sokuhyo

Trademark Appeal Case

FIRM FILTERの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900202(T2014−900202/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5664041号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5664041号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2013年9月20日にフランス共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成26年1月21日に登録出願され、第34類「葉巻たばこ,紙巻たばこ,シガリロ,その他のたばこ,手巻きたばこ,パイプ用たばこ,かみたばこ,かぎたばこ,たばこ用紙で巻いたたばこと切断された丁子から成るフィルター付き或いはフィルター無しの紙巻たばこ,熱処理された湿気或いは半分湿気のある粉末状たばこからなる経口用無煙たばこ製品,熱処理された湿気或いは半分湿気のある粉末状たばこからなる個別包装された経口用無煙たばこ製品,代用たばこ(医療用のものを除く。),紙巻きたばこ用紙,シガレットチューブ,フィルター,たばこ入れの缶,たばこケース及び灰皿,パイプ,たばこ紙巻き器,ライター,その他の喫煙用具,マッチ」を指定商品として、同年3月27日に登録査定、同年4月11日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由

1 本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第6号に該当し、商標登録を受けることができないと申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。

2 申立の理由

(1)本件商標の識別性について

ア 本件商標は、上段部分に「(開口部のある)二つの円」を模した図形、下段部分に英文字「FIRM FILTER」を二段に書して成る。英文字部分「FIRM FILTER」は、単に「(たばこの)フィルターが固いこと」を意味し、図形部分は単にフィルターの末端部分を表したものに過ぎない。

イ 本件商標のうち、「FIRM FILTER」の英文字部分は、ものなどが固いことを意味する英文字「FIRM」と、フィルターを意味する英文字「FILTER」からなる。いずれも非常に平易、もしくは日本語化している英単語であるから、需要者・取引者は、当該英文字部分から容易に「固いフィルター」の意味を想起することができる。

たばこのフィルターは、喫煙者が直接吸引する部分であり、その硬軟は商品の品質や、喫煙者の嗜好に直結するものである。より具体的には、近年、固いフィルターが「現代的で、高品質なもの」として需要者に受け取られる傾向があり、各社が好んで「固いフィルター」のたばこを製造・販売しているのが現状である。

してみれば、「FIRM FILTER」の英文字が、商品の品質として需要者・取引者に認識されることは疑いのない事実である。

ウ 「フィリップモリス ブランズ エスエイアールエル」(以下「本件商標権者」という。)は、「FIRM FILTER」という言葉を記述的に使用し、また「固いフィルター」を特徴とするタバコを製造・販売している。

例えば、甲第2号証は、ドイツにおいて頒布した広告物であるところ、その商品につき、「Features a hard filter for more stability」(その特徴は、フィルターが固いこと(hard filter)です。)と記述している。

また、甲第3号証は、Tax Free World Associationが開催した新商品シンポジウムにおいて配布された資料であるところ、「The new firm filter for a consistent taste experience from start to finish」(この新しい固いフィルターは、最初から最後まで同じ味わいを提供いたします。)と記載し、「firm filter」を「商品の品質」として記述している。

さらに本件商標権者は、各国において固いフィルターに関する特許出願も行っており、「FIRM FILTER」が本件商標権者の商品の一つの特徴であることは、本件商標権者自身も認識しているものである(甲第4号証及び同第5号証)。

エ 本件商標の上段部分に書された図形部分に関しては、開口部のある大小の円を二つ、内側と外側に配してなる。

当該図形は、たばこフィルターの断面を記述したものと容易に認識される。特に、「FIRM FILTER」の英文字と図形が共に使用されることにより、これに接した需要者・取引者は、当該図形部分が、フィルター末端部を表していると直截的に認識できるものと考えられる。

(2)むすび

以上のとおり、本件商標は、「固いフィルター」を意味する「FIRM FILTER」の英文字と、フィルターの末端部分を模した図形を表してなるにすぎない商標であるから、本件商標の指定商品中の「タバコ,フィルター」等、フィルターを有する商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たしえない。

「FIRM FILTER」という言葉、及びフィルターの末端部を表した図形は、たばこ業界においてどの会社も使用できるよう確保されるべきものであり、一つの会社にのみ独占権を与えれば、無用な混乱と紛争を生じさせ、健全な産業活動を毀損する結果となるものである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し商標登録を受けることができないものとして、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第3 当審の判断

本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中の図形部分は、円の一部を切り欠いた、ゴシック体で表したローマ字の「C」字状の大きさの異なる二つの図形を、中心部を同一にして二重になるように描いてなり、一見して直ちに何を表したものか判別し難いものであるから、全体をもって一種の幾何図形として認識し、把握され、取引者、需要者が、当該図形から、申立人の主張する「フィルターの断面図」を連想、想起するとはいい難い。

そうであれば、上記図形部分は、自他商品の識別標識として機能するものである。

また、申立人が提出した証拠中、本件商標の図形部分が示されているのは、甲第3号証の右上の写真(たばこのパッケージの側面に同図形が表示されていることが認められる。)中のものだけであり、これとて、たばこのフィルターの断面を示す図形ということはできないものである。

してみれば、本件商標の図形部分が、フィルター末端部を表していると直截的に認識できるとの申立人の主張は採用することはできない。

さらに、本件商標中の「FIRM FILTER」の英文字部分から「固いフィルター」との意味合いを想起させ、その結果、当該文字部分が、自他商品の識別機能を有しないか又は極めて弱いものといえるとしても、本件商標は、当該文字のみからなるものではないから、商標全体として自他商品の識別力を有しないものとはいえないものである。

そうすると、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるとはいえない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するということはできず、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。