結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2013−300199(T2013−300199/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第1249896号商標(以下「本件商標」という。)は、「MARBURG」の欧文字と「マルブルグ」の片仮名とを上下二段に左横書きしてなり、昭和48年4月26日に登録出願、第25類「紙類、文房具類」を指定商品として、同52年2月10日に設定登録、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、また、指定商品については、平成19年7月4日に第5類「防虫紙」、第17類「コンデンサーペーパー,石綿紙,バルカンファイバー」、第27類「壁紙」及び第28類「昆虫採集用具」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成25年3月29日にされている。
また、本件審判の請求の登録前3年以内(平成22年3月29日ないし同25年3月28日)を、以下「要証期間内」という。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁、口頭審理における陳述及び上申書による主張を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
請求人は、本件商標の使用状況について調査を行ったが、商標権者が本件商標を指定商品中、第17類「コンデンサーペーパー,石綿紙,バルカンファイバー」及び第27類「壁紙」について使用した事実及び使用している事実を発見することができなかった。
また、請求人は、専用使用権者及び通常使用権者の登録状況を調査したが、何れの使用権者も登録された事実はなかった。そのため、本件商標は、日本国内において継続して3年以上、商標権者、専用使用権者、通常使用権者(未登録の者も含む)が、上記請求に係る指定商品について、使用をしていない登録商標である蓋然性が非常に高いから、上記請求に係る指定商品についての登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)被請求人の主張について
被請求人は、答弁書において、「本件商標は、要証期間内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定商品中、少なくとも『壁紙』について使用しているものであるから、商標法第50条の規定には該当しない」と主張しているが、以下に詳述するように、被請求人の主張は失当であり、商標権者はその指定商品について本件商標を使用していないので、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録は取り消されるべきものである。
(2)具体的な理由
ア 乙第1号証について
被請求人は、請求人との間でマーケティングコンサルタント契約を結んだと主張し、乙第1号証として2007年の契約書の写しを提出しているが、当該契約は2009年に請求人により解除されている。請求人から被請求人に送られた解除を通知する書簡の写しを訳文とともに提出する(甲第3号証)。また、当該書簡のDHL送り状の写しも併せて提出する(甲第4号証)。当該書簡によると、被請求人と請求人の契約は2009年に解除されているので、乙第1号証は、被請求人の商標の使用を証明するものとはならない。
また、そもそも当該契約は、被請求人も答弁書において述べているように、マーケティングコンサルタントに関する契約であり、被請求人が当該契約のもと行っていた業務は、「商品の販売に関する情報の提供及び助言」であり、商品「壁紙」の販売ではない。
したがって、被請求人の主張は失当であり、乙第1号証は、商標の使用を証明するものではない。
イ 乙第2号証について
被請求人は、乙第2号証として、本件商標を付した商品「壁紙」の見本帳の写真を提出しているが、当該見本帳は請求人が作成したものであり、請求人がドイツ国内で商品を販売するために使用している商品の見本帳である。被請求人は、請求人の見本帳に自分の氏名及び連絡先を貼り付けたにすぎない。
また、答弁書中で主張しているように、被請求人は、「商品『壁紙』の見本帳(乙第2号証)・壁紙現物見本等を持って関係各社を訪問し、商品『壁紙』やその製造ノウハウを販売するため各種壁紙の紹介、案内及び提案等を現在に至るまで継続的に行っている」のであり、これは「商品の販売に関する情報の提供」及び「他人の商品の販売促進」に該当する行為である。請求人は、商品「壁紙」の販売を行っているのではない。
したがって、被請求人の主張は失当であり、乙第2号証は、商標の使用を証明するものではない。
ウ 乙第3号証について
被請求人は、乙第3号証として、オカモト株式会社の取締役建装部長である増田氏の陳述書を提出しているが、この陳述書によると、被請求人は、「商品『壁紙』やその製造技術ノウハウを販売するため各種壁紙の紹介、案内及び提案等を行って」いるのであって、この行為は、上述のように、「商品の販売に関する情報の提供」及び「他人の商品の販売促進」に該当する行為である。また、陳述書中にあるように、オカモト株式会社は、請求人であるドイツのマルブルグ社に「種々の材料の発注、購入するに至って」いる。
したがって、被請求人は商品「壁紙」の販売を行っておらず、被請求人の主張は失当であり、乙第3号証は、商標の使用を証明するものではない。
また、オカモト株式会社は、請求人であるドイツのマルブルグ社から、壁紙の製造のための原材料を購入しているが、この原材料には商標「MARBURG」は付されていない。
さらに、オカモト株式会社と請求人との交渉は常に直接行われており、被請求人が間に入って行われたことはない。被請求人は、請求人の商品をオカモト株式会社に紹介したと主張しているが、これは請求人の承諾なく行われたものであり、請求人との契約に基づいて行われたものではない。
(3)むすび
以上に詳述したように、被請求人は本件商標を指定商品について使用していない。
(1)被請求人の主張について
ア 弁駁書において述べたように、請求人と被請求人との契約は、マーケティングコンサルタントに関する契約であり、被請求人が当該契約のもと行っていた業務は、「商品の販売に関する情報の提供及び助言」及び「他人の商品の販売促進」に該当する行為であり、商品「壁紙」の販売ではない。
乙第4号証として提出されたリストは、「他人の商品の販売促進のための活動」を行った会社や事業所のリストであって、本件商標を指定商品について使用していることを証明するものではない。
したがって、被請求人の主張は失当であり、乙第4号証は、商標の使用を証明するものではないと考える。
また、被請求人は、「これら販売促進のための営業活動に対する報酬を2013年1月25日付けで請求人から送金されている事実があり、請求人との関係は今も続いている」と主張しているが、弁駁書でも述べたように、契約自体は2009年6月に終了しており、これ以降の被請求人の営業活動について、請求人は承認していない。2013年1月に支払われた金額は、被請求人との契約を完全に断ち切るために支払われたものであって、現在も請求人と被請求人との関係は続いているという事実はない。
したがって、この被請求人の主張は失当であり、乙第5号証及び乙第6号証の電子メールは、本件商標を指定商品について使用していることを証明するものではない。
イ 被請求人は、「乙第2号証の見本帳を誰が作成したかは問題ではない」と主張しているが、被請求人が販売促進のための活動を行っている商品「壁紙」は、請求人の商品であり、被請求人が製造または販売しているものではない。上述したように、被請求人が行っている業務は、「他人の商品の販売促進」に該当する行為であり、指定商品についての本件商標の使用ではない。
ウ 被請求人は、被請求人の行為は商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告」に該当すると主張しているが、被請求人の営業活動は、「他人の商品の販売促進」に該当する行為であり、指定商品についての本件商標の使用ではない。
(1)被請求人は、口頭審理陳述要領書(第2回)において、インターネット上の仮想市場を例示し、被請求人の業務は全く新しい商取引の形態であって、被請求人の行為は、商標法第2条第3項第1号、第2号及び第8号に該当する旨を述べている。
しかしながら、被請求人の主張する「全く新しい商取引の形態」という行為は、我が国においては、いわゆる「顧問」として従来から広く認知されているものであり、「全く新しい商取引の形態」ではない。一般的に「顧問」の職責は、個人が自らの知識、経験、人脈等を活用して、依頼者の利益増進のために、依頼者に役務を提供することである。そうすると、被請求人が本件商標の商品「壁紙」についての使用と主張する行為は、「請求人のためにした労務又は便益の提供」であり、具体的には、「商品の販売に関する情報の提供及び助言」、「他人の商品の販売促進」である。これは、被請求人が提出した乙第1号証「マーケティングコンサルタント契約書」においても明らかである。乙第1号証「マーケティングコンサルタント契約書」の第2条には、「亘理氏は、壁装材セグメントにおいてマルブルグ社の壁装材の代理人として専属的かつ独占的に活動し、マルブルグ社の指示のみに従うものとする」と規定され、また、第3条には、「マルブルグ社の壁装材の日本における流通及び/販売や(中略)に関するすべての決定及び活動は、マルブルグ社による専属的かつ独占的な効果となるものである。」と規定されている。
つまり、被請求人は、請求人であるマルブルグ社の指示の下で、請求人のために営業活動を行っていただけであり、本件商標を商品「壁紙」について使用していたのは、被請求人ではなく請求人であるマルブルグ社である。
したがって、被請求人が、本件商標を商品「壁紙」について使用したと主張する行為は、商標法第2条第3項第1号、第2号及び第8号に規定する商標の使用にはあたらない。
被請求人は、本件商標を商品「壁紙」について使用したと主張し、乙第1号証ないし乙第12号証を証拠として提出している。
しかしながら、本件商標が付された壁紙又は包装、壁紙の販売を行ったことを証明する取引先からの発注伝票、取引先への納品伝票、請求書等は一切提出されていない。このような状況においては、被請求人が本件商標を商品「壁紙」について使用していないのは明らかである。
乙第2号証「見本帳」は、請求人が自己の商品「壁紙」の販売及び宣伝広告のために、請求人自ら商標を付して作成した見本帳である。乙第1号証「マーケティングコンサルタント契約書」から明らかなように、請求人と被請求人は、過去にマーケティングコンサルタント契約を交わしていた。そのため、被請求人は、「請求人の製造する商品の販売に関する情報の提供及び助言」、「請求人の商品の販売促進」をするために、乙第2号証に係る見本帳を所有している。乙第2号証は、請求人が作成した見本帳に、被請求人が請求人に対する上記役務の提供を行うため、便宜上、被請求人の氏及び連絡先を付したものにすぎない。これは、被請求人が答弁書において、「この契約に基づき、商品『壁紙』の見本帳・壁紙現物見本等を持って関係各社を訪問し、商品『壁紙』やその製造ノウハウを販売するため各種壁紙の紹介、案内及び提案等を」と述べていることからも明らかである。
また、答弁書には、「オカモト株式会社については、請求人に係る商品『壁紙』を相当数日本国内でライセンス生産販売するに至っており」と記載されている。そして、乙第3号証「オカモト株式会社陳述書」が提出され、乙第3号証には同様の事項が記載されている。このような状況においては、本件商標の商品「壁紙」に関する出所表示機能及び品質保証機能は、請求人に対して生じていたと考えるのが当然であり、被請求人に対して出所表示機能及び品質保証機能が生じていたとは考えられない。被請求人に対して、本件商標の商品「壁紙」に関する商標の諸機能が発揮されなかったのは、被請求人が本件商標を商品「壁紙」について使用していないことに他ならない。このことからも、被請求人が本件商標を商品「壁紙」に使用していないのは明らかである。
(2)被請求人は、口頭審理陳述要領書(第2回)において、請求人と被請求の間で交わされた「マーケティングコンサルタント契約」は継続していると主張し、乙第7号証及び第8号証を提出している。
しかしながら、当該契約は2009年6月に終了しており、請求人は、これ以降の被請求人の行為について承知していない。これについては、甲第3号証及び甲第4号証並びに乙第1号証からも明らかである。また、請求人から被請求人に当該契約についての金員の支払いが行われ、被請求人がこの金員を受領したことで、当該契約は完全に終了している。これについては、乙第5号証及び乙第6号証からも明らかである。
(3)被請求人は、口頭審理陳述要領書(第2回)において、商標「MARBURG」を付した商品「壁紙」の見本帳・壁紙現物見本等を持って、商品「壁紙」の販売促進の営業目的で訴外第三者である株式会社オーク建築計画事務所 代表取締役 松下氏、環境スペース株式会社 代表取締役 嶺島氏、有限会社テンコー装飾 代表取締役 宮崎氏、福祉住環境コーディネーター 一級建築士 藤沼氏を訪問して、本件商標を商品「壁紙」について使用したと主張し、乙第9号証ないし乙第12号証を提出している。
上記(2)でも述べたように、請求人と被請求人の間で交わされた「マーケティングコンサルタント契約」は、2009年(平成21年)6月に終了している。これについては、甲第3号証及び甲第4号証並びに乙第1号証において明らかである。そのため、請求人は、これらの訴外第三者について承知していない。また、請求人は、これらの訴外第三者から商品「壁紙」を含め、いかなる注文も受けていない。つまり、これらの訴外第三者への訪問は、請求人の意思に基づくものではなく、被請求人が勝手に行ったものであって、請求人は承知していない。
一方、請求人と被請求人の契約が有効である期間内における、被請求人が本件商標の商品「壁紙」についての使用と主張する「壁紙の販売促進のための営業活動」は、「請求人であるマルブルグ社のためにした労務又は便益の提供」であり、具体的には、「商品の販売に関する情報の提供及び助言」、「他人の商品の販売促進」である。
したがって、被請求人が本件商標の商品「壁紙」についての使用と主張する行為は、本件商標の商品「壁紙」についての使用ではない。
(4)むすび
被請求人の主張はいずれも失当であり、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第12号証は、いずれも本件商標の商品「壁紙」についての使用を証明するものではない。
したがって、商標権者である被請求人は、本件商標を指定商品について使用してないため、本件商標は、商標第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由及び口頭審理における陳述を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
(1)請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第17類「コンデンサーペーパー,石綿紙,バルカンファイバー」及び第27類「壁紙」を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める旨主張する。
しかしながら、本件商標は、要証期間内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定商品中、少なくとも「壁紙」について使用しているものであるから、商標法第50条の規定には該当しない。
(2)被請求人は、以前より請求人の製造販売に係る「壁紙」を日本で販売するために必要な営業活動を行っていたものであるが、2007年5月21日付けで請求人との間でマーケティングコンサルタント契約を結んだ(乙第1号証)。これは、被請求人が日本市場における商品「壁紙」をはじめとする壁装材に関するビジネスのコンタクト先や知識を有していることから、請求人が日本において商品「壁紙」をはじめとする壁装材を販売するに当たり、被請求人をマーケティングコンサルタントとすることにしたものである。被請求人は、この契約に基づき、本件商標を付した商品「壁紙」の見本帳(乙第2号証)・壁紙現物見本等を持って関係各社を訪問し、商品「壁紙」やその製造ノウハウを販売するため各種壁紙の紹介、案内及び提案等を現在に至るまで継続的に行っているが、そのうちオカモト株式会社については、請求人に係る商品「壁紙」を相当数日本国内でライセンス生産販売するに至っており、その結果、請求人に対し種々の材料の発注、購入をしている(乙第3号証)。これらの行為は、商標法第2条第3項第1号、第2号及び第8号に規定される、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」及び「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものである。
(3)以上のとおり、要証期間内に日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品中、少なくとも「壁紙」について登録商標の使用をしている事実は乙各号証から明らかであるから、本件商標は、商標法第50条の規定には該当しないことは明白である。
(1)請求人提出の弁駁書に対する反論
ア 請求人は、被請求人との間の結ばれたマーケティングコンサルタント契約は請求人により2009年に解除されていると主張して甲第3号証及び甲第4号証を提出しているが、この契約解除の通知は、契約期間中の報酬の支払いが滞った状態で行われた一方的なものであったことから、その後も被請求人はエージェントとして、本件商標を付した商品「壁紙」の見本帳(乙第2号証)・壁紙現物見本等を持って関係各社を訪問し、商品「壁紙」やその製造ノウハウを販売するため各種壁紙の紹介、案内及び提案等、販売促進のための活動を現在に至るまで継続的に行っている。
過去数年(2013年3月以前)に営業活動を行った会社や事業所を「MARBURG マルブルグ壁紙 販促紹介活動について」というリストにして提出する(乙第4号証)。このリストからも明らかなように、乙第3号証として陳述書を提出したオカモト株式会社は、販売促進のための営業活動を行った会社・事業所のほんの1例にすぎない。被請求人は、最近は特に設計事務所、設計施工業者、インテリア材料輸入業者を中心に活動しており、壁紙メーカーや大手の壁紙問屋は、豊富な実績を背景に製造技術導入、デザイン業務提携などがテーマとなっている。また、大小ジェネコンやハウスメーカー、工務店、デヴェロッパーにも細めにアプローチしている。
そして、乙第5号証及び乙第6号証の請求人からの電子メールからも判るように、これら販売促進のための営業活動に対する報酬を2013年1月25日付けで請求人から送金されている事実があり、請求人との関係は今も続いている。
これらのことから、被請求人は商品「壁紙」について、商標法第2条第3項第1号、第2号及び第8号に該当する行為といえるが、とりわけ商品「壁紙」を販売するための広告に本件商標を使用したといえるので、少なくとも商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告」には該当するものである。
なお、乙第5号証及び乙第6号証の電子メールの宛先になっている日本ベストリビング機構合同会社は、被請求人が代表者となっている法人である。
イ 請求人は、被請求人が乙第2号証として提出した見本帳は、請求人の作成したものであると主張している。
しかしながら、日本国における「MARBURG」商標の商標権者は被請求人なのであるから、乙第2号証の見本帳を誰が作成したかは問題ではない。さらにいえば、請求人との間のマーケティングコンサルティング契約の有無も、被請求人が商標権者であることに何ら影響を与えるものではない。本件取消審判請求事件においては、被請求人が本件商標を指定商品について使用しているか否かが問題なだけである。
ウ 請求人は、被請求人が商品「壁紙」の製造を行っていないことを理由に被請求人は、本件商標を使用していないと主張しているが、商品「壁紙」を販売するための広告活動に本件商標を使用し(乙第2号証ないし乙第4号証)、また、その活動に対する報酬が請求人から支払われている事実も請求人からの電子メールで裏付けられるので(乙第5号証及び乙第6号証)、被請求人の行為は少なくとも商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告」における使用に該当するものである。
(2)口頭審理における審理事項について
上記(1)で述べたとおり、被請求人は、乙第4号証ないし乙第6号証を追加したうえで、商品「壁紙」について、いわゆる要証期間内に本件商標を使用していることを主張する。
(1)請求人提出の平成25年11月6日付け提出の口頭審理陳述要領書に対する反論
ア 請求人は、請求人と被請求人との間の結ばれたマーケティングコンサルタントに関する契約であり、商品「壁紙」の販売ではないと主張する。
しかしながら、その主張は、旧来の商品販売の形態にこだわった見方であって、今日のように全ての物事にわたってグローバル化が進んだ現代社会にあっては、商取引の世界にもグローバリゼーションの波が押し寄せており、例えば、楽天株式会社などによってインターネット上に仮想市場が設けられ、そこに数多くの仮想店舗が展開されて様々な商品が大量に売買されている現実がある。これは、従来であれば実際に店舗や販売店を持っていなければ商品を販売することができなかったものがインターネットを介することによって、直接消費者に販売することができるようになったもので、店舗を維持するコストや店員の人件費を省いて安く商品を提供できる従来にない新しい商取引の形態である。
本件の場合も、従来であれば、商品「壁紙」の生産者である請求人が自ら販売網を構築して直接販売するか、商社などを通じて販売するしかなく、コストや労力の負担が大きかったものを、被請求人が新しいやり方を発案したものである。すなわち、商品「壁紙」の販売促進のための宣伝・広告等の営業活動を、被請求人が、顧客となる日本の会社・事業者に対して、企業の枠に縛られることなく個人の立場で行い、その結果、商品「壁紙」の購入を希望するに至った会社・事業所は、被請求人を介することなく直接生産者(請求人)に発注することで、生産者(請求人)が自ら販売網を構築したり、商社などを通じて販売するのに費やす労力やコストを減らし、同時に被請求人も商品の売買に伴う事務処理に忙殺されることなく商品「壁紙」の販売促進のための宣伝・広告等の営業活動に集中することができるという全く新しい商取引の形態なのである。
したがって、被請求人が行っている商品「壁紙」を販売するための宣伝・広告等の営業活動は、商標法第2条第3項第1号、第2号及び第8号に該当するものである。
イ また、請求人は、前記マーケティングコンサルタント契約が2009年6月に終了していると主張するが、2009年6月の時点において、請求人は被請求人に対し同契約に基づく手数料を2007年5月分から全く支払っておらず、そのような状況の中で行われた請求人による契約の解除通知は一方的なもので、認められない。被請求人は、請求人に対し再三にわたり手数料の支払いを求めてきたが、2012年12月1日付けでこれ以上支払いがないと法的措置を取ることを検討している旨、電子メールやファックス並びにEMS郵便にて督促した結果(乙第7号証及び乙第8号証)、ようやく請求人から被請求人宛に乙第5号証及び乙第6号証の電子メールがあって2013年1月に支払いを受けたが、これは被請求人に支払われるべき手数料の全額ではないから、前記マーケティングコンサルタント契約は継続していると見るべきである。
ウ 被請求人は、商品「壁紙」の販売促進のための営業活動をオカモト株式会社に対し平成14年4月頃より現在に至るまで長期にわたって行っていることから、乙第3号証としてオカモト株式会社の陳述書を提出したが、乙第4号証の「MARBURG マルブルグ壁紙 販促紹介活動について」と称するリストに見られるように、被請求人は数多くの会社・事業所に対し、商品「壁紙」の販売促進のための営業活動を行っている。そして、そのことを乙第9号証ないし乙第12号証によって明らかにすることにより、さらに本件商標の使用の事実を証明する。すなわち、乙第9号証ないし乙第12号証は、本件取消審判の請求の登録日である平成25年3月29日より2〜3年前の平成22年ないし平成23年頃に初めて訪問した会社・事業所による陳述書であって、初めて訪問した当時から現在に至るまで、商標「MARBURG」を付した商品「壁紙」の見本帳・壁紙現物見本等を持って、商品「壁紙」の販売促進の営業目的で訪れていることを明らかにするものである。具体的には、
乙第9号証は、乙第4号証のリストにおいて、「設計事務所」の項に記載されている株式会社オーク建築計画事務所による陳述書である。
乙第10号証は、乙第4号証のリストにおいて、「設計施工」業者の項に記載されている環境スペース株式会社による陳述書である。
乙第11号証は、乙第4号証のリストにおいて、「インテリア材料輸入業者」の項に記載されている有限会社テンコー装飾による陳述書である。
乙第12号証は、乙第4号証のリストには記載されていないが、一級建築士 福祉住環境コーディネーターの藤沼氏による陳述書である。
これら乙第9号証ないし乙第12号証は、被請求人がそれぞれの会社・事業所を訪問して壁紙を販売するための宣伝・広告活動を、要証期間内に行っていたことを示すもので、その行為は上記アで主張するとおり、本件商標の使用に該当するものであるから、本件商標は商標法第50条の規定により取り消されるべきものではない。
(2)口頭審理における審理事項について
上記(1)で述べたとおり、被請求人は、平成25年10月28日付け提出の口頭審理陳述要領書において追加した乙第4号証ないし乙第6号証に加え、さらに乙第7号証ないし乙第12号証を追加したうえで、商品「壁紙」について、要証期間内に本件商標を使用していることを主張する。
(1)請求人は、被請求人の行っている業態が従来から存在する「顧問」であると主張している。しかしながら、「顧問」というのは、国語辞典等によれば、もともと「会社、団体などで、相談を受けて意見を述べる役、またその人」のことを意味し、また、最近は、「弁護士や社会保険労務士などが専門的見地から指導や助言などのサービスを提供すること、またその弁護士や社会保険労務士などの人」をも意味するようにもなっているが、請求人の主張するような「『顧問』の職責は、個人が自らの知識、経験、人脈等を活用して、依頼者の利益増進のために、依頼者に役務を提供することです。」といった意味合いはない。請求人の主張は、「顧問」の意味合いを都合よく不当に広義に解釈するものであって認められない。
被請求人の業務は、全く特異な商取引の形態からなるもので、従来であれば、商品「壁紙」の生産者である請求人が自ら販売網を構築して直接販売するか、商社などを通じて販売するしかなく、コストや労力の負担が大きかったものを、被請求人による商品の仲介発想に基づき、商品「壁紙」の販売促進のための宣伝・広告等の営業活動を、被請求人が、顧客となり得る日本の特定の企業・事業者に対して、個人の立場で行い、その結果、商品「壁紙」の購入を希望するに至った企業・事業所は、被請求人を介することなく直接生産者(請求人)に発注することにしたもので、これにより、生産者(請求人)が自ら販売網を構築したり、商社などを通じて販売するのに費やす労力やコストを減らし、同時に被請求人も商品の売買に伴う事務処理に忙殺されることなく商品「壁紙」の販売促進のための宣伝・広告等の営業活動に集中することができるようにしたものであって、このような営業取引形態はネット取引市場で常識的に行われていることである。
(2)このような商取引の形態を、請求人の主張するような従来から存在する「顧問」であるとするのは、商取引の実体を不当に矮小化ないしすり替えるものであって認められない。そもそも、「顧問」が乙第2号証の見本帳や壁紙現物見本等を持って、企業や事業所を直接訪問して商品「壁紙」の販売促進の営業活動を行うことなど考えられないことであるが、現実に被請求人は、商標「MARBURG」を付した商品「壁紙」の見本帳・壁紙現物見本等を携えて企業や事業所を直接訪問して商品「壁紙」の販売促進の営業活動を行っていることは、乙第3号証(オカモト株式会社の陳述書)、乙第9号証(株式会社オーク建築計画事務所による陳述書)、乙第10号証(環境スペース株式会社による陳述書)、乙第11号証(有限会社テンコー装飾による陳述書)、及び乙第12号証(一級建築士 福祉住環境コーディネーターの藤沼氏による陳述書)などから裏付けられるところである。
そして、これらの行為は、商標法第2条第3項第1号、第2号及び第8号に該当し、とりわけ商標法第2条第3項第8号に規定される「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものであるから、本件商標「MARBURG」は、要証期間内に商品「壁紙」について使用しているものである。
(3)請求人は、乙第1号証のマーケティングコンサルタント契約は、2009年6月に終了していると主張しているが、2009年6月の時点において、請求人は被請求人に対し同契約に基づく手数料を2007年5月分から全く支払っておらず、そのような状況の中で行われた請求人による契約の解除通知は一方的なもので認められない。被請求人は、請求人に対し再三にわたり手数料の支払いを求めてきたが、2012年12月1日付けでこれ以上支払いがないと法的措置を取ることを検討している旨、電子メールやファックス並びにEMS郵便にて督促した結果(乙第7号証及び乙第8号証)、2013年1月にようやく請求人から支払いを受けたが(乙第5号証及び乙第6号証)、これは被請求人に支払われるべき手数料の全額ではないから、前記マーケティングコンサルタント契約は依然として有効に継続している。
また、仮にマーケティングコンサルタント契約が終了しているとしても、そのことが、直接本件審判事件における登録商標の使用に影響を与えるものではない。被請求人は、前記マーケティングコンサルタント契約によって、本件商標の使用権を得ているものではなく、被請求人は、商標権者そのものであるから、前記マーケティングコンサルタント契約が終了しているか否かにかかわらず、本件商標「MARBURG」を指定商品の「壁紙」等に独占的に使用する権限を有するからである。
なお、被請求人は、請求人が前記マーケティングコンサルタント契約は終了したと主張する2009年6月以降も、乙第3号証の陳述書を作成したオカモト株式会社が、被請求人の営業活動により請求人商品の購入を続けている事実の一端を、請求人が2012年5月8日に発行した勘定書(ステートメート・アカウント)の写しを乙第13号証として提出することにより証明する。
(4)以上述べたとおり、要証期間内に日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品中、少なくとも「壁紙」について登録商標の使用をしている事実は乙各号証から明らかである。
(1)乙第1号証は、マーケティングコンサルタント契約書であるところ、請求人と被請求人(商標権者)とは、2007年5月にマーケティングコンサルタント契約を結んでいることが認められる。
また、被請求人は、「マーケティングコンサルタント契約は継続している。」旨述べているが、請求人は、「マーケティングコンサルタント契約は2009年6月に終了している。」旨述べている。
(2)乙第2号証は、商品「壁紙」の見本帳の写真であるところ、別掲のとおり、背表紙には、「WALLS」及び「marburg/WALLCOVERINGS」の記載があり、黄色地に「WATARI」の文字が記載されている。
乙第2号証の4ページ目には商品「壁紙」の見本が掲載されているものの、当該「壁紙」の見本自体には、商標が付されていない。
(3)乙第3号証及び乙第9号証ないし乙第12号証は、陳述書であり、乙第4号証は、「MARBURG マルブルグ壁紙 販促紹介活動について」というリストであるところ、乙第3号証によれば、「被請求人は、平成14年(2002年)4月頃より商標『MARBURG』を付した商品『壁紙』の見本帳(乙第2号証)・壁紙現物見本等を持ってオカモト株式会社を営業目的でしばしば訪問し、商品『壁紙』やその製造技術ノウハウを販売するため各種壁紙の紹介、案内及び提案等を行なっている。」、乙第4号証によれば、「被請求人による過去数年(2013年3月以前)のMARBURGマルブルグ壁紙の販促紹介活動は、設計事務所、設計施工業者、インテリア材料輸入業者を中心に活動している。」、さらに、乙第9号証ないし乙第12号証によれば、「被請求人は、商標『MARBURG』を付した商品『壁紙』の見本帳・壁紙現物見本等を持って陳述者のもとに営業目的でしばしば訪問している。」としている。
(4)被請求人は、答弁書において、「被請求人は、マーケティングコンサルタント契約に基づき、本件商標を付した商品『壁紙』の見本帳(乙第2号証)・壁紙現物見本等を持って関係各社を訪問し、商品『壁紙』やその製造ノウハウを販売するため各種壁紙の紹介、案内及び提案等を現在に至るまで継続的に行っている」旨述べている。
一方、請求人は、弁駁書において、「乙第2号証の見本帳は、請求人が作成したものである。」旨述べている。
(5)小括
以上によれば、被請求人と請求人との間のマーケティングコンサルタント契約の締結期間は、上記(1)のとおり、定かではないものの、被請求人は、請求人の業務に係る商品「壁紙」の見本帳等を持って関係各社を訪問し、商品「壁紙」やその製造ノウハウを販売するため各種壁紙の紹介、案内及び提案等を行っていたといえる。
そうすると、被請求人が行っていた業務は、請求人の業務に係る商品「壁紙」の紹介、案内及び提案等であるから、該行為は、他人のために行う労務又は便益、すなわち、役務の提供に相当する。
(1)商標法第2条第3項第1号について
被請求人が提出した証拠によれば、本件取消請求に係る商品又は商品の包装に標章「MARBURG/マルブルグ」を付したことを明らかにする証拠は見あたらないから、本号にいう使用行為があったものとは認められない。
(2)商標法第2条第3項第2号について
被請求人が提出した証拠によれば、本件取消請求に係る商品又は商品の包装に標章「MARBURG/マルブルグ」を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供したことを明らかにする証拠は見あたらないから、本号にいう使用行為があったものとは認められない。
(3)商標法第2条第3項第8号について
被請求人が提出した証拠によれば、本件取消請求に係る商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章「MARBURG/マルブルグ」を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章「MARBURG/マルブルグ」を付して電磁的方法により提供したことを明らかにする証拠は見あたらないから、本号にいう使用行為があったものとは認められない。
(1)被請求人は、「被請求人による商品の仲介発想に基づき、・・・商品『壁紙』の購入を希望するに至った企業・事業所は、被請求人を介することなく直接生産者(請求人)に発注することにした・・・全く新しい商取引の形態であり、このような営業取引形態はネット取引市場で常識的に行われている。」旨主張するが、被請求人の行為は、上記1(5)のとおり、役務の提供に相当するものであって、本件取消請求に係る指定商品について使用されたものとは認められない。
(2)被請求人は、「とりわけ商品『壁紙』を販売するための広告に本件商標を使用したといえる」旨主張するが、商標法第2条第3項第8号に規定する広告とは、自己の業務に係る商品「壁紙」の広告でなければならないところ、上記1(3)及び(4)のとおり、被請求人は、他人(請求人)の業務に係る商品「壁紙」の見本帳等を持って関係各社を訪問し、商品「壁紙」やその製造ノウハウを販売するため各種壁紙の紹介、案内及び提案等を行っていたことから、これを自己(被請求人)の業務に係る商品「壁紙」の広告に本件商標を使用していたものとはいえない。
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品について、本件商標を使用した事実を証明し得なかったものといわなければならない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の指定商品中、第17類「コンデンサーペーパー,石綿紙,バルカンファイバー」及び第27類「壁紙」についての登録は、商標法第50条の規定により、これを取り消すものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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