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Trademark Appeal Case

薬剤商標の類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900273(T2014−900273/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5680599号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5680599号商標(以下「本件商標」という。)は、「GRASPIA」の欧文字と「グラスピア」の片仮名を二段に書してなり、平成25年12月17日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同26年4月10日に登録査定され、同年6月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。

(1)申立人が引用する商標

申立人が引用する国際登録第947759号商標(以下「引用商標」という。)は、「GRASPA」の欧文字を書してなり、2007年(平成19年)11月26日に国際商標登録出願、第5類「Pharmaceutical and veterinary preparations; chemical preparations for medical or pharmaceutical use.」のほか、第42類及び第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成22年7月2日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

(2)具体的な理由

ア 本件商標と引用商標の類否について

(ア)両商標の外観

本件商標のうち、欧文字部分は、7文字の「GRASPIA」であり、引用商標は6文字の「GRASPA」であるところ、本件商標は、引用商標と「I」の有無が異なるのみである。両商標は、この「I」の前に位置する語頭から5文字までの「GRASP」を共通にし、さらに、語尾の「A」も共通することから、両商標の外観は著しく類似する。

(イ)両商標の称呼

本件商標から生じる「グラスピア」の称呼と、引用商標から生じる「グラスパ」の称呼を比較すると、明瞭に聞こえる語頭の「グラス」が共通する。「グラスピア」も「グラスパ」も、一番強く称呼される音は「ラ」であり、その後の音は比較的弱く発音される上、「グラス」に続く「ピ」も「パ」も無声両唇破裂音「P」と母音の組み合わせであり、必ずしも明確に聴取されるとは言い難い。よって、両称呼は称呼上類似するといえる。

(ウ)両商標の観念

両商標ともに造語であり、特定の観念は生じない。

よって、観念については比較することができない。

(エ)指定商品「薬剤」について

平成20年12月4日付けで厚生労働省医政局長・厚生労働省医薬食品局長から、各都道府県知事・各保健所を設置する市の市長及び各特別区区長宛てに発せられた「医薬品の販売名の類似性等による医療事故防止対策の強化・徹底について」と題する書信に添付された「薬剤の名称の類似性等に注意を要する医薬品について」によれば、「薬剤の名称の類似性等が指摘されている取り違え等の報告があった医薬品」として、以下の医薬品名があげられている(甲第3号証)。

・アマリール、アルマール

・サクシン、サクシゾン

・タキソール、タキソテール 等

以上の報告例からわかるように、薬剤においては、商標自体の文字数が異なった場合であっても、語頭3文字が同一であれば取り違えるおそれは十分にあり、その結果、重大な事故につながる可能性が高い。「薬剤」という商品の特殊性ゆえにより一層、称呼の類似は慎重に判断すべきである。

本件商標と引用商標についても、上述のように、語頭3文字が同一であり、さらにそれに続く無声両唇破裂音「P」及び最後の母音「ア」が同一であるため、これらが聞き間違えられる可能性は高く、両者は類似と判断されるべきである。

(オ)小活

上記のように、両商標を外観・称呼・観念の点から比較した場合、観念については比較できないとしても、外観及び称呼において類似し、相紛れるおそれのある類似の商標であるといえる。

イ 結び

上記アのように、本件商標は、引用商標と類似のものであり、また、その指定商品も同一又は類似のものであるため、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断

(1)本件商標及び引用商標

本件商標は、上記1のとおり「GRASPIA」の欧文字と「グラスピア」の片仮名を二段に書してなり、その構成文字に相応して「グラスピア」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

他方、引用商標は、上記2(1)のとおり「GRASPA」の欧文字からなり、その構成文字に相応して「グラスパ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(2)本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標とを比較するに、称呼において、本件商標の「グラスピア」の称呼と引用商標の「グラスパ」の称呼は、語尾において「ピア」の音と「パ」の音の差異を有し、該差異音は、「ピ」と「パ」の音が力強く発音される音であって、その母音が異なるものであり、しかも、2音と1音という相違があることから、冗長といえない一連の称呼にあって、この差異が称呼全体に及ぼす影響は大きく、いずれも明瞭に聴別し得るものといえる。

次に、外観において、本件商標と引用商標とは、片仮名文字の有無のほか、欧文字部分も「I」の文字の有無が異なり、構成文字数が異なる等の点で相違するものであり、それぞれの構成文字が6から7文字と比較的簡潔な中にあっては、上述の称呼の相違とも相まって、相紛れるおそれがあるということはできないものである。

さらに、観念においては、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較しえないものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念を総合的に考察すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、たとえ、その指定商品が同一又は類似のものであったとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するということができない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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