Trademark Appeal Case
商標の称呼・外観類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−18993(T2014−18993/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「GOLCIMA」の欧文字を標準文字で表してなり、第5類「人間用薬剤」を指定商品として、平成25年7月11日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5091004号商標(以下「引用商標」という。)は、「CORSIMA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年3月23日登録出願、第5類「桑黄きのこ抽出物及び冬虫夏草抽出物を主原料とする薬剤,その他の薬剤」、第29類「桑黄きのこ抽出物及び冬虫夏草抽出物を主原料とする粉末状・顆粒状・錠剤状・カプセル状・液体状の加工食品」及び第32類「桑黄きのこ抽出物及び冬虫夏草抽出物を主原料とする清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、同年11月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、前記1のとおり、「GOLCIMA」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ゴルシマ」の称呼が生ずるものである。また、該文字は、辞書等に掲載の見受けられない一種の造語と認められるものであり、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、前記2のとおり、「CORSIMA」の欧文字を標準文字で表してなるところ、語頭の「COR」の文字部分については、我が国でよく知られている単語である、例えば「
cor
d」、「
cor
ner」及び「
cor
n」の各語が、それぞれ、「
コー
ド」、「
コー
ナー」及び「
コー
ン」と発音され、また、「
cor
set」、「
cor
k」及び「
Cor
sica」の各語が、「
コル
セット」、「
コル
ク」及び「
コル
シカ」と、それぞれ発音されていることを踏まえると、語頭の「COR」の文字部分は、「コー」又は「コル」と発音されるとみるのが自然といえる。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「コーシマ」及び「コルシマ」の称呼を生ずるとみるのが相当である。そして、「CORSIMA」の欧文字は、辞書等に掲載の見受けられない一種の造語と認められるものであり、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
ア 外観について
本願商標と引用商標(以下併せて「両商標」という。)は、いずれも前記1及び2のとおり、欧文字の7文字を横書きした標準文字で表してなるところ、それぞれの構成中の2文字目の「O」及び語末3文字の「IMA」の文字つづりを共通にするものである。一方、両商標の外観上の差異は、語頭の「G」と「C」並びに3文字目及び4文字目の「LC」と「RS」にあるところ、前記「G」と「C」の各文字は、「C」の文字の開口部の下顎の上端に小さな鈎状のものの有無の差のみでその外観が近似しているものであり、かつ、2文字目に「O」が続くことも共通していることから、語頭から2文字の「GO」と「CO」は外観上近似した印象を与えるものである。また、両商標のそれぞれの3文字目及び4文字目に配された「LC」と「RS」の文字部分は、7文字で構成される両商標の構成にあって、看者にとって印象が弱い中間部に位置するものであり、その他の共通する部分に比して、このような差異が全体に及ぼす影響は少ないものとみるのが相当である。
そうすると、両商標は、その構成文字中の3文字に差異を有するものの、共に欧文字の大文字7文字という構成からなり、語頭からの2文字「GO」と「CO」は、外観上近似した印象を与え、また、語末の3文字「IMA」も文字つづりを同じくするものであり、かつ、両商標全体もそれぞれ同書、同大、等間隔で横書きされた標準文字で表されていることも併せて観察した場合、全体としても外観上近似した印象を与える商標というのが相当である。
イ 称呼について
前記(1)及び(2)のとおり、本願商標からは「ゴルシマ」の、引用商標からは「コルシマ」及び「コーシマ」の称呼を生ずるところ、本願商標から生ずる「ゴルシマ」の称呼と引用商標から生ずる「コルシマ」の称呼とを比較するに、両称呼は、共に4音からなり、その構成音中第2音ないし第4音の「ルシマ」の音を共通にするものである。一方、第1音において「ゴ」と「コ」の差異を有するものであるが、該差異音は、共に母音「o」を共通にする軟口蓋を調音点とした破裂音であり、かつ、濁音と清音の近似した音質であることから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が近似し、称呼上相紛れるおそれがある商標とみるのが相当である。
次に、本願商標から生ずる「ゴルシマ」の称呼と引用商標から生ずる「コーシマ」の称呼とを比較するに、両称呼は、長音を含めて共に4音からなり、その構成中後半の「シマ」の2音を共通にするものであるが、称呼の識別上重要な部分である語頭を含む前半において、「ゴル」と「コー」の音の差異を有し、また、両商標の4音という比較的短い音構成において、その差異が長音を含めて2音であることからすると、その違いの称呼全体に及ぼす影響は大きく、これらをそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が異なり明瞭に聴別し得るものである。
ウ 観念について
前記(1)及び(2)のとおり、両商標は、いずれも特定の観念を生じることのないものであるから、観念上、相紛れるものではない。
エ 類似判断
前記のとおり、両商標は、観念において相紛れるものではないものの、外観上近似し、「ゴルシマ」と「コルシマ」の称呼において類似するものであるから、これらを総合勘案すれば、相紛れるおそれのある互いに類似の商標というべきである。
(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願商標及び引用商標の指定商品は、前記1及び2のとおりであるところ、本願商標の指定商品「人間用薬剤」は、引用商標の指定商品中「その他の薬剤」に包含されるものである。
(5)小括
以上からすれば、本願商標は、引用商標に類似する商標であり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
4 請求人の主張について
(1)請求人は、引用商標から自然に生じる称呼は「コーシマ」もしくは「コオシマ」であって、欧文字で書された商標に接した場合、我が国の取引者、需要者はまず第一に、日本において最も慣れ親しまれた外国語である英語風に読み下すのが通常で有り、「R」を「ル」と読み下すのは英語以外の言語に由来する固有名詞であるなど例外的なものであるから、引用商標から「コルシマ」の称呼が生じるとの理由はない旨主張する。
しかしながら、前記3(2)のとおり、「COR」から始まる単語が「コル」とも発音され、また、欧文字からなる単語の構成中、後ろに母音を伴わない「R」の文字を含む場合において、我が国で親しまれた外来語の中にも、「ca
r
damon」(カ
ル
ダモン)、「o
r
gel」(オ
ル
ゴール)、「so
r
bet」(ソ
ル
ベ)、「fo
r
malin」(フォ
ル
マリン)、「fo
r
te」(フォ
ル
テ)及び「Ka
r
te」(カルテ)など英語風の読みと異なる発音で親しまれている語も多く、また、本願商標と引用商標の抵触する指定商品を含む「薬剤」を取り扱う分野においても、別掲のとおり、後ろに母音を伴わない「R」の文字を「ル」と発音し、我が国の医薬品の一般名称として認定されている事例(厚生労働省医薬食品局審査管理課より通知されている我が国において医薬品の一般名称として定められた品目の名称(Japanese Accepted Name, JAN))が多数あることからすれば、後ろに母音を伴わない「R」の文字を「ル」と発音することも自然に生じる称呼といえる。
そうとすれば、引用商標からは、請求人の主張のように、英語風の読み「コーシマ」の称呼を生ずる場合があるとしても、前記のとおり、我が国で親しまれた外来語及び本願商標の指定商品の属する分野である「薬剤」において発音されている例にならえば、その構成文字に相応して、「コルシマ」の称呼をも自然に生じるものとみるのが相当である。
(2)請求人は、両商標のそれぞれの構成文字が、最も注目を引く1文字目が相違し、また、3文字目及び4文字目も相違することから、両商標は、外観において明らかに非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、本願商標と引用商標とは、外観上近似している印象を看者に与える商標とみるのが相当であることは、前記3(3)アに記載のとおりである。
(3)請求人は、本願商標の指定商品は、「人間用薬剤」であるところ、薬剤は、薬剤の病院及び薬局への紹介、発注、または医師による処方は、書面によってなされるものであり、実際の取引において本願商標が口頭で使用され、識別されることはないことから、両商標から生ずる称呼がたとえ共通する点があったとしても、本願商標と引用商標とが混同を生ずることはない旨主張する。
しかしながら、本願商標の指定商品である「人間用薬剤」には、医師の処方箋により取引されるものに限られず、需要者である患者が薬局の店頭において、医師の処方箋によらず購入が可能である薬剤も多く含まれていることからすれば、処方箋等の書面によらず口頭で商品の名称(薬剤)を称呼し、取引されることも普通に行われているというべきであり、本願の指定商品の分野の取引において、称呼による取引は行われていないとするような事情は見当たらない。したがって、薬剤の分野に関する商標の類否判断においても称呼の役割は軽視できないものである。
(4)請求人は、称呼の類否判断についての過去の登録例及び審決例等を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人が挙げる登録例等は、本願商標とは商標の構成態様等において相違するもので、事案を異にするものである。
(5)したがって、前記(1)ないし(4)の請求人の主張は、採用することができない。
5 結語
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであって、登録することできない。
したがって、本願商標が同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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