する役務の内容に関する一般的な語句を表したものとして理解されるにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を有しないものというべきものであるから、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と認められる。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、「本願の指定役務は、いずれも『予算に対して財務諸表を作成する理論に関する』ものであり、これらの指定役務との関係では、インターネット情報として、セミナーの開催例は一切挙がっていない。つまり、これらの実情等は、本願商標を構成する『予算会計』の文字が『収入・支出計画に関する金銭出納の記録・計算・管理に関するもの』という意味合いを認識させることを示すものでもなく、原査定を維持するための事実として、その根拠になり得ない。」旨を主張している。

しかしながら、予算に対して財務諸表を作成する理論に関する指定役務との関係で、インターネット情報として、セミナーの開催例がないとしても、本願商標を構成する「予算」と「会計」の語は、一般に親しまれている語であり、両語に関連するセミナーが多数開催されていることは、インターネット情報等から明らかである。

そして、「予算会計」の文字が「予算と会計」という程の意味合いを理解させるにすぎないものであって、本願商標を「予算に対して財務諸表を作成する理論に関する役務」に使用したとしても、これに接する取引者、需要者は、これをもって役務の識別標識とは認識し得ないものであることは、上記(1)に記載したとおりである。

イ 請求人は、「証拠調べ通知書で示された新聞記事情報の、『予算会計』の文字の使用例は『官公庁会計の中での予算制度』を示しているに過ぎず、さらに、本願商標は、請求人が定義した造語であり、書籍の発刊、ブログの掲載及びメールマガジンの配信により、取引者、需要者に認識されているから、自他役務の識別機能を有している。」旨を主張している。

しかしながら、「予算」、「会計」及び「予算会計」の文字が一般的に使用されている語であることからすれば、本願の指定役務との関係において、取引者、需要者は、官公庁会計に関するものと認識する場合があるとしても、請求人の定義した造語として、認識されるとはいい難いものである。また、造語として認識されるとする証拠として、書籍の発行とブログの掲載及びメールマガジンの配信の事実をあげているが、書籍の販売部数も不明であり、それらを行ったという事実のみでは、請求人の定義した造語として認識されるとは認めることができない。

よって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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