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Trademark Appeal Case

商標の類否と先願・混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900320(T2014−900320/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5698660号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5698660号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成26年5月14日に登録出願,同年8月14日に登録査定,第43類「飲食物の提供」を指定役務として,同月29日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は,以下の2件であり,いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第5353761号(以下「引用商標1」という。)は,「炭火串焼 鶏ジロー」の文字を標準文字で表してなり,平成22年4月7日に登録出願,第43類「串焼きを主とする飲食物の提供」を指定役務として,同年9月17日に設定登録されたものである。

(2)登録第5353762号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成22年4月7日に登録出願,第43類「串焼きを主とする飲食物の提供」を指定役務として,同年9月17日に設定登録されたものである。

2 申立人が,本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同15号に該当するとして引用する商標(以下「『鳥貴族』の標章」という。)は,別掲3のとおりの構成からなり,「焼鳥を主とする飲食物の提供」に使用するものである。

3 申立人が,本件商標が商標法第8第1項に該当するとして引用する商願2014−36646(登録第5718973号商標)(以下「引用商標3」という。)は,別掲4のとおりの構成からなり,平成26年5月9日に登録出願,第29類「串焼きした鳥肉・豚肉・牛肉・魚肉・えび・かに・貝,蒸し焼きした鳥肉・豚肉・牛肉・魚肉・えび・かに・貝,から揚げにした鳥肉・豚肉・牛肉・魚肉・えび・かに・貝,鳥肉・豚肉・牛肉・魚肉・えび・かに・貝を使用したハンバーグ,コロッケ,干し肉,鳥肉製品,肉製品,魚の切り身,魚の加工品,加工水産物,鳥肉,豚肉,牛肉,家禽の食肉,食肉,卵,食用油脂,乳製品,食用魚介類(生きているものを除く。),野菜サラダ,フルーツサラダ,フライドポテト,冷凍野菜,冷凍果実,塩漬けにした野菜,ピクルス,キムチ,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,スープ,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」,第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,氷,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,うま味調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」,第33類「日本酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」,第35類「鳥料理店・焼肉店・レストラン・ファーストフード店・喫茶店のフランチャイズ・チェーンストアの運営・管理に関するコンサルティング又は助言,鳥料理店・焼肉店・レストラン・ファーストフード店・喫茶店のフランチャイズ・チェーンストアに関する市場調査又は分析,経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理及び組織に関するコンサルティング,商業に関する情報の提供,事業の管理,レストラン事業の管理,マーケティング,事業の調査・評価,市場調査又は分析,販売促進のための企画及び実行の代理,他人の事業のために行う物品の調達及びサービスの手配,商品の販売に関する情報の提供,ホテル事業の管理,調理師のあっせん,配膳人のあっせん,職業のあっせん,コンピュータネットワークにおけるオンライン広告,販売を目的とした各種通信媒体による商品の紹介,広告業,クーポン券及び割引などの特典付カードの発行,コンピュータデータベースへの情報編集,建築物における来訪者の受付及び案内,求人情報の提供,新聞記事情報の提供,串焼きにした鳥肉・豚肉・牛肉・魚肉・えび・かに・貝の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,蒸し焼きした鳥肉・豚肉・牛肉・魚肉・えび・かに・貝の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,から揚げにした鳥肉・豚肉・牛肉・魚肉・えび・かに・貝の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「鳥料理・サラダ・丼もの・麺類・デザートを主とする飲食物の提供,串焼きした鳥肉・豚肉・牛肉・魚肉・えび・かに・貝を主とする飲食物の提供,ケータリング,レストラン・ファーストフード店・喫茶店における飲食物の提供,飲食物の提供,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,ホテルその他の宿泊施設のあっせん,展示施設の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,食器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,テーブル用リネンの貸与,椅子・テーブルの貸与,敷物の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与」を指定商品及び指定役務として,同年11月14日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第10号,同第11号,同第15号及び同法第8条第1項に違反して登録されたものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第10号について

(1)他人の業務に係る役務を表示する商標について

申立人は,1986年9月19日に設立され,資本金550,356,000円,従業員数4200人(パート・アルバイト含む)の会社である(甲4)。

そして,280円均一という新しい居酒屋の形態で,低価格・高価値をコンセプトとして,「鳥貴族」標章を店舗看板等に使用して焼き鳥の提供を主とする飲食業を展開している(甲5,甲3の1)。

(2)「鳥貴族」の標章の周知性について

申立人は,1986年に設立されて以降,順調に売り上げを伸ばしている。例えば,直近では,2010年に約56億円,2011年に約79億円,2012年に約108億円,2013年に129億円,2014年(第3期迄)に146億円と驚異的なスピードで売り上げを伸ばしており(甲7),学生,サラリーマンやOLを中心に大きな人気を博している。

また,店舗については,1995年に居酒屋業態から鳥貴族の単一ブランド展開に転換後に次々と出店していき,本件商標の登録査定時には,大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・愛知県・東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県の1都2府7県に377店舗を展開している(甲8)。

また,焼き鳥専門店におけるシェアについては,2007年以降,シェアを順調に伸ばしてきており,2013年には業界シェア1位(11.5%)を獲得しているに至っている(甲9の1ないし7)。

また,大手紙(日経新聞)を初めとして,新聞,雑誌及びテレビの各マスコミ関係でも数多く紹介されている(甲10の1ないし7)。

また,申立人の代表取締役が鳥貴族の経営哲学について書き下ろした書籍「鳥貴族『280円均一』の経営哲学」はビジネス書ベストセラー3位に評されている(甲11)。

また,2014年7月10日に東京ジャスダックに上場し初値が公開価格の2.2倍となったことが評判となったことは記憶に新しいところである(甲12,甲13,甲10の5)。

したがって,「鳥貴族」の標章は,明らかに申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。

また,それに伴って,「鳥貴族」の標章の構成中の「鳥」の図形も同様にして,申立人の業務に係る役務を表示すものとして需要者の間に広く認識されている。

(3)本件商標と「鳥貴族」の標章の類似性について

本件商標は,朱色の地に,黄色にて「鶏」を想起させる「鳥」の図形と,それの約4分の1程度の大きさにて「二郎」の漢字と一連に横書きに書してなるものである。

これに対し,「鳥貴族」の標章は,黄色の地に,朱色にて「鶏」を想起させる「鳥」の図形と,それと同程度の大きさにて創作性を有する「貴族」の漢字と一連に横書きに書してなるものである。

したがって,本件商標と「鳥貴族」の標章とは,「二郎」と「貴族」の文字の差異が存在する。

しかしながら,本件商標は,その構成中の「鳥」の部分が「鶏」を想起させる特殊な図形であること,それに続く「二郎」の文字よりも大きく表示されていること,「二郎」の文字が概ね平凡な書体で表記されており,ロゴ全体における創作性が乏しく小さな印象しか与えないことに鑑みると,一般の需要者の認識をして,図形化された「鳥」の図形は極めて重要な部分となっている。

してみると,本件商標は,その構成中の「鳥」の図形が「鳥貴族」の標章の構成中の「鳥」の図形と外観上,明らかに類似している。

(4)本件商標の指定役務と「鳥貴族」の標章が使用される役務との類似性について

本件商標は,第43類の「飲食物の提供」を指定役務としている(甲1)。これに対し,「鳥貴族」の標章は,「飲食物の提供」に使用されている。

このため,本件商標の指定役務と,「鳥貴族」の標章が使用される役務とは,明らかに同一の関係にある。

(5)結論

以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

2 商標法第4条第1項第11号について

(1)他人の登録商標について

他人である「株式会社サンクテュアリ」は,2010年4月7日に標準文字からなる商標「炭火串焼 鶏ジロー」(引用商標1)及び図形化された商標「炭火串焼/鶏ジロー/TORI JIRO/ロゴ」(引用商標2)を,第43類「串焼きを主とする飲食物の提供」を指定役務として出願し,いずれも2010年9月17日に商標登録されている(甲14及び甲15)。

(2)本件商標と引用商標1及び2との類似性について

ア 称呼について

本件商標は,「鳥」の文字がロゴ化された図形と漢字「二郎」が横書きで表記されたものであるから,明らかに「トリジロー(トリジロウ)」の称呼を生ずる。

これに対し,引用商標1は,「スミビクシヤキ トリジロー」との称呼が生じるが,第43類「串焼きを主とする飲食物の提供」の指定役務においては,その商標の構成中,「炭火串焼」の文字は普通名称を示すことから,商標の要部は「鶏ジロー」であるため,「トリジロー」の称呼が生ずるのが自然である。

一方,引用商標2は,具体的に考察すると,「鶏ジロー」及び「炭火串焼」は,互いに字体が顕著に異なることから,それぞれが視覚上分離されて看取されるものである。

そして,「鶏ジロー」の文字は,「炭火串焼」の文字に比して,かなり大きく書されているものであるから,特に,看者の目を惹きやすい部分であると認められる。また,「鶏ジロー」の文字の「ロ」の中に「TORIJIRO」とローマ字が記載されている。さらに,文字部分全体を称呼するときは「スミビクシヤキトリジロー」と冗長に至るものであり,かつ,文字部分全体を称呼,観念しなければならない格別の事情を見いだし得ない。

そうすると,引用商標2は,大きく表された「鶏ジロー」の文字から生じる「トリジロー」の称呼をもって取引に当たると解するのが相当である。

したがって,本件商標と引用商標1及び2は,いずれも「トリジロー」の称呼が生ずるため,明らかに称呼が同一である。

イ 観念について

本件商標から観念が生ずるとすれば,「鳥」の文字からそのまま鳥を想起し,「二郎」の文字からは2番目に生まれた人や動物の名を想起することから,その指定役務である「飲食物の提供」においては何らか鳥にちなんだ次男坊的な名称であることを想起する。

これに対して,引用商標1及び2から観念が生ずるとすれば,「鶏」の文字からそのまま鶏を想起し,「ジロー」の文字からは2番目に生まれた人や動物の名を想起することから,本件商標の指定役務においては,何らか鶏にちなんだ次男坊的な名称であることを想起する。

したがって,本件商標と引用商標1及び2は,いずれも何らかの鳥又は鶏にちなんだ次男坊的な人,又は動物の名称の観念が生ずるため,明らかに観念も同一である。

ウ 外観について

本件商標は,「鳥」の図形と「二郎」の漢字を組み合わせた「鳥二郎」と構成されるのに対し,引用商標1及び2の「トリジロー」と称呼される部分は,「鶏」の漢字と「ジロー」の片仮名を組み合わせた「鶏ジロー」と構成され,外観が互いに異なるものとなっている。

しかしながら,本件商標の「鳥」の文字と,引用商標1及び2の「鶏」の文字とは,実質的に同一の文字である。また,本件商標の「二郎」の漢字と,引用商標1及び2の「ジロー」の片仮名とは,漢字かその読み方の差異でしかない。このため,本件商標と引用商標1及び2の外観は,大きな差異を有する程のものではない。

エ 取引の実情について

本件商標と引用商標1及び2に係る指定役務「飲食物の提供」では,「トリジロー」と称呼されるものについては識別力を十分有するものであり,称呼が同一であると一般の需要者をして出所の混同を生せしめることは明らかである。

したがって,本件商標と引用商標1及び2は,外観の差異が多少存在するとしても,称呼及び観念が同一である以上,出所混同を生せしめるものであっで,互いに類似するものである。

(3)本件商標の指定役務と引用商標1及び2の指定役務との類似性について

本件商標は,第43類「飲食物の提供」を指定役務とするのに対し,引用商標1及び2は,第43類「串焼きを主とする飲食物の提供」を指定役務とする。

したがって,本件商標と引用商標1及び2は,その指定役務が同一である。

(4)結論

以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

3 商標法第4条第1項第15号について

(1)他人の業務に係る商品また役務について

他人である申立人は,「鳥貴族」の標章を店舗看板等に使用して,焼き鳥を主とする飲食物の提供を大々的に展開しており,「鳥貴族」の標章は,申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。

(2)出所の混同について

本件商標は,朱色の地に,黄色にて「鶏」を想起させる「鳥」の図形と,それの約4分の1程度の大きさにて「二郎」の漢字と一連に横書きに書してなるものである。

これに対し,「鳥貴族」の標章は,黄色の地に,朱色にて「鶏」を想起させる「鳥」の図形と,それと同程度の大きさにて創作性を有する「貴族」の漢字と一連に横書きに書してなるものである。

本件商標と「鳥貴族」の標章とは,「二郎」と「貴族」の文字の差異や,背景が黄色と朱色の差異が存在しており,細部を形式的に見れば複数の差異が存在している。

しかしながら,両商標を全体としてみた場合,「鳥」の図形部分の類似も相まって,一般の需要者をして出所の混同を生ずる可能性が十分ある。

この点,商標の審査基準によると,本号において,「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある場合」とは,その他人の業務に係る商品または役務であると誤認し,その商品又は役務の需要者が商品または役務の出所について混同するおそれがある場合のみならず,その他人と経済的または組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品または役務であると誤認し,その商品または役務の需要者または役務の出所について混同するおそれがある場合をもいう(甲17)。

最近の飲食業界は,本体の飲食店のネームバリューによるシナジー効果を利用して,本体の飲食店の名称の一部または全部を使用して,姉妹店を出店することにより多角経営化の傾向が強い(甲18の1ないし3)。

このような中,一般の需要者が本件商標を付けた店舗看板を見た場合,「鳥」の図形部分が極めて近似する周知な「鳥貴族」の標章との間において,あかも「鳥貴族」の弟分の店舗であるとして,他人である申立人と経済的または組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であると誤認するおそれがある。

実際,本件商標の権利者は,申立人が経営する「鳥貴族」の店舗近くに,フリーライド的に「鳥二郎」の名称を付した店舗を出店するなどして(甲3の1),多くの需要者に出所の混同を生じせしめている事実がある(甲20の1ないし11)。

(3)結論

以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 商標法第8条第1項について

(1)最先の商標登録出願に係る商標について

申立人は,2014年5月9日に,「鳥」の図形からなる引用商標3を,第43類「鳥料理・サラダ・丼もの・麺類・デザートを主とする飲食物の提供」等を指定役務として出願し,同年11月5日に登録査定がなされ,同11月10日付けで登録手続きを完了している(甲21)。

(2)本件商標と引用商標3の類似性について

本件商標は,その構成中の「鳥」の部分が「鶏」を想起させる特殊な図形であること,それに続く「二郎」の文字よりも大きく表示されていること,「二郎」の文字が概ね平凡な書体で表記されておりロゴ全体における創作性が乏しく小さな印象しか与えないことに鑑みると,一般の需要者の認識からして明らかに図形化された「鳥」の部分が商標の要部となる。

これに対し,引用商標3は,「鶏」を想起させる「鳥」の図形である。

本件商標の要部である「鳥」の図形と,引用商標3の「鳥」の図形とを比較すると,下半分は,いずれも鳥の下半身をイメージするように構成されているが,ほとんど同一といってよい構成となっている。

一方,上半分は,鳥の上半身をイメージするように構成されているが,目と思われる部分(本件商標は丸点,引用商標3は横線)や,口ばしと思われる部分(本件商標は三角形,引用商標3は太線)の差異はあるものの,顔の輪郭と思われる横長の楕円形状はほとんど同一の構成となっている。

したがって,上半身及び下半身を含む全体として考察すると,本件商標の要部である「鳥」の図形と,引用商標3の「鳥」の図形は,外観上,互いに類似するものである。

(3)本件商標の指定役務と引用商標3の指定役務との類似性について

本件商標は,第43類「飲食物の提供」を指定役務とするのに対し,引用商標3は,第43類「鳥料理・サラダ・丼もの・麺類・デザートを主とする飲食物の提供」等を指定役務とする。

したがって,本件商標と引用商標3は,その指定役務は同一である。

(4)結論

したがって,本件商標は,商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものである。

5 むすび

以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号,同項第15号及び同法第8条第1項に違反して登録されたものであるから,第43条の2第1項の規定により取り消されるべきものである。

第4 当審の判断

1 「鳥貴族」の標章の周知著名性について

申立人は,1986年に設立された「鳥貴族」の営業とカムレードチェーン事業を事業内容とする会社であり(甲4),「鳥貴族」の標章を「焼鳥を主とする飲食物の提供」に使用して売り上げを伸ばし(直近では,2010年に約56億円,2011年に約79億円,2012年に約108億円,2013年に129億円,2014年(第3期迄)に146億円)(甲7),大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・愛知県・東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県の1都2府7県に377店舗を展開している(甲8)。

そして,2011年から2013年の焼き鳥専門店におけるシェアは1位であり(甲9の5ないし7),新聞,雑誌及びテレビの各マスコミ関係でも紹介された(甲10の1ないし7)結果,「鳥貴族」の標章は,本件商標の登録出願前に,申立人の業務に係る「焼鳥を主とする飲食物の提供」を表示する商標として,我が国の取引者・需要者間において広く知られていたものと認められる。

2 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は,別掲1のとおりの構成からなるところ,これは,朱色の矩形図形内に,「鳥類の総称」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を表す「鳥」の漢字を象形文字のようにデザイン化した文字と,その右側には,その半分程度の大きさで「二郎」の文字を,いずれも黄色で表してなるものである。

そして,本件商標は,デザイン化した「鳥」の文字と「二郎」の文字とが同色で横一連にバランス良く矩形図形内に配置されており,ここから「鳥」の部分又は「二郎」の文字部分を分離して観察すべき特段の事情は見いだせない。

そうとすれば,本件商標は,その構成全体が一体のものとして把握され,これより「トリジロー」の称呼を生じるものであり,「二郎」は,「第2番目の男子。次男。男女を問わず第2子,また次位にあるもの。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味を有する語であるが,デザイン化し一体に表された「鳥」の文字と「二郎」の文字からは,特定の意味合いを想起させるものではなく,特定の観念を生じないものである。

なお,本件商標の指定役務である飲食物の提供に係る業界においては,「鳥」の漢字をデザイン化してのれんや看板等に表示し,「トリ」の読みをもって使用されている実情が看て取れるところである。

(2)「鳥貴族」の標章について

「鳥貴族」の標章は,別掲3のとおりからなるところ,その構成は,黄色の矩形図形内に,「鳥」の漢字をデザイン化した文字と,その右側に,ややデザイン化した「貴族」の文字を,ともに朱色で表してなるものである。

そして,「鳥貴族」の標章は,デザイン化した「鳥」の文字と「貴族」の文字とが,同じ色,同じ大きさで等間隔をもって矩形図形内にまとまりよく表されており,視覚上一体的に把握されるものであるから,ここから「鳥」の部分又は「貴族」の文字部分を分離して観察すべき特段の事情は認められないものである。

そうとすれば,「鳥貴族」の標章は,その構成全体が一体のものとして把握され,これより「トリキゾク」の称呼を生じるものであり,「貴族」は,「家柄や身分の貴い人。出生によって社会的特権を与えられた身分。家柄や身分の貴い人。出生によって社会的特権を与えられた身分。」等の意味を有する語であるが,デザイン化し一体に表された「鳥」の文字と「貴族」の文字からは,特定の意味合いを想起させるものではなく,特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と「鳥貴族」標章の類否について

本件商標と「鳥貴族」標章の類否について検討するに,両商標の外観は,それぞれの構成態様に照らし,明らかな差異を有するものであるから,外観上,明確に区別できるものである。

そして,本件商標から生ずる「トリジロー」の称呼と,「鳥貴族」標章から生ずる「トリキゾク」の称呼とは,語尾における「ジロー」と「キゾク」の音の明確な差異を有するものであるから,その語調及び語感が明らかに相違し,称呼上,明確に聴別できるものである。

また,本件商標と「鳥貴族」標章は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,比較することができず,類似するとはいえないものである。

その他,本件商標と「鳥貴族」標章とが類似するとすべき理由は見いだせない。

以上のとおり,本件商標と「鳥貴族」標章とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

(4)前記1に記載のとおり,「鳥貴族」の標章は,本件商標の登録出願前に,申立人の業務に係る「焼鳥を主とする飲食物の提供」を表示する商標として,我が国の取引者・需要者間において広く知られていたものと認められる。

しかしながら,本件商標と「鳥貴族」標章とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。

したがって,本件商標の指定役務である第43類「飲食物の提供」と,「鳥貴族」標章が使用される申立人の業務である「焼鳥を主とする飲食物の提供」とが類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。

また,「鳥貴族」標章が,申立人の業務に係る役務を表すものとして,本件商標の登録出願時及び査定時において広く知られているとしても,本件商標と,「鳥貴族」標章とは,十分に区別し得る別異の商標というのが相当であるから,商標権者が本件商標をその指定役務について使用しても,これに接する取引者,需要者が,申立人又は申立人と何等かの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく役務の出所について混同を生ずるおそれはないものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は,前記1(2)に記載のとおり,その構成全体が一体のものとして把握されるといえるものであり,「トリジロー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標1及び2について

ア 引用商標1について

引用商標1は,「炭火串焼 鶏ジロー」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中,前半の「炭火串焼」の文字は,引用商標1の指定役務との関係においては,提供される役務の対象物ないし役務の質を表す語であるから,引用商標1の要部は,「鶏ジロー」の文字部分にあるといえるものである。

そして,該「鶏ジロー」の文字は,「トリジロー」の称呼を生じ,「鶏」の文字は,「(庭鳥の意)キジ目キジ科の鳥。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味を有する語であるが,「ジロー」は,特定の意味合いを有しない一種の造語といえるものであるから,「鶏ジロー」の文字からは,特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標2について

引用商標2は,別掲2のとおりの構成からなり,その構成中,「炭火串焼」の文字及び黒塗りで表された鶏と思しき図形部分は,その指定役務との関係においては,提供される役務の対象物ないし役務の質を表す語及び図形であるから,引用商標2の要部は,「鶏ジロー」及び「ロ」の文字のなかにややデザイン化して表示された「TORIJIRO」の文字部分にあるといえるものである。

そうとすれば,引用商標2は,「トリジロー」の称呼を生じ,引用商標1と同様の理由及び「TORIJIRO」の文字は特定の意味合いを有しない一種の造語といえるものであるから,これらは,特定の観念を生じないものと認められる。

(3)本件商標と引用商標1及び2との類否について

本件商標と引用商標1及び2の類否について検討するに,両商標の外観は,それぞれの構成態様に照らし,明らかな差異を有するものであるから,外観上,明確に区別できるものである。

そして,本件商標と引用商標1及び2からは,いずれも「トリジロー」の同一の称呼を生ずるものである。

また,本件商標と引用商標1及び2は,特定の観念を生じないものであるから,比較することができず,類似するとはいえないものである。

そうとすれば,本件商標と引用商標1及び2とは,同一の称呼において類似するとしても,外観において明確に区別できるものであって,観念において類似するとはいえないものであるから,両商標を同一又は類似の役務に使用しても,その役務の出所について混同を生ずるおそれのない非類似の商標というべきである。

4 商標法第8条第1項該当性について

(1)本件商標について

本件商標は,前記1(2)に記載のとおり,その構成全体が一体のものとして把握され,「トリジロー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標3について

引用商標3は,別掲4のとおり,「鳥」の漢字をデザイン化した文字として看取されるものであるから,これよりは,「トリ」の称呼を生じ,「鳥類の総称」の観念を生ずるものである。

(3)本件商標と引用商標3との類否について

本件商標と引用商標3との類否について検討するに,両商標の外観は,明らかな差異を有するものであるから,外観上,明確に区別できるものであり,本件商標から生じる「トリジロー」の称呼と引用商標3から生じる「トリ」の称呼とは,語尾における「ジロー」の音の有無の差異により,明確に聴別できるものである。

また,本件商標は,観念を生じないものであるから,引用商標3と比較することができず,類似するとはいえないものである。

そうとすれば,本件商標と引用商標3とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

(4)申立人は,本件商標から,「鳥」の図形部分を要部として引用商標3と比較し,「下半分は,いずれも鳥の下半身をイメージするように構成されているが,ほとんど同一といってよい構成となっている。一方,上半分は,鳥の上半身をイメージするように構成されているが,目と思われる部分(本件商標は丸点,引用商標3は横線)や,口ばしと思われる部分(本件商標は三角形,引用商標3は太線)の差異はあるものの,顔の輪郭と思われる横長の楕円形状はほとんど同一の構成となっている。したがって,上半身及び下半身を含む全体として考察すると,本件商標の要部である「鳥」の図形と,引用商標3の「鳥」の図形は,外観上,互いに類似するものである。」旨を主張している。

しかしながら,本件商標のデザイン化した「鳥」の部分は,まるで,象形文字のように表されており,その頭部にあたる部分は楕円状に表され,嘴にあたる部分は,頭部の左上に,上を向き,かつ,尖った形状で表され,また,「目」にあたる部分は,卵型に表されている。

これに対し,引用商標3のデザイン化した「鳥」の文字の上部は,「鳥」の漢字の「白」の部分を,全体として楕円状にデザインして表されたものということができる。

そうとすると,本件商標のデザイン化した「鳥」の部分と引用商標3とは,下半分において近似した印象を与えるとしても,上半分において,上記のような差異を有するものであって,その構成全体としての表現方法が相違し,視覚上,異なった印象を与えるものであるから,これらを時と処を異にして離隔的に観察しても,外観において相紛れるおそれはないものと認められる。

本件商標は,上記2(1)のとおり,その構成全体が一体のものとして把握されるものであって,その構成中のデザイン化した「鳥」の部分のみが要部として抽出されるものではないが,以上のとおり,本件商標のデザイン化した「鳥」の部分と引用商標3とを比較したとしても,両者は,非類似のものというべきである。

したがって,本件商標は,商標法第8条第1項に該当しない。

5 申立人の主張について

申立人は,本件商標の「鳥」の図形部分は,「鳥貴族」の標章の「鳥」の図形に類似する旨主張している。

しかしながら,上記したように,本件商標と「鳥貴族」の標章とは,それぞれが一体のものとして把握されるというのが相当であり,また,申立人は,「鳥貴族」の標章のデザイン化された「鳥」の文字部分が,「鳥貴族」の標章から分離観察されるというべき証拠及び取引上の実情を示してはいないから,その主張は採用することはできない。

そして,両部分を対比した場合においても,前記4(3)に記載のとおり,当該部分は互いに外観を異にするというのが相当であるから,この部分が類似するということはできないものである。

6 結語

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同第11号,同第15号及び同法第8条第1項に違反してされたものではないから,商標法第43条の3第4項により,その登録を維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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