sokuhyo

Trademark Appeal Case

「エコサントイレ」の記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2014−11850(T2014−11850/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「エコサントイレ」の片仮名を標準文字で表してなり、第11類及び第21類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成25年9月18日に登録出願されたものである。

そして、その指定商品については、原審における平成26年1月30日付け手続補正書により、第11類「使用時に周囲を囲む簡易テント・汚物凝固処理剤・汚物処理袋及び便器よりなる簡易設置型トイレ,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす,移動式便所,便所ユニット」及び第21類「簡易トイレ,災害時用簡易トイレ,組み立て式簡易トイレ」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は、『エコサントイレ』の文字を標準文字で表してなるところ、『エコサン』の文字は、『エコロジカルサニテーション(ecological sanitation)』の略称を表す語である。ところで、商品『トイレ』の分野でいわれている『エコサンシステム』の方式は、し尿(糞便と尿)が分別され、肥料として農業に活用されるものであって、糞便と尿を分別することによって処理しやすくなり、し尿の混合により引き起こされる悪臭を防ぐことができるシステムを指称する。そして、このようなエコロジカルサニテーション技術を用いたトイレが昨今開発されている実情がある。そうとすると、本願商標は、『環境衛生式トイレ』の略称を表したものと認められるから、これをその指定商品中、例えば『簡易トイレ』について使用しても、これに接する取引者、需要者は、『環境衛生式簡易トイレ』程の意味合いを認識するにすぎず、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表したにとどまり、自他商品を区別する標識としての識別力を具有しないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、出願人(請求人)以外の者により、「エコサントイレ」の語が「環境と衛生に配慮した糞尿分離式トイレ」を表すものとして使用されている事実を発見したため、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、別掲1のとおりの事実を内容とする証拠調べの結果を通知した。

4 証拠調べに対する意見の要旨

請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、以下のように述べている。

(1)証拠調べ通知で示された証拠は、いずれも日本国内におけるエコサントイレ(環境と衛生に配慮した糞尿分離式トイレ)の使用実績を意味するものではなく、「エコサントイレ」の語が「環境と衛生に配慮した糞尿分離式トイレ」を表すものとして使用されている事実は日本国内においては存在しない。

(2)証拠調べ通知で示された証拠からは、エコサントイレが海外(日本国外)において使用されていることはわかるものの、片仮名の「エコサントイレ」の語が現地(日本国外)で通用するものとは到底理解することはできず、また、「エコサントイレ」の語の現地における片仮名に代わる表記が存在すると認めることもできない。

(3)以上のとおり、証拠調べ通知で示された証拠によっても、日本国内において「エコサントイレ」の語が一般的に使用されているとは、到底認めることができない。

5 当審の判断

(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、前記1のとおり、「エコサントイレ」の片仮名を標準文字で表してなるものである。

ところで、原審において示した新聞記事及びインターネット情報(別掲2)並びに前記3の証拠調べ通知において示した事実(別掲1)によれば、「エコサントイレ」の語は、「環境と衛生に配慮した糞尿分離式トイレ」を表すものであって、近年、途上国に対し、水を使わないことで環境に優しく、かつ、糞と尿を分別することにより悪臭や害虫の発生が低減する衛生的な「環境と衛生に配慮した糞尿分離式トイレ」を普及させるための技術支援が、我が国の独立行政法人やNPO法人等によって活発に行われている実情があり、このような活動や「環境と衛生に配慮した糞尿分離式トイレ」を紹介する記事等において、この「環境と衛生に配慮した糞尿分離式トイレ」を表す語として「エコサントイレ」の語が多数使用されている。

そして、本願の指定商品は、前記1のとおり、トイレそのものやトイレに関する商品であることからすれば、本願の指定商品の分野における取引者・需要者においては、「エコサントイレ」の文字から「環境と衛生に配慮した糞尿分離式トイレ」を想起するというのが自然である。

そうとすると、本願商標は、これに接する取引者・需要者に「環境と衛生に配慮した糞尿分離式トイレ」であると理解、認識されるにとどまるものであって、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものというのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人(出願人)は、「エコロジカルサニテーション(ecological sanitation)」の語は、我が国では京都大学の松井三郎名誉教授(以下「松井教授」という。)が提唱しているものであり、松井教授が発明者に加わって発明され、独立行政法人科学技術振興機構によって取得された特許「尿から有価物を連続的に回収する方法と装置」において具体的に達成されるものであるところ、出願人は上記特許を活用したバイオトイレを製造し、販売しているのであり、このようなエコロジカルサニテーションに基いたトイレを「エコサントイレ」として販売することができなければ、松井教授が提唱するエコロジカルサニテーションに基づかないトイレが、「エコサントイレ」の名称を付されて販売され、使用者あるいは消費者が被害をこうむることになるから、このような事態を避けるためにも、出願人が「エコサントイレ」の商標権を取得する意味合いがある旨主張する。

しかしながら、出願人が、本願商標を松井教授の提唱するエコロジカルサニテーションに基いたトイレ(出願人の取扱いに係るバイオトイレ)に使用する意図で採択していたとしても、上記(1)で示した事実からすれば、本件審判の審決時において、「エコサントイレ」の語は、「環境と衛生に配慮した糞尿分離式トイレ」を表す語として、出願人以外の多数の者によって使用されているものであって、本願の指定商品の分野における取引者・需要者が、「エコサントイレ」の語から直ちに出願人の取扱いに係るバイオトイレを想起するとはいい難いものであるから、請求人の主張は、採用することができない。

イ 請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、前記4のとおり、日本国内において、「エコサントイレ」の語が一般的に使用されていると認めることができない旨主張する。

しかしながら、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである。」(東京高裁平成12年(行ケ)76号判決)と判示されている。

これを本件についてみれば、商標法第3条第1項第3号の適用において、現実に、「エコサントイレ」の語が、日本国内で製造販売されている商品について使用されている事実は、必ずしも要求されないものというべきであって、さらに、日本国内において、「エコサントイレ」の語が、「環境と衛生に配慮した糞尿分離式トイレ」を表す語として多数使用されている実情があること上記のとおりであるから、本願商標は、その取引者・需要者に、商品の品質を表したものと理解されるものであり、請求人の主張は、採用することができない。

(3)結語

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。