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Trademark Appeal Case

結合商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900058(T2014−900058/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5632516号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5632516号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、平成25年6月28日に登録出願され、第3類「せっけん類,シャンプー,歯磨き,化粧品,香料,薫料及び香水類,精油,芳香油,ボディーローション,ヘアーリンス,ヘアークリーム,ヘアーローション,ネイルエナメル,バスソルト,バスオイル,小片状の口臭消臭剤,靴クリーム」及び第5類「薬剤,獣医科用薬剤,サプリメント,栄養補助食品,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳児用食品」並びに第4類、第6類、第8類、第9類、第14類、第18類、第20類ないし第22類及び第24類ないし第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年10月8日に登録査定、同年11月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の5件であり(これらをまとめていうときは、以下「引用商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。

1 登録第97613号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(B)のとおりの構成からなり、大正7年5月16日に登録出願され、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年10月23日に設定登録され、その後、6回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成20年9月24日に指定商品を第3類「洗濯用漂白粉,じゃ香,ちょうじ油」及び第5類「モルヒネ,医療用キニーネ,吐根酒(催吐剤),チンキ剤,シロップ剤,煎剤,軟膏,もぐさ,硫黄(薬剤),医薬用硫黄華,薬油」とする指定商品の書換登録がされているものである。

2 登録第1021583号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(C)のとおりの構成からなり、昭和42年8月12日に登録出願され、第1類「薬剤」を指定商品として、同48年7月2日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成15年6月18日に指定商品を第1類「植物成長調整剤類」及び第5類「薬剤」とする指定商品の書換登録がされているものである。

3 登録第2713150号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(D)のとおりの構成からなり、昭和60年12月26日に登録出願され、第1類「薬剤」を指定商品として、平成8年4月30日に設定登録され、その後、同18年2月28日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年3月22日に指定商品を第1類「植物成長調整剤類」及び第5類「薬剤」とする指定商品の書換登録がされているものである。

4 登録第3138972号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(E)のとおりの構成からなり、平成4年9月3日に登録出願され、第5類「薬剤」を指定商品として、同8年4月30日に設定登録され、その後、同18年2月28日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

5 登録第3161642号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(F)のとおりの構成からなり、平成4年10月26日に登録出願され、第5類「油剤」を指定商品として、同8年5月31日に設定登録され、その後、同18年1月10日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、その指定商品中、第3類及び第5類に属する指定商品について、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当するから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、楕円形状の外枠の内側に、「4つ脚で左方向に向いている『虎の図形』」を図形中央に配し、その周りを略M字状の図形で囲い、略M字状の図形の周囲に「ALL SPORTING GOODS」、「EST」、「1947」、「MITSUWA TIGER」の文字を配した構成からなるところ、それぞれの図形及び文字が楕円形状の外枠の内にあるものの、各図形及び文字に統一感や観念的な共通性はなく、それぞれ分離して認識される構成となっている。特に、文字部分に関しては、「ALL SPORTING GOODS」は商品についての記述的な表示であり、「EST」及び「1947」は「established in 1947」、すなわち、本件商標権者が1947年に設立されたことを示すにすぎず、さらに、「MITSUWA TIGER」は本件商標権者の名称を表したものである。他方、「虎の図形」は、商品等との関係において特段識別力が弱いと判断すべき事情はなく、むしろ、中央に配されていることで、本件商標においては最も注目される部分となっている。

そうすると、本件商標の構成上、中央の「虎の図形」は、これに接する需要者及び取引者に対して強く印象付けられる部分であり、ほかの文字部分やM字状の図形、楕円形状の外枠と分離して印象されるものであって、その構成全体を一体の商標として把握することができるものではない。

したがって、中央の「虎の図形」が分離して認識される構成である本件商標は、申立人の周知・著名商標である「虎の図形」を想起させるものである。

それに対して、引用商標の1、2及び4については、「虎の図形」単独の商標からなるものであり、また、引用商標の3及び5については、ほかの図柄や文字と結合しているものの、「虎の図形」を中心とした構成からなるものであって、その全体構成のうち、中央の「虎の図形」が目立つ態様からなるため、ほかの図形や欧文字とは分離して感得される構成となっている。

そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、その構成全体において細部の差異はあるものの、それぞれの要部と考えられる「虎の図形」部分の外観及び観念が共通するため、本件商標からは、申立人の周知・著名商標を想起させるといえる。また、該共通点は、一般の取引者・需要者の通常有する注意力を基準に考えると、外観上、互いに紛れやすく、混同を生じさせるおそれがあるといえる。このように、本件商標の要部が引用商標の要部とその外観及び観念を共通にすることから、本件商標が引用商標と類似することは明らかである。

また、本件商標の指定商品中の第3類「香料」及び第5類「薬剤、獣医科用薬剤」が引用商標の指定商品と同一又は類似するものであることは明らかである。

なお、特許庁においては、動物の図形商標の類否について、細部に差異点が認められるとしても、該動物図形の基本的な構成が似ている場合は、外観において相紛らわしい類似の商標であると判断している例が多数ある(甲第4号証)。これらの特許庁における判断に鑑みても、本件商標が引用商標に類似するということは明白である。

以上のことから、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)申立人である「ハウ パー コーポレーション リミテッド」(以下「ハウ・パー社」という場合がある。)は、1969年にシンガポール国において設立された会社であるところ、同社が製造、販売する看板商品は、設立当初から「タイガーバーム」であった(甲第5号証)。

「タイガーバーム」は、現在、シンガポール国内のみならず、世界各国(100か国以上)で販売されており、「タイガーバーム」の公式ホームページも、米国、カナダ、イギリス、ドイツ、オランダ、タイ、香港といったように国際的に展開している(甲第7号証及び甲第8号証)。

また、我が国においては、株式会社龍角散を通じて市場を展開している(甲第9号証)。

(2)「タイガーバーム」の特徴・効能等は、株式会社龍角散の公式ホームページのみならず、インターネット上の「gooヘルスケア」でも紹介されていることから(甲第10号証)、「タイガーバーム」の品質は、我が国の需要者に広く知られていると考えられる。

また、株式会社龍角散は、製品の特徴・効能等の周知に努めるほかに、「タイガーバーム」の広告活動の一環としてメディアへの露出も行っている(甲第11号証ないし甲第18号証)。

上述の宣伝広告及び販売努力の結果、「タイガーバーム」の我が国における売上実績は、過去5年間に限ってみても、2008年が約26,000個(約9,600万円)、2009年が23,000個(約8,600万円)、2010年が23,000個(約8,700万円)、2011年が約23,000個(約8,700万円)、2012年が約12,000個(約4,100万円)、2013年が約26,000個(約9,600万円)に及ぶものであった(甲第19号証)。

(3)上記した取引の実情に鑑みれば、「タイガーバーム」は、本件商標の出願日の2013年6月28日及び登録日の同年11月22日以前より、株式会社龍角散のような大手企業によって日本国内の市場に置かれ、我が国の薬品産業界において、申立人の業務に係る商品を表示する周知・著名な商標として、既に広く取引者及び需要者に認知されるに至っているといえる。そして、「虎の図形」についてみると、該図形は、商品「タイガーバーム」を表す商標として常に使用されている(甲第5号証ないし甲第19号証)ことから、商品「タイガーバーム」に接する取引者及び需要者は、本件商標の出願日以前から、常に該図形に接していたことになる。

以上の事情を総合的に勘案すると、引用商標が、本件商標の出願日及び登録日以前より、申立人であるハウ・パー社の業務に係る商品(又は役務)を表す商標として、既に広く需要者の間に認識されるに至っているといえる。

(4)商品「タイガーバーム」の「虎の図形」及び引用商標と本件商標についてみると、上述したように、これらは、虎の図形を模している点において共通しており、細部に違いはあるももの、要部観察した場合には類似する商標であるといえる。

また、商品についてみると、本件商標の指定商品中の第3類に属する商品は、主としてドラッグストアでも販売していることが一般的であり、薬剤品と売場が隣接していることも珍しくないことからすると、該商品と薬剤品とに類似する虎の図形が描かれていた場合、これに接する需要者が誤って商品を購入することは十分に考えられる。

(5)以上によれば、本件商標の指定商品中、第5類「薬剤、獣医科用薬剤」はもとより、第3類に属する商品も、薬剤品である「タイガーバーム」と密接に関係する商品であり、本件商標が化粧品等の商品に付された場合、それがハウ・パー社の業務に係る商品であると需要者が誤認する可能性は大きいと考えられることに加え、本件商標と商品「タイガーバーム」の「虎の図形」及び引用商標とが同一又は類似であること、「タイガーバーム」が周知・著名であること並びに申立人による広告や引用商標のほかにも関連する商標について商標登録を受けている事実等の事情に鑑みれば、本件商標を付した商品が市場に流通すると、一般需要者は、著名である「タイガーバーム」を容易に連想し、その商品がハウ・パー社の製造、販売に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。

したがって、本件商標は、商品「タイガーバーム」の「虎の図形」及び引用商標との関係において、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は、前記第1のとおり、別掲(A)に示すとおりの構成からなるものである。

しかして、本件商標は、黒色細線で表された横長楕円輪郭の内部中央に、左方向に歩行している状態を描いた虎の絵図を内包する赤色細線で表された略「M」字状の輪郭を配し、さらに、該楕円輪郭と略「M」字状の輪郭との間隙の上下に「ALL SPORTING GOODS」及び「MITSUWA TIGER」の各文字(これらの文字は、該楕円輪郭に沿うように表されている。)を、同じく、左右に「EST」の文字及び「1947」の数字を、それぞれ配してなるものであるところ、このような構成態様からなる本件商標は、外観上、一体のものとして看取、把握されるべく、その外郭たる横長楕円輪郭内に上記文字等をバランスよく配置してなるものといえ、ここから、虎の絵図部分のみを分離、抽出し、該部分をもって取引に資されるとみるべき特段の事情があるとは認められない。

また、本件商標の構成中の「MITSUWA TIGER」の文字部分についてみるに、「MITSUWA」の文字と「TIGER」の文字とは、いずれも同じ書体及び大きさで表されており、両文字の間に間隙があるとしても、一連のものとして看取されるとみるのが相当であり、そのうちの「TIGER」の文字部分のみが看者に強く支配的な印象を与えるということもできない。

してみれば、本件商標は、その構成全体を一体的に看取、把握して取引に資されるものであり、これより、「トラ」又は「タイガー」のみの称呼及び「虎」又は「タイガー」のみの観念は生じないというのが相当である。

(2)本件商標と引用商標との類否

本件商標は、上記(1)のとおり、その構成全体を一体的に看取、把握して取引に資されるものであり、「トラ」又は「タイガー」のみの称呼及び「虎」又は「タイガー」のみの観念は生じないものである。

そうすると、引用商標が、別掲(B)ないし(F)のとおり、それぞれ虎の図形からなる又はその図形を構成中に有するものであって、該図形を要部として、「トラ」又は「タイガー」の称呼及び「虎」又は「タイガー」の観念を生ずるものであるとしても、本件商標と引用商標とが、称呼及び観念において相紛れるおそれはない。

また、本件商標の構成全体を引用商標と比較した場合、それぞれの構成態様に照らせば、外観上、両商標が相紛れるおそれがあるということはできない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

申立人は、引用商標が本件商標の登録出願日及び登録日以前から申立人の業務に係る商品を表す商標として、我が国の需要者の間で広く認識されている旨主張している。

そこで、申立人の提出に係る証拠方法についてみるに、甲第5号証ないし甲第8号証は、申立人のインターネットホームページ等の抜粋であり(甲第5号証、甲第7号証及び甲第8号証は、英文のみのものである。)、甲第9号証は、我が国において、製品「タイガーバーム」が株式会社龍角散により取り扱われていることを示すインターネット情報であるところ、引用商標3又は引用商標5が使用されていることは確認できるものの、これらによっては、引用商標が本件商標の登録出願前に我が国で広く知られていたと認めることはできず、その事情を推察することもできないものである。

また、甲第10号証ないし甲第18号証は、引用商標が使用された商品の宣伝広告がされたことを示す証拠であって、これらによれば、引用商標5を主とする引用商標が使用されたことは確認できるものであるが、この程度の宣伝広告の量をもってしては、引用商標5を主とする引用商標が、使用された結果、周知著名となっていたということはできないものである。

この点、甲第19号証には、「タイガーバーム」(甲第9号証及び甲第10号証によれば、同製品は「外用消炎鎮痛剤」又は「外用鎮痛消炎薬」とされている。)の我が国における2008年から2013年までの各年における販売数と売上額の実績が示されているが、その数量と金額をもってどのくらいの市場占有率に至るかも不明であることからすれば、外用消炎鎮痛剤(外用鎮痛消炎薬)に使用されている引用商標5を主とする引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標の指定商品中の第3類及び第5類に属する商品の取引者、需要者の間に周知著名となっていたと認めることはできないものである。

してみれば、申立人の提出に係る証拠方法によっては、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

その他、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたことを認めるに足る証拠はない。

そして、上記1のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。

かかる事情の下においては、本件商標をその指定商品中の第3類及び第5類に属する指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれもないものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、第3類及び第5類に属する指定商品について、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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