Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−17555(T2013−17555/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類「充電器,ポータブルバッテリー,拡声機械器具,コンピュータ用のマウスパッド,コンピュータ用ペン型データ入力具,コンピュータおよびコンピュータ周辺機器ならびにその部品および附属品,電子応用機械器具ならびにその部品および附属品,電子計算機用ハードウェア,コンピュータハードウェア相互接続装置,ハンドヘルドコンピュータ用キャリングケース,携帯電話の付属品,携帯電話機用ホルダー,携帯電話機用ハンズフリー装置,携帯情報端末の部品及び附属品,台架類,電気通信機械器具の部品及び付属品」を指定商品として、平成23年12月28日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2703969号商標(以下「引用商標1」という。)
引用商標1は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年3月25日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年2月28日に設定登録され、その後、同17年7月13日に指定商品を第9類「電子計算機用プログラム,電子計算機,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第5039249号商標(以下「引用商標2」という。)
引用商標2は、別掲3のとおりの構成からなり、平成18年8月30日に登録出願、「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を含む第9類、第16類、第35類、第37類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同19年4月6日に設定登録されたものである。
(3)登録第5265234号商標(以下「引用商標3」という。)
引用商標3は、「JUST」の文字を標準文字で表してなり、平成19年12月6日に登録出願、「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電子計算機・電子計算機用プログラムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同21年9月11日に設定登録されたものである。
以下、上記引用した登録商標(1)ないし(3)をまとめていうときは、「引用商標」という。
3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、「just」の文字と「mobile」の文字との間に縦線(|)を配した「just|mobile」の文字を書してなるところ、その構成中の前半部分の「just」の文字が、後半部分の「mobile」の文字に比して、太く表されているものであるし、両文字の間に縦線(|)があることも相まって、「just」の文字部分が視覚上分離して看取されるものである。
また、「just」の文字及び「mobile」の文字は、それぞれ、「ちょうど」、「移動性の」等の意味を有する語(ランダムハウス英和大辞典第2版 小学館発行)であるが、これらを組み合わせた「just mobile」の文字全体としては、辞書等に掲載されている語ではない。
そして、「モバイル(mobile)」の文字は、本願指定商品との関係においては、「オフィスや自宅以外の場所から、携帯型パソコンや携帯電話を使い、ネットワークを通じて情報をやりとりすること。また、それに用いる機器」の意味(大辞林第三版 三省堂)として、コンピュータや電子応用機械器具・電気通信機械器具等を取り扱う業界においては、商品の用途、品質を表示するものとして使用されている実情がある。
そうとすれば、本願商標を構成する後半の「mobile」の文字部分は、これを「コンピュータや電子応用機械器具,電気通信機械器具」を含む、本願指定商品に使用しても、商品の用途、品質を表示するものと認識されるものであり、自他商品の識別標識としての機能を有しない又は極めて弱い部分というのが相当である。
そうすると、本願商標は、その構成中、前半の「just」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を有するといえ、該文字部分に相応して「ジャスト」の称呼をも生じ、「ちょうど」の観念を生じるものというべきである。
(2)引用商標
ア 引用商標1は、別掲2のとおり、「J」の欧文字を図案化したと思われる図形と「ジャスト」の片仮名からなるところ、図形部分と文字部分は、これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものということはできないから、「ジャスト」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を有するものといえ、該文字部分のみをもって取引に資する場合も決して少なくないと判断するのが相当である。
そうすると、引用商標1は、「ジャスト」の文字部分に相応して、「ジャスト」の称呼及び「ちょうど」の観念を生じるものである。
イ 引用商標2は、別掲3のとおり、「JUST.」の文字と、「SYSTEMS」の文字を二段に赤字で書してなるところ、上段の「JUST.」の文字部分は、下段の「SYSTEMS」の文字に比して太字で顕著に表されているものであるから、強く支配的な印象を与えるものである。そして、下段の「SYSTEMS」の文字部分は、「複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。」の意味(広辞苑第六版)で一般に広く知られている「システム(SYSTEM)」の複数形と認識されるものであり、電子応用機械器具及び電気通信機械器具等を含む引用商標2の指定商品との関係においては、自他商品の識別標識としての機能を有しない又は極めて弱い部分といえる。
そうとすれば、引用商標2は、「JUST.」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を有するものといえる。
そうすると、引用商標2は、「JUST.」の文字部分に相応して、「ジャスト」の称呼及び「ちょうど」の観念を生じるものである。
ウ 引用商標3は、前記2(3)のとおり、「JUST」の文字を標準文字で表してなるものであるから、「ジャスト」の称呼及び「ちょうど」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否判断について
ア 本願商標と引用商標1は、上記(1)及び(2)アのとおり、その全体の外観は相違するとしても、「ジャスト」の称呼及び「ちょうど」の観念を共通にするものである。
イ 本願商標と引用商標2及び3は、それらの外観はそれぞれ上記(1)及び(2)イ並びにウのとおりであるから、全体の外観は相違するものといえるが、本願商標の構成中、自他商品の識別標識としての機能を有すると認められる「just」の文字部分と、引用商標2及び3の構成中の「JUST」の文字部分は、大文字と小文字という相違はあるものの「just(JUST)」の綴りを同一にするものであって、一定程度の類似性を有するものといえるから、外観において相紛らわしいものである。
そして、本願商標と引用商標2及び3は、「ジャスト」の称呼及び「ちょうど」の観念を共通にするものである。
そうとすれば、本願商標と引用商標2及び3は、全体の外観は相違するとしても、それらの構成中の「just(JUST)」の文字において その綴りを同一にし、「ジャスト」の称呼及び「ちょうど」の観念を共通にするものである。
ウ してみれば、本願商標と引用商標は、商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、相紛れるおそれのある類似する商標と判断するのが相当である。 エ また、本願商標の指定商品は、引用商標1の指定商品である第9類「電子計算機用プログラム,電子計算機,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」、引用商標2の指定商品中、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」及び引用商標3の指定役務中、第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電子計算機・電子計算機用プログラムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、同一又は類似する商品である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)請求人の主張
ア 請求人は、本願商標は、まとまりよく一体的な印象を与える構成であり、構成全体をもって指定商品の出所を表示するものである。したがって、殊更「just」の文字部分のみが分離抽出され、そこから生じる称呼及び観念のみをもって、取引に資されることはない旨主張している。
しかしながら、本願商標は、上記(1)のとおり、その構成中、前半部分の「just」の文字が視覚上分離して看取されるものであり、また、後半部分の「mobile」の文字は、本願指定商品との関係においては、商品の識別標識としての機能を有しないか極めて弱いものであるから、本願商標は、「just」の文字部分のみを分離抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
イ また、請求人は、請求人の製品(バッテリーやスタイラスペンといったアップル製用品の周辺機器)と引用商標の権利者の製品(コンピューターソフトウェア)は、ターゲットとする顧客、販売ルート、製品用途などが全く相違しており、これまで本願商標と引用商標の間で混同が生じた事実がない旨主張している。
しかしながら、商標法第4条第1項第11号は、「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標...に類似する商標であつて,その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務...又はこれらに類似する商品若しくは役務...について使用をするもの」と規定するものであるから、現時点において商標が実際に使用されている商品又は役務を比較対象とするのではなく、本願商標と引用商標の指定商品又は指定役務を比較対象とするべきである。そして、例えば、本願の指定商品に含まれる「コンピュータ周辺機器及びその部品および附属品」は、引用商標1及び2の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」並びに引用商標3の指定役務中、第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電子計算機・電子計算機用プログラムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と同一又は類似するものであって、本願商標と引用商標が互いに類似するものである以上、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するというべきである。
ウ さらに、請求人は、本願商標と引用商標は、外観が全く異なり、その違いは一目瞭然である。今日の取引では、インターネットによる取引が主流になりつつあり、称呼よりむしろ外観が重要であり、需要者が商標の称呼だけによって、商標を識別することはほとんどないから、本願商標と引用商標は非類似である旨主張している。
しかしながら、上記主張を裏付ける証拠の提出はなく、称呼より外観が重要であって、本願の指定商品に接する需要者が、称呼だけによって商標を識別することはほとんどないとは認められない。
そして、商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役務に係る取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁)。
してみれば、本願商標と引用商標は、全体の外観が相違するとしても、それらの外観、称呼及び観念等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して判断すれば、上記(3)のとおり、類似の商標と判断するのが相当である。
したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
したがって、本願商標が同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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