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Trademark Appeal Case

欧文字と片仮名の称呼・観念類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900165(T2014−900165/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5660902号商標の指定役務中「第42類 電子計算機用プログラムの提供」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5660902号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年8月23日に登録出願され、第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機システムの設計・開発・運用又は電子計算機システムの導入に関する助言,電子計算機端末による通信を用いた電子計算機・医療機器その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,インターネットサーバーの記憶領域の貸与」を指定役務として、同26年2月27日に登録査定、同年4月4日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は、別掲2(1)ないし(9)のとおりであり、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように主張し、証拠方法として甲第1号証及び甲第13号証(枝番を含む)を提出した。

本件商標は、引用商標1ないし9(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)と類似の商標であり、その指定役務は引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似するものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである。

4 取消理由通知

当審において、平成26年11月26日付けで、商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。

(1)本件商標

本件商標は、前記1のとおり、「Dolphin」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、「いるか(海豚)」の意味を有する英語として一般に広く知られているものであるから、本件商標からは、その構成文字に相応して「ドルフィン」の称呼と「いるか(海豚)」の観念を生じるものである。

(2)引用商標1

引用商標1は、別掲2(1)のとおり、「ドルフィン」の片仮名を横書きしてなるところ、該文字は、「いるか(海豚)」の意味を有する外来語として一般に広く知られているものであるから、引用商標1からは、その構成文字に相応して「ドルフィン」の称呼と「いるか(海豚)」の観念を生じるものである。

(3)本件商標と引用商標1との類否

本件商標と引用商標1は、外観において区別し得る差異を有するものの、称呼及び観念において、共に「ドルフィン」の称呼及び「いるか(海豚)」の観念を生じるものである。

してみれば、本件商標と引用商標1とは、称呼及び観念を共通にする類似の商標といえるものである。

(4)本件商標の指定役務と引用商標1の指定商品との類否

本件商標の指定役務中には、「電子計算機用プログラムの提供」を含むものである。

一方、引用商標1の指定商品中には、「電子応用機械器具及びその部品」を含むものであって、かつ、該商品には「電子計算機用プログラム」が含まれているものである。

そして、「電子計算機用プログラム」は、記録媒体に記録された電子計算機用プログラムとして店頭にて、あるいはダウンロードにより流通されているのみならず、インターネット等の通信回線を通じ電子計算機用プログラムを使用させる役務(電子計算機用プログラムの提供)として提供されている。

そうとすると、「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」とは、役務の提供と商品の製造・販売とが同一事業者によって行われているのが一般的であり、用途及び需要者の範囲等が一致するものとみるのが相当であって、密接な関係にある役務と商品というべきであるから、該役務及び商品に同一又は類似の商標を使用したときには、これに接する取引者・需要者に役務又は商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがあるものである。

してみれば、本件商標の指定役務中の「電子計算機用プログラムの提供」は、引用商標1の指定商品中の「電子計算機用プログラム」と類似する役務である。

(5)まとめ

本件商標と引用商標1とは、前記(3)のとおり、相紛れるおそれのある類似の商標であり、また、前記(4)のとおり、本件商標の指定役務中「電子計算機用プログラムの提供」は、引用商標1の指定商品中「電子計算機用プログラム」と類似する役務である。

したがって、本件商標の登録は、その指定役務中、第42類「電子計算機用プログラムの提供」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。

5 商標権者の意見(要旨)

(1)電子計算機用プログラムといっても、その内容は極めて多岐にわたり、多種のものに分類できるため、第42類に属する「電子計算機用プログラムの提供」と第9類に属する「電子計算機用プログラム」におけるプログラムを単にプログラムとして一つの括りにすることはできない。その結果、「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」とは、その用途・利用分野・販売形態・営業主(販売主・提供主)・顧客がそれぞれ全く異なるものであるから、このような状況下にあるものを、一概に「同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認されるおそれがある」と認定できないことは明らかであり、営業主(販売主・提供主)が同一ではなく、その用途及び需要者の範囲が一致しない場合は、両者は非類似の商品・役務である。

(2)申立人は、引用商標1の権利者や本件異議申立の利害関係人ではない。そして、商標権者が調査・精査したところによると、精密化学製品の製造販売を主たる業務とする引用商標1の権利者は、引用商標1を付した「電子計算機用プログラム」の製造・販売を行っていない。

他方、商標権者は、特に医療業界では周知著名な電子カルテシステムの開発者で、この側面における電子計算機用プログラムを提供する事業者である。すなわち、商標権者に係るサービス・役務は、電子カルテデータがクラウド上(データセンター)で保管・管理されているので、例えば、医院の外からも電子カルテデータにアクセス可能であるとともに、医院内での電子カルテデータの管理は不要で、災害時等であっても電子カルテデータがクラウド上(データセンター)で保管・管理されて保護されているものである。本件商標「Dolphin」は、当該サービス・役務に付され使用されている商標権者の周知著名な商標「OpenDolphin」の略称として、医療関係従事者に特化した各ユーザーに長年親しまれ、使用されてきている。商標「OpenDolphin」といえば、その略称である本件商標「Dolphin」を指し、そのサービス・役務の内容が優れたシステムの提供であることから、長年多数の医療従事者関係に特化して各ユーザーに用いられているものである。

したがって、このような場合における「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」とは、何ら密接な関係にある役務と商品ではなく、それぞれ異なる事業者のものであることはもちろん、その用途及び需要者の範囲等は相違するものであることから、役務の提供者と商品の製造・販売者との共通性及び用途、需要者の範囲等の共通性はないものであり、取引の実情からみて、この場合における引用商標1の指定商品と本件商標の指定役務とは全く非類似の商品・役務であることは明らかであり、取引者・需要者に役務又は商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれはない。

6 当審の判断

(1)「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」との役務及び商品の類否について

ア 商標権者は、「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」とは、非類似の商品・役務である旨主張している。

しかしながら、「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」とは、前記4で示したとおり、役務の提供と商品の製造・販売とが同一事業者によって行われているのが一般的であり、用途及び需要者の範囲等が一致するものとみるのが相当であって、密接な関係にある役務と商品というべきであるから、該役務及び商品に同一又は類似の商標を使用したときには、これに接する取引者・需要者に役務又は商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがあるものである。よって、「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」とは類似する商品・役務であり、商標権者の上記主張は失当である。

イ 次に、商標権者は、引用商標1の権利者が引用商標1を付した「電子計算機用プログラム」の製造・販売を行っていないのに対し、商標権者は、医療業界では周知著名な電子カルテシステムに係る電子計算機用プログラムを提供する事業者であって、本件商標は該電子計算機用プログラムに係る役務に使用されている商標「OpenDolphin」の略称であるから、このような場合における取引の実情からみれば、本件商標の指定役務中の「電子計算機用プログラムの提供」と引用商標1の指定商品中の「電子計算機用プログラム」とは、何ら密接な関係にある役務と商品ではなく、非類似の商品・役務である旨主張している。

しかしながら、引用商標1が本件商標の登録査定時に使用されていなかったとしても、先願登録主義を採用している我が国の法制度において、商標の現実の使用が本件異議申立の争点となる商標法第4条第1項第11号の適用のための要件ではないことは明らかである。また、本件商標の指定役務中の「電子計算機用プログラムの提供」は、医療分野のみならず、あらゆる分野の電子計算機用プログラムの提供を広く指定するものであるから、引用商標1が本件商標の指定役務中の医療分野以外の「電子計算機用プログラムの提供」と類似の「電子計算機用プログラム」について使用されることもあり得るものである。よって、引用商標1の使用状況や本件商標の採択理由等が上記主張のとおりであるとしても、本件商標の指定役務中の「電子計算機用プログラムの提供」と引用商標1の指定商品中の「電子計算機用プログラム」とは類似の商品・役務である。

(2)本件商標と引用商標1との類否について

本件商標と引用商標1とは、称呼及び観念を共通にする類似の商標であること前記4のとおりである。

したがって、本件商標と引用商標1とをそれぞれ指定商品・役務中の「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」に使用した場合、両者は、商品・役務の出所の混同を生じるおそれのある類似の商標というべきであるから、本件商標の登録は、その指定役務中、第42類「電子計算機用プログラムの提供」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。

(3)本件商標と引用商標2及び3との類否について

引用商標2及び3は、別掲2(2)及び(3)のとおりの構成からなるところ、それらの指定商品は、「電子応用機械器具及びその部品」を含むものであって、かつ、該商品には、本件商標の指定役務中「電子計算機用プログラムの提供」と類似する「電子計算機用プログラム」が含まれているものである。

そして、本件商標は、その指定役務中「電子計算機用プログラムの提供」について、前記(2)のとおり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

また、本件商標は、その指定役務中「電子計算機用プログラムの提供」以外の指定役務については、引用商標2及び3の指定商品と類似するものではないから、本件商標を該指定役務に使用した場合、引用商標2及び3とは商品・役務の出所の混同を生じるおそれのない非類似の商標である。

(4)本件商標と引用商標4ないし9との類否について

ア 本件商標は、前記4(1)のとおり、「ドルフィン」の称呼と「いるか(海豚)」の観念が生じるものである。

イ 引用商標4は、「News Dolphin」の欧文字を標準文字で表してなるところ、各構成文字は、同じ大きさ、同じ書体でまとまりよく一体的に表されており、構成全体から生じる「ニュースドルフィン」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。そして、その構成中、前半の「News」の欧文字が「ニュース(新しい出来事。報道。)」の意味を有する英語として、同じく後半の「Dolphin」の文字が「いるか(海豚)」の意味を有する英語として容易に理解されるものであって、いずれの語も我が国において親しまれて使用されている平易な言葉であるとしても、全体として特定の観念を生じるとまではいえないものである。そして、「News」と「Dolphin」の両文字間に特に軽重の差があるものとはいえず、また、引用商標4のかかる構成においては、構成中の「Dolphin」の文字部分が強く印象づけられるともいい難いものであり、該文字部分のみをもって取引に資されるとみるべき特段の事情を見いだすことができない。

引用商標5は、別掲2(5)のとおり、「WebDolphin」の欧文字と「ウェブドルフィン」の片仮名を上下2段で書してなるところ、各構成文字は、同じ大きさ、同じ書体、等間隔にまとまりよく一体的に表されており、構成全体から生じる「ウェブドルフィン」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。そして、その構成中、前半の「Web」及び「ウェブ」の文字が「インターネットで用いられる情報検索システム」の意味を有する語として、同じく後半の「Dolphin」及び「ドルフィン」の文字が「いるか(海豚)」の意味を有する英語として容易に理解されるものであって、いずれの語も我が国において親しまれて使用されている平易な言葉であるとしても、全体として特定の観念を生じるとまではいえないものである。そして、「Web」と「Dolphin」又は「ウェブ」と「ドルフィン」の両文字間に特に軽重の差があるものとはいえず、また、引用商標5のかかる構成においては、構成中の「Dolphin」又は「ドルフィン」の文字部分が強く印象づけられるともいい難いものであり、該文字部分のみをもって取引に資されるとみるべき特段の事情を見いだすことができない。

引用商標6は、別掲2(6)のとおり、「BiqDolphin」の欧文字を横書きしてなるところ、各構成文字は、同じ大きさ、同じ書体、等間隔に、まとまりよく一体的に表されており、構成全体から生じる「ビックドルフィン」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。そして、その構成中、前半の「Biq」の欧文字は英語辞書等に載録のない一種の造語であり、引用商標6のかかる構成においては、構成中の「Dolphin」の文字部分が強く印象づけられるとはいい難く、該文字部分のみをもって取引に資されるとみるべき特段の事情を見いだすことができない。

引用商標7は、「BIG DATA Dolphin」の欧文字を標準文字で表してなるところ、各構成文字は、同じ大きさ、同じ書体で、まとまりよく一体的に表されており、構成全体から生じる「ビッグデータドルフィン」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。そして、その構成中、「BIG」の欧文字が「大きい」、「DATA」の欧文字が「情報」、「Dolphin」の欧文字が「いるか(海豚)」の意味を有する英語として容易に理解されるものであって、また、いずれの語も我が国において親しまれて使用されている平易な言葉であるとしても、全体として特定の観念を生じるとまではいえないものである。そして、「BIG」、「DATA」、「Dolphin」の各文字間に特に軽重の差があるものとはいえず、また、引用商標7のかかる構成においては、構成中の「Dolphin」の文字部分が強く印象づけられるともいい難いものであり、該文字部分のみをもって取引に資されるとみるべき特段の事情を見いだすことができない。

引用商標8は、別掲2(8)のとおり、「D」の欧文字を枠と見立てて、その枠内をいるかがくぐっている図形を大きく表し、その右に「olphin Through」の欧文字を小さく表してなるところ、「Dolphin」の欧文字が「いるか(海豚)」の意味を有する語として親しまれていることと相まって、引用商標8からは「Dolphin Through」の欧文字が認識され得るものであり、該欧文字部分の構成全体から生じる「ドルフィンスルー」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。そして、その構成中、前半の「Dolphin」の文字が「いるか(海豚)」の意味を有する英語として、同じく後半の「Through」の文字が「通る、通す」の意味を有する英語として容易に理解されるものであって、いずれの語も我が国において親しまれて使用されている平易な言葉であるとしても、全体として特定の観念を生じるとまではいえないものである。そして、「Dolphin」と「Through」の両文字間に特に軽重の差があるものとはいえず、また、引用商標8のかかる構成においては、構成中の「Dolphin」の文字部分が強く印象づけられるともいい難いものであり、該文字部分のみをもって取引に資されるとみるべき特段の事情を見いだすことができない。

引用商標9は、別掲2(9)のとおり、「ドルフィンKOTO」の文字を横書きしてなるところ、各構成文字は、同じ大きさ、近似した書体で、一部を重ねて密接に、まとまりよく一体的に表されており、構成全体から生じる「ドルフィンコト」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。そして、構成中、後半の「KOTO」の欧文字は英語辞書等に載録のない一種の造語であり、引用商標9のかかる構成においては、構成中の「ドルフィン」の文字部分が強く印象づけられるとはいい難く、該文字部分のみをもって取引に資されるとみるべき特段の事情を見いだすことができない。

以上よりすれば、引用商標4ないし9は、いずれもその構成中の「Dolphin」又は「ドルフィン」の文字部分だけを分離、抽出し、本件商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されないものというべきであって、その構成文字全体に相応して、それぞれ「ニュースドルフィン」、「ウェブドルフィン」、「ビックドルフィン」、「ビッグデータドルフィン」、「ドルフィンスルー」、「ドルフィンコト」の一連の称呼のみを生じ、いずれも特定の観念を生じないものである。

ウ そこで、本件商標と引用商標4ないし9の類否についてみるに、前記1及び2のとおり、本件商標と引用商標4ないし9の外観は、それぞれの構成態様に照らし、明らかな差異を有するものであるから、外観上、明確に区別できるものである。

また、前記ア及びイのとおり、本件商標から生じる称呼は、引用商標4ないし9から生じる称呼と音の構成及び音数が明らかに相違するものであるから、称呼上、相紛れるおそれがないものである。

そして、前記ア及びイのとおり、本件商標は「いるか(海豚)」の観念が生じるものであるのに対し、引用商標4ないし9は特定の観念が生じないものであるから、本件商標と観念上類似するとはいえないものである。

そうとすれば、本件商標と引用商標4ないし9とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても非類似の商標である。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、その指定役務中、第42類「電子計算機用プログラムの提供」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。

しかしながら、本件登録異議の申し立てに係る引用商標4ないし9の指定商品又は指定役務と抵触する本件商標の指定役務中「電子計算機用プログラムの提供」以外の役務については、取り消すべき理由はないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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