Trademark Appeal Case
立体商標(容器)の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第6849号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、商標の構成を別掲に示すものとし、第33類「日本酒、洋酒、果実酒、中国酒、薬味酒」を指定商品として、平成9年4月1日に立体商標として登録出願、その後、指定商品については同11年7月15日差出の手続補正書により「焼酎」と補正されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係よりすれば、その商品の形状(収納容器)の一形態であることを容易に認識させる立体的形状をもって表してなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の包装(収納容器)の形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定して本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
また、意匠法等により保護されている形状等について重ねて又はその権利消滅後商標登録することにより保護することは知的財産制度全体の整合性に不合理な結果を生ずることとなる。
(3)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲に示すとおり、十一角形の容器本体からなり、液体等を収納する容器の形状としての一形態を表したものとみるべきであって、これを指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品「焼酎」の収納容器と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
請求人は、本願商標は極めて独創性を有する形状であって、単に収納容器の一形状を表したものではない旨主張する。
しかしながら、本願指定商品を取り扱う業界においては、商品が液体であることより、その収納容器として特徴をもたせた多種の形状を採択し、販売していることが一般に行われているところであって、この特徴は、商品等の機能(使い易さ等)や美感(見た目の美しさ)を効果的に際立たせるための範囲のものというべきである。
しかして、本願商標は、前記認定のとおり、ややその形状が特徴的なものであっても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであり、商品等の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、本願商標は、その形状に特徴をもたせたことをもって自他商品の識別力を有するものとは認められないことは(1)で述べたとおりである。
したがって、前記特異性をもって、指定商品の収納容器の一形態を表示するものであるとの認定及び本願商標に対する取引者、需要者の認識に係る原審の判断を覆すには足りないというべきである。
(4)また、請求人は、本願商標が使用により自他商品識別力を獲得するとともに、これに係る形状が意匠登録により保護されていたことから、商標法第3条第2項の規定により登録されるべきである旨主張し、甲第1号証乃至同第7号証を提出している。
ところで、商品等の形状に係る立体商標が、商標法第3条第2項に該当するものとして登録を認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られるものである。
したがって、出願に係る商標が立体的形状のみからなるものであるのに対し、使用に係る商標が立体的形状と文字、図形等の平面標章より構成されている場合には、両商標の全体的構成は同一でないことから、出願に係る商標については、原則として使用により識別力を有するに至った商標と認めることができない。
そこで検討するに、まず、請求人の提出に係る甲第1号証、同第3号証乃至同第6号証(テレビ放映画面及び新聞広告)をみると、焼酎「SUN」を昭和58年から平成3年12月までにテレビスポットにより放映され、1990(平成2)年9月1日、同9月8日、同9月22日及び1992(平成4)年10月14日付新聞に広告が掲載され、本願商標に係る「焼酎」の包装容器の形状が明示されていることは認められるとしても、該テレビ放映画面には青色の「SUN」の文字、赤色の「焼酎」の文字及び赤色の四角形内に白抜きの「燦」の文字等よりなる商標が表されてなることが認められる。
そして、甲第1号証中のラジオスポットは、本願商標を示すことができないものと認められ、同第2号証については、本願商標の形状が表されていないものと認められる。
以上のことよりすれば、甲第1号証及び同第2号証における商品「焼酎」を昭和58年から平成4年までに継続的に広告宣伝し、本願商標に係る包装容器の立体的形状が明示されていることは認められるとしても、テレビ放送及び新聞における宣伝広告中に表された立体的形状は、「焼酎」の包装容器の形状そのものを表したものであって、当該「焼酎」は、「SUN」及び「燦」等の文字からなる商標によって、それぞれ商品の出所が識別されているものとみるのが商取引の実際に照らして自然というべきであり、包装容器そのものに「SUN」の文字、或いは「燦」の文字を表してなるものは、立体的形状と文字の平面商標より構成されており、本願商標と使用に係る商標が同一のものとはいえず、また、これらの文字部分より立体的形状部分が識別標識として需要者に強い印象、記憶を与えているとも認め得ず、さらに、請求人の主張を証する公的機関や同業組合等による客観的な証明等もないから、これら甲各号証によって本願商標それ自体が自他商品の識別標識として認識されたとするには十分とはいえないものである。
また、意匠法における保護は、同法の目的に基づいて、保護の対象、要件、権利の範囲、効力等が定められているものであって、これらに従った登録意匠の実施と商標の使用とは明らかに異なるものであるから、意匠登録による独占を理由として自他商品の識別力を有するに至ったとは認めることはできないばかりでなく、却って、意匠権消滅後は何人も実施が予定されているものであるから、請求人の主張は採用できない。
したがって、本願商標が使用により識別力を有するに至っているものと認定することはできないというべきである。
4 結 論
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、同法第3条第2項の要件を具備するものとも認められないから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。