Trademark Appeal Case
ハート型バウムクーヘンの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900252(T2013−900252/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5577013号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成24年1月20日に登録出願、第30類「バウムクーヘン」を指定商品として、同25年2月28日に登録審決され、同年4月26日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
1 商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきであると主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
2 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)中央の貫通穴がハート型のバウムクーヘンは普通に存在している事実がある(甲第2号証)。
(2)バウムクーヘンの穴の形状をハート型にすることは型抜き等を使って容易に製造することができる(甲第3号証)。
(3)全体がハート型のバウムクーヘン、貫通穴が星型や台形型のバウムクーヘン、貫通穴が中央以外にあるバウムクーヘンなど、種々の形状のものが製造されている(甲第4号証)。
(4)菓子を取り扱う業界において、ハート型の菓子は、ハート型ケーキ、ハート型クッキー、ハート型ビスケット、ハート型チョコレート、ハート型飴など、枚挙にいとまがないほど極めて一般的である(甲第5号証)。
(5)商標権者は、本件商標の登録出願に係る査定不服審判(不服2012−22484号)において、「輪切りにされたバウムクーヘンの中心部に形成されている貫通孔は全て真円形の貫通孔であり、本件商標のようにハート形状の貫通孔は存在しない」、また、「輪切りのバウムクーヘンの中心部の貫通孔をハート形状の貫通孔とすることは極めて困難であるとともに画期的なことである」と主張しているが、前記(1)及び(2)のとおりであって、失当である。
(6)以上のとおり、本件商標は、単に中央の貫通穴をハート型にしたバウムクーヘンの形状を斜視した図形であって、格別特異な形状とも認められず、その指定商品「バウムクーヘン」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、商品の形状として認識するにとどまるものであって、自他商品を区別する標識としての識別力を有しない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
第3 本件商標に対する取消理由
本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるとして、平成26年10月29日付けで通知した取消理由は、以下のとおりである。
1 本件商標
本件商標は、前記第1に記載したとおりである。
本件商標は、別掲のとおり、中心部にハート型の貫通穴を有する円筒体を斜め上方向から見た図形を表示したものと認識し得るものである。
2 申立人提出の甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)ハート型の貫通穴を有するバウムクーヘンや内側にハート型部分を形成したり外形がハート型のバウムクーヘンが販売されていること
ア 甲第2号証の1枚目は、「洋菓子専門CHEZ Tani(シェ・タニ)」のウェブページであり、「ラブ バーム/LOVE BAUM」の見出しの下、「ウェディングにおすすめ/ハート型のバームクーヘン...MISSウェディング2011年秋冬号(別冊家庭画報)の引き菓子特集で紹介されました!...販売期間 通年」との記載があり、バウムクーヘンの穴の形状がハート型の商品の写真が掲載されている。
イ 甲第2号証の2枚目左は、「ゼクシイnet」のウェブページであり、2010年(平成22年)12月2日に掲載されたと認められる「『シェ・タニ』オリジナル引菓子」の見出しの下、「真ん中がハート型にくりぬかれた『バウムクーヘン』...」との記載があり、バウムクーヘンの穴の形状がハート型の商品の写真が掲載されている。
ウ 甲第2号証の2枚目右は、「yama3.blog」のウェブページであり、2006年(平成18年)2月27日に掲載されたと認められる「おとぎの国メルヘン/ハート型バウムクーヘン(バレンタインデー仕様)」の見出しの下、「私のお気に入りのショップの1つである『おとぎの国メルヘン』さまのバウムクーヘンです。これはバレンタインデーのために特別に作られたバウムクーヘンです。」との記載があり、バウムクーヘンの穴の形状がハート型の商品の写真が掲載されている。
エ 甲第2号証の3枚目左は、「バウムクーヘン.com」のウェブページであり、「ラブバウムクーヘン」の見出しの下、「ハート型のかわいいバウムクーヘンです」との記載があり、バウムクーヘンの穴の形状がハート型の商品の写真が掲載されている。なお、職権調査によれば、この記事は、2011年(平成23年)12月2日に掲載されたものと認められる(http://baubaubaumkuchen.blog.fc2.com/blog-entry-3.html)。
オ 甲第2号証の3枚目右は、楽天市場における「お菓子のリーフ」のウェブページであり、「まあるいしあわせ/らんらんラブバウム」の見出しの下、バウムクーヘンの穴の形状がハート型の商品の写真が掲載されている。
カ 甲第2号証の4枚目右は、「徒然写真」のウェブページであり、2012年(平成24年)1月6日に掲載されたと認められる、バウムクーヘンの穴の形状がハート型の商品の写真が掲載されている。
キ 甲第4号証の1枚目左は、「おいしいスイーツお取り寄せナビ」のウェブページであり、2012年(平成24年)1月9日に掲載されたと認められる、「青春バウム」という、内側にハートの形をあしらったバウムクーヘンの写真が掲載されている。
ク 甲第4号証の1枚目右は、「ギフト/ベリーピュア」のウェブページであり、「引菓子」の見出しの下、「バウムの真ん中をハート型にくりぬいて、ストロベリー味のチョコレートで仕上げたラブリーバウムの引菓子です。」との記載があり、内側にハート型部分を形成したバウムクーヘンの写真が掲載されている。
ケ 甲第4号証の2枚目には、外形がハート型のバウムクーヘンの写真が掲載されている。
(2)前記(1)に示すバウムクーヘンのほか、ハート型の貫通穴を有する菓子や内側にハート型部分を形成したり外形がハート型の菓子が販売されていることが認められ、また、菓子を作るときに使用する抜き型には、ハート型のものがあることが認められる。
ア 甲第3号証の左は、楽天市場のウェブページであり、「焼き菓子、タルト、パイ造りに便利なステンレス製抜き型です。」の見出しの下、「パテ抜きハート型 11号」との記載があり、その商品の写真が掲載されている。
イ 甲第3号証の右は、amazonのウェブページであり、「貝印 ハート抜き型セット」との記載があり、その商品の写真が掲載されている。
ウ 甲第5号証の1枚目左には、穴の形状がハート型のドーナツの写真が掲載されている。
エ 甲第5号証の1枚目右ないし甲第5号証の3枚目には、ロールケーキ、パウンドケーキ及びクッキーの内側にハート型部分を形成した商品の写真が掲載されている。
オ 甲第5号証の4枚目ないし甲第5号証の6枚目には、クッキー、ケーキ、干菓子及び羊羹の外形がハート型の商品の写真が掲載されている。
3 商標法第3条第1項第3号について
(1)本件商標は、前記1のとおり、「バウムクーヘン」を指定商品とするものであって、その年輪のような模様及び色彩から、中心部にハート型の貫通穴を有するバウムクーヘンを斜視した図を表示したものであると容易に認識し得るものである。
そして、前記2(1)、(2)のとおり、バウムクーヘンの穴の形状がハート型の商品が本件商標の登録審決前から存在していたこと、菓子を作るときに使用する抜き型にはハート型のものがあること、バウムクーヘンを含むドーナツ、ケーキ、クッキーなどの菓子には、ハート型の貫通穴を有する商品やそれらの内側にハート型部分を形成したり外形がハート型の商品が多数存在することが認められ、バームクーヘンを含む菓子において、一部又は全体をハート型に成形することは容易に想定し得るものであって、格別特異な成形による形状ということはできない。
そうすると、本件商標は、その構成全体としても、これに接する取引者・需要者をして、単に「バウムクーヘン」の形状を表示したものと認識させるにすぎないものというべきである。
(2)してみれば、本件商標は、その登録審決時において、これをその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、その商品の形状を表示したものと認識させるにすぎないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、その登録審決時において、これをその指定商品について使用しても、商品の形状を普通に用いられる方法で表示したものと認識させるにすぎないものであって、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(3)以上のとおり、本件商標は、その指定商品についての登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものといわなければならない。
第4 商標権者の意見
商標権者は、前記第3の取消理由に対して、指定した期間内に意見を述べていない。
第5 当審の判断
前記第3のとおり、本件商標は、その登録審決時において、これをその指定商品について使用しても、商品の形状を普通に用いられる方法で表示したものと認識させるにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものというべきであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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