Trademark Appeal Case
普通名称と品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−650096(T2013−650096/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第17類及び第19類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2011年(平成23年)11月19日に国際商標登録出願されたものである。その後、指定商品については、原審における2012年(平成24年)11月9日付けで国際登録簿に記載された限定の通報があった結果、最終的に、第17類「Fire−insulating materials of mineral wool.」及び第19類「Fire−insulating building materials of mineral wool.」とされたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、赤色の長方形内に、上段に白抜きの太字で『ROCKWOOL』の欧文字を大きく表示し、下段に白抜きの細字で『FIRESAFE INSULATION』の欧文字を小さく表示してなるものである。そして、その構成中の下段の『FIRESAFE INSULATION』の語は、その構成文字に相応して『耐火性の耐火・断熱材』程の意味合いが生ずるものと認められる。よって、本願商標は、その指定商品との関係において、その原材料が『ROCKWOOL(岩綿)』であり、その商品が『耐火性の耐火・断熱材』であることを記載したものであって、商品の原材料、用途、品質を表示したものといえる。また、本願商標は、『普通に用いられる方法』の域を出ない構成・態様といえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、赤色の矩形内に、白抜きの太字で「ROCKWOOL」の欧文字を大きく書し、その下段に白抜きの細字で「FIRESAFE INSULATION」の欧文字を小さく書してなるところ、本願商標においてみられるような赤色の矩形内に、白抜きの文字を配してなる構成態様は、普通に用いられる一般的な表現方法であって、特殊な態様で表示されているものというほどの特徴はないものというのが相当である。
そして、本願商標の構成中の「ROCKWOOL」の文字は、ランダムハウス英和大辞典(小学館)には「rock wool=mineral wool」との記載があり、「mineral wool」の項には、「鉱滓岩綿(rock wool),ミネラルウール:溶融状態の鉱滓に高圧蒸気を送って作る羊毛状の繊維;断熱材・防音材に用いる」の記載がある。
また、「rock wool(ロックウール)」の語は、建築関連の用語を収録した複数の辞典にも掲載されており、例えば、「建築大辞典」(彰国社)の「ロック ウール」の項に、「rock wool 玄武岩、輝緑岩または鉱滓などが主原料で、電気炉または溶鉱炉で溶融したものを遠心力、圧縮空気、高圧蒸気等により吹き飛ばして急冷し、繊維化した無機質繊維。断熱・吸音・耐火被覆材料等に用いられる。」の記載があり、「建築現場実用語辞典」(井上書院)の「ロックウール[rock wool]」の項に、「岩綿」の記載があり、「岩綿」の項に、「安山岩などを1500度ほどで溶かし、圧縮空気や高圧蒸気を吹き付けて繊維状にしたもの。断熱・吸音・耐火性に優れ、ボードやフェルトに加工したり、吹付け材や保温材として使用。『ロックウール』ともいう。」の記載があり、「材料名の事典」(アグネ技術センター)の「ロックウール(Rock wool)」の項に、「天然の岩石を溶融繊維化した人工無機繊維の一種で岩綿とも呼ばれる。玄武岩、安山岩、かんらん岩、蛇紋岩などの岩石を主原料とするが、品質を安定させるため高炉スラグが岩綿原料の一部に用いられる。・・・不燃性で、かさ比重が小さく、断熱性、防音性が優れているので、耐火被覆材、断熱材、防音材など建築用材や保温板、吸音板などに用いられる。」の記載がある。
これらの記載からすると、「rock wool」は、「ロックウール(岩綿)」を意味するものであり、「mineral wool(ミネラルウール)」と同義であり、その特性から断熱、吸音、耐火材等に用いられるものであるといえる。
また、本願商標の構成中の「FIRESAFE」の文字は、「耐火[防火]性の、火[熱]に耐える」の意を有し(ランダムハウス英和大辞典(小学館))、「INSULATION」の文字は、「分離(絶縁・断熱)すること:分離(絶縁・断熱)されている状態。絶縁(断熱・防音)に用いられる物質《絶縁体、断熱(防音)材》」の意味を有するものである(ウェブスター英英和辞典(日本ブリタニカ))。
そうすると、本願商標中に小さく書された「FIRESAFE INSULATION」の文字部分は、全体として「耐火性の絶縁に用いられる物質、防火性の絶縁に用いられる物質」の意味を理解させるものといえる。
以上のことからすると、「ROCKWOOL」及び「FIRESAFE INSULATION」の文字からなる本願商標は、「ロックウール(ミネラルウール・岩綿)」及び「耐火性の絶縁に用いられる物質、防火性の絶縁に用いられる物質」を理解させるものといえる。
加えて、本願商標の指定商品を取り扱う分野では、ロックウールを原材料とし、防火性、耐火性をうたう製品が一般に取引され、ロックウールが原材料であることを表す表示として「ロックウール(rock wool)」の文字が使用されている実状が認められる。これらは、別掲2のインターネット情報からも裏付けられるものである。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品「Fire−insulating materials of mineral wool,Fire−insulating building materials of mineral wool.」について使用する場合、前記のとおり「mineral wool」と「ロックウール(rock wool)」が同義であることも相俟って、これに接する需要者、取引者に「ロックウール(岩綿)を原材料とする耐火性・防火性の絶縁に用いられる材料、ロックウール(岩綿)を原材料とする耐火性・防火性の絶縁に用いられる建築用の材料」であることを表示するものとして理解されるから、その商品の品質を表示するにすぎないものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「(a)「ROCKWOOL」なる部分は一体的輪郭を有する造語として全て大文字でデザイン化されている、(b)この「ROCKWOOL」なる白文字部分と、長方形の赤背景が渾然一体となって、請求人の社標的部分を形成しており、さらに、この部分は世界的に周知であるという事情がある、(c)「FIRESAFE INSULATION」からなる英文字部分は、商標全体からみて要部とはならぬように極めて小さな書体で、2段かつ対比的に表現することで安心感・安全性といった赤十字から得られる感覚に似たイメージが暗示的に生ずるように工夫がなされているという特徴があり、本願商標は、これらの特長を総合、相乗的に捉えて、個別具体的な商品との関係において、視覚的な面を十分に重視して識別力を判断すべきである。」旨、主張している。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標の構成態様、その構成中の「ROCKWOOL」、「FIRESAFE」及び「INSULATION」の語義、また、これらの語と本願商標の指定商品との関係及び本願の指定商品を取り扱う業界における実状等を総合勘案すれば、本願商標は、これに接する者に、「ロックウール(岩綿)を原材料とする耐火性・防火性の絶縁に用いられる材料、ロックウール(岩綿)を原材料とする耐火性・防火性の絶縁に用いられる建築用の材料」であることを表すものとして理解されるというのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
また、請求人は、「長年に亘り世界的な範囲において、この分野で一般的に商取引されている製品とは異なる断熱素材を、本願商標もしくは、これと極めて類似する商標を付して提供してきた結果、その製品は出所表示機能を充分に発揮しているという実状がある。このため、本願商標も本質的に識別力を備える商標であり、もはや他の取引業者・需要者において品質表示マークと混同されるものではない。」と主張し、証拠を提出している。
しかしながら、提出された証拠によっては、我が国において、請求人が本願商標を指定商品に使用していることを確認できない。また、職権で調査するも、本願商標がその指定商品に使用された結果、本願商標が、これに接する需要者、取引者に、これを単なる品質表示ではなく、請求人の業務に係る商品を表示するものとして認識させるに至っていると認めるに足る事実は見いだせない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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