Trademark Appeal Case
略称の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2014−900084(T2014−900084/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5637370号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年8月9日に登録出願され、第30類「穀物の加工品,調味料,香辛料,パスタソース」を指定商品として同年11月13日に登録査定、同年12月13日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人は、本件商標はその指定商品についての登録を取り消されるべきであるとして申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし項第7号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)「トマたま」の文字について
本件商標は、別掲1に示すとおり、「トマたま」の文字を表してなるものであるが、その構成からみて、「トマ」と「たま」の文字を結合したものと容易に看取し得るものである(甲第1号証)。
ところで、ある二つの語を結合した場合においては、その構成文字や称呼が冗長になること、全体として称呼すると語呂が悪くなること等の事情により、飲食料品について、例えば、「もろきゅう」(もろみキュウリの略)、「うな丼」(うなぎどんぶりの略)、「酎ハイ」(焼酎ハイボールの略)のように、それぞれの語を略し全体を簡略化して表し、それより生ずる簡潔な称呼で略称することが日常普通に行われているところである(甲第2号証)。
このことは、二つの語を簡略化した結合商標に係る査定不服審判の審決において、例えば、「朝ラー」の語から「朝から食べるラーメン」の意味合いが理解されるとして、商品の品質を表示するにすぎないとの旨の認定・判断がなされていることなどからも窺い知ることができる(甲第3号証の1ないし5)。
そして、「トマト」と「たまご(主に鶏卵)」は、その商品が栄養に富み、様々な用途に利用できることから、各種料理の具材又は調味材料(調味料)として広く一般の消費者にも親しまれ使用されていることは顕著な事実である。
そうとすると、「トマ」と「たま」の文字を結合し、「トマたま」と表してなる本件商標は、その指定商品中の「調味料,パスタソース」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、前半の「トマ」の文字を「トマト」、後半の「たま」の文字を「たまご(卵、玉子)」を略して表示したものとして理解し、全体として「トマトとたまご(卵、玉子)」であることの意味を直ちに把握、認識すると判断するのが相当である。
(2)「トマたま」の文字の使用事実について
「トマたま」、「トマタマ」、「とまたま」及び「トマ玉」のキーワードでインターネット検索(甲第4号証)すると、合わせて約19万件ヒットするものであって、そのWebページや「トマたま」に関わる新聞記事において、「トマたま」の文字が「トマト」と「たまご(卵、玉子)」の略称として普通に使用されている事実が認められる(甲第5号証ないし同第7号証)。
(3)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
以上を総合すれば、本件商標を構成する「トマたま」の文字は、遅くとも、本件商標の登録出願時には、「調味料,パスタソース」に使用した場合、これに接する取引者・需要者をして、「トマトと卵(玉子)を用いた炒め物用調味料」「トマトと卵(玉子)を原材料とする調味料」又は「トマトと卵(玉子)を原材料とするパスタソース」であることを表したと直ちに把握、理解できたものであって、少なくとも食料品を取り扱う業界においては、既に、その意味合いの語として広く認識され、かつ普通に使用されていたと認められるものである。
したがって、本件商標は、これをその指定商品中の「トマトと卵(玉子)を用いた炒め物用調味料,トマトと卵(玉子)を原材料とする調味料,トマトと卵(玉子)を原材料とするパスタソース」に使用するときは、単に商品の品質、用途、原材料を表示するにすぎないものであり、前記商品以外の「調味料,パスタソース」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあったものといわなければならない。
(4)まとめ
本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであり、同法第43条の3第2項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対し、平成26年3月4日付けで通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
本件商標は、別掲1のとおり、「トマたま」の文字を普通に用いられるゴシック体で横書きしてなるところ、その構成文字に照らせば、「トマ」の片仮名及び「たま」の平仮名を結合してなるものと看取されるものである。
そして、本件の指定商品に係る業界においては、例えば、かにと卵を使用した料理を「かに玉」、ニラと卵を使用した料理を「ニラ玉」と称するなど、卵を使用した料理について「〇〇玉(たま)」の語が用いられているところ、「トマたま」の語は、別掲2に示す事実に照らせば、本件商標の登録査定前より、トマトと卵を使用した料理を表すものとして広く用いられているものである。
そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、「トマトと卵を使用した料理」程の意味合いを容易に認識されるものというのが相当であるから、本件商標を、その指定商品中、「トマトと卵を使用した料理のための商品」に使用するときは、単にその商品の品質を表したものと認識するにとどまるというのが相当であり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。
また、上記商品以外の商品について使用するときは、その商品が「トマトと卵を使用した料理のための商品」であるかのように、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
(1)「トマたま」は食品業界においては、「トマトと卵を使用した料理」程の意味合いを認識させることもあるが、本件の商標権者は、本件商標の出願前から、本件商標を使用した膨大な数量の「トマトと卵を使用して成る即席麺」を製造販売している。
このことから、本件指定商品のうち、「穀物の加工品」の下位概念の「トマトと卵を使用して成る即席麺」については、使用された結果、需要者が何人かの業務に係わる商品であることを認識できる特別顕著性を有するものと思料されることから、以下のとおり、商標法第3条第2項に該当し、登録が認められるものと確信する。
ア 商品の宣伝資料
2008年5月付けの被請求人による取引業者向けの資料であるNews Releaseにおいて、商品パッケージ写真付きの新製品を宣伝し(乙第1号証)、マスコミ発表用の資料であるNews Releaseにおいて、商品パッケージ写真付きの新製品を宣伝している(乙第2号証)。これらにおいて、商品名は「サッポロ一番 トマたまラーメン」としているが、商品パッケージ写真に示すように、容器側面に「トマたま」のみを大きな文字で表し、「ラーメン」の文言は付しておらず、本件商標と同じ、「トマ」を片仮名で、「たま」を平仮名で表現した「トマたま」を使用している。
同様に、2009年4月付けないし2013年10月17日付けのNews Releaseにおいて、商品パッケージ写真付きの新製品を宣伝している(乙第3号証ないし乙第16号証)。
これらのいずれの資料においても、商品の上面又は側面に「トマたま」のみを大きく記載しており、商標として「トマたま」を使用していることが明らかである。なお、商品は2008年の発売から、パッケージデザインは毎年少しずつ変更しているものの、同じコンセプトのもと、全国各地で膨大な数量の「トマたま」を表示した商品として販売している。
イ 商品の販売実績
乙第1号証ないし乙第16号証に示す「トマたま」を表示した商品の2008年の発売以降2013年までの販売実績(食数)は、4,079,796であり、累計400万食以上の販売実績を有するヒット商品に育っている。
商標権者が主として製造販売している即席麺の流行は極めて短く、ごく一部の定番商品を除けば、多くの新製品は翌年度まで製造販売されることはなく、数ヶ月ないし半年程度で廃版となるが、本件商標を使用した商品は、2008年から継続して販売しているヒット商品であり、商標権者の定番商品となっており、多くの需要者・取引業者の間で商標権者の業務に係る商品として、広く認知されるに至っている。
また、商標権者は、商標として「トマたま」を付した商品名「トマたまラーメン」を、全国47都道府県の全てに出荷している(乙第17号証ないし乙第63号証)。商品の梱包用段ボールには、各年代の商品に共通するデザインのフォント等により「トマたま」の文字を付している(乙第64号証ないし乙第69号証)。
ウ 新聞記事及びインターネットにおける掲載
(ア)2008年7月2日付け及び2009年5月27日付け食品新聞に、商品名「トマたまラーメン」が掲載され、商標としては「トマたま」を使用していることを明瞭に認識できる(乙第70号証,乙第71号証)。
(イ)2012年12月5日付け食品新聞に、商品名「きらめきの一杯 トマたまラーメン」が掲載され、商標としては「トマたま」を使用していることを明瞭に認識できる(乙第72号証)。
(ウ)2009年6月1日付け食品産業新聞、2009年6月10日付け及び2011年8月14日付け日経MJ新聞、2009年8月1日発行の総合食品8月号、2009年6月26日付け、2011年9月9日付け及び2013年11月8日付け日本食糧新聞電子版並びに2011年8月22日付け、2012年11月30日付け及び2013年11月30日付けの新製品アクセス情報に、商品名「サッポロ一番 きらめきの一杯 トマたまラーメン」が掲載され、商標としては「トマたま」を使用していることを明瞭に認識できる(乙第73号証ないし76号証,乙第78号証ないし乙第83号証)。
(エ)2008年7月11日付け日本食糧新聞電子版に、商品名「サッポロ一番 トマたまラーメン」が掲載され、商標としては「トマたま」を使用していることを明瞭に認識できる(乙第77号証)。
(オ)2013年11月11日付けのイオンスクエアニュース及び2011年8月4日付けのマイライフ手帳@ニュースに、商品名「トマたまラーメン」が掲載され、商標としては「トマたま」を使用していることを明瞭に認識できる(乙第84号証,乙第85号証)。
(カ)YAHOOの検索サイトで、「トマたま カップラーメン」を検索した結果、検索上位にヒットするホームページは本件商標の登録権者の製品ばかりである(乙第86号証)。また、同サイトで、「トマたま」の画像を検索した結果、商標権者の製品以外にも料理の写真や調味料の写真もヒットするが、同一の商品としての数は、他の製品よりも突出している(乙第87号証)。さらに、同サイトで、「トマたま カップラーメン」の画像を検索した結果、殆ど商標権者の製品の写真がヒットする(乙第88号証)。
(キ)GOOGLE検索サイトで、「トマたま カップラーメン」の画像を検索した結果、殆ど商標権者の製品の写真がヒットする(乙第89号証)。
(ク)インターネットで検索したブログ記事等には、商標権者の商品が掲載され、商標としては「トマたま」を使用していることを明瞭に認識することができる(乙第90号証ないし乙第94号証)。
(2)以上のとおり、商標権者は、2008年の発売以降、商標として「トマたま」を付した商品名「トマたまラーメン」を2013年までに、全国47都道府県全てにおいて、累計400万食以上販売しており、また、各新聞、インターネット記事、ブログ等のメディアでも多数取り上げられている。このことから、「トマトと卵を使用して成る即席麺」については、使用による特別顕著性を有し、商標法第3条第2項に該当し、登録が認められるものである。
したがって、本件商標の指定商品中、「トマトと卵を使用して成る即席麺」については、登録を維持されるものである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標についてした前記3の取消理由は妥当なものである。
なお、商標権者は、本件商標の指定商品中の「即席麺」について、意見を述べるものであるところ、「即席麺」を含む商品である「穀物の加工品」を取り扱う分野においては、別掲3のとおり、「トマトと卵を使用した料理」について、「トマたま(玉)」の文字が普通に使用されている実情がうかがえる。
そうすると、本件商標をその指定商品中、「穀物の加工品」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「トマトと卵を使用した料理」を内容とする商品であること、すなわち、商品の品質を表したものと看取、認識するといわざるを得ないものであり、上記内容の商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといえる。
したがって、本件商標は、その指定商品中の「穀物の加工品」について限ってみても、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標権者の主張について
商標権者は、本件商標は、指定商品中の「トマトと卵を使用して成る即席麺」については、使用による特別顕著性を有していることから、商標法第3条第2項に該当し、登録が認められる旨主張し、乙第1号証ないし乙第89号証を提出する。
しかしながら、当該使用に係る標章の構成態様は、「サッポロ一番 トマたまラーメン」(乙第1号証,乙第2号証,乙第77号証)、「サッポロ一番 きらめきの一杯 トマたまラーメン」(乙第3号証ないし乙第16号証,乙第73号証ないし乙第76号証,乙第78号証ないし乙第83号証,乙第85号証)、「きらめきの一杯 トマたまラーメン」(乙第71号証,乙第72号証)などであり、「トマたまラーメン」の文字と他の標章を結合した一体的なものと看取されるものである。
また、本件商標の使用に係る商品の包装容器には、「トマたま」の文字が大きく表されているが、該文字とともに、商標権者の商品であることを表す標章として知られている「サッポロ一番」の文字が表されており、また、トマトの画像及びトマトと卵を使用したラーメンが容器に盛りつけられている画像並びに「tomato&egg noodles」「トマトスープにふわふわたまごが入った新感覚ラーメン」の文字(乙第4号証)、「Tomato&Egg Noodles」「トマトの旨みとふわふわたまごが相性ぴったり!」(乙第7号証,乙第15号証)の文字、又は「Tomato&Egg Noodles」「濃厚なトマトのうまみと“Wたまご”が相性抜群!(かきたま&焼き卵)」(乙第12号証)の文字が、該文字と一体的に表されているものである。商品の梱包用段ボールについても、「サッポロ一番」の標章が共に表示されていることが容易に視認できるものである(乙第64号証ないし乙第69号証)。
そうすると、当該使用の構成態様からは、「トマたま」の文字のみが商品の出所を表示するものとして機能しているとはいえず、また、たとえ、商品の包装容器又は商品の梱包用段ボールに「トマたま」の文字が大きく表されているものであっても、商標権者の商品であることを表す標章として知られている「サッポロ一番」の文字が共に表示されており、「トマトと卵を使用してなる即席麺」との関係において、商品の品質を表すその他の文字及び図形とともに表示された「トマたま」の文字部分のみをもって殊更に強く印象し記憶される商標の使用ということはできないから、該文字が商品の出所を表示するものとして機能しているとはいい難いものである。
加えて、「トマたまラーメン」の構成文字のみの使用は、乙第70号証、乙第84号証及び2008年の商品の取引に係る納品書における記載など僅かな数量であり、該使用例をもって、本件商標が商標権者の業務に係る商品であることを認識されるに至っていたとはいえない。
さらに、商標権者は、商品の販売数量について、2008年の発売以降、2013年までに、全国47都道府県全てにおいて、累計400万食以上販売していると主張するものの、即席麺は、広く日常的に消費される商品であり、これに係る市場占有率等に関する証拠を見いだすことができない。
してみれば、商品名の一部に「トマたま」を含む「即席麺」が、5年以上にわたり製造、販売され、全国47都道府県に出荷した事実がうかがえるものの、該商品の表示に接する取引者、需要者は、上述のとおり、本件商標のみを商品の出所識別標識として認識するとはいい難いものであるから、本件商標は、その登録出願の査定時において、「トマトと卵を使用してなる即席麺」に使用された結果、取引者、需要者が出願人の製造、販売に係る商品名を表すものとして認識することができるものとなっていたということはできない。
その他、請求人の主張及びその提出に係る証拠を総合してみても、本件商標をその指定商品中「トマトと卵を使用してなる即席麺」について使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っていたものであると認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、その登録査定時において、商標法第3条第2項の要件を具備していたということはできないから、商標権者の主張を採用することはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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